別に航空機ファンじゃないけど2019年04月21日 00:03

別に航空機ファンじゃないけど
別に航空機ファンじゃないけど


(ボーイング737 MAX墜落の原因はたどるとエアバスA320neoの登場にあったという指摘)
https://gigazine.net/news/20190420-boeing-crash-reason/

「こうして誕生したのがボーイング737 MAXファミリーで、ボーイングの狙い通り、エアバスA320neo以上の発注を取ることができました。」

この記事に引用されている発注状況を見ると、以下の通り。

年:エアバス:ボーイング:
・2011:1226:150
・2012:478:914

これだけ見ると、大逆転している印象を与えるんだが、ホントかあ?。

(List of Airbus A320neo family orders and deliveries:Orders and deliveries by type and year)
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Airbus_A320neo_family_orders_and_deliveries#Orders_and_deliveries_by_type_and_year

(List of Boeing 737 MAX orders and deliveries:Orders and deliveries by year)
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Boeing_737_MAX_orders_and_deliveries#Orders_and_deliveries_by_year

年:エアバス(A320neo):ボーイング(737 MAX):
・2010:30:-
・2011:1,226:150
・2012:478:908
・2013:728:668
・2014:1,009:861
・2015:887:409
・2016:711:530
・2017:925:759
・2018:562:720
・2019:−25:7
・Total:6,501:5,012

実質的には、拮抗しているともいえるし、むしろエアバスがリードしているともいえる。

ナローボディ機とワイドボディ機の変遷について、長期的な資料も見てみる(上記との比較のため、メーカーの順は入れ替えています。また、括り方も変えてあります)。

(Competition between Airbus and Boeing:Orders and deliveries:Deliveries by decade and fuselage type (through Dec 31, 2018)参照)
https://en.wikipedia.org/wiki/Competition_between_Airbus_and_Boeing#Orders_and_deliveries

<Narrow-body:>
年代:エアバス:ボーイング:合計:
・1980s:74:1747:1821
・1990s:1068:2466:3534
・2000s:2983:2974:5957
・2010s:4500:4182:8682

<Wide-body:>
年代:エアバス:ボーイング:合計:
・1980s:402:624:1026
・1990s:563:1232:1795
・2000s:827:966:1793
・2010s:1228:1808:3036

供給ベースなので、最新鋭機の傾向とは単純に比較はできないが、ナローボディ機については、80年代はショボかったエアバスが、ボーイングを追い上げ、追いつき、追い越していった事が分かる。

ワイドボディ機では、多少の消長はあっても、一貫してボーイングがリードしてきたことと対照的だな。

もう一つ、ワイドボディ機がせいぜい3倍程度の伸びに過ぎないのに対して、ナローボディ機は5倍近い伸びを示している。

この傾向は一貫しており、飽和状態にある先進国から開発途上国へと航空需要が移っていくこと、LCCの台頭で運用の融通が利くナローボディ機の人気が高まっていることを考えれば、今後も続いていくと考えられる。

ボーイングが、737MAXの導入に焦り、生煮えのソフトで機体の欠陥を誤魔化して低燃費エンジン機の早期投入を計ったのは、直接のライバルであった320neoの攻勢だけでなく、長期・中期の状況を反映していたということもできるだろう。

直接対決だけ見ても、本格投入翌年の2012年と昨年(2018年)だけ上回っていたのみで、ほぼ一貫してエアバスの受注が多い(たぶん今年もそうなるでしょうが)。

ボーイング側に焦りがなかったと言えばウソになるだろう。

浮沈子が以前に指摘したように、エアバスは機種転換訓練(移行訓練)のコストを下げることに注力してきた。

マンマシンインターフェイスを意図的に近似させ、操縦特性の違いをシステムに吸収させて、パイロットの移行コストを低減させてきたわけだ。

ボーイングも、長期的にはグラスコックピットの採用、各種の自動化などを進めてきたけど、機種間の違いは大きく、移行訓練期間は長い。

操縦装置も、操縦輪タイプを踏襲しているように、最終的にはパイロットに委ねる設計思想だ。

今回のMCASの改修についても、センサーの系統を増やしたり、介入の判断の情報を広く他のセンサーなどに求めて改善するのではなく、2系統ある迎え角センサーの値が異なる際には警告を出してMCAS自身を切ってしまうという。

