常識のウソ或いは不都合な真実2018年11月26日 03:44

常識のウソ或いは不都合な真実
常識のウソ或いは不都合な真実


花粉症なら春先、熱中症は真夏、インフルエンザは冬と相場が決まっている。

杉花粉以外の花粉症があって、一年中罹っている方もいるかもしれないし、夏風邪ひきやすい浮沈子とか、例外はいくらもあるが、概ね季節性疾患というのは、1年を周期にして、その時期に患者が増えてくるという特徴を持っている。

風疹は、かつては季節性疾患の代表例のようなもんだったようだ。

(風疹の現状と今後の風疹対策について
平成15年5月)
http://idsc.nih.go.jp/disease/rubella/rubella.html

2003年の報告だが、昔のデータを見ることが出来るので貴重だ。

この報告書では直接の言及はないが、季節性についてはこっちの方に出てくる。

(風疹Q&A(2018年1月30日改訂))
https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubellaqa.html

「Q 1-1 風疹とはどんな病気ですか?」

「A 風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症で、流行は春先から初夏にかけて多くみられます。」

いつの話じゃい、このボケが!。

初出の報告には、立派なグラフが載っている。

(図1. 風疹患者報告数の推移、1982~2002年)
http://idsc.nih.go.jp/disease/rubella/fig/fig01.gif

まさに、春先から初夏というのが相応しい。

5年毎の流行も見て取れるしな。

既に、我が国では季節性は失われてしまった。

その横にある2つの図も、興味津々で見た。

風疹が、かつてはガキ(お子様?)の病気だったこと、都会よりは田舎(というかあちこち)で流行っていたことが分かる。

定点観測(全国3000か所)の時代だが、傾向を見るには十分だ。

我が国の感染症対策が、大いに進展していることは、疑う余地はない。

長期的には、明らかに減少している。

5年毎の周期的な流行というのは、なかなか興味深い。

米国の事例では、6年から9年という記述があったので、その違いというのも気になるところだったが、季節性疾患ということになれば、しかも、これだけ顕著に現れるというのは、絶対に理由があるはずだ。

2012年から2013年の週報のグラフはすでに取り上げた。

(風疹の遺伝子型とワクチン)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/11/22/9001742

とりあえず、図だけ見る。

(週別風疹ウイルス分離・検出報告数、2012~2018年)
https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/rapid/rubella/160714/rv1_181108.gif

2013年は、確かに春先から初夏と言えないことはない。

2015年は、春先の5件については、特定企業で発生したことが分かっている(先日の講演で出ましたからね)。

海外赴任していた社員が、帰国の際に不顕性感染者としてウイルスを持ち込んだことがきっかけとみなされている。

2016年は、確かに春先から初夏といえる。

2014年は、2013年の終息期のロングテールのような気もするし(未確認)、2017年は傾向は不明瞭になってしまっている。

今年(2018年)は、20週にスパイクがあるけど、季節性と呼べるかどうかはビミョーで、25週以降のアウトブレイクとは無関係にも見える。

従来の季節性(春先から初夏)はぶち壊れていて、立ち上がりのタイミング的には、2012年に近い。

うーん、一体、風疹の季節性というのは何なんだあ?。

つらつら考えるに、やっぱ、ガッコ(学校)だったんだろうな。

そう、昔はこの病気はガキの病気だったわけで、春休みが終わってガッコが始まると、子供の間で流行して、免疫が付いて一段落するという自然発生、自然終息を繰り返していたわけだ。

今や、風疹は9割以上、大人が罹る病気で、ワクチン打ってもらえず、自然感染からも見放された30台から50代の男が罹る流行病になった。

さらに、調べていくと、興味深い話が出てきた。

(麻疹:近年における麻疹の日本での流行:2007年参照)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BA%BB%E7%96%B9#%E8%BF%91%E5%B9%B4%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%BA%BB%E7%96%B9%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%B5%81%E8%A1%8C

「10歳〜29歳の麻疹・成人麻疹が多くみられた原因として、定期接種世代の時点で使用されていたMMRワクチンの副反応の影響による接種率の低迷、麻疹発生の減少により、ブースター効果が期待できなくなったことで、抗体価が低下し修飾麻疹が発生したことなどが考えられる」

ブースター効果ってなに?。

(ブースター効果)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C

「2000年代に日本で麻疹が流行したのは、麻疹に罹患している人に接触する機会が失われ、このブースター効果が得られず追加免疫をもてなくなったことに由来する。」

MRワクチンとして、麻疹・風疹は、同時に予防できるが、従来自然感染によって得られていたブースター効果を失うことにより、人為的にワクチンを打ち続けなければならなくなってきたということになる。

