ワンウェブの秘かな船出 ― 2019年03月04日 16:55
ワンウェブの秘かな船出
衛星インターネットに関するニュースが2つある。
(超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)の運用終了について)
http://www.jaxa.jp/press/2019/03/20190301a_j.html
「宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)の通信異常発生後、約2週間に亘って地上局から「きずな」との通信を試みてきました。しかし、「きずな」との通信が復旧しないことから、地上からの運用不可能と判断し、「きずな」搭載の送信機とバッテリーを停止するコマンドの送信を平成31年2月27日15時54分(日本標準時)に地上より実施し、これをもって同衛星の運用を終了しましたのでお知らせいたします。」
「JAXAがNICT(情報通信研究機構)と共同で開発した「きずな」は平成20年2月23日に種子島宇宙センターからH-IIAロケット14号機により打ち上げられ、設計寿命の5年を大きく超えての運用を通じて、広域かつ超高速な衛星通信技術の実証に加え、東日本大震災時には被災地域への通信回線提供や被災地画像の関係機関への提供等の利用面でも多くの成果をあげてきました。
これまでの運用にあたり、ご協力をいただいた関係各機関及び各位に深く感謝いたします。」
11年間の使命を終えて、寿命を迎えたわけだ。
(きずな (人工衛星))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%81%9A%E3%81%AA_(%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F)
「軌道:静止軌道」
遅延時間が許容される限られた用途で運用された、前世代のコスト度外視の静止軌道インターネット衛星なわけだ。
その役割は、十分果たしただろう。
ちょっと、時期が遅かったけどな。
既に、衛星インターネットは低軌道衛星コンステレーションを駆使する低レイテンシモデルへと移行しつつある。
きずな廃止のニュースと時を同じくして、ワンウェブが初の衛星を打ち上げたという報道があった。
(米ベンチャー、第1陣の人工衛星打ち上げ 低コスト人工衛星に夢を開く (1/2ページ))
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190301/mcb1903011135016-n1.htm
「2月27日、遠隔地域のブロードバンド導入を目的とした650基の人工衛星のうち、第1陣となる6基をフランス領ギアナの上空に打ち上げた。」
本衛星の打ち上げということで、スターリンクの展開を目論むスペースXの機先を制したといえる。
が、たったの6機かあ・・・。
当面の展開ですら、650機だからなあ・・・。
100分の1以下だ。
つーことは、単純計算なら、あと100回以上打ち上げなければならない。
デカいロケットを調達できれば、纏めて数十機打ち上げ可能だからな。
もう少し少なくても済むかもしれない。
それでも、一度に20機上げられたとしても、30回以上の打ち上げが必要になる。
ちなみに、高度800km位に展開しているイリジウムネクスト衛星の場合は、ファルコン9で一度に10機上げている。
1機当たり1トン弱のイリジウムネクストよりは、軽い衛星だけどな。
(ワンウェブ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96
「145キログラムの重量と10Gbpsの伝送速度を持つとされる衛星を高度1200kmの18本の軌道に36機ずつ分散して配置することで全世界に高速インターネットを提供可能とされている。」
145kgかあ。
軽いな・・・。
軌道要素の違いもあるが、一度に50機くらいはばら撒けるかもしれない。
それなら、13回の打ち上げで配置できる。
「予備250基」
おっと、予備機が多いな。
それでも合わせて900機だからな。
全部軌道上に置くかどうかは分からないが、18回くらいの打ち上げで配置できれば、一応商売になると踏んでいるようだ。
「アリアンスペースとは672基を21回のソユーズロケットによる打ち上げ(オプションで5回のソユーズと3回のアリアン6による打ち上げ)契約が交わされている。ヴァージン・ギャラクティックとは228基を39回のLauncherOneによる打ち上げが行われる契約が 、ブルーオリジンとは5回打ち上げる契約が交わされている。」
もちろん、まだ、追加の計画もあるらしい。