故障ですよーと叫んで、あとはパイロットに委ねるわけだ。

委ねられたパイロットがどう操縦するかは、もちろん、マニュアルを読めば書かれている(従来は書いてなかったけどな)。

MCASから解き放たれた裸の737MAXの機体特性(機首上げ失速しやすい)をシミュレーターで体験することなく、本番でいきなり対応するわけだ。

まあいい。

プロのパイロットだからな。

今度はちゃんとマニュアルにも書いてあるしな(頼むから、読んどいてね!)。

きっと、万全の対応で、操縦輪のスイッチ弾いて、機首を上げ下げしてくれるに違いない・・・。

以前は、その操縦輪のスイッチの電源も切らないと対応できなかったわけで、だいぶマシにはなった感じだ。

古い基本設計の飛行機だからな。

ホイール回してスタビライザートリムを弄る手段は残されているが、急降下しだしてからでは遅すぎる。

そういう悲劇的な事態に陥らないようにしただけでも、まあ、いいということにしたんだろう。

エアバスなら、どう改修したんだろうか?。

エンジン搭載位置を変えない限り、機体の根本的な特性は変わらない。

それを、MCASで補う対応は同じだと浮沈子は見ている。

その代わり、迎え角センサーの系統を増やしたり、他のセンサーの値を参考にするなど、システム側の増強を行って、決してMCASをぶった切ったりして、ロクなトレーニングも施されていない新米パイロットに航空機を委ねるような真似はしないだろう。

従来の737-800などのニュージェネレーションシリーズとの違いを感じさせないように、徹底的にシステム側を作り込むに違いない。

もし仮に、それが出来ないとしたら、躊躇なくエンジン搭載位置を変更して、着陸ギアの再延長など、必要な設計変更を行うだろう(たぶん)。

航空機の安全は、航空機自身が守る。

それは、設計思想の違いだ。

サルでも操縦できる航空機こそ、エアバスが目指す航空機だからな(そうなのかあ?)。

ボーイングは、たぶん、そういう思想にはなじまないのかもしれない。

米国は、航空大国だからな。

パイロットはゴロゴロいるし、エアラインのパイロットは尊敬されてるしな。

どっかの国の航空会社みたいに、アルコール臭プンプンさせてコックピットに収まるような真似はしないだろう(未確認)。

浮沈子のように、パイロットをサル呼ばわりしたら、どういうことになるやら・・・。

人間は、頼りになる最後のシステムだ。

パイロット組合が、混乱しても何してもいいから、メーカーに全てを開示するように求める風土がある。

(Flying the Boeing 737 Max 8: A pilot’s view from inside the cockpit:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=LVOwxV9dVmg

「Facts, logic, and full disclosure.
And that's what we're waiting for now.」

まあ、望みうるなら十分なトレーニングもだな。

それが、人間を最後の頼みの綱とする設計思想の、せめてもの良心というものではないのか。

(こうあからさまだと、かえってスッキリする話)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/04/18/9061276

「米連邦航空局(FAA)の飛行基準評価審査会(FSB)はボーイング737MAXの修正ソフトを検討し、同型機の就航再開時にパイロットにさらなるシミュレーター訓練を課す必要はないとの結論を下した。」

