聖域2019年01月21日 23:09

聖域
聖域


エボラの流行が続くコンゴ民主共和国の北キブ州(隣のイツリ州でも感染者が出てますが)。

100万人の大都市圏でもあり、州都でもあるゴマは、現在唯一感染者も死者も発生していない、いわば聖域だ。

(SITUATION ÉPIDÉMIOLOGIQUE DANS LES PROVINCES DU NORD-KIVU ET DE L'ITURI
Dimanche 20 janvier 2019)
https://mailchi.mp/sante.gouv.cd/ebola_kivu_20jan19

ページの表を参照されたい。

(Goma)
https://en.wikipedia.org/wiki/Goma

「ゴマは、コンゴ民主共和国東部の北キヴ州の首都です。」(自動翻訳のまま:以下同じ)

「人口 (2012) •合計 1,000,000」

端数がないのが気になるんだが、まあ、細かいことはこの際だから、いいことにしよう(大雑把過ぎね?)。

日本語版を見ると、人口が違い過ぎて話にならない。

(ゴマ (コンゴ))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%9E_(%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B4)

「人口 (2004年) - 計 249,862人」

わずか8年で4倍に増えたことになる。

(Goma:フランス語版)
https://fr.wikipedia.org/wiki/Goma

「Population 1 100 000 hab. (2012)」

このビミョーなズレが気になるようでは、アフリカは語れないな(そうなのかあ?)。

10万人の桁に数字があるだけマシというものだ。

まあいい。

日本語のウィキには、交通の項があり、こんな記事が書かれている。

「交通等:
市街地北部にゴマ国際空港があり、キブ湖畔には計130メートル (430 ft)の4つの埠頭がある。国道2号 (Route nationale 2) は北キヴ州北東部ベニからゴマ、ブカヴを通りムブジマイに至る。」

既出のように、ゴマは北キブ州の州都、ブカヴは南キブ州の州都、ブジマイは東カサイ州の州都である。

国際空港もあり、桟橋があるというキブ湖の対岸は、隣国ルワンダである(ヤバくね?)。

浮沈子は、ブトンボの感染増加を見ているんだが、万が一、ゴマで増えるようなことがあれば、同等以上の危機となることは明白だな。

現在まで、唯一、患者の発生がない聖域を維持している。

地域的に北キブ州の外れにあり、感染地域から隔離されているということもあるが、既述のとおり、国道2号線で、最大の感染地域であるベニとつながっているしな(現在は、ベニでの流行は止まっている)。

4年前のギニアの感染は、初発の地域から、国道沿いに首都に飛び火した経緯もある。

先日見た記事の中に、ゴマでの感染者を危惧する内容が書かれていた。

(The Ebola outbreak in Eastern Congo is moving toward a major city. That’s not good.)
https://www.vox.com/science-and-health/2019/1/18/18188199/drc-ebola-outbreak

「しかし、さらに悪化する可能性があります。今週の保健当局は、エボラがDRCの主要人口中心地であるゴマの方向に広がっているようだと懸念しています。

今週、DRCの保健省は、北キブ州の町、Kayinaで4件の致命的なウイルスの感染を確認した。そこでは、反乱グループと民兵グループの間の戦いが、アウトブレイクに対応している医療従事者の骨の折れる作業を繰り返し中断した。

Kayinaは、現在流行で最も気になっているホットスポットの1つであるButemboと、100万人が暮らすGomaとの中間に位置しています。」

事実、ブテンボの隣のカトワでは、感染者の急増がみられる。

地域社会の協力が得られていないこともあって、追跡調査が思うようにできない。

問題になっているKayina(カイナ)は、数こそ少ないが、かなりヤバイ状況のようだな。

(Kayina, une nouvelle zone de santé touchée par Ebola en RDC)
https://www.radiookapi.net/2019/01/18/actualite/sante/kayina-une-nouvelle-zone-de-sante-touchee-par-ebola-en-rdc

「エボラ発生は、北キブ州の新たな保健ゾーンに広がりました。それはLuberoの領土の南に位置するKayinaのそれであり、公衆衛生省からの声明を言った。」

「声明によると、3人のサンプルは陽性であると確認され、同じ家族の3人の患者のうち2人は1月14日にその間に死亡した。 」

問題は、このカイナがあるルベロ地域の現地状況だ。

(Nord-Kivu : la population de Lubero refuse de collaborer avec les équipes de riposte contre Ebola)
https://www.radiookapi.net/2019/01/21/actualite/sante/nord-kivu-la-population-de-lubero-refuse-de-collaborer-avec-les-equipes