麻疹は、一度罹れば一生かかることはないといわれていたが、そういう常識は終わったということだ。

風疹の抗体価が経時的に落ちてくるという統計的な資料は見当たらない。

しかし、3年前にHI抗体価が64倍であった方が、先天性風疹症候群に罹ったお子さんを出産されたという話もある。

(風疹ワクチンQ&A:風疹抗体価が3年前に64倍でしたが、大丈夫でしょうか?)
http://www.ikomaiin.com/index.php?%E9%A2%A8%E7%96%B9%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3FAQ#content_1_5

「3年前に64倍の女性でも先天性風疹症候群を発症しています」

「抗体価が何年でどれくらい低下するかは、生活環境と個人差の影響がありますので、明確な予想はできません。」

リンク先には、症例報告が載っている。

(表1.日本における母親の風疹再感染による子宮内感染(UI)とCRS)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/21/239/graph/dt23951.gif

症例7は、10か月前に抗体価64倍だったのに感染してしまっている。

64倍でも感染を防ぐことが出来ないということなのか、10か月で落ちてしまったのかは分からない。

前回のこのブログの記事では、いつまでワクチンを打ち続けなければならないかということを書いた。

人類は、未来永劫、ワクチンを打ち続けなければならないんだろう。

天然痘のように、地球上から完全に駆逐されるまでは、死ぬまでワクチン打つしかない。

(天然痘)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%84%B6%E7%97%98

「1980年5月8日、WHOは地球上からの天然痘根絶宣言を発するに至った。」

「現在自然界において天然痘ウイルス自体が存在しないとされている。天然痘は、人間に感染する感染症で人類が根絶できた唯一の例である」

ワクチンは、人間の免疫機能を賦活し、抗体を作らせることしかできない。

その抗体も、経時的に効果が失われていく。

どのくらい持つのかは、ワクチンの種類や個人差もあるので何とも言えないし、自然感染によるブースター効果の評価もあるしな。

麻疹は、我が国においては土着株からの感染が認められなくなり、WHOは、排除に成功したとしている。

今年も百人単位での感染が広がっているが、全て輸入株である(とされている)。

つまり、土着株による自然感染がなくなり、ワクチンを定期接種しても、その効果はせいぜい10年ほどしか持たないということになる。

麻疹だけではあるまい。

風疹だって、免疫は低下してくるだろう。

(首都圏における風疹急増に関する緊急情報:2018 年9月12日現在)
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/rubella/180912/rubella180912.pdf

「図14 風疹抗体保有状況と翌年の風疹患者報告数」

よく引用されるグラフで、黒枠で囲ったところが相関しているとされるインチキ臭い話だが(そうなのかあ?)、浮沈子は、別のところを見ている。

30代後半から50代前半にかけては、男性も女性も世代間のワクチン接種に大きな違いはないはずだが、抗体保有状況は男女とも、徐々に減少している(女性はわずかですが)。

これは、接種率の差なのかもしれないし、調査規模の問題で、ノイズが排除しきれていないからかもしれないが、それにしても明らかな低下傾向がある。

もちろん何とも言えないが、ワクチン接種による抗体保有率の上昇とは裏腹に、自然感染のチャンスが減ったために、ブースター効果が得られず、総体として抗体価の低下がみられるのではないか。

特に男性は、全くワクチン打ってないわけだからな。

自然感染がなかった不利益(!)を、まともに反映しているといえる。

季節性感染の裏側に、就学時期があるとすれば、風疹における5年周期(米国では6から9年周期)というのは、抗体価の低下と関係があるのではないか。

ある閾値を超えると、流行(自然感染)が発生してブーストを掛ける。

そうして、経年劣化(?)して集団としての抗体価が下がると、また流行が起こる。

仮にそうだとすると、我が国が風疹に対して行っている乳幼児期の2度の定期接種だけという対策は、不十分なのではないか。

既に、麻疹については、そういう傾向が見えてきている。

WHOは、リージョン毎に目標を定めて、土着の感染を撲滅しようとしているが、国際感染して年間数百人の感染者を出しながら、排除宣言するというのも実態に合わない気がする。

(1. 麻しん累積報告数の推移 2012~2018年 (第1~45週)ほか)
https://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/measles/2018pdf/meas18-45.pdf