「なんと、まだ提出されていないアップグレードを評価し、その提出以前にパブリックコメントを打ち切るという対応だと分かった。」

物理の神様は、さらなる捧げもの(生贄?)を要求するかもしれないな・・・。

余談になるが、初出の記事の末尾に引用されている内部告発は、ちょっとヤバ過ぎてコメントできない。

787に怖くて乗れなくなったら困るからな・・・。

復活祭なのに物騒なニュースばっかの日曜日2019年04月21日 18:12

復活祭なのに物騒なニュースばっかの日曜日


昨日、完全休養して、体調万全のはずが、今日は朝から頭痛がして起きていられない。

食欲もなく(浮沈子的には、チョーヤバ!)、コンビニに買い出しに行くのがやっと・・・。

なんとか固形物を押し込んで横になり、インターネットニュースを聞いていたら、スリランカで爆発があり、どうやら同時多発テロのようだ。

(教会やホテルで爆発、138人死亡 スリランカ)
https://www.asahi.com/articles/ASM4P4R19M4PUHBI00G.html

「教会やホテルなど少なくとも6カ所で爆発があった。AP通信などによると、少なくとも138人が死亡し、約500人が負傷したという。」

「6カ所のうち2カ所は自爆だった可能性がある。」

この後、7か所目の爆発もあった様だ(追加:テロリストのアジトにガサ入れしようとして自爆されたのを入れると8回!)。

マジか・・・。

で、ネット記事を見ようとしたら号外が流れていて、今度は神戸でバス事故があったという。

(神戸市営バスがはね、男女死亡 容疑の64歳運転手逮捕)
https://www.asahi.com/articles/ASM4P4VQSM4PPIHB006.html

「市営バスが横断歩道に突っ込んだとみられ、20代ぐらいの男性と、20代とみられる女性の計2人が死亡。ほかに5人がけがをしているとの情報がある。」

先日は、池袋で高齢運転者が10人くらいはねてるしな。

物騒な話だ・・・。

で、国内ニュースにもうんざりして、何か元気になる話題はないかと思ったら、とっておきのニュースが報じられていた。

(米新宇宙船、噴射試験で異常 有人飛行の遅れ懸念)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190421-00000042-kyodonews-soci

「米スペースXは20日、南部フロリダ州の地上施設で同日実施した有人型ドラゴン宇宙船のエンジン噴射試験で異常が発生したと発表した。AP通信によると、数キロ離れた場所から確認できるほど煙が上がった」

おおっ!。

(SPACEXクルードラゴンはテストスタンドで明らかな爆発を被ります:標題から自動翻訳のまま:以下同じ)
https://www.spaceflightinsider.com/organizations/space-exploration-technologies/spacex-crew-dragon-suffers-apparent-explosion-on-test-stand/

「SpaceXの広報担当者は、「本日、フロリダ州ケープカナベラルのLanding Zone 1のテストスタンドで、クルードラゴンテスト車両で一連のエンジンテストを実施しました」と電子メールで伝えました」

「初期テストは正常に完了しましたが、最終テストでテストスタンドに異常が発生しました。」

景気よく立ち上がったオレンジ色の煙を見る限り、クルードラゴンが無事とは思えないな。

良くて木っ端微塵、おそらく跡形もなくなっているに違いない(そうなのかあ?)。

動的アボートテストは、当分先になりそうだ。

これで、ボーイングが追い付く可能性が高まったと言えよう。

ひょっとしたら、追い抜くかもしれない。

B社は、動的アボートテストは行わないからな。

いきなり、人間を乗せる。

11月とか言ってるが、どーせクリスマスくらいになるに決まってる。

それまでに、S社が今回の不具合の原因を突き止め、対策を施し、再テストにこぎつけ、その先の動的アボートテストをクリアして、その成果を有人飛行するクルードラゴンに反映させなければならない。

若干救いがあるのは、クルードラゴンが使い捨てに設定されていることだろうな。

既に何機か作り始めているに違いない(未確認)。

当初、有人テストは7月に予定されていたからな。

それに合格すれば、本格運用に突入する。

使い捨てだから、次から次へと新しいクルードラゴンを投入していかなければならない。

ボーイングの半分ちょっとの予算で、使い捨てにするのも大変だろうけど。

それが、今回は吉と出ることになるかも知れない。

生産計画的には、遅れた分を取り戻せる可能性がある。

まあ、動的アボートテストに新品使うのはもったいない話だが、逆に、余計なものを付けずに飛ばせるというメリットもあるからな(当初は無人飛行に使ったやつのお下がりを再使用する予定だった:有人で使う操作系とかは未搭載)。

