機種転換訓練(移行訓練)とコスト削減と墜落事故2019年03月13日 21:50

機種転換訓練(移行訓練)とコスト削減と墜落事故
機種転換訓練(移行訓練)とコスト削減と墜落事故


航空機の操縦というのは、原則として機種毎に免許を受けるような感じのようだ(詳しくは知りませんが)。

新しい機種の操縦を行う際は、機種転換訓練(民間航空では移行訓練というらしい)を受けなければならない。

同一機種とみなされれば、受けなくてもいいらしい。

うーん、なんかリブリーザーみたいだな・・・。

前振りはここまで。

うちの飛行機使ってくれれば、おたくのパイロットの機種転換訓練なしで新型機導入できますよ、お得ですよ・・・。

営業が、キャリアの担当者にそう言ったかどうかは知らない。

この記事を読んで、浮沈子の頭の中に浮かんだ妄想だからな。

例によって、当てにはならない・・・。

(2度の墜落事故が起きたボーイング737 MAX 8についてパイロットから苦情が寄せられていたことが判明)
https://gigazine.net/news/20190313-boeing-737-max-8-safety-flaw/

「ある機長によればMCASに関して従来の737シリーズとはまったくシステムが異なるという点が完全に伏せられていたほか、十分な訓練を受けていないにも関わらず会社やFAA(連邦航空局)が飛行の許可を出すなど、とても「良心に照らして受け入れられない」状態だったとのこと。」

その違いをもたらしているのは、MCASという代物だという。

「「MAX 8」には機体の失速を防ぎ自動的に修正する「操縦特性増強システム(MCAS)」が搭載されています」

「航空会社側は「MAX 8擁護」の立場に立っているようで、サウスウエスト航空は「MCAS関連での問題は報告されていない」、アメリカン航空も「MAX 8は安全な機体であり、パイロットは十分な訓練を受けています。ボーイングからも『手動操縦中、誤った迎え角に関する問題は発生しない』と聞いています」とコメント。ユナイテッド航空も同様の姿勢で、いずれの会社も運航を続けています。」

ボーイングが、一般的に十分な操縦訓練を施している点については、浮沈子にも異論はない。

機種転換訓練については、エアバスよりも時間を掛けて行っているようだ。

(JAL767機長、A350シミュレーター体験 「コツつかめば操縦しやすい」)
https://www.aviationwire.jp/archives/111871

「767から777など、ボーイング機どうしでの移行訓練には2カ月程度かかるという。」

「JALでは767から777に移行した乗務員が、767に復帰するケースもあったようで、その場合は2カ月以上かかる復帰審査を受けなければならない」

「ボーイング機は手厚く訓練している」

物は言いようだな・・・。

「訓練の時間が短いのは、乗員にとっても負担が減る」

もちろんそうだが、その間のコストはキャリアが負担しているわけで、お安い話ではない。

ちなみに、製造打ち切りが決まったA380の場合、類似の航空機からの移行訓練のコストははるかに小さい。

(A380 2週間の訓練で機種転換)
https://www.jiji.com/jc/v2?id=20091022civil_aviation_planes_08

「A380のコックピットは、従来のエアバス製フライ・バイ・ワイヤ機と基本構成を同一にし、A330/A340シリーズの操縦資格があれば、2週間程度の訓練で機種移行が可能。」

ボーイングの4分の1以下の時間コストで済む。

熾烈なシェア争いを繰り広げるボーイングとエアバス。

「ボーイング機の運航資格があるパイロットがA350などエアバス機へ移行する場合、25日程度で移行できる」(初出の記事より)

こうしたことを踏まえて、ギガジンの記事を読むと、味わいも深いというものだ。

なぜ、B社は劇的に操縦特性が変わった737MAX(そうなのかあ?)のことを伏せて、エアラインに売り込みをかけたのか。

エアラインは、各社とも十分な訓練を行ったと口をそろえて言いつのっているのか。

(FAA、737 MAXの改修指示へ 新制御システムに異常か)
https://www.aviationwire.jp/archives/168064

「FAAはAOAセンサーの問題に関連し、ボーイングが737 MAXで新たに採用した操縦特性を向上させる新システム「MCAS: Maneuvering Characteristics Augmentation System」の改修を指示。11日の声明で、MCASの機能強化など設計変更を指示するADを、4月までに発行予定であることを明らかにした。」

「MCASの設計変更に合わせ、ボーイングはパイロット用マニュアルなどを改訂する。改訂対象となるのは、フライトマニュアル(AFM)とオペレーションマニュアル(FCOM)、クイックリファレンスハンドブック(QRH)、機体メンテナンスマニュアル(AMM)などで、訓練要件も見直す。」

設計変更の中身は詳細には明らかにされていないようだが、それに合わせてマニュアルを改定するのではなく、従来記述されていなかった事項を追加して記載したりするんじゃなかろうか。

訓練要件にしても、本来行うべき訓練を、改めて課すだけの話だったりして。

ギガジンの記事の中の機長の言葉が気になるな。

「良心に照らして受け入れられない」・・・。

米国やカナダのキャリアに属する737MAXは、今、この瞬間も「従来の737シリーズとはまったくシステムが異なるという点が完全に伏せられていたほか、十分な訓練を受けていない」状態で飛び回っているということになる。

浮沈子は、BMWが1シリーズでやったことを忘れるわけにはいかない。

(BMW・1シリーズ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/BMW%E3%83%BB1%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA

