有人宇宙飛行という幻2018年12月30日 08:52

有人宇宙飛行という幻
有人宇宙飛行という幻


人間は空を飛ぶことも、水中に長時間潜ることも出来ない。

地球の表面の、陸地や水面の辺りで、それも限られた標高や地域で生きていくのが精いっぱいだ。

都市に高層ビルを建て、交通手段としての飛行機や潜水艦(交通手段なのかあ?)を運用していても、それは、自らの周りを囲って、地上の環境を一時的に持ち込んでいるだけの話だ。

そこで生活しているわけではない(原子力潜水艦とかなら、数か月生活できるけどな)。

まあ、ダイバーは、環境圧(高圧環境)で潜っているけど、呼吸ガスは持ち込んでいて、地上の環境をマネしていることに変わりはない。

最近は、宇宙空間に出かけて行くのが流行っているようだが(そうなのかあ?)、宇宙だって、生身で生活できるところではない。

ISSの中は、快適な環境に保たれていて、1日2時間の運動とかいうノルマ以外は、ボーっとしていられる(えーと、やるべき作業は沢山ありますが)。

宇宙船だって、概ね快適な環境で、狭かったりすることを除けば、温度湿度はもちろん、うまい空気を吸うことも出来るだろう。

高山病に罹ることもなければ、ガス昏睡に陥ることもない(船外活動の前とかには、減圧するようですが)。

コントロールされた環境の中で、ふつーに生きていくことが出来る。

しかし、それは、宇宙コロニーとかいう大規模なものではないし、無重力という環境は、今のところどうしようもない感じだ。

トレーニングを続けていても、半年とか滞在すると、地上で立っていることさえできなくなる。

2週間程度でも、ちゃんとリハビリしないと倒れ込んでしまう。

まあ、個人差とかはあるだろうけどな。

そんな、極めて限定された環境の中でしか生きられない人間を、宇宙に送り出すというのは大変な話だ。

そもそも、重力に逆らって、宇宙船という地上の環境を模したカプセルを打ち上げなければならない。

地球周回軌道に乗せるためには、時速2万8千km以上の速度に加速し、その速度を維持しなければならない。

幸い、地球の大気層は、ちょこっと上昇すれば有意に薄くなっていくからな。

速度を維持する労力は減る。

400km位上がれば、たまにリブーストする程度で、巨大なISSでさえ高度を維持することが出来る。

長々と前振りを書いたが、インドが、何度目かの有人宇宙飛行の計画を明らかにした。

(インド、有人宇宙飛行計画を閣議決定=22年までに3人)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018122900124&g=int

「有人宇宙飛行を2022年までに達成させるための計画を閣議決定した。」

なぜ、2022年なのか?。

宇宙船の開発計画とか、それを打ち上げる大型のロケットの開発のめどが立ったからだろうと、ふつーは考えるところだ・・・。

「独立75周年を迎える22年までにインド国民を宇宙へ送る」

インドの建国と宇宙開発には、何の関係もない。

その時の経済力や政治情勢の許す範囲で、細々と開発を続けてきたわけで、まあ、ちょうどタイミングがあっただけかもしれないけどな。

あまり、真面目に立てられた計画とは思えないんだがな。

インドは、別にどこかの国と競争しているわけでもなく、いついつまでに有人宇宙飛行しなければならないという制約はない。

自国の科学技術の発展を、内外にアピールできればそれでいい(そうなのかあ?)。

欧州と共同開発したロケットエンジンを大切に育てて、GSLV-3を作り上げたからな。

こいつで、カプセルを打ち上げるんだろう。

我が国は、自前で有人ロケットを打ち上げることを断念してしまったからな。

ソユーズやスペースシャトル、これからはドラゴンやスターライナーに乗って、ISSに行くことしかできない。

ああ、スターシップに乗って月周回旅行してくることもできるけどな。

随分先の話にはなるけど、月面基地を作る関係で、月周回軌道行ったり、うまく潜り込めれば、月面着陸も可能性はある。

しかし、それは、あくまでも、パーシャルな宇宙活動で、そこに住んだり、生活の基盤を確立したりすることはできない。

何重にも安全を確保するための仕掛けをしたうえで、一時的に可能な状況を作り出しているだけの話だ。

ISSは、随分長いこと飛んでいるけど、入れ代わり立ち代わり、要員が交代しているだけの話だ。

それだって、すごいことに変わりはないが、人間が宇宙で生活しているとはとても言えない。

そこへ飛んでいく宇宙船にしても、数日間の飛行しかできない。

打ち上げのリスクは当然ある。

帰還にしても、係留しているソユーズに穴が開いていたりすれば、ヤバい話になる(実際、穴、開いてたし・・・)。

浮沈子が言いたいのは、有人ロケットを上げるというのは、それはそれで結構な話だけど、先々、それで何かをするということがなければ、大したイベントではなくなっているということだ。

インドには悪いけど。

有人宇宙飛行自体は、60年も前に行われた歴史的な出来事になってしまっていて、今更の感もある。

ISS自体だって、基本モジュールは20世紀末から20年も飛び続けているわけで、既に生まれた時から宇宙ステーションが飛んでいる世代が成人している。

やれやれ・・・。

有人宇宙飛行というのは、宇宙開発を止めてしまえば、それっきりになる技術だ。

海洋開発が有人から無人に大きく舵を切っていることを考えると、その可能性は大いにある。

ロボットで十分対応できるのに、なぜ人間が行かなければならないのか。

その理由が明確にならない限り、リスクを冒すことはできない。

北極や南極、エベレストの登頂というのは、軍事活動の一環として、国家的支援の下で行われたということもある(科学的探検だって、軍事目的の一部みたいなもんだからな)。

そこに山があるから行ったわけではない。

未踏の地であり、そこへ行くことが出来ることを示すことにより、他者に対して優位に事を運ぶメリットがあったからだ。

有人宇宙飛行は、現在、ビミョーな位置かも知れない。

ソ連、米国、中国と続いて、宇宙飛行士自体は数十か国で何百人も誕生しているし、他の天体(月ですが)にだって12人もが降り立っている。

初物の歴史的価値は、いささかくたびれてしまっている。

数年後に、インドが地球周回軌道に人間を送り込んだとしても、そのニュースは3日くらいしか持たない(たぶん)。

もちろん、歴史的事実としては残る。

その頃には、弾道飛行を飛んだ人類が、山のように生まれているかもしれないからな。

エベレストと高尾山(東京近郊の手軽に行ける山です)くらいの違いがある話だけどな。

(高尾山)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B0%BE%E5%B1%B1

「東京都八王子市にある標高599mの山である。」

まあ、どうでもいいんですが。

有人宇宙飛行という意味では、弾道飛行だってそうかもしれない。

気分だけ、味わうことが出来るからな。

月周回旅行とは、文字通り桁違いの話だが、その違いを理解するのは困難かも知れない。

宇宙飛行に変わりはない(そうなのかあ?)。

そういう状況の中で飛ぶ、インドの有人宇宙飛行が、内輪ウケ以上の意味を持つとは思えない。

いや、その技術を売りに出して、世界初の軌道周回旅行を始めるかもしれないしな。

格安で・・・。

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