宇宙に穴掘って金を捨てる話2018年10月19日 20:23

宇宙に穴掘って金を捨てる話
宇宙に穴掘って金を捨てる話


浮沈子が好きな映画に、ウインズ(邦題)というのがある。

(ウインズ (映画))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BA_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

細かいところはもう忘れてしまったが、スポンサーにどのくらい金がかかるかを聞かれて、主人公がこう答える。

「海に穴掘って捨てるほど」(正確には覚えていないので、ちょっと違うかも)。

まあ、アメリカズカップのヨット位なら、億単位の話で済むだろうが、水星探査機を打ち上げるということになれば、文字通り、天文学的な金を使うことになる。

宇宙に穴掘って捨てるほどだな。

一千億円を軽く超える金が、漆黒の宇宙に消えていく・・・。

ベピコロンボと名付けられたミッションについては、このブログでも既に書いた。

(分かりにくさのカタチ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/01/02/8760226

自前で打ち上げることが出来ずに、今回はESAの衛星(MPO)と相乗りして、アリアンで仏領ギアナからの打ち上げとなる。

順調にいけば、明日の午前中に上がるらしい。

(2018年10月19日 更新
国際水星探査計画BepiColomboの打上げライブ中継は、10/20(土)10:00から!)
http://www.jaxa.jp/topics/2018/index_j.html#news13222

「アリアン5ロケットの打上げは、10月20日(土)10時45分28秒(フランス領ギアナ現地時間 10月19日(金) 22時45分28秒)を予定しています。」

「打上げ日時及び放送時間はミッションの状況等により、変更になる場合がございます。」

まあいい。

到着まで7年もかかるみたいだからな。

多少遅れても、どうにでもなるんだろう(そうなのかあ?)。

せっかくだから、ちょっと調べてみた。

(2018年9月5日 更新
BepiColombo計画の2機の水星探査機が最終状態に結合されました)
http://www.jaxa.jp/projects/sat/bepi/index_j.html

「MMOに搭載されている科学観測装置:略名(名称):観測内容

・プラズマ・粒子観測装置:MPPE(Mercury Plasma Particle Experiment):計7つのセンサーをもち、水星周辺における様々な エネルギーの電子・イオンおよび高速中性粒子を計測。

・磁力計:MGF (Magnetic Field Investigation):水星本体、磁気圏、および太陽風の磁場を計測。

・プラズマ波動・電場観測装置:PWI(Plasma Wave Investigation):水星磁気圏および太陽風における電場・電磁波動・電波を観測。

・ダスト計測器:MDM (Mercury Dust Monitor):太陽系内縁である水星軌道上での惑星間ダストや水星本体から放出されるダストを検出。

・ナトリウム大気カメラ:MSASI(Mercury Sodium Atmosphere Spectral Imager) :水星の希薄なナトリウム大気の分布と変動を分光撮像。」

他のはいいとして、ナトリウム大気カメラというのが気になるな。

なにそれ?。

(第7回:水星の超真空大気の生成)
http://www.isas.jaxa.jp/j/column/inner_planet/07.shtml

「水星の極希薄な「大気」が発見されたのは、1974年に水星に接近したアメリカの探査機マリナー10号によってである。」

「探査の結果、水素とヘリウムだけが観測され、地球型惑星固有の大気(希ガス)は見つからなかった。」

「しかし1980年代に入ると、思わぬ発見が生まれた。」

「ひょんなきっかけから水星に望遠鏡を向けてみると、その方角からナトリウムの固有の輝線が発せられていることに気付いた」

「ナトリウムを放出するメカニズムが分からない。」

「太陽光照射によって放出されたとされる説、太陽風の照射がその主な原因とする説、微小隕石(いんせき)の落下により岩石が気化するのが原因であるなど学説はいろいろとある」

ここからが重要だな。

ナトリウムの生成原因によって、分布が異なることがシミュレーションによって予想されている。

「水星周辺に漂うナトリウム大気の分布が分かれば、これらの計算結果と照らし合わせることでナトリウム大気が発生する原因が分かる」

浮沈子の予想では、これらのどれとも異なる結果が観測されて、益々謎が深まるに違いない。

そして、さらなる観測機を飛ばさないと分からないという話になって、今度こそはH3(または、その次のロケット)で打ち上げようという話になるに決まっているのだ。

業界は、そういうのは得意だからな。

水星の大気濃度は月よりも薄いそうだ。

(月の大気)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%A4%A7%E6%B0%97

「1cm3当たりの原子数は約80,000個になり、水星の大気よりも濃い」(月の大気)

