伏兵現る2019年04月12日 00:07

伏兵現る
伏兵現る


(ロッキードマーチンはオリオンベースの月着陸船概念を明らかにします:標題から自動翻訳のまま:以下同じ)
https://www.spaceflightinsider.com/organizations/lockheed-martin-organizations/lockheed-martin-unveils-orion-based-moon-lander-concept/

「ロッキード・マーチンは、2024年までにマイク・ペンス副大統領の月への帰還という課題を解決するために迅速に構築できる、人間が評価する月着陸船の設計を発表しました。」

ロッキードマーチンが月着陸船のコンセプトデザインをしている話は、このブログでも既に触れた。

(重箱の隅或いはロッキードマーチンの陰謀)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/10/07/8969901

「しかし、まあ、よくぞこれだけ宇宙開発にマイナーな国旗を集めてきたもんだと感心する。」

今回の発表では、米国の国旗だけが描かれている点に注意だな。

(月面に早く到達する)
https://www.lockheedmartin.com/en-us/capabilities/space/human-exploration.html?_ga=2.128042764.1285006037.1554950160-1673546146.1553009319

「我々は、月面に人間を着陸させるというNASAの目標を加速することを全面的に支持する。加速着陸スケジュールが何を必要とするかについて、我々は徹底的な研究を行ってきました。適切なレベルのコミットメント、緊急性およびリソースがあれば、2024年までに人間は水面を歩くことができます。」

着陸船の上部構造は、前回のイラストと似ているが、エンジンが付いているところはかなり簡略化されている(前回は、エレベーター付きだが、今回はタダの梯子とか)。

エンジンノズルの数は、前回が2つなのに対して、今回は4つ付いているが、ひょっとしたら単一エンジンで、ノズルだけが4つのタイプかも知れない。

まあ、あまり意味はないような気もするんだがな。

着陸船の設計は、オリオン宇宙船からの技術を活用するとしているんだが、重要な点は、ロッキードマーチンの野望はそれにとどまらないということだ。

「私たちのコンセプトはその推進モジュールとドッキングポートだけを使って初期のバージョンのゲートウェイを展開することです。」

「Orionの機能、システム、および技術へのNASAの投資を統合および活用することによって、NASAの月周回ゲートウェイの作成にも重要な役割を果たします。他の商用車や技術がゲートウェイをサポートする一方で、オリオンはゲートウェイの建設と建設の背後にある主力者となり、より短い期間でよりスリムなゲートウェイを可能にするでしょう。」

ゲートウェイまで、自前で作ってしまおうという意欲的な発想だな。

それだけでは済まない。

「火星への最初の惑星間航海のための私達の概念的なビジョンは火星ベースキャンプと呼ばれます。赤い惑星の周りを周回している間、火星基地キャンプは地球から離れた家、重要な科学を行うためのプラットホームとその3年の任務の間に表面にそして人間を送り返すための基地を宇宙飛行士に提供するでしょう。」

インサイトなどに搭載されている、円形に展開する太陽電池を付けた火星軌道ステーションが構想されている。

しかしだ。

ロッキードマーチンがどれだけ構想しようが、有人モジュールの設計に長けていようが、SLSが飛ばない限りは、手も足も出せない。

そして、そのSLSを握っているのはボーイングだからな。

ジタバタしても始まらないのだ。

しかし、少し古いが(1年以上前)、こんな記事が上がっていた。

(NASAはなぜSpaceXの低コストなロケットを使わずに「SLS」の独自開発に莫大な費用を投じるのか?)
https://gigazine.net/news/20180328-nasa-why-sls/

「2020年代に予定されている「月の向こう」へ人類を送り届ける探査計画では、まず月を周回する新たな宇宙ステーション「深宇宙探査ゲートウェイ」を建設して探査の拠点とすることが計画されていますが、その最初の段階として打ち上げられる電力・推進力モジュールは民間のロケットで打ち上げられる予定になっています。」

