死亡事例でも史上2位2018年12月10日 22:51

死亡事例でも史上2位


確定及び可能性(コンファームド+プロバブル)数が283人となり、死者数でも1976年のザイール(現在のコンゴ民主共和国:DRC)におけるアウトブレイク(死者280人)を抜いて、人類のエボラ史上2位の座をゆるぎないものにしたDRC北東部の今回の感染。

もう、誰も、コントロール下にあるとか、終息が間近だとか、ワクチンの成果が現れていて感染が抑制されているとか、死亡率が低いとかは言えなくなった(そうなのかあ?)。

(SITUATION ÉPIDÉMIOLOGIQUE DANS LES PROVINCES DU NORD-KIVU ET DE L'ITURI
Dimanche 9 décembre 2018)
https://mailchi.mp/sante.gouv.cd/ebola_kivu_9dec

「流行の開始以来、症例の累積数は494であり、そのうち446が確認され、48が可能である。合計で283人の死亡(確認された235人と推定48人)と165人が治癒した。」(自動翻訳のまま:以下同じ)

大都市圏(およそ100万人)であるブテンボ(ビュトンボ)での感染者は30人に達している(死者数は調整されて15人に減っているけど)。

そこで、どこまで感染経路を把握し、リングワクチン接種を行っているかは分からない。

アリの一穴から、燎原の火のように広がったリベリアの事例を我々人類は知っている。

そのリベリアを、いとも簡単に抜き去ったシエラレオネの事例も知っている。

致死率が高い感染症が大流行することはないという、疫学的常識が音を立てて崩れ去った事例を我々はつい4年前に見てきた。

感染者数でも死者数でも史上2位となり、今回の流行が通常の流行(例えば、同じDRCでの今年春先での感染)とは異なる態様であることは疑う余地がない。

今回は、治験中のワクチンが積極的に使用されている。

紛争を抱える地域であるとか、西アフリカ地域と同じような保守的な埋葬習慣があるのかもしれない(未確認)。

それらが、どの程度流行の速度や地域の広がりに影響しているのかは知らない。

分かっているのは、感染者の増加が止まらないこと、最大の懸念である大都市圏に入り込んで増加しつつあること、専門家の間でも終息の時期についての明言がなされないことだ。

いつ収まるかは、誰にも予想がつかない。

半年以上かかるという話は出ているが、その先に終息が見えているかどうかは不明だ。

先が見えない状況は、西アフリカ地域での時と同じだ。

しかし、もちろん、現段階ではエボラのスピードは遅い。

国境を越えての広がりもない。

南スーダンでは、医療関係者を中心に、エボラのワクチン投与が開始される予定だ。

ウガンダに続いて、感染が広がりだした時に備えての予防策を執ったわけだな。

いい傾向ではある。

備えあれば憂いなしだ。

(South Sudan to begin Ebola vaccinations as 'very high risk')
https://www.ctvnews.ca/health/south-sudan-to-begin-ebola-vaccinations-as-very-high-risk-1.4211401

「南スーダンの保健省は、12月19日に首都ジュバでいくつかの保健医療従事者や他の現場作業員に予防接種を開始する」

国際社会は、それが十分かつ有効な対策かどうかは別にしても、必要な対応を行い、来るべき感染の広がりを防ごうと具体的に動き出している。

治療薬の試験も行われている。
https://www.independent.co.ug/new-ebola-drug-tried-in-dr-congo/

「この試験は、Mapp Biopharmaceutical、Inc。が開発した治験モノクローナル抗体カクテル治療ZMappを受けた対照群と、3種類の治験エボラ薬の1つを受ける患者の死亡率を比較することを目的としています。 」

ド素人の浮沈子から見れば、体のいい人体実験(!)以外の何物にも見えないんだが、それなりの正当性はあるんだろう(未確認)。

治るも八卦、治らぬも八卦・・・。

殆ど徒手空拳で対症療法のみに終始し、患者自身の回復力に期待するしかなかった4年前に比べれば、予防や治療の手段があるだけマシではある。

が、問題はそこではない。

致死率は約60パーセントだし、接触感染、飛沫感染だけとはいえ、地域の中での感染力は衰えていない。

リングワクチン接種の効果を高めるには、感染者の周囲の調査が必要不可欠だが、おそらくは十分に行われていない。

そのため、とんちんかんなワクチン接種が繰り返され、ダダ洩れして感染を封じ込めることが出来ない。

モグラたたき状態が、延々と続いている。

物量作戦で封じ込めるタイミングが近づいているとみているんだがな。

トレースの糸がズタズタに途切れ、リングの外の感染の割合が高くなれば、捕捉に失敗しているわけで、その方法論を追求しても効果は限定的になる。

その点を指摘している専門家もいるようだが、どこまで正しいのかは分からない。

皆、それぞれ自分が正しいと信じているんだろう。

8月初めに報告されて以来、5か月目に入った。

今回の感染も、長い時間が掛かりそうな気配だ。

史上1位というのは、感染者数2万8千人以上、死者数1万1千人以上という桁外れの数字だ。

仮に、今回の感染がその規模に至るとすれば、18年掛かることになる。

もちろん、そんなに続いたアウトブレイクはなかった。

それは、人類がまだ経験していないだけなのかもしれない。

適切な隔離による感染経路の遮断を行えば、ヒトーヒト感染症は防げるというのは、太古から人類が学んできた方法論だが、21世紀にそれが可能なのかは分からない。

インド洋の島では、宣教師が矢で射殺される時代だしな。

一寸先は闇だ。

今回の感染が、いつ終息するのかは分からないが、いつかは必ず終息する。

そのことは断言できる。

遠い未来、70億人の人類のうち、42億人が死んで28億人が抗体を身に着けて生き残る(そうなのかあ?)。

もちろん、そう単純な話ではないけど、死亡率6割だとざっくりそうなる。

そうして、人類はエボラと折り合いを付けて生き続ける哺乳類となる。

4か月で280人が死亡しているから1か月で70人として、42億人が死亡するのは6千万か月後、つまり5百万年後だ。

その間、何十万世代も経っているわけだし、殆どがエボラ以外の理由で死ぬわけだから、そんな計算をしても意味はない。

垂直感染があるとしても、単純計算でいかないことは明白だな。

まあ、どうでもいいんですが。

今、一刻も早くこの流行を終わらせることが喫緊の課題だ。

5百万年も待つわけにはいかない。

エボラのワクチン、治療法、何よりそれを避けるための自然宿主の特定を進め、この病を克服していかなければならない。

だれもが、そのことを分かってはいる。

アフリカに有用な資源があり、それを求めて経済活動を行う限り、この病と付き合い続けなければならない。

地域紛争が絶えないのも、そこに争うに値する資源があるからだという。

何もないところに、煙は立たないのだ。

その意味では、世界のだれもが、この問題と無関係ではない。

アフリカのど真ん中での、遠い遠い話。

ひょっとしたら、月の裏側よりも遠い話かもしれない。

(中国「嫦娥4号」を打ち上げ。世界初の月面裏側を探査へ)
https://sorae.info/030201/2018_12_9_cnsa.html

「「嫦娥4号」は数週間の旅を経て、2019年1月に着陸する予定。」

その頃になっても、エボラの終息は見えてこないだろうな・・・。