エボラにまつわるエトセトラ2018年12月02日 23:26

エボラにまつわるエトセトラ
エボラにまつわるエトセトラ


シリアスな話題を書く前に、まずは1曲。

(PUFFY 『渚にまつわるエトセトラ』:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=oVVrICEKdsQ

今回の、DRC北東部での感染では、想定外の出来事がいくつか起こっている。

まさかの事態に、マジでホントかよ!?、と突っ込みたくなるほどだ。

2014年の西アフリカ地域での流行の際にも、聞いた記憶がないほどだな。

既に、このブログで取り上げていることもある。

(聞いてないけど?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/11/24/9002590

「保健センターは疾病の伝染の源として特定されている。注射によって投与された薬物は、感染の顕著な原因であった。」

具体的な内容は分からないが、公的な医療施設での注射が、感染を広げたということだ。

「・・・、非公式の保健センターで保健医療従事者を訓練すること、注射を必要としない投薬の奨励を奨励すること・・・」

再引用していても、クラクラする。

医療従事者が感染しているとか、地域住民が当局を信用していないとか、そういう話がふつーに聞こえるような気がしてくる。

そんなの、当たり前じゃん!?。

4年前には、医療従事者がストライキ起こしたり、スタッフが確保できずに医療機関が閉鎖されたりした。

まあ、今回は、今のところそういう事態は報じられてはいない。

気になるのは、ワクチンの効果に疑問が出ていることだな。

(Congo Ebola outbreak is 2nd largest, 2nd deadliest)
https://edition.cnn.com/2018/11/29/health/drc-ebola-update-who-bn/index.html

「10月28日から11月26日の間に確認された137例のうち、連絡先トレースでは19人、連絡先リストには32人、フォローアップではなくて83人(61%共著者が書いた。「これらのデータは、接触追跡とワクチン接種がカスケード伝播を妨げていないことを示唆しています。」(自動翻訳のまま:以下同じ)

重要なところだし、自動翻訳任せにすると、何言ってんだかさっぱりなので、少し弄る。

「10月28日から11月26日の間に確認された137の症例のうち、接触トレースによって19人だけが発見され、32人が連絡先リストに登録されていたが、83人(61%)は確認された症例との関連は知られていなかった。」

「これらのデータは、接触追跡およびワクチン接種がカスケード伝播を妨げていないことを示唆していると、Gostinと彼の共著者は書いている。」

2つの問題が指摘されている。

1つは、トレースがちゃんとできていないんじゃないかということ。

漏れが多すぎる(61パーセント)ということだ。

もう一つは、リングワクチン接種が行われているにもかかわらず、接触者や連絡先リスト登録者に感染者が発生しているということだ。

まあ、ワクチンでどの程度防げるものかということもあるので、直ちに効果がないとは言い切れないし、ちゃんと接種されているのかどうかも分からないしな。

その辺りの詳細な調査を踏まえた指摘なのかどうかは分からない。

全体の死亡率が、ザイール株によるアウトブレイクの中では、低くなっているということはある(50パーセント台)。

今の段階では、それしか言えない。

内容的な問題ではないんだが、この英文の記事を読んで、自動翻訳が読みづらかったので日本語記事を探したんだが、CNN日本語版の記事を見て呆れた。

(コンゴのエボラ流行、史上2番目の規模に 衝突相次ぎ対応難航)
https://www.cnn.co.jp/world/35129440.html

背景的な説明の部分だけで、浮沈子が読みたかった肝心のところは全面的にカットされているし、スーザンスカッティの記名記事なのに、記者の名前はないし、元記事へのリンクもない。

やれやれ・・・。

まあ、我が国はエボラには関心がないからな。

この程度書いておけば十分だろう・・・。

まあいい。

トレースが不十分だということは、別の記事でも書かれている。

(Why the Ebola outbreak in DRC has spun out of control)
https://www.vox.com/2018/12/1/18118569/ebola-outbreak-2018-drc