「当初「120i」と「116i(LCI後は118i)」は同じN13B16A型1.6L 直4ターボエンジンで出力のみ異なるものであった。」

つまり、同じハードウェアを、電子制御でチューニングしていたわけだな。

そんでもって、販売価格に差をつけて、顧客を騙していたわけだ(そんなあ!)。

メカトロニクス全盛の現代にあっては、珍しいことではないのかもしれない。

テスラみたいに、ネットワーク経由でバージョンアップするクルマもあるわけだしな。

クルマは、タイヤが付いているスマホだ・・・。

って、737MAXの記事を読むたびに、そろそろ航空機もそういう時代になりつつあるのだと感じる。

メーカーは、莫大な投資をしてハードウェアを新規開発するよりも、ソフトをちょちょちょいと弄って、付加価値を高め、お安く開発した機体を、新機種として売りつけるわけだ(そうなのかあ?)。

そこで、機種転換訓練がネックになるわけだが、規制当局と上手く話をつければ、ハードウェアとしては同一機種だからな。

特段の移行訓練なしに、そのコストを削減できるようなことが出来るのかもしれない(未確認)。

実際に操縦桿を握ってみれば、明らかに異なる航空機になっていたとしてもだ・・・。

エアバスは、トータルコストオブオーナーシップに着目し、早くからその点のアドバンテージを築いてきた。

「エアバス社が航空機市場でシェアを伸ばしてきたのは、航空機のメカとしての性能だけでなく、整備のしやすさや運用の効率性を常に考えてきたからだ。例えば、デジタルコンピューター式のフライ・バイ・ワイヤやスティック型操縦桿(かん)などを積極的に導入してパイロットの負担を減らす一方、各機種の操縦システムをできるだけ共通化し、転換訓練をしやすいよう配慮してきたことも、運航するエアラインのコスト軽減につながっている。」

787のバッテリー発火問題を見ても分かるように、要素技術に優れた飛行機を開発しても、それをインテグレートする際にちゃんと管理できなければ隠れた瑕疵を生んでしまう。

失速自動回避システムは、機能としては結構な話だが、正しく理解し運用しなければ危険な代物と化してしまうのかもしれない。

打ち上げロケットの場合、多くは無人のロケットで実験してから有人バージョンに移行していく。

スペースシャトルとかは、試験飛行でいきなり人間乗せて飛んだけどな。

そういうのは、例外的だ。

航空機は、なぜか無人機から開発するということはない。

人間が操縦して飛ばすことに拘っている。

アポロの記事などを読むと、当初は宇宙船(月着陸船)の操縦も、宇宙飛行士がやりたがっていたという(シミュレーターで墜落ばかりして、諦めたらしい)。

パイロットって、そういう人種なんだろう。

適性試験を通り抜け、キビシー訓練を耐え抜き、副操縦士としての下積みを経て機長になる。

多くの経験を積み、修羅場を潜り抜け、冷静な判断と慎重かつ大胆な行動で旅客の安全を守るカッコイー仕事だ。

けどなあ、やっぱ、新しい飛行機に乗る時には、ちゃんと練習してからにしないとな。

機種転換訓練(移行訓練)のコストを削減するために、機材だけでなく、乗員乗客の命も危険に晒したとしたら、到底許される話ではない。

それに、規制当局の不作為が絡んでいたりしたら、大スキャンダルだ。

まあいい。

全ては、これから明らかになる(たぶん)。

浮沈子が見るところ、形式的にも機械的にも、機材それ自体に何か問題があるとは思えない。

既に、何百機もの機体が世界中で飛んでいるわけだしな。

FAAだって、テキトーに認可しているわけではない。

問題は、人間系であるパイロットの訓練が、十分行われているかどうかだ。

そこに絡んでくるのが、今回注目されている操縦特性増強システム(MCAS: Maneuvering Characteristics Augmentation System)だな。

その特性の変化について、操縦者に何も周知されず、必要な訓練も行われないままで飛ばしているとしたらゆゆしき事態だ。

墜落事故は、氷山の一角ということになる。

世界中の航空当局が、同じようなことを考えているのかもしれない。

FAAは、もっと違うことを考えているんだろう。

B社が、事態を収拾する何かいいアイデアを考えついてくれるのを待ってるとかな。

優秀な弁護士とか、いっぱい抱えているだろうからな。

こういう時のために・・・。

(コラム:ボーイングは自ら737MAX8運航停止の決断を:追加)
https://jp.reuters.com/article/boeing-accident-column-idJPKBN1QU0FI

「ボーイングはFAAに対し、737MAXシリーズは先行機種に非常に近く、航空会社はパイロットを再訓練したり、パイロットに操縦系統の変更について知らせる必要がないと通知し、納得させていた。」

やっぱな・・・。

(機種転換訓練(移行訓練)とコスト削減と墜落事故:追加)
https://www.cnn.co.jp/business/35134116.html

「昨年のライオン・エアー機墜落の後、ボーイングは航空各社向けの速報を出し、墜落につながったとみられる対応ミスの再発を防ぐことを目的とした追加の訓練を全ての操縦士に施すよう奨励していた。ゲブレマリアムCEOによれば、エチオピア航空のパイロットはこの追加訓練をすでに受けている。」

これがホントならヤバいな。

追加の訓練が無効か(訓練内容の問題なのか、それを受けた側の問題なのかは不明)、新たな問題(機器側の問題か、操作上の問題かは不明)が発生したか、いずれにしても既知の対応では、今回のエチオピア航空の事故は防げなかったということになるからな。

早いとこ、何とかしないとな・・・。

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