そういえばスターリンクはどーなった?2018年11月09日 08:31

そういえばスターリンクはどーなった?


(E・マスク氏、衛星ブロードバンド計画「Starlink」の幹部を入れ替え--進捗に不満か)
https://japan.cnet.com/article/35127947/

「プロジェクトのシニアマネージャ7人を解雇」

「SpaceXの本社から複数のマネージャを異動させ、レドモンドのオフィスに送り込んだ。」

「2018年に入り、およそ50人が同社を自主的に退職」

相変わらずだな・・・。

低レイテンシの衛星通信がもたらす世界は、おそらく莫大な富を生み出すに違いない。

(SpaceX kicks off $750M investment round as BFR and Starlink infrastructure needs grow)
https://www.teslarati.com/spacex-750m-financing-round-bfr-starlink-capex/

「SpaceXはBFRとStarlinkのインフラストラクチャのニーズが成長するにつれて7億5千万ドルの投資ラウンドを開始」(表題より:自動翻訳のまま(一部修正):以下同じ)

この宇宙のインフラストラクチャーは、テロや国家間の戦争によって破壊されたりすることはない(たぶん)。

おそらく、政治的な意図で、差し止めを行うことも出来ない。

世界がその上で動くことになるからな。

イーロンマスクは、このアプリケーションを重要視しているようだ。

BFRの開発にとっても欠かすことはできない。

巨大ロケットは、何か打ち上げるものがあってこそ開発される。

なんでもいいから作っちまって、それから打ち上げるものを募集しようとかいう話はない。

火星移民はともかくとして、スターリンクの話がなくなれば、BFRの開発の意義は消滅しかねない。

ファルコン9とヘビーというレガシーなロケットで、当面の需要をこなしていくには、能力もコストも十分だからな。

ライバルには、少なくとも5年の差をつけている。

幹部の入れ替えについては、イーロン時間によるスケジュールをこなすことが出来なかったんだろう。

アプリケーションの開発が滞れば、必然的にロケットの開発にも影響が出る。

そうすれば、ロケット開発の遅延が発生し、それが衛星の開発に響いてくるという、負のスパイラルを招きかねないというわけだ。

資金調達の話と、アプリケーション開発にはっぱをかける話は連動しているんだろう。

お互いに競争し合い、正のスパイラルを導出するためには、金と勢い(旗を振る幹部)が必要だからな。

とてつもない速度で開発するためには、ライバルが必要だ。

スターリンクのライバルは、ワンウェッブとかじゃなくて、BFRなのかもしれない。

同時に、BFRのライバルは、ニューグレンとかバルカンじゃなく、身内のスターリンクなわけだ。

技術的には、スターリンクは様々な困難に直面する可能性がある。

このアプリケーションの最大の売りは、低レイテンシだ。

静止衛星とは比較にならない遅延での通信は、株式の取引とかに絶対必要とされる。

インターネットインフラの未発達な地域に導入することが出来れば、その需要を一気に取り込むことが出来る。

一山十円の付加価値の低い、メンテナンスコストが掛かる地上インフラでは、時間がかかり、ビジネスチャンスを逃す恐れが高い。

既に配置されている静止軌道では、原理的に低レイテンシを実現することはできないしな。

衛星軌道は、低ければ低いほどいい。

遅延は、距離に比例する。

その分、見通しが悪くなるから、数を上げなければならない。

1万を超える衛星コンステレーションは、低レイテンシを実現するために必要なコストだ。

従来のロケットで、このコンステレーションを実現することは、まあ、不可能とまでは言わないまでも極めて困難な話だ。

寿命10年として、年間1000機を入れ替えていかなければならず、初期配置だけでなく、インフラとして維持し続けることも並大抵ではない。

一度に10機程度の衛星打ち上げでは、年間100機ものロケットを飛ばさなければならないことになる。

全世界の衛星打ち上げロケットが、年間100機ほどだからな。

しかも、一度構築されてしまえば、全世界の需要を独占する可能性がある。

ライバルは消えてなくなるしかない。

それを可能にするのは、大量の衛星を一度に打ち上げることが出来る、低コストのロケットということになる。

BFRは、スターリンクにとって、必要不可欠なツールなのだ。

通信技術は日進月歩、しかし、それはライバルも同じで、自主開発するより、既存の技術を買ってきて乗っける方が早い。

このビジネスは、通信速度も構築のタイミングも、スピードが命だからな。

早い者(速いもの?)勝ち。

最初に作り上げた方が、全てを獲る。

静止衛星のように、配置された経度によって、分業するわけにはいかない。

全地球市場を取るか、撤退するかだな。

過去には、同様の企画がいくつも撤退の憂き目に会っている。

莫大な投資に見合う需要が立ち上がっていなかったこと、そもそも、有効かつ安価な打ち上げ手段がなかったことが原因だ。

今回、何度目かの低軌道衛星コンステレーションによる、低レイテンシネットワークの構築が行われようとしている。

この通信インフラのもう一つの利点は、先に触れたように高い抗堪性(こうたんせい)を持つことだ。

そもそも、インターネット自体が、特定のノードに依存しない分散ネットワークとして開発された経緯がある(きっかけは、少し異なるようですが)。

それでも、地上インフラの結節点や、特定の経路が阻害されれば、パフォーマンスに重大な影響が出かねない。

その維持には、膨大なコストが掛かるしな。

空に向かって、ピザボックスを広げれば、全世界とリアルタイムで通信できるなら、こんな便利なことはない。

海の上でも、山の上でも、砂漠のど真ん中でも、ジャングルの中でも、大草原に居ても・・・。

人類の多くは都市に住み、必要なインフラは整っている。

しかし、そうでないところは、世界中に存在している。

通信の遍在が実現すれば、物流も後から付いてくることになるかもしれない。

ドローンとか飛ばして、必要な物資をピンポイントで配達する。

無人のトラックが荒野を駆け抜け、荷台に取り付けられたドローンが、走りながら離着陸を繰り返してラストワンマイルを解決する。

人間が都市に住んでいるのは、必要なインフラが整っているからかもしれない。

発展の順序としては、需要があるからインフラが発達したんだろうけど。

労働集約型の産業から、知識集約型の産業に変化していく流れが、新たな技術の開発と共に、新しいインフラを創り出し、都市に住むメリットを相対的に減じていけば、都市化の流れすら変わるかもしれないしな。

AIが普及する未来は、更にややっこしい話になりそうだ。

統治や支配というのは、大昔から移動や通信と切っても切れない関係があるからな。

距離や時間の制約がなくなった世界を、AIが統治する。

その時代の技術で最適化された生活を、それなりに快適に送ることが出来るようになった地球上の人類。

やっぱ、次は宇宙進出しかないんだろうか?。

(SpaceXの衛星星座Starlinkは1000基あまりの通信衛星を超低軌道で運用する:追加)
https://jp.techcrunch.com/2018/11/09/2018-11-08-spacexs-starlink-aims-to-put-over-a-thousand-of-its-communications-satellites-in-super-low-orbit/

「Starlinkが計画している1584基の衛星」(既存の計画の一部らしい:追加)

なんか、随分少なくなったな・・・。