「この病気の発生率は9月以来倍増しています。さらに悪いことに、新たに診断された症例の多くは、他の既知の症例に関連付けることができません。それは、保健当局がまだ特定していない病気を広げている人々がまだいることを意味します。」

把握されている感染者の数字が、氷山の一角でしかないことは想定の範囲内だ。

一人の感染者の背後には100人(テキトーです)の感染者予備軍がいる。

そのうち、捕捉されるのは、せいぜい10人足らず(これもテキトー)。

残りの90人は野放しになり、新たな感染を広げていくんだが、当局が把握してワクチン打ったりできるのは、捕捉された10人だけだ。

本当は、初めの一人の感染者に繋がっていた90人の中から出てきた感染者は、当局には突然現れた別の感染経路からの発生のように見えているのかもしれない。

もちろん、そういう場合も当然ある。

感染の密度が高くなれば、トレースは重複し、錯綜し、混乱を極める。

仮に、ワクチンの効果が限定的であったとしても、捕捉されている名簿の中だけからの感染者であれば、トレースは正確に行われているということになり、今度は、その新たな感染者に対してトレースを行っていけばいいし、ワクチン接種も効率的に行われることになる。

トレースに漏れが多く、あるいは連絡先名簿に登載された人々が実際にはそこに居なくて、連絡が取れなくなることもある。

今回も、そういう話があるようだが、トレースが十分にできていないと、いつまでたってもモグラたたき状態になって、感染をコントロールできない。

2014年の西アフリカ地域の感染の時もそうだったしな。

一定以上の規模に拡大した時は、全体を把握するためには膨大な作業を有するし、そのためには大量の人員を投入しなければならなくなる。

米軍が行ったのは、そういう面倒くさいことはしないで、とにかく患者を隔離施設に収容しまくるという作戦だった(詳細は知りません)。

そして、収容できない患者や、感染予備軍に対しては、家庭内消毒を徹底して行うということで、感染の連鎖を断ち切ってしまった。

いつも、そう上手くいくとは思えないけどな。

短い時間に、大量の資源を投入することは、確かに無駄を生じるけど、大規模なアウトブレイクの場合には効果的だ。

ちまちまトレースしてたら、きりがないということもある。

今回の感染は、既に近い状況に追い込まれているのではないか。

表に出ている感染者は数百人規模だが、実態は既に1000人を超えているだろう。

どこかで物量作戦に転換するタイミングになるに違いない。

最近気になったのは、垂直感染を思わせる話があるということだ。

(Ebola virus disease – Democratic Republic of the Congo Disease outbreak news: Update
29 November 2018)
http://www.who.int/csr/don/29-november-2018-ebola-drc/en/

「罹患した幼児の数が多い(1歳以下)ことが懸念されている。」

「合計で、新生児と2歳未満の子供の間で36例が報告され、妊娠中の女性の17例が発生の開始以来報告されている。」

精液の中からも長期間ウイルスは検出されているし、感染経路としては想定の範囲内だが、実際に症例として確認されるという話はインパクトがある。

日常の濃厚接触、授乳による感染(未確認)も懸念される。

いろいろ見てきたが、状況としては良くない。

Latest numbers as of 30 November 2018:

Total cases: 434
- Confirmed cases: 386
- Probable cases: 48

Deaths: 252
- Confirmed: 204
- Probable: 48

サスペクテッドは83人だ。

実質的には、既に500人規模の感染になっている。

隣国への感染や大都市圏での爆発的流行には至っていない。

それだけが救いのような気がするし、逆に、それだけは避けたいところだ。

いつまで持つかだな。

12月23日のDRC大統領選挙まで、爆発的な感染や国境を越えた広がりを見せなければ上出来だ。

既に、この規模になると、終息までは半年以上かかるという話も出ている。

長い冬になりそうだ。

暖かくなるころには、終息が見えているといいんだがな・・・。