ドッキングポートは、それよりは軽いだろうから、オリオン宇宙船を除けば、民間ロケット(具体的にはファルコンヘビー)で打ち上げることは可能だ。

ロッキードマーチンの構想では、それだけあれば月着陸船を繋いで、さらにオリオンで運んだ宇宙飛行士を乗り移らせて、月面に降下させることが可能だ。

もちろん、帰り道は、再びミニマム版ゲートウェイを経由して、オリオンに乗り換えて帰還する。

「居住モジュールなどのメインコンポーネントも、基本的にはFalcon Heavyロケットを中心とする民間ロケットの輸送能力に合わせて設計が進められているとのこと。」

元記事を見ると、そうでもない感じだけどな。

(米航空宇宙局(NASA)のチーフが機関がファルコンヘビーロケットを大量に購入しない理由を説明)
https://arstechnica.com/science/2018/03/nasa-chief-explains-why-agency-wont-buy-a-bunch-of-falcon-heavy-rockets/

「少なくとも理論的には、これらはFalcon Heavyや他の計画されている市販のロケットの質量とサイズの制限内に収まるように設計することができます。」

まあいい。

オリオンさえ運べれば、ひょっとしたらSLSさえ不要となる。

が、しかし、有人宇宙船を月まで運べる有人ロケットは、今のところSLSしかないからな。

これが飛ばないことには、話が始まらない。

ネックとなっているらしい1段目のロケットエンジンとか、作るのかどうかさえ怪しい2段目の開発、オリオン機械船(欧州宇宙機関担当:ATVを改良)の開発の遅れなど、現在予定されている2021年の初飛行(EM-1)さえ危ぶまれる。

オリオン宇宙船と機械船って、合わせてどのくらいの重量になるんだろうか?。

(オリオン(宇宙船))
https://en.wikipedia.org/wiki/Orion_(spacecraft)

「・カプセル:10,387 kg(22,899ポンド)
・サービスモジュール:15,461 kg(34,086ポンド)
合計:25,848 kg(56,985ポンド)」

うーん、やっぱ、月軌道に効率的に送り込むには、ファルコンヘビーでも役不足ということになる。

こればっかりは、別々に送り込むわけにはいかないからな。

結局、SLSの有人対応(EM-2で使用)が飛ばないことには、どうしようもないということになる。

しかし、考えてみれば、月周回軌道に送り込むだけのために、本当にSLSが必要なんだろうか。

重量の問題を解決するための一つの方法としては、ISSを経由するというのが考えられる。

カプセルとサービスモジュール(機械船)を、とりあえずISSに係留する。

月までの勢いをつけるロケットは、別途打ち上げて、ISSで合体する(往路専用:ここんとこは、どうしても新規開発しなけりゃな)。

どーせ、2段目は新しくしないと、有人飛行に耐えられないからな。

有人部分をISSまで届けるためには、ファルコンヘビーは使えない。

有人対応のロケットじゃないし。

ファルコン9を使い捨てにして打ち上げるか、今年上がるかどうかも怪しいアトラスVの有人対応版を使って出来るかどうかは不明だ(ファルコン9だと、低軌道でも22.8トンで、少し足りない)。

それだけではない。

有人のオリオンを打ち上げる時には、アボートロケットを付けなければならないからな。

(オリオンCEVの一部)
http://www.astronautix.com/o/orionlas.html

「総質量:6,176 kg(13,615ポンド)」

で、浮沈子的には、宇宙飛行士には、クルードラゴンか何かで、別途ISSに行ってもらって、無人のオリオンと機械船をファルコンヘビーか何かで打ち上げて、先ほどの新規開発の月軌道専用ブースターとドッキングすれば、ISSなしでも、なんとか月軌道まで送り込めるような気がするんだがな。