「2017年2月23日 - グレッグ・ワイラーが当初の衛星を売却し、4倍の2000機による衛星計画を披露。内訳は高度1万~2万kmのMEO(中軌道)にVバンド衛星1,280基、高度2000kmのLEOにKuバンド衛星720基。」
そうすると、今後の展開は中軌道になる。
ふーん・・・。
いずれにしても、衛星コンステレーションは、イリジウムなどの数十機の規模から、数百機のオーダーに一気に跳ね上がるわけだ。
拡張ワンウェブが実現すれば、その数はさらに一桁(数千機に)上がることになる。
まあ、実現するかどうかは怪しいけど、スターリンクがフル稼働すれば、1万2千機だからな。
ここ数年で、地球を回る人工物の数は、一気に倍増するわけだ(数億個あるといわれる破片とかは別ですが)。
米国にとって、久しぶりとなる有人宇宙船(人間は乗ってませんが)の打ち上げの陰で、ひっそりと打ち上げられたメガコンステレーションの初打ち上げ。
世界を変えるという意味では、画期的な出来事だろう(米国が自前の有人宇宙船を上げたとしても、人類にとっては大した違いはないからな)。
まあ、どうでもいいんですが。
これから数十回の打ち上げが順調にいけば、来年辺りからサービスインするといわれている。
(OneWeb satellite constellation)
https://en.wikipedia.org/wiki/OneWeb_satellite_constellation
「早ければ2019年のように、個々の消費者へのブロードバンドサービスの星座は、会社によって展開されているOneWeb」(ワケワカの自動翻訳のまま:以下同じ)
衛星の寿命は5年程度が見積もられていて、予備機の多さはこれに起因しているのかもしれない。
メガコンステレーションによる衛星サービスは、打ち上げコスト(と頻度)、衛星寿命と待機衛星の運用が複雑怪奇に絡んだややっこしい話の上に成り立っている(といっても、成り立つかどうかはこれからですが)。
バカ高い打ち上げコストを叩き、衛星を軽量高性能化し、高頻度打ち上げを確保できない限り、ビジネスモデルとしては成立しない。
インターネットに対する通信需要の増加も必要だ(これは、十分見込めるらしい)。
IoTの普及で、ネット需要は鰻登りだ。
その中には、従来、ネットワーク化し辛い地域の需要もある。
衛星通信インフラが整えば、そうした地域での需要を掘り起こすことにも繋がる。
ジャングルの中、広大な砂漠や草原、陸上だけではなく地球表面の71パーセントを占める海洋、極地、山岳地帯、隣の空き地や工事現場などなど(あんま関係ないか)。
ピザボックス大のフェーズドアレイアンテナを広げ、電源をプチっと入れるだけで、地球上どこにいても世界とつながることが可能になる。
水中や地下とかは、別途中継が必要だがな。
スターリンクは、地球だけでなく、火星の衛星インターネットも狙っているといわれている(ホントかあ?)。
誰が使うんだか・・・。
時代は、静止衛星を用いたインターネット通信から、低軌道メガコンステレーションを利用する次世代のサービスへと舵を切った。
最近の2件のニュースは、まさにそれを象徴している。
次は、イーロンマスクが、また誰かの首を切る話が報じられるに違いない。
置いてきぼりを食ったスターリンク事業にハッパをかけるために。
テスト衛星2機を飛ばしてから、あまり新しいニュースは聞こえてこないけどな。
(SpaceX seeks FCC OK for 1 million satellite broadband Earth stations)
https://arstechnica.com/information-technology/2019/02/spacex-seeks-fcc-ok-for-1-million-satellite-broadband-earth-stations/
「2020年にインターネットサービスを利用可能にするという目標は2019年半ばまでに衛星が打ち上げられる」
今度は100万機の衛星かと思ったら、地上局の申請かあ・・・。
文字通りのメガコンステレーションかと思った。
やれやれ・・・。
先を越されたからには、挽回しなくてはならない。
どうやら、スペースXは、本気でスターリンクを構築するつもりになっているようだ。
「12月に、SpaceX はプロジェクトの支払いを助けるために5億ドルを調達したと伝えられています。」
「最新のアプリケーションは米国に焦点を当てていますが、SpaceXはブロードバンドサービスを世界規模で提供する予定です。」
初めに何機の衛星をどうやって上げるのかに注目だな。
打ち上げ手段ということになれば、自前のロケットを持っているスペースXの方に一日の長がある。
スケジュールは、自由自在だ(そうなのかあ?)。
ワンウェブとスターリンク。
ビットが宇宙を駆け巡る時代。
20世紀は、その夢を追って死屍累々だったからな。
今度こそ、形にしてもらいたいもんだな・・・。
