常識のウソ或いは不都合な真実2018年11月26日 03:44

常識のウソ或いは不都合な真実
常識のウソ或いは不都合な真実


花粉症なら春先、熱中症は真夏、インフルエンザは冬と相場が決まっている。

杉花粉以外の花粉症があって、一年中罹っている方もいるかもしれないし、夏風邪ひきやすい浮沈子とか、例外はいくらもあるが、概ね季節性疾患というのは、1年を周期にして、その時期に患者が増えてくるという特徴を持っている。

風疹は、かつては季節性疾患の代表例のようなもんだったようだ。

(風疹の現状と今後の風疹対策について
平成15年5月)
http://idsc.nih.go.jp/disease/rubella/rubella.html

2003年の報告だが、昔のデータを見ることが出来るので貴重だ。

この報告書では直接の言及はないが、季節性についてはこっちの方に出てくる。

(風疹Q&A(2018年1月30日改訂))
https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubellaqa.html

「Q 1-1 風疹とはどんな病気ですか?」

「A 風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症で、流行は春先から初夏にかけて多くみられます。」

いつの話じゃい、このボケが!。

初出の報告には、立派なグラフが載っている。

(図1. 風疹患者報告数の推移、1982~2002年)
http://idsc.nih.go.jp/disease/rubella/fig/fig01.gif

まさに、春先から初夏というのが相応しい。

5年毎の流行も見て取れるしな。

既に、我が国では季節性は失われてしまった。

その横にある2つの図も、興味津々で見た。

風疹が、かつてはガキ(お子様?)の病気だったこと、都会よりは田舎(というかあちこち)で流行っていたことが分かる。

定点観測(全国3000か所)の時代だが、傾向を見るには十分だ。

我が国の感染症対策が、大いに進展していることは、疑う余地はない。

長期的には、明らかに減少している。

5年毎の周期的な流行というのは、なかなか興味深い。

米国の事例では、6年から9年という記述があったので、その違いというのも気になるところだったが、季節性疾患ということになれば、しかも、これだけ顕著に現れるというのは、絶対に理由があるはずだ。

2012年から2013年の週報のグラフはすでに取り上げた。

(風疹の遺伝子型とワクチン)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/11/22/9001742

とりあえず、図だけ見る。

(週別風疹ウイルス分離・検出報告数、2012~2018年)
https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/rapid/rubella/160714/rv1_181108.gif

2013年は、確かに春先から初夏と言えないことはない。

2015年は、春先の5件については、特定企業で発生したことが分かっている(先日の講演で出ましたからね)。

海外赴任していた社員が、帰国の際に不顕性感染者としてウイルスを持ち込んだことがきっかけとみなされている。

2016年は、確かに春先から初夏といえる。

2014年は、2013年の終息期のロングテールのような気もするし(未確認)、2017年は傾向は不明瞭になってしまっている。

今年(2018年)は、20週にスパイクがあるけど、季節性と呼べるかどうかはビミョーで、25週以降のアウトブレイクとは無関係にも見える。

従来の季節性(春先から初夏)はぶち壊れていて、立ち上がりのタイミング的には、2012年に近い。

うーん、一体、風疹の季節性というのは何なんだあ?。

つらつら考えるに、やっぱ、ガッコ(学校)だったんだろうな。

そう、昔はこの病気はガキの病気だったわけで、春休みが終わってガッコが始まると、子供の間で流行して、免疫が付いて一段落するという自然発生、自然終息を繰り返していたわけだ。

今や、風疹は9割以上、大人が罹る病気で、ワクチン打ってもらえず、自然感染からも見放された30台から50代の男が罹る流行病になった。

さらに、調べていくと、興味深い話が出てきた。

(麻疹:近年における麻疹の日本での流行:2007年参照)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BA%BB%E7%96%B9#%E8%BF%91%E5%B9%B4%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%BA%BB%E7%96%B9%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%B5%81%E8%A1%8C

「10歳〜29歳の麻疹・成人麻疹が多くみられた原因として、定期接種世代の時点で使用されていたMMRワクチンの副反応の影響による接種率の低迷、麻疹発生の減少により、ブースター効果が期待できなくなったことで、抗体価が低下し修飾麻疹が発生したことなどが考えられる」

ブースター効果ってなに?。

(ブースター効果)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C

「2000年代に日本で麻疹が流行したのは、麻疹に罹患している人に接触する機会が失われ、このブースター効果が得られず追加免疫をもてなくなったことに由来する。」

MRワクチンとして、麻疹・風疹は、同時に予防できるが、従来自然感染によって得られていたブースター効果を失うことにより、人為的にワクチンを打ち続けなければならなくなってきたということになる。

麻疹は、一度罹れば一生かかることはないといわれていたが、そういう常識は終わったということだ。

風疹の抗体価が経時的に落ちてくるという統計的な資料は見当たらない。

しかし、3年前にHI抗体価が64倍であった方が、先天性風疹症候群に罹ったお子さんを出産されたという話もある。

(風疹ワクチンQ&A:風疹抗体価が3年前に64倍でしたが、大丈夫でしょうか?)
http://www.ikomaiin.com/index.php?%E9%A2%A8%E7%96%B9%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3FAQ#content_1_5

「3年前に64倍の女性でも先天性風疹症候群を発症しています」

「抗体価が何年でどれくらい低下するかは、生活環境と個人差の影響がありますので、明確な予想はできません。」

リンク先には、症例報告が載っている。

(表1.日本における母親の風疹再感染による子宮内感染(UI)とCRS)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/21/239/graph/dt23951.gif