まあ、今年は、沖縄で爆発したからな。

今回調べて分かったことは、以下の3点。

・風疹は、季節性感染症というのは、間違い。
・風疹がガキの病気というのは、真っ赤なウソ。
・ワクチンの効果を維持するには、定期接種だけでは足りないかもしれない。

小規模な流行を繰り返しながら、細く長く、世界のどこかでの感染を輸入し続ける。

定期接種で高い接種率を維持するのも大変だろうしな。

風疹て、なあに?。

近所の医者に聞いたって、そんな病気のことは知らない状況になってくるしな。

浮沈子は、抗体を調べてワクチンを打つと、何かもらえるようにすればいいと思うんだがな。

天然痘では、インドで似たようなことをやっている。

「WHOは方針を転換し、皆種痘に代わって、まず天然痘患者を発見したものに賞金を与え、患者の発見に全力を挙げることとした。天然痘患者が発見されると、その発病1か月前から患者に接触した人々すべてを対象として集中的に種痘を行い、ウイルスの伝播・拡散を防いで孤立させる事で天然痘の感染拡大を防ぐ方針をとった」

リングワクチネーション(リング接種)なんだが、発見者に賞金を出すというのはユニークだ。

我が国では、抗体検査しても金取られるだけだからな。

ワクチン接種が必要になれば、当たり券出して、何か貰えるといいんだけどな。

もちろん、ワクチン2回無料接種券付きで、その他に副賞として1万円くらい付いてくると嬉しい!。

抗体価が十分な時には、参加賞として5千円しか出ないけどな。

免許証の書き換えみたいな制度にして、5年に1度、全国民が抗体検査を必ず受けるようにするのがよろしい。

我が国は、資本主義経済だからな。

出すもの出せば、結果は自然に付いてくる・・・。

え?、その金は、どこから出るのかってえ?。

もちろん、制度設計に抜かりはない!。

命名権付で、スポンサーを募るわけだ。

これ以上はない社会貢献だしな。

オリンピックなどより、余程、世のため人のためになる。

関連グッズやキャラクター商品もいいかも!。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子の浅知恵などより、その道のプロに任せて、商売として成り立たせればいいだろう。

高い抗体価を長期間維持した方々は、表彰して差し上げるのもいい。

感染源になってもいいのかとか、脅し文句だけじゃあ行動に結びつけることはできない。

やっぱ、出すもの出さなきゃな・・・。

32倍2018年11月26日 20:04

32倍
32倍


風疹の抗体検査の結果が出た。

昼寝をしていたら、寝過ごしてしまって、もう少しで診察時間を過ぎてしまうところだった。

ギリギリセーフで滑り込んで、診察室に呼ばれ、結果の紙を渡される。

32倍。

十分ですと、医者は言うが、昨日、64倍で感染した妊婦の話を書いたばかりだったからな。

まあいい。

診断基準にも、32倍ならいいということになっているようだし。

(予防接種が推奨される風しん抗体価について(HI法))
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/140425_1.pdf