「何人かの悪意を持った人々は、この病気は存在しない、そしてそれは霊性主義であると公衆に言っただけでした。そして、蜂起の後、彼らは、リポストのチームが居住していた祭司たちの修道院の囲いのドアさえも壊しました。Kambauでは、予防接種を受けるために連絡を受けた人々を特定しようとしたこのチームの存在に対する抵抗によって救急車が損傷した」

次々と新しい宿主(まあ、人間ですが)を獲得していくエボラウイルス。

ここでは、人間はエボラの味方だ(そうなのかあ?)。

だって、人間は、エボラを封じ込めようとする行為を、ことごとく否定し、政治的な思惑から人間同士の争いすら起こして、防疫行為を阻害し続けているんだもん。

気の持ちようで、エボラの感染を食い止めることが出来るというなら、宗教者の世迷言にも意味があるかも知れない。

しかし、ハッキリ言って、現地の宗教者はクソの役にもたたないどころか、害悪ですらある。

外からキリスト教などの新興宗教(そうなのかあ?)を持ち込もうとしている人々は、現地の宗教者から見れば、職業上のライバルだしな。

西アフリカでの流行の時と同じような、非合理的対応が続いている。

それは、一朝一夕には解決できない。

従来の、コンゴ川流域の発生とは、状況が異なる。

紛争地域であるということ以外に、やはり、こういう現地の認識のズレが続くという話があったわけだ。

いいとか悪いとかいうこと以前に、どうしようもないわけだからな。

今まで、数千年蓄積してきた地域の常識が、そう簡単に覆るわけはない。

「これまでのところ、発生はDRCの最大の都市に影響を及ぼしていません。しかし、KayinaのEbolaは、EbolaがGomaに到達することについて「警告を発する」と、世界保健機関の新しいHealth Emergencies Programの責任者、Peter Salamaは金曜日にVoxに語った。

ゴマはルワンダに通じる道と高速道路がある主要な交通の中心地です。「これらは交差する都市と市場の町です」とサラマは付け加えました。ビジネスを行っている人々、そしてNorth Kivuの不安のため、人々は絶えず移動しています。ゴマのエボラはWHOとDRCの保健省が予防するために混乱している悪夢のシナリオです。」

さてさて、ゴマにエボラが到達するかどうか。

それはもう、時間の問題のような気がする。

それを妨げるものは、何もないからな。

「彼らは予防接種チームを含む迅速な対応チームをKayinaに配備しました。そしてウイルスがGomaに移動するなら、SalamaはEbolaレスポンダが準備ができていると言います。彼らはすでにそこにチームを動員し、研究室を設立し、そして病人が孤立してケアされることができるヘルスセンターを準備しました。」

防壁は出来ているといいたいんだろうが、そう簡単に防ぐことはできないだろう。

農村が都市を包囲する。

どこかで聞いたような戦略が、エボラの感染で蘇る。

(毛沢東思想)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E6%B2%A2%E6%9D%B1%E6%80%9D%E6%83%B3

「農村から蜂起して都市を囲いこんでいくゲリラ戦術理論」

「農村社会にも特有の平等主義や、暴力の肯定、知識階級に対する反エリート主義(反知性主義)などが挙げられる。」

なんか、今の米国社会を活写しているようにも見える。

まあ、どうでもいいんですが。

エボラは、その土壌に巣食い、暴力と反知性主義を味方に、農村から都市へと進撃しつつある(考えすぎじゃね?)。

WHOが戦略的に配置したバリケードをやすやすと越えて、エボラがゴマに到達することが出来る方に、浮沈子的には1票だな。

エボラは人間の社会を映す鏡だ。

DRCは、歴史の踏み絵を踏まされようとしている。

長年に渡る心のよりどころを捨てて、近代科学の踏み絵を踏むことが出来るかどうか。

今日現在、エボラの聖域は、だだ1行孤高を保っている(えーと、疑い症例を除く)。

いつまで持つかだな・・・。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
kfujitoの徒然の筆者のペンネームは、
「○○子」です。
○○を記入してください。

コメント:

トラックバック