こうして考えると、半世紀前のアポロ計画というのが、如何に無謀でチャレンジングだったかというのが分かる。

サターンVロケットを開発できたことが最大の収穫だったが、その技術はうち捨てられた。

ロッキードマーチンが、あの手この手を使ってやろうとしても、アトラスVじゃどうしようもない。

(アトラス V:形式)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B9_V#%E5%BD%A2%E5%BC%8F

打ち上げ実績がある551で18,814 kg、設定がある552でも20,520 kgしか上げられないからな。

確認しておこう。

ファルコンヘビーで、無人のオリオンと機械船をISSに運ぶ。

宇宙飛行士は、ISSでオリオンに乗り込む。

新規開発の月往路用ロケットを別途打ち上げて、軌道上でオリオンとドッキングする(宇宙空間だからな、オリオンの先端とドッキングして、逆さまに押して行ってもいい)。

月着陸船や、ミニマムゲートウェイは、事前に月軌道に放り込んでおく。

月軌道に着いたら、往路用ロケットは投棄してしまう(あとくされがないように、月面に落とすのがよろしい)。

で、オリオンは、予定通りゲートウェイに接続して、宇宙飛行士は月着陸船に乗り換えて、月面旅行を楽しんできてもらい、戻ってきたらオリオンで帰るという寸法だ。

月軌道を離脱して地球に戻るのは、機械船の推進力で十分だからな。

新規開発要素は、ミニマムゲートウェイ(電力・推進力モジュールとドッキングポート)、月往路用ロケット(SLSの2段目に相当)。

そして、もちろん月着陸船。

強度とかの問題があるので、オリオンの補強が必要かもしれない(頭からドッキングして押す場合)。

ファルコンヘビーを使うとして、空力とか、搭載方法については、検討及び開発の必要がある。

ファルコンは比較的細身のロケットだから、スターライナーみたいな空力対策用スカートを付けなければならなくなるかもしれない。

そもそも、強度的に、26トンもあるペイロードを付けられるかどうかも問題だ。

それら全てを検討し、必要な開発を行い、検証して実行することを考えたら、(札束で?)ボーイングの尻を叩いてSLSを早く作らせた方が手っ取り早い。

オリオンの全ての設計は、それを前提にしているからな。

ロッキードマーチンが出来ることは、SLSが出来上がった後の話しかないのだ。

捕らぬ狸の皮算用。

ペンスがほざいた張ったりは、まあ、もっともらしい裏付けがあったわけだが、SLSなしで月着陸を行うのは、やはり無理筋であることに変わりはない。

今回の話の中で確認できたのは、NASAの月着陸計画が、3段階で進められていたということだ。

(NASAは商用月着陸船の迅速な開発を望んでいる)
https://www.spaceflightinsider.com/organizations/nasa/nasa-wants-speedy-development-of-commercial-lunar-landers/

「このシステムは3つの部分から構成されています。降下ビークル、移動ビークル、そして上昇ステージです。」

トランスファービークル(移動ビークル)というのが目新しいが、テキトーな(限られた)所に降りるなら、いらないかもしれないな。

ロッキードマーチンの構想は、まさしくそこを突いている。

まあ、どうでもいいんですが。

とりあえず、行って帰ってくるだけなら、ゲートウェイの構成も最小限でいい。

月着陸船も、限られた場所への着陸だけなら、シンプルな構成で足りる。

5年足らずの間に実現しようと思ったら、そのくらいしかできないしな。

それにつけても、SLSが最大のネックになるだろう。

初飛行が2024年と言われても、浮沈子は驚かないけどな。

ISSを経由して宇宙飛行士を乗り込ませ、オリオン宇宙船と機械船を後ろ向きに押して、なんとかゲートウェイに辿り着かせる方法を考えないといけないかもしれない。

2030年代になって、ようやく本格的な月周回ステーションが出来上がるような気がする。

火星だってえ?。

開発が遅れるに決まっているにしても、スターシップの方が先に辿り着くような気がしてるんだがな・・・。

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