固体燃料ロケットをなぜ作り続けるのか2019年01月14日 19:12

固体燃料ロケットをなぜ作り続けるのか
固体燃料ロケットをなぜ作り続けるのか


イプシロン4号機の打ち上げが近づいている。

今回は、ワケワカの小型衛星1機、超小型衛星3機、キューブサット3機を上げる。

新規開発要素は、1段目から3段目にはない。

衛星保持分離ステージのみだ。

その推進機構も弄らない。

ほぼ、吊るしの状態で打ち上げられる。

地上系、管制系も同じだ(バグフィックスとかはあるかも知れないけどな)。

(イプシロンロケット4号機について)
http://www.jaxa.jp/press/2018/12/files/20181219_epsilon4.pdf

(イプシロンロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

2013年、2016年、2018年、2019年と上がることになる。

平成19年度の打ち上げ予定はないので、来年上がるかどうかは分からないが(年度単位の計画だからな)、2年に1回は、今回初打ち上げとなる革新的衛星技術実証1号機の後継機が上がることになる(たぶん)。

その間の年は、例えばベトナムへ供与する衛星とか、ディスティニー+のような個別のミッションが埋める。

毎年1回上げられればラッキーということだな。

そうやって食いつないでいるうちに、H3の固体燃料ブースターとの共用が図られ、コスト削減と高性能化(軽量化と推進剤の増量)が見込まれる。

(H3ロケット:固体ロケットブースター SRB-3)
https://ja.wikipedia.org/wiki/H3%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88#%E5%9B%BA%E4%BD%93%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC_SRB-3

「推力偏向をLE-9エンジンに任せてSRB-3ではノズルの可動機構をなくす。」

ここんとこは、イプシロンでは困るわけで、独自に開発しなければならない(SRB-Aからの流用?)。

「SRB-3には強化型イプシロンロケットの第2段モータのM-35に適用された新規技術のモーターケース内面断熱材の積層構造の簡素化技術やノズルスロート材料の製造方法の効率化技術を適用させる」

「M-35の技術を適用されたSRB-3の仕様をイプシロンロケットの第1段モータにフィードバックすることで、SRB-3と将来のイプシロンロケットの第1段モータの大部分を共有化させる」

シナジーイプシロンと呼ばれる所以だな(当事者が呼んでるだけ?)。

ちなみに、現在は、SRB-AをH2Aなどと共用している。

まあいい。

巷では、我が国がICBMを創ろうとしているんだとか言われているが、固体燃料ロケットは基幹ロケットのブースターとしてなくてはならない「部品」だ。

H3は、本体のエンジンを3つにすれば、ブースターなしでも上がることは可能らしいし、将来有人宇宙船を打ち上げるようなことになれば、燃焼を途中で打ち切ることが出来る液体燃料ロケット(またはハイブリッド燃料ロケット)が必要になるからな。

そうはいっても、おそらく、殆ど全ての打ち上げで、固体燃料ブースターは必須となる。

通常構成では、1機につき2本で上げているH2Aと同じだろうから、年間需要は12本ということになる(年6回打ち上げの場合)。

イプシロンが毎年1機上がるとして、年間13本。

まあ、このくらい使ってもらわないと、経済的な意味でのシナジー効果は生まれないだろうな。

たまにHTV-X(たぶん、4本付ける)とかを打ち上げることもあるだろうから、うまくすれば年間17本の需要が見込める(獲らぬ狸・・・)。

H3の次の世代のロケットでは、再使用を見据えた開発が行われるかもしれないからな。

そうしたら、固体燃料ロケットとはおさらばするかもしれない。

まあ、スペースシャトルについていたSRBは、パラシュートで回収して再使用していたからな。

しかし、もう、21世紀だからな。

もちっとマシな回収方法を考えるかもしれない。

固体燃料ロケットで、パワードランディングしたら凄いけどな。

無理だろうな・・・。

ミスタースティーブンみたいに、網張った船で回収するとかな。

まあ、どうでもいいんですが。

打ち上げの際のリフティングパワーを得るのに、固体燃料ブースターは手ごろな選択だ。

実績も豊富で、値段もこなれている。

それを単独で使って、比較的軽量のペイロードを低軌道にばらまくにもちょうどいい。

厳密には固体燃料ロケットの範疇には入らないけど、同じ技術はICBMだけではなく、ふつーのミサイルにとっても重要だ。

我が国は、信頼性の高い、高性能な武器を輸出して稼いでいこうとしているからな。

固体燃料ロケットの技術を手放すわけにはないかない。

基幹ロケットのブースターとして、小型衛星を低軌道に打ち上げるイプシロンのような補完的なロケットのメインエンジンとして、更には、武器製造のバックボーンとして、今後も活躍が期待される。

ただ、最近はラムジェットとか使ったりして、ミサイルの航続距離を伸ばす話もあるしな。

武器開発競争は、際限のない話になる。

そっちで稼いだ金と蓄積した技術を、固体燃料ロケットに持ってこられればいいんだがな。

武器は使われないまま、時代遅れになって解体されるか、平和目的に転用されるのがよろしい。

冷戦時代にICBMとして開発され、衛星打ち上げロケットに転用された固体ロケットも、そろそろ底をついて来ている。

先々どうなるかは分からないが、当分の間、我が国の固体燃料ロケットがお払い箱になることはないだろう。

もちろん、ファルコンヘビーのように、サイドブースターが液体燃料ロケットになるケースだってあるしな。

スーパーヘビーに至っては、そういう仕掛けは一切想定されていない。

打ち上げロケットは、間違いなく再使用化へと舵を切っている。

ULAのバルカンやノースロップグラマンのオメガとかは、まだ固体燃料ロケットに依存しているが、ブルーオリジンのニューグレンやスペースXのファルコンシリーズは固体燃料ロケットとは決別している。

BFR(スターシップとスーパーヘビー)は、その上で、完全再使用を目指している。

まあ、固体燃料ロケットは、ミサイルみたいなもんだからな。

再使用とは馴染まない(ミサイルが当たらなかったら、回収して再使用する?)。

SLSのブースターも、SRBから発展したとはいえ、再使用は止めてしまった。

再使用しない打ち上げロケットは、軍事目的との関連や、ペイロードとの関係でそれが困難であることなどが理由だ。

我が国は、大きく取り残されつつある。

もちろん、観測ロケットの代替としての開発は続いているが、浮沈子的に見るところ、真面目に取り組んでいるようには見えない。

水素系ロケットエンジンで、再使用に取り組もうとしているところはないしな。

たぶん、わが国だけだ(未確認:アリアンのプロメテウスエンジンはメタン系:カリスト、テミスは、我が国との共同開発)。

それでいいのかどうかは分からない。

戦略としては悪くないけど、運用性とか考えて、重量性能から燃料選択するというのが最善かどうかだな。

固体燃料に依存し続ける限り、完全再使用への道は遠くなるばかりだが、その経過の中で、ベストミックスを選択して、現世利益を得るというのは大いにあり得る話だ。

先立つものがなければ、全液体燃料の完全再使用打ち上げロケットは出来ないからな。

少なくとも向こう10年の間は、そんなもんは出来っこない!。

なに?、スペースXは、今年6月にもスターシップの軌道版プロトタイプを打ち上げるだろうってえ?。

んなわけ、ありっこないじゃないの・・・。

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