水星の大気が如何に薄いかということになる。

(水星の大気)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%98%9F%E3%81%AE%E5%A4%A7%E6%B0%97

「水星は変化に富んだ外気圏を持っており、10^-14バールの複合圧で水素、ヘリウム、酸素、ナトリウム、カルシウム、カリウム、水蒸気などを含んでいる」

記事を読むと、メッセンジャーの観測で、水星大気圏の様子はかなり明らかになってきているようだ。

MMO(みお)が7年掛けて行っても、大した成果は上がらないだろうな。

(メッセンジャー (探査機))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC_(%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E6%A9%9F)

膨大な観測データの解析は、これからになる。

当初、1年間の予定を延ばして、4年以上も観測したわけだからな。

げっぷが出るほどのデータがあるんだろう。

それらのデータから、まあ、7年くらいの間に、ベピコロンボで取れるはずの成果は出尽くしてしまうのではないか。

皮肉なもんだな(そうなのかあ?)

元々、ドブ(宇宙)に金捨てる話だからな。

それでも、重箱の隅を突つくような「発見」がある可能性が、ないとはいえない。

落穂拾いか・・・。

浮沈子のパソコン環境では、非常に見づらいが、内容的には、このややっこしいミッションを分かりやすく解説しているページがあった。

(水星磁気圏探査機みお:ミッション)
http://www.isas.jaxa.jp/home/mio/mission/

「みお」というニックネームは、澪標(みおつくし)とも掛けているようだ。

懐かしいな・・・。

(澪つくし)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BE%AA%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%97

「昭和60年上半期(1985年4月1日から10月5日まで)に放送された、NHK連続テレビ小説」

「関東地区では、1985年の放送で最高視聴率55.3%、平均視聴率44.3%を記録する大ヒット作品となった」

クンタキンテもびっくりの視聴率だな(「ルーツ」の米国での視聴率といい勝負だ)。

(ルーツ (テレビドラマ))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84_(%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E)

「アメリカではABCが1977年1月23日〜30日に8日連続で放送、平均視聴率44.9%(エーシーニールセン調べ、全米視聴率)を記録した」

まあ、どうでもいいんですが。

ニックネームということになると、MMOの相方のMPOのそれが気になるところだ。

やっぱ、なんか付けてんだろう・・・。

(CALL FOR MEDIA: BEPICOLOMBO LAUNCH TO MERCURY)
http://sci.esa.int/bepicolombo/60733-call-for-media-bepicolombo-launch-to-mercury/

「ミッションはESAの水銀惑星探査機(MPO、Bepi)とJAXAの水星磁気圏オービター(MMO、またはMio)の2つの科学衛星で構成されています。」(自動翻訳のまま)

やっぱ、ベピかあ。

(ベピコロンボの壮大な冒険 | パート1:ロケット発射点へ!:動画出ます:追加)
https://www.youtube.com/watch?v=Z96Sw0NyvEg

楽しいアニメの中でも、ベピと呼んでいる。

いろんなところに解説が出ているように、水星探査に功績のあったジュゼッペコロンボの愛称である。

(Giuseppe Colombo)
https://en.wikipedia.org/wiki/Giuseppe_Colombo

「より良い彼のニックネームで知られ、ベピ・コロンボ」(自動翻訳のまま:何とかならんのかあ?)

想定内だな・・・。

浮沈子が、明日の打ち上げを生中継で見ることはない。

浮世の雑事でお出かけの予定だ。

金星探査機は、打ち上げ後、ドイツのダルムシュタットから運用される(MMOは日本の運用で、臼田のアンテナから通信するようです:英語版のウィキより)。

(欧州宇宙運用センター)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%81%8B%E7%94%A8%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC

「European Space Operations Centre(ESOC)は、欧州宇宙機関(ESA)の衛星と宇宙探査機の運用を行っている機関。ドイツのダルムシュタットに所在。ESAの宇宙計画の多くのミッションコントロールがここで行われている」

打ち上げや運用に失敗すれば、本当にドブに捨てることになるからな。

上手くやってもらいたいもんだな・・・。