やる気のなさ見え見えのリップサービス2019年04月08日 15:04

やる気のなさ見え見えのリップサービス
やる気のなさ見え見えのリップサービス


(NASA HEAD ANSWERS AGENCY QUESTIONS ABOUT ‘MOON BY 2024’ GOAL)
https://www.spaceflightinsider.com/organizations/nasa/nasa-head-answers-agency-questions-about-moon-by-2024-goal/

どうやら、NASA内部向けの発言らしいな。

「NASAの従業員が行った最大の質問は、5回目のナショナルスペース会議でマイクペンス副大統領が設定した2024年の期限を守るための米国議会の資金援助でした。」

その暴言に近いペンスの発言については既に触れた。

(無理筋或いは表現の自由?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/03/27/9052289

「出すもん出さないで、冗談はよしてくれ!。」

まあいい。

浮沈子の印象では、NASA長官は、この現政権の要請をやんわりと無視したように見えたんだがな。

今回の記事では、逆に積極的に利用しようとしているようだ。

「Bridenstineは、1961年にケネディ大統領でさえ、彼が就任できた最長期間を超えて期限を設けたと述べた。」

「NASAが5年以内に人間を月に戻す計画は、本質的には組織がすでに 2028年までに計画していたものの縮小版であるように思われます。」

そもそも、オリオン宇宙船を宇宙に送り出すSLSについて、いつ上がるかという問題が残っている。

「クリティカルパスの項目の例として、SLSのエンジン部を挙げました。予想以上に開発に時間がかかり、その結果、他の項目も遅れを取っています。」

どこかで聞いたような話もある。

「彼はまた、必要でないテストを削除することでSLSの開発スケジュールを早める必要があると語った。」

「スケジュールを加速することは、直列ではなく並列で開発することを意味している」

アポロ計画の際に、サターンVの開発を加速するために、並列開発手法がとられたことは知られている。

(サターンV:C-5)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3V#C-5

「第一号機を製作する前には、各部分の試験を積み重ねていかなければならない。」

「有人飛行の前の無人発射実験の回数を減らすためにも、ロケットの各段を別個に試験するのではなく、すべての段を一度にまとめて発射試験してしまうほうが望ましいと判断された。」

NASA長官は、今回もこの手法を採ることを表明したんだが、浮沈子的にはサターンVの時とは状況が異なるからな。

同列には論じられない。

今や、月への回帰に関しては、ライバルはいない。

宇宙開発の覇権を争っていたソ連は崩壊し、過去の遺産を食いつぶす形で辛うじて残っているにすぎず、急速に後を追ってきた欧州も、有人宇宙技術においては米国の傘下に入っている。

唯一、ライバルとなりえるのは中国だが、まあ、10年早い気がする。

つまり、動機が希薄だ。

更には、NASA自体が、根本的な計画を変えようとする意志がない。

「オリオン宇宙船、月面ゲートウェイの初期バージョン、および3段階の人間着陸システム。」

月へ行くのに、月軌道ステーションは必要ない。

それを運ぶためには、SLSの次期バージョンの開発が不可欠だが、そのための予算は認められていない。

民間セクターに依頼するにしても、貨物便を飛ばすための金は必要だし、そんな実績は皆無だ。

そもそも、運ぶべき月ステーションの基本設計すらない(概念設計も途中じゃないのかあ?)。

ましてや、月着陸船に至っては、計画すらなく、これからどうしましょうかという段階だ。

NASAが考えている2028年という目標さえ、そんなもんを信じるものなど、当事者を含めて誰もいないだろう。

2024年の米国単独の月面着陸を実施するための唯一の計画は、すでに出来上がっているファルコンヘビーに有人宇宙カプセルを乗せ、別途打ち上げた月着陸船に月軌道上で合体して乗り移り、更に別途打ち上げた帰還用宇宙船に月軌道で乗り移って帰ってくるという話ぐらいだ(未検討)。