衛星インターネットに関するニュースが2つある。
(超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)の運用終了について)
http://www.jaxa.jp/press/2019/03/20190301a_j.html
「宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)の通信異常発生後、約2週間に亘って地上局から「きずな」との通信を試みてきました。しかし、「きずな」との通信が復旧しないことから、地上からの運用不可能と判断し、「きずな」搭載の送信機とバッテリーを停止するコマンドの送信を平成31年2月27日15時54分(日本標準時)に地上より実施し、これをもって同衛星の運用を終了しましたのでお知らせいたします。」
「JAXAがNICT(情報通信研究機構)と共同で開発した「きずな」は平成20年2月23日に種子島宇宙センターからH-IIAロケット14号機により打ち上げられ、設計寿命の5年を大きく超えての運用を通じて、広域かつ超高速な衛星通信技術の実証に加え、東日本大震災時には被災地域への通信回線提供や被災地画像の関係機関への提供等の利用面でも多くの成果をあげてきました。
これまでの運用にあたり、ご協力をいただいた関係各機関及び各位に深く感謝いたします。」
11年間の使命を終えて、寿命を迎えたわけだ。
(きずな (人工衛星))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%81%9A%E3%81%AA_(%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F)
「軌道:静止軌道」
遅延時間が許容される限られた用途で運用された、前世代のコスト度外視の静止軌道インターネット衛星なわけだ。
その役割は、十分果たしただろう。
ちょっと、時期が遅かったけどな。
既に、衛星インターネットは低軌道衛星コンステレーションを駆使する低レイテンシモデルへと移行しつつある。
きずな廃止のニュースと時を同じくして、ワンウェブが初の衛星を打ち上げたという報道があった。
(米ベンチャー、第1陣の人工衛星打ち上げ 低コスト人工衛星に夢を開く (1/2ページ))
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190301/mcb1903011135016-n1.htm
「2月27日、遠隔地域のブロードバンド導入を目的とした650基の人工衛星のうち、第1陣となる6基をフランス領ギアナの上空に打ち上げた。」
本衛星の打ち上げということで、スターリンクの展開を目論むスペースXの機先を制したといえる。
が、たったの6機かあ・・・。
当面の展開ですら、650機だからなあ・・・。
100分の1以下だ。
つーことは、単純計算なら、あと100回以上打ち上げなければならない。
デカいロケットを調達できれば、纏めて数十機打ち上げ可能だからな。
もう少し少なくても済むかもしれない。
それでも、一度に20機上げられたとしても、30回以上の打ち上げが必要になる。
ちなみに、高度800km位に展開しているイリジウムネクスト衛星の場合は、ファルコン9で一度に10機上げている。
1機当たり1トン弱のイリジウムネクストよりは、軽い衛星だけどな。
(ワンウェブ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96
「145キログラムの重量と10Gbpsの伝送速度を持つとされる衛星を高度1200kmの18本の軌道に36機ずつ分散して配置することで全世界に高速インターネットを提供可能とされている。」
145kgかあ。
軽いな・・・。
軌道要素の違いもあるが、一度に50機くらいはばら撒けるかもしれない。
それなら、13回の打ち上げで配置できる。
「予備250基」
おっと、予備機が多いな。
それでも合わせて900機だからな。
全部軌道上に置くかどうかは分からないが、18回くらいの打ち上げで配置できれば、一応商売になると踏んでいるようだ。
「アリアンスペースとは672基を21回のソユーズロケットによる打ち上げ(オプションで5回のソユーズと3回のアリアン6による打ち上げ)契約が交わされている。ヴァージン・ギャラクティックとは228基を39回のLauncherOneによる打ち上げが行われる契約が 、ブルーオリジンとは5回打ち上げる契約が交わされている。」
もちろん、まだ、追加の計画もあるらしい。
「2017年2月23日 - グレッグ・ワイラーが当初の衛星を売却し、4倍の2000機による衛星計画を披露。内訳は高度1万~2万kmのMEO(中軌道)にVバンド衛星1,280基、高度2000kmのLEOにKuバンド衛星720基。」