「32倍以上:
風しんの感染予防に十分な免疫を保有していると考えられます。
風しん含有ワクチンの接種は、基本的に必要ありません。」

「○ 本資料は「風しんに関する小委員会」での議論を踏まえて作成した目安(考え方)であり、個々の予防接種の必要性については接種希望者が直接医師と御相談されたい。」

ちょっと気になる記述もあるけど、まあ、医者がいいといっているんだからいいんだろう。

浮沈子は、男だからな。

身近に妊娠しそうな方もいないし。

CRSの心配はしなくてよさそうだ。

ただし、今後とも、この良好な抗体価が維持されるかどうかは分からない。

既に、来年以降であっても、抗体検査の費用を免除される対象から外されている年齢だから、それを知りたければ自腹で検査するしかない。

たぶん、5年後くらいには、また流行があるだろうから、そのときにでも検査すればいいだろう。

まずは、ホッとした。

のど元過ぎればなんとやら。

浮沈子の関心は、風疹から急速に離れていく・・・。

今回は、見ているだけではなく、参加しただけマシというものかもしれない。

ワクチンなしの風土病からワクチン接種へ、紆余曲折を経て集団接種、個別接種と変遷し、定期接種へ。

我が国だけの話ではなく、国情の違いこそあれ、世界が辿った道なのかもしれない。

米国では、1960年代半ばの流行の際に、2万人のCRSを発症していたというのは、今回調べてみて初めて分かった。

自然感染が減り、ワクチンの抗体価の低下が懸念されるという、新たな状況にも直面している。

今後は、感受性者(抗体価が低い)を特定して、個別接種を拡充するか、集団接種に広げるか。

世界のどこかで土着感染が継続していれば、交通網の発達した現代、いつまでも輸入感染が続くことになる。

自国の対策だけで良しとするわけにはいかない。

風疹が、疾病自体としては軽症に治まるという点も、根絶を困難にしているかもしれない。

やれやれ・・・。

ヒトの感染症で根絶されたのは、天然痘ただ一つ。

CRSの問題も、数多くの中絶という、つらい選択の中で対応されてきた点を見過ごすわけにはいかない。

妊婦の風疹抗体検査が、それを促すタイミングで行われているのは偶然ではあるまい。

そこに目を向けることなく、自己責任だけを追及したり、周囲の感染予防だけを進めていても問題の解決にはならない。

流行の期間中、全ての妊娠可能な女性を、無菌室に閉じ込め、パスボックス越しに食事を渡すなどということは不可能だ。

妊娠していることに気付いた時には、既にうつされていることもあるしな。

妊娠初期が一番危ないから、その時期を完全に避けることは不可能だ。

通常通りの生活の中で、感染の機会はいくらでもある。

パートナーや同居家族に、いくらバリアーを張っても焼け石に水だ。

買い物にも行くし、電車にも乗る。

レストランでおしゃべりもする。

男性の感染に注目が集まっているが、女性同士での感染だって絶対数としては多い。

1m以内に近づけば、うつされたと思うのが正しい。

そういう感染経路を、物理的に全て遮断することは現実問題として不可能だ。

ワクチンをうっても、100パーセント完全に抗体形成されるとは言えないしな。

定期的にブーストしなければ、効果を維持できない可能性も、特に今後は考えていかなければならないかもしれない。

浮沈子は、出来ることはやった。

十分かどうかは疑問だが、今期、既に品薄になりつつあるワクチンを、無駄にしないで済んだのはラッキーだった。

その1本分(或いは2本分)のワクチンが、うつべき人に渡り、今期の流行を早期に抑制し、重症化を避け、CRSの発生や、それを恐れての妊娠中絶を避ける役に立ってくれることを願う。

浮沈子の関心は、既に風疹から離れつつある。

DRCでのエボラが、急伸し始めているからな。

Latest numbers as of 24 November 2018:

Total cases: 412
- Confirmed cases: 365
- Probable cases: 47

Deaths: 236
- Confirmed: 189
- Probable: 47

感染者、死亡者ともに増加している。

1日で、13人の感染増加は異常だ。

(The Most Important Tool For Doctors Fighting DRC’s Ebola Crisis Isn’t Medicine)
https://www.huffingtonpost.com/entry/opinion-ebola-drc-trust_us_5bf57664e4b0eb6d930a81e5

「北キブでは、すでにひどい状況が悪化しており、不信と陰謀の恐れが煽られています。エボラが、今後の選挙を改革するために野党によって使用されている政治的なツールであるかどうか、民間人は疑問を呈している。その結果、予防接種だけでなく、検査や治療も避けています。これは、誰が感染しているかを追跡し、感染した個人と接触した人々に予防接種する努力が失敗していることを意味します。そして、不信感は国際的な対応者に向けられているだけでなく、多くの地方自治体もDRCの政府を信頼していません。」(自動翻訳のまま)

安全保障上不安定な地域という認識はあったが、それ以前の問題も根深そうだ。

この記事のライターも、西アフリカ地域における2014年の流行との類似性を指摘している。

封じ込めに失敗すれば、世界は再び目にしたくない状況に直面する。

我々は、何を学んだのか。

1万1千人を超える死者と、今なお、後遺症に苦しむそれ以上の感染経験者は、どこか遠い世界の、縁もゆかりもない人々の話なのか。

まあ、そうだろうな。

同じ国に住み、身近にいるはずの妊婦さんのことにさえ無関心な国情だからな。

この国は、このままでは間違いなく滅びる。

隣国からの移民に、催涙弾発射している国よりたちが悪いだろう。

(米が移民キャラバンに催涙弾 デモ隊一部、国境越え試み)
https://www.asahi.com/articles/ASLCV1JRXLCVUHBI001.html