ファルコンヘビー3基打ち上げれば、まあ、重量的には何とかなるだろうし、ランデブー及びドッキング技術については、アポロ計画以降、散々やっているからな。

上手くいくに違いない(未確認)。

問題は、影も形もない月着陸船だな。

月周回軌道から月面に着陸し、無事に月周回軌道に戻ってこなくてはならない。

2024年までに間に合えば、クルードラゴンでなくても、スターライナーとか本来のオリオン宇宙船でもいい。

打ち上げだって、ファルコンヘビーでなくてもいいし、SLS以外の既存の重量運搬ロケット(デルタ4ヘビー)だってかまわない。

SLSは、とてもじゃないが2024年の初打ち上げだって怪しいからな。

それを前提にする限りは不可能だ。

帰りの宇宙船を別のにするには訳がある。

なんとしても帰ってこなければならないからな。

元の宇宙船に何かが起こってもいいように、初めから予備機を飛ばしておく。

もしも、予備機に不具合が発生したら、往路の宇宙船をバックアップとして活用できる。

そういう意味では、着陸船だって、あらかじめ飛ばしておいて、予定着陸地点の近くに置いておくことも検討の余地はある。

まあ、後から来たのが着陸を誤って、予備の着陸船に衝突して両方壊しちゃったりしたら目も当てられないけどな。

まあいい。

そうやって、月に長期滞在することなく、ただ行って帰ってくるだけの計画さえ、今からシャカリキになって行っても間に合うかどうかは不明だ。

アポロ計画で、最後まで足を引っ張ったのが着陸船だったことを思い出す必要があるな。

(アポロ月着陸船)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AD%E6%9C%88%E7%9D%80%E9%99%B8%E8%88%B9

「2度目の飛行は1969年3月3日のアポロ9号で、サターンV 型ロケットによって打ち上げられた。」

「司令船・機械船・月着陸船をフル装備してサターンVロケットが打ち上げられたのは、この飛行が初めてであった(この分離・再ドッキング試行はアポロ8号の飛行で行われる予定だったが、開発の遅れなどにより8号の飛行目的は月周回のみに変更された)。」

アポロ13号の事故の際、この月着陸船が救命艇として大活躍する訳だが、今回は省略する。

アポロ15号から17号までは、月面探査車も搭載したんだが、そんなもんを開発している時間も金もないだろう。

そうして、今後の月探査とは何の関係もない、ただ金をどぶに捨てるだけの開発をしたとしても、おそらく2024年どころか2028年にすら間に合わないに違いない。

米国は、鉄の意志を持って、それを成し遂げようとしている(たぶん)。

「2024年までの月の計画はSLSのための新しい上段、すなわち探査上段をまだ必要としている」

無人の月周回テストでは、隕石などの衝突にぜい弱な上段ロケットを使用することになっている。

もう、アポロの時のような一か八かの計画は許されない。

ペンスは、勲章をくれてやれば、宇宙飛行士は喜んで危険な飛行を行うと思っているだろうが、スペースシャトルで14人の犠牲者を出したNASAが、それを呑むとは思えないけどな。

無人のEM-1が2024年というのが、今のところ無理のない計画だろう。

有人飛行が実現するのは、早くて2028年。

月周回ステーションに至っては、実現するかどうかも怪しい。

2030年代になって、中国が単独月面着陸を果たした時、チャイナショックで目が覚めるのがオチだ。

その中国にしても、独自の宇宙ステーションと、予算の分捕り合戦に入っているわけだからな。

その頃は民間で運用されているISSの仲間に入れてもらえるかどうかも分からないしな。

五星紅旗が月面にはためく時(えーと、大気が殆どないのではためかないとは思いますが)、米国は慌てて月面開発に乗り出すんだろう。

時すでに遅し・・・。

少なくとも、月の裏側は中国の核心的利益の対象になっているに違いない(そうなのかあ?)。

2020年代は、怒涛の幕開けになりそうな予感がしている。

NASAの長官がリップサービスして誤魔化している間も、着々と準備を整える中国。

ロシアも、欧州も、もちろん我が国も、移り気な米国のご機嫌を伺いながら、中国との連携を模索しだすかもしれない。

米国一国主義だって、いつの間にか米国第一主義にすり替わって、月着陸船は中国から調達するとか言い出すかもしれないしな(そんなあ!)。

今のところ、深宇宙の有人探査については、世界的に見てSLSしか選択肢がない。

ファルコンヘビーにしても、デルタ4ヘビーにしても、有人対策や深宇宙での長期運用については未知数だからな。

月着陸船の開発、SLSならエンジンや新しい2段目の開発、運用方法の開発、民間ロケットの活用など、それこそ同時に進めていかなければならない。

しかも、必要と思われるテストのうちのいくつかはすっ飛ばされることになる(たぶん)。

そうこうするうちに、スーパーヘビーとかスターシップが完成して、70年代の技術を引きずっているSLSを屠ることになるかも知れない。

我々は、ボーイングが不滅だと思っているが、この先10年後、同社が存続しているかどうかは誰にもわからない。

737MAXでケチを付け、いつ火を噴いてもおかしくないバッテリーを抱えて飛び続ける787シリーズでトラブルが頻発すれば、民間航空部門で破綻しかねない。

政権交代で軍事部門がやせ細ってくれば、残る頼みの綱はSLSだけということになる。

ああ、それが一番怪しかったりするかもな・・・。

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