可能性と疑い ― 2018年11月29日 11:08
可能性と疑い
エボラの報道では、コンファームド、プロバブル、サスペクテッドという3種類の区分が用いられている。
コンファームドは、ラボ(検査施設)などで感染が確認された事例で、確実にエボラだとうことが分かっているものだ。
プロバブルは、ラボでの検査は受けていないが、症状などから判断して、たぶんエボラに違いないという事例だ。
様々な理由から、検査を受けることなく埋葬されたケースなどが含まれる。
この事例区分は、判定済みということで、エボラであると事実上みなされている。
サスペクテッドは、これから判定される予備軍、保留などで、症状などからは疑われるが、確定されるには至っていないという事例だ。
そんなもんの数を数えてどーするということはあるんだが、現地での活動や感染の広がり具合を知るには重要な指標だ。
もちろん、この中には、他の疾病(現地の風土病であるマラリアなど)も含まれている恐れがあり、検査してみたら違ってたということもあり得る。
詳細は知らないけど、サスペクテッド事例が、コンファームド事例、プロバブル事例、その他の疾病に振り分けられていくんだろうと思っている(未確認)。
さて、困ったのは、日本語に訳すときにどうするかだな。
コンファームドは、「確定」でいいんだが、プロバブルとサスペクテッドは、自動翻訳ではどちらも「疑い」と訳されてしまったりする。
(エボラ流行のコンゴ、5日間で19人死亡 死者総数は241人に)
http://www.afpbb.com/articles/-/3199622
「374件の感染例が確認され、感染疑い例は47件、合わせて421件と報告している。」
「さらに74件の症例で調査が行われているという。」
AFPは、プロバブルを疑い例と翻訳している。
サスペクテッドは、さしずめ調査中というところか。
浮沈子は、このブログでは、プロバブルを可能性、サスペクテッドを疑いと記述している(時々、間違ったりするけど)。
どういう表現がいいかは悩むところだ。
ちゃんとした定義はこちら。
(Case definition recommendations for
Ebola or Marburg Virus Diseases)
http://www.who.int/csr/resources/publications/ebola/ebola-case-definition-contact-en.pdf
「日常的な監視のために疑わしいエボラまたはマールブルグ症例:
熱が発症し、その地域の発熱の通常の原因に対する治療への反応がなく、血便の下痢、歯肉からの出血、皮膚への出血(紫斑)、目と尿への出血の少なくとも1つ。」(自動翻訳のまま:以下同じ)
「日常的な監視のためにエボラまたはマールブルクの事例を確認:
検査所見の疑いのある症例(陽性IgM抗体、陽性PCRまたはウイルス分離)」
以上は、一般的な定義。
平時には、プロバブルが定義されていないところがミソか。
「実証事例:
臨床医によって評価された疑いのある症例
OR:確認された症例との疫学的関連を有する死亡疑いのある症例(検査室の確認のために検体を採取することができなかった場合)」
平時なら検体採取して、確認するところだが、流行のさ中にはそれが出来ない場合を想定しての区分ということになる。
定義の中にも「疑い」という表現があり、翻訳上は混乱のもとだな。
日本語に訳された記事を読んだり、浮沈子のように外国語がからきしダメで、グーグルの自動翻訳頼みで記事を読んだりする時には、上記のことをわきまえておかなければならないだろう。
プロバブルを疑いと翻訳したAFPの記事は、ちょっと気になったからな。
(広がるエボラ 症例数がコンゴの流行史上最大に【情報まとめ】)
https://www.msf.or.jp/news/detail/pressrelease/cod20181126.html
「これまでの数字(2018年11月16日現在・コンゴ保健省発表)
・合計症例数:344件(確定例 304件、および ほぼ確実※例40件)
・死亡した人数: 202人(確定例 162件、および ほぼ確実例40件)
・治癒者数合計:約100人」
「※「ほぼ確実」は、この地域で亡くなった人のうちエボラ確定例と関連があったが埋葬前に検査できなかった人。」
MSFは、プロバブルを「ほぼ確実」と表現している。
うーん、ビミョーだ・・・。
いずれにしても、本来は行われるべき検査が、諸般の事情でできない状況が発生しているわけで、この区分の存在自体がアウトブレイクの象徴でもある。
英語でプロバビリティといえば、蓋然性などと翻訳される。
夏目漱石の有名な話がある。
(可能性と蓋然性 (上))
http://iio333.hatenablog.com/entry/2012/02/13/235023
「今,私がこの教壇の上で逆立ちする可能性はあるが,その蓋然性はない」
まあ、どうでもいいんですが。
エボラの場合は、確度の高い可能性事例ということになるのかな。
MSFが、「ほぼ確実」と表現しているのは、その点では適切かもしれない(ラボでの診断ではないので、多少の疑いはあるということも含めて)。
いずれにしても、サスペクテッドとは似て非なるカテゴリということだ。
今回のコンゴ北東部での感染のように、死亡事例が原則対象となる。
合掌・・・。