「国境の壁に登るなどしたため、米当局は催涙弾を発射、ティフアナとの国境を閉鎖した。」

少なくとも彼の国では、移民の排除は別としても、風疹の排除には成功している。

まあ、今後はどうなるか分からないけどな。

我が国の風疹の流行は、コップの中の嵐だ。

今のところは。

世界は、我が国からの流出を恐れているが、それが顕在化するようなサーベイランス体制を敷いている国では抑制可能だろうし、そうでない国では、流入したかどうかも把握できまい。

輸入株が感染の連鎖を確立し、新たな風土病となる。

手抜きしてれば、そうならないという保証など、どこにもない。

我が国は、四方を海に囲まれた島国だからな。

国境を越えるのに、徒歩で行進するわけにもいかない。

コップの中から逃げ出すわけにはいかないのだ。

自ら嵐を鎮めない限り、問題は未来永劫続くことになる。

我々の今の不作為が、未来の世代の宿痾になる。

トラは死して皮を残し、人は死して風疹を残すというのはまずかろう・・・。

<以下は、抗体価が経年劣化するかどうか、それによって感染のリクスが高まるかどうかのACIPの見解について>

(Prevention of Measles, Rubella, Congenital Rubella Syndrome, and Mumps, 2013: Summary Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP):追加)
https://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr6204a1.htm

「Duration of Rubella Immunity after Vaccination:

Follow-up studies indicate that 1 dose of rubella vaccine can provide long lasting immunity.

The majority of persons had detectable rubella antibodies up to 16 years after 1 dose of rubella-containing vaccine, but antibody levels decreased over time (165,171–174).

Although levels of vaccine-induced rubella antibodies might decrease over time, data from surveillance of rubella and CRS suggest that waning immunity with increased susceptibility to rubella disease does not occur.

Among persons with 2 doses, approximately 91%–100% had detectable antibodies 12 to 15 years after receiving the second dose (150,165).」

(ワクチン接種後の風疹免疫期間:

フォローアップ研究は、1回分の風疹ワクチンが長期持続性免疫を提供できることを示している。

風疹を含むワクチンの1回投与後(16年まで)、大部分の人は検出可能な風疹抗体を有していたが、抗体レベルは経時的に低下した (165,171–174)。

  ワクチン誘発性風疹抗体のレベルは経時的に低下する可能性があるが、風疹およびCRSのサーベイランスからのデータは、風疹疾患に対する感受性の増加による免疫の低下が起こらないことを示唆している。

2回の投与を受けた患者のうち、約91%〜100%が、2回目の投与を受けてから12〜15年後に検出可能な抗体を有していた (150,165)。:自動翻訳のまま:改行、一部補足:浮沈子)

以下、引用されている論文の要約を見ていく。

150.Davidkin I, Jokinen S, Broman M, Leinikki P, Peltola H. Persistence of measles, mumps, and rubella antibodies in an MMR-vaccinated cohort: a 20-year follow-up. J Infect Dis 2008;197:950–6.

(Persistence of measles, mumps, and rubella antibodies in an MMR-vaccinated cohort: a 20-year follow-up.)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18419470

「結論:
最初のMMR投与から20年後、特に風疹およびはしかについて、高い血清陽性率が見出された。我々の結果は、MMRワクチン誘導抗体が2回目の投与後に有意に衰弱することを示す。疫学データによると、フィンランドにおけるMMRワクチン接種によって誘導される防御は、少なくとも成人期まで持続すると思われる。しかし、状況には常に警戒が必要です。」

165.LeBaron CW, Forghani B, Matter L, et al. Persistence of rubella antibodies after 2 doses of measles-mumps-rubella vaccine. J Infect Dis 2009;200:888–99.

(Persistence of rubella antibodies after 2 doses of measles-mumps-rubella vaccine.)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19659440

「結論:
MMR2に対する風疹抗体応答は激しかったが、力価は12年後にMMR2前のレベルに低下した。風疹は非常に流行病であるため、継続的な排除を保証するために警戒が必要となります。」

171.Plotkin SA, Buser F. History of RA27/3 rubella vaccine. Rev Infect Dis 1985;7(Suppl 1):S77–8.

(History of RA27/3 rubella vaccine.)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3890107

「(略)」

172.Hillary IB, Griffith AH. Persistence of rubella antibodies 15 years after subcutaneous administration of Wistar 27/3 strain live attenuated rubella virus vaccine. Vaccine 1984;2:274–6.