そうすると、今後の展開は中軌道になる。
ふーん・・・。
いずれにしても、衛星コンステレーションは、イリジウムなどの数十機の規模から、数百機のオーダーに一気に跳ね上がるわけだ。
拡張ワンウェブが実現すれば、その数はさらに一桁(数千機に)上がることになる。
まあ、実現するかどうかは怪しいけど、スターリンクがフル稼働すれば、1万2千機だからな。
ここ数年で、地球を回る人工物の数は、一気に倍増するわけだ(数億個あるといわれる破片とかは別ですが)。
米国にとって、久しぶりとなる有人宇宙船(人間は乗ってませんが)の打ち上げの陰で、ひっそりと打ち上げられたメガコンステレーションの初打ち上げ。
世界を変えるという意味では、画期的な出来事だろう(米国が自前の有人宇宙船を上げたとしても、人類にとっては大した違いはないからな)。
まあ、どうでもいいんですが。
これから数十回の打ち上げが順調にいけば、来年辺りからサービスインするといわれている。
(OneWeb satellite constellation)
https://en.wikipedia.org/wiki/OneWeb_satellite_constellation
「早ければ2019年のように、個々の消費者へのブロードバンドサービスの星座は、会社によって展開されているOneWeb」(ワケワカの自動翻訳のまま:以下同じ)
衛星の寿命は5年程度が見積もられていて、予備機の多さはこれに起因しているのかもしれない。
メガコンステレーションによる衛星サービスは、打ち上げコスト(と頻度)、衛星寿命と待機衛星の運用が複雑怪奇に絡んだややっこしい話の上に成り立っている(といっても、成り立つかどうかはこれからですが)。
バカ高い打ち上げコストを叩き、衛星を軽量高性能化し、高頻度打ち上げを確保できない限り、ビジネスモデルとしては成立しない。
インターネットに対する通信需要の増加も必要だ(これは、十分見込めるらしい)。
IoTの普及で、ネット需要は鰻登りだ。
その中には、従来、ネットワーク化し辛い地域の需要もある。
衛星通信インフラが整えば、そうした地域での需要を掘り起こすことにも繋がる。
ジャングルの中、広大な砂漠や草原、陸上だけではなく地球表面の71パーセントを占める海洋、極地、山岳地帯、隣の空き地や工事現場などなど(あんま関係ないか)。
ピザボックス大のフェーズドアレイアンテナを広げ、電源をプチっと入れるだけで、地球上どこにいても世界とつながることが可能になる。
水中や地下とかは、別途中継が必要だがな。
スターリンクは、地球だけでなく、火星の衛星インターネットも狙っているといわれている(ホントかあ?)。
誰が使うんだか・・・。
時代は、静止衛星を用いたインターネット通信から、低軌道メガコンステレーションを利用する次世代のサービスへと舵を切った。
最近の2件のニュースは、まさにそれを象徴している。
次は、イーロンマスクが、また誰かの首を切る話が報じられるに違いない。
置いてきぼりを食ったスターリンク事業にハッパをかけるために。
テスト衛星2機を飛ばしてから、あまり新しいニュースは聞こえてこないけどな。
(SpaceX seeks FCC OK for 1 million satellite broadband Earth stations)
https://arstechnica.com/information-technology/2019/02/spacex-seeks-fcc-ok-for-1-million-satellite-broadband-earth-stations/
「2020年にインターネットサービスを利用可能にするという目標は2019年半ばまでに衛星が打ち上げられる」
今度は100万機の衛星かと思ったら、地上局の申請かあ・・・。
文字通りのメガコンステレーションかと思った。
やれやれ・・・。
先を越されたからには、挽回しなくてはならない。
どうやら、スペースXは、本気でスターリンクを構築するつもりになっているようだ。
「12月に、SpaceX はプロジェクトの支払いを助けるために5億ドルを調達したと伝えられています。」
「最新のアプリケーションは米国に焦点を当てていますが、SpaceXはブロードバンドサービスを世界規模で提供する予定です。」
初めに何機の衛星をどうやって上げるのかに注目だな。
打ち上げ手段ということになれば、自前のロケットを持っているスペースXの方に一日の長がある。
スケジュールは、自由自在だ(そうなのかあ?)。
ワンウェブとスターリンク。
ビットが宇宙を駆け巡る時代。
20世紀は、その夢を追って死屍累々だったからな。
今度こそ、形にしてもらいたいもんだな・・・。
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