エボラの報道では、コンファームド、プロバブル、サスペクテッドという3種類の区分が用いられている。
コンファームドは、ラボ(検査施設)などで感染が確認された事例で、確実にエボラだとうことが分かっているものだ。
プロバブルは、ラボでの検査は受けていないが、症状などから判断して、たぶんエボラに違いないという事例だ。
様々な理由から、検査を受けることなく埋葬されたケースなどが含まれる。
この事例区分は、判定済みということで、エボラであると事実上みなされている。
サスペクテッドは、これから判定される予備軍、保留などで、症状などからは疑われるが、確定されるには至っていないという事例だ。
そんなもんの数を数えてどーするということはあるんだが、現地での活動や感染の広がり具合を知るには重要な指標だ。
もちろん、この中には、他の疾病(現地の風土病であるマラリアなど)も含まれている恐れがあり、検査してみたら違ってたということもあり得る。
詳細は知らないけど、サスペクテッド事例が、コンファームド事例、プロバブル事例、その他の疾病に振り分けられていくんだろうと思っている(未確認)。
さて、困ったのは、日本語に訳すときにどうするかだな。
コンファームドは、「確定」でいいんだが、プロバブルとサスペクテッドは、自動翻訳ではどちらも「疑い」と訳されてしまったりする。
(エボラ流行のコンゴ、5日間で19人死亡 死者総数は241人に)
http://www.afpbb.com/articles/-/3199622
「374件の感染例が確認され、感染疑い例は47件、合わせて421件と報告している。」
「さらに74件の症例で調査が行われているという。」
AFPは、プロバブルを疑い例と翻訳している。
サスペクテッドは、さしずめ調査中というところか。
浮沈子は、このブログでは、プロバブルを可能性、サスペクテッドを疑いと記述している(時々、間違ったりするけど)。
どういう表現がいいかは悩むところだ。
ちゃんとした定義はこちら。
(Case definition recommendations for
Ebola or Marburg Virus Diseases)
http://www.who.int/csr/resources/publications/ebola/ebola-case-definition-contact-en.pdf
「日常的な監視のために疑わしいエボラまたはマールブルグ症例:
熱が発症し、その地域の発熱の通常の原因に対する治療への反応がなく、血便の下痢、歯肉からの出血、皮膚への出血(紫斑)、目と尿への出血の少なくとも1つ。」(自動翻訳のまま:以下同じ)
「日常的な監視のためにエボラまたはマールブルクの事例を確認:
検査所見の疑いのある症例(陽性IgM抗体、陽性PCRまたはウイルス分離)」
以上は、一般的な定義。
平時には、プロバブルが定義されていないところがミソか。
「実証事例:
臨床医によって評価された疑いのある症例
OR:確認された症例との疫学的関連を有する死亡疑いのある症例(検査室の確認のために検体を採取することができなかった場合)」
平時なら検体採取して、確認するところだが、流行のさ中にはそれが出来ない場合を想定しての区分ということになる。
定義の中にも「疑い」という表現があり、翻訳上は混乱のもとだな。
日本語に訳された記事を読んだり、浮沈子のように外国語がからきしダメで、グーグルの自動翻訳頼みで記事を読んだりする時には、上記のことをわきまえておかなければならないだろう。
プロバブルを疑いと翻訳したAFPの記事は、ちょっと気になったからな。
(広がるエボラ 症例数がコンゴの流行史上最大に【情報まとめ】)
https://www.msf.or.jp/news/detail/pressrelease/cod20181126.html
「これまでの数字(2018年11月16日現在・コンゴ保健省発表)
・合計症例数:344件(確定例 304件、および ほぼ確実※例40件)
・死亡した人数: 202人(確定例 162件、および ほぼ確実例40件)
・治癒者数合計:約100人」
「※「ほぼ確実」は、この地域で亡くなった人のうちエボラ確定例と関連があったが埋葬前に検査できなかった人。」
MSFは、プロバブルを「ほぼ確実」と表現している。
うーん、ビミョーだ・・・。
いずれにしても、本来は行われるべき検査が、諸般の事情でできない状況が発生しているわけで、この区分の存在自体がアウトブレイクの象徴でもある。
英語でプロバビリティといえば、蓋然性などと翻訳される。
夏目漱石の有名な話がある。
(可能性と蓋然性 (上))
http://iio333.hatenablog.com/entry/2012/02/13/235023
「今,私がこの教壇の上で逆立ちする可能性はあるが,その蓋然性はない」
まあ、どうでもいいんですが。
エボラの場合は、確度の高い可能性事例ということになるのかな。
MSFが、「ほぼ確実」と表現しているのは、その点では適切かもしれない(ラボでの診断ではないので、多少の疑いはあるということも含めて)。
いずれにしても、サスペクテッドとは似て非なるカテゴリということだ。
今回のコンゴ北東部での感染のように、死亡事例が原則対象となる。
合掌・・・。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。