症例7は、10か月前に抗体価64倍だったのに感染してしまっている。

64倍でも感染を防ぐことが出来ないということなのか、10か月で落ちてしまったのかは分からない。

前回のこのブログの記事では、いつまでワクチンを打ち続けなければならないかということを書いた。

人類は、未来永劫、ワクチンを打ち続けなければならないんだろう。

天然痘のように、地球上から完全に駆逐されるまでは、死ぬまでワクチン打つしかない。

(天然痘)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%84%B6%E7%97%98

「1980年5月8日、WHOは地球上からの天然痘根絶宣言を発するに至った。」

「現在自然界において天然痘ウイルス自体が存在しないとされている。天然痘は、人間に感染する感染症で人類が根絶できた唯一の例である」

ワクチンは、人間の免疫機能を賦活し、抗体を作らせることしかできない。

その抗体も、経時的に効果が失われていく。

どのくらい持つのかは、ワクチンの種類や個人差もあるので何とも言えないし、自然感染によるブースター効果の評価もあるしな。

麻疹は、我が国においては土着株からの感染が認められなくなり、WHOは、排除に成功したとしている。

今年も百人単位での感染が広がっているが、全て輸入株である(とされている)。

つまり、土着株による自然感染がなくなり、ワクチンを定期接種しても、その効果はせいぜい10年ほどしか持たないということになる。

麻疹だけではあるまい。

風疹だって、免疫は低下してくるだろう。

(首都圏における風疹急増に関する緊急情報:2018 年9月12日現在)
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/rubella/180912/rubella180912.pdf

「図14 風疹抗体保有状況と翌年の風疹患者報告数」

よく引用されるグラフで、黒枠で囲ったところが相関しているとされるインチキ臭い話だが(そうなのかあ?)、浮沈子は、別のところを見ている。

30代後半から50代前半にかけては、男性も女性も世代間のワクチン接種に大きな違いはないはずだが、抗体保有状況は男女とも、徐々に減少している(女性はわずかですが)。

これは、接種率の差なのかもしれないし、調査規模の問題で、ノイズが排除しきれていないからかもしれないが、それにしても明らかな低下傾向がある。

もちろん何とも言えないが、ワクチン接種による抗体保有率の上昇とは裏腹に、自然感染のチャンスが減ったために、ブースター効果が得られず、総体として抗体価の低下がみられるのではないか。

特に男性は、全くワクチン打ってないわけだからな。

自然感染がなかった不利益(!)を、まともに反映しているといえる。

季節性感染の裏側に、就学時期があるとすれば、風疹における5年周期(米国では6から9年周期)というのは、抗体価の低下と関係があるのではないか。

ある閾値を超えると、流行(自然感染)が発生してブーストを掛ける。

そうして、経年劣化(?)して集団としての抗体価が下がると、また流行が起こる。

仮にそうだとすると、我が国が風疹に対して行っている乳幼児期の2度の定期接種だけという対策は、不十分なのではないか。

既に、麻疹については、そういう傾向が見えてきている。

WHOは、リージョン毎に目標を定めて、土着の感染を撲滅しようとしているが、国際感染して年間数百人の感染者を出しながら、排除宣言するというのも実態に合わない気がする。

(1. 麻しん累積報告数の推移 2012~2018年 (第1~45週)ほか)
https://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/measles/2018pdf/meas18-45.pdf

まあ、今年は、沖縄で爆発したからな。

今回調べて分かったことは、以下の3点。

・風疹は、季節性感染症というのは、間違い。
・風疹がガキの病気というのは、真っ赤なウソ。
・ワクチンの効果を維持するには、定期接種だけでは足りないかもしれない。

小規模な流行を繰り返しながら、細く長く、世界のどこかでの感染を輸入し続ける。

定期接種で高い接種率を維持するのも大変だろうしな。

風疹て、なあに?。

近所の医者に聞いたって、そんな病気のことは知らない状況になってくるしな。

浮沈子は、抗体を調べてワクチンを打つと、何かもらえるようにすればいいと思うんだがな。

天然痘では、インドで似たようなことをやっている。

「WHOは方針を転換し、皆種痘に代わって、まず天然痘患者を発見したものに賞金を与え、患者の発見に全力を挙げることとした。天然痘患者が発見されると、その発病1か月前から患者に接触した人々すべてを対象として集中的に種痘を行い、ウイルスの伝播・拡散を防いで孤立させる事で天然痘の感染拡大を防ぐ方針をとった」

リングワクチネーション(リング接種)なんだが、発見者に賞金を出すというのはユニークだ。

我が国では、抗体検査しても金取られるだけだからな。

ワクチン接種が必要になれば、当たり券出して、何か貰えるといいんだけどな。

もちろん、ワクチン2回無料接種券付きで、その他に副賞として1万円くらい付いてくると嬉しい!。

抗体価が十分な時には、参加賞として5千円しか出ないけどな。

免許証の書き換えみたいな制度にして、5年に1度、全国民が抗体検査を必ず受けるようにするのがよろしい。

我が国は、資本主義経済だからな。

出すもの出せば、結果は自然に付いてくる・・・。

え?、その金は、どこから出るのかってえ?。

もちろん、制度設計に抜かりはない!。

命名権付で、スポンサーを募るわけだ。

これ以上はない社会貢献だしな。

オリンピックなどより、余程、世のため人のためになる。

関連グッズやキャラクター商品もいいかも!。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子の浅知恵などより、その道のプロに任せて、商売として成り立たせればいいだろう。

高い抗体価を長期間維持した方々は、表彰して差し上げるのもいい。

感染源になってもいいのかとか、脅し文句だけじゃあ行動に結びつけることはできない。

やっぱ、出すもの出さなきゃな・・・。

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