(Persistence of rubella antibodies 15 years after subcutaneous administration of Wistar 27/3 strain live attenuated rubella virus vaccine.)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6531967

「RA 27/3風疹ワクチン接種を受けた小児の風疹特異的抗体レベルは、ワクチン接種後15年間にわたって決定されている。 監視期間中、力価は自然風疹感染を経験した子供に観察される力価に匹敵する割合で減少している。 両方のコホートにおいて、平均崩壊率は、研究の15年間にわたって同様であった。 研究の全期間にわたってモニタリングされた11人の予防接種を受けた子供のうちの1人は、今日の実際の風疹抗体検査によって判断されるように、風疹に対する感受性の状態に戻った。 風疹予防のための所見の示唆が議論される。」

173.Horstmann DM, Schluederberg A, Emmons JE, et al. Persistence of vaccine-induced immune responses to rubella: comparison with natural infection. Rev Infect Dis 1985;7(Suppl 1):S80–5.

(Persistence of vaccine-induced immune responses to rubella: comparison with natural infection.)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/4001740

「HPV-77 DE-5またはRA27 / 3ワクチンを与えられた小児における血清学的応答および抗体持続性のパターンを、自然感染を経験した小児のものと比較した。結果は、両方のワクチンが、ほとんどの個体において持続性免疫を誘導することを示した。 RA27 / 3ワクチンはより免疫原性が高く、より高い抗体力価をもたらした。 11年後に血清反応を起こした患者の95%が赤血球凝集阻害(HAI)抗体を有し、100%が中和抗体(NT)を有していた。 HPV-77 DE-5ワクチン中の力価は低く、免疫応答が弱い患者の16%において、HAI力価は9〜12年後に1:8未満に減少した。しかしながら、その血清をより感受性の高いラテックス凝集試験によって調べたところ、2つを除いたすべてが1:1から1:16のレベルで特異的な風疹抗体を有することが判明した。ワイルドウィルスの自然感染はいずれのワクチンよりも強力な免疫応答を誘導することが示された:抗体価はより高く、減少はより小さく、いずれも1:8未満(HAI)または1:4未満(NT)に低下しなかった。」

174.Christenson B, Bottiger M. Long-term follow-up study of rubella antibodies in naturally immune and vaccinated young adults. Vaccine 1994;12:41–5.

(Long-term follow-up study of rubella antibodies in naturally immune and vaccinated young adults)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0264410X94900094

「1973年にスウェーデンで12歳の女子生徒の選択的風疹ワクチン接種が導入され、同時に長期的なフォローアップコホート研究が開始された。 1982年には、麻疹、流行性鼻炎および風疹(MMR)に対するワクチンを組み合わせた2回投与プログラムを導入し、男女ともに18ヶ月および12歳の年齢で予防接種を行った。コホートは当初486人の少女から成っていた。それは8〜16年間続いた。登録されたすべての女児は、ワクチン接種前に血清反応陰性であり、少なくとも1:16の血球凝集阻害(HAI)力価にセロコンバージョンした。 16年後の最後の試験では、22%が力価値が1:16未満であり、6%は風疹に対する抗体が検出されなかった(<1:8)。観察された最初の8年間に、女児の36%において力価の4倍以上の上昇が見られたが、その後の8年間では、わずか1%が力価の有意な増加を示した。幾何平均力価は、最初の8年間は1:110から1:34に低下し、その後8年間は1:18に減少した。 1982年から1990年にかけて、18歳の少女および少年の風疹に対する血清免疫を毎年研究した。調査された人数は、18歳の女子生徒3308人と、1964年から1972年の間に生まれた6347人の18歳の募集人であった。募集人は、ワクチン接種されていない4610人と、1964年から6969年に生まれ、 。したがって、第1の群の血清陽性の新入者は自然免疫のみであり、第2の群は自然免疫とワクチン誘発免疫の混合物を有していた。 18歳の女子生徒はすべて、混合型の免疫力を持っていた。風疹に対する抗体力価の幾何平均は、女子生徒のワクチン接種後6年後の1:92であった。自然免疫募集者は、ワクチン接種された年齢グループ(1:54)に属する募集人よりも有意に高い抗体力価(1:160)を有していた。しかし、ワクチン未接種者の23%は風疹に対する抗体が欠けていた。」

引用されている論文の要約(一部、結論のみ)を読むと、確かに抗体価の減少はあるらしい。

それが、実際に感染に影響するかどうかが問題だな。

エイシップは、今のところ「風疹疾患に対する感受性の増加による免疫の低下が起こらない」とみなしているようだ。

今後、自然感染による抗体価のブーストを失った状態でのフォローアップが必要のような気がする。