まあ、どうでもいいんですが。

しかし、事故がテストの際に起こったことは不幸中の幸いと言える。

報道を見る限りでは、今回の爆発では人的被害はないようだ。

ある意味、想定内の事故だったわけだ。

S社は、ファルコン9Rの時も爆発事故を起こしている。

(爆発)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/23/7420217

「今回の失敗の中から、汲み取れる限りの教訓を得て、次回の実験に生かせばいいのだ。」

折しも、今日は復活祭だ。

徹底的に原因究明して、新しい宇宙船に反映させ、安全に飛ばしてもらいたいもんだな・・・。

(スペースX、有人宇宙船クルードラゴン試験中に事故:追加)
https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20190421-00123206/

浮沈子注目の秋山さんのひねりのきいた記事。

「米会計検査院(GAO)は、有人宇宙船の安全性に関わる認証プロセスに不備があり、運用可能になるまでさらなる遅れが発生するリスクがあると指摘した。」

そんな話があったとは知らなかったな。

「NASAはGAOの指摘を受けて審査基準を5月までに確定させ、文書で発表することとなっていた。」

こっちも片づけなくっちゃいけないしな。

月に行けと言われたり、宿題早く済ませろと言われたり、NASAも大変だな・・・。

(スペースXの有人宇宙船「クルードラゴン」、エンジン試験中に事故:追加)
https://news.mynavi.jp/article/20190423-813769/

「また、同日流出したとされる映像からは、クルードラゴンが突如として木っ端微塵に吹き飛ぶ様子が映っている。また、事故はスラスターを噴射していない状態で起こっており、スラスターそのものではなく、タンクや配管で問題が起きたか、あるいはもっと別の部分で問題が起き、タンクなどに入っている推進剤に引火したといった可能性が考えられる(ただし、映像が実際のものかは不明)。」

その流出映像か?。

(SpaceX Crew Dragon Explosion | LZ-1 | 20th April 2019)
https://www.youtube.com/watch?v=xe4ee56aHSg

スペースX絡みの爆発映像の中では、空中爆発した時に匹敵するド派手さだな・・・。

毎回、そういえばあれはどうなった状態のILCだが、外野は相変わらず元気だな2019年04月21日 23:37

毎回、そういえばあれはどうなった状態のILCだが、外野は相変わらず元気だな


(<ILC>岩手・宮城県議連、誘致働き掛けを自民党に要請)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201904/20190419_71055.html

「整備実現を目指す両県議会の議員連盟は18日、自民党に対し、早期の誘致表明を政府に働き掛けるよう要請した。」

学術会議が、そんなもんいらないと結論を出したわけで、余程のことがない限り、我が国に誘致する話は立ち消えになるかと思っていたが、政府が色気を出すもんだから、外野は余計元気になる。

「文部科学省は3月に示したILC誘致に関する見解で「日本学術会議のマスタープランなど正式な学術プロセスでの議論が必要」と指摘した。」

昨年暮れに結論は出てるんだがな。

仮に、コストが半分くらいになったとしても、そもそも我が国が誘致して、学術界に落ちる金に間接的にせよ影響が出る話はお断りのはずだけどな。

もっといえば、我が国の負担がゼロになったとしても、積極的には受け入れたくない話ということになる。

人材を持っていかれちまうからな(たぶん)。

どっか、よその国(中国かあ?)でやってくれと・・・。

(ILC、政府見解は「前進」 エバンスLCC代表インタビュー)
https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/3/28/50749

「文部科学省が(3月)7日表明した政府見解について「(実現へ)前進した」との見方を示した。中国で検討が進む大型加速器構想について「一番の脅威」と説明。ILC実現に向けて日本政府に対し、年内に一層踏み込んだ態度を示すよう強く求めた。」

「もしも今後さらに前向きな声明がなければ、今年の終盤以降、検討を続けていくのは難しくなる」

もともと、昨年暮れまでの結論を、今年の3月まで引き延ばした話だ。

(<ILC>「誘致表明至らず」文科省見解 検討は継続の方針:追加)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201903/20190307_71046.html

「誘致の表明には至らない」

その上で、

(1)日本学術会議のマスタープランなど正式な学術プロセスでの議論が必要
(2)欧州素粒子物理戦略など議論の進捗(しんちょく)を注視
(3)計画に科学的意義はあり、文科省は関心を持って国際的な意見交換を継続

これのどこが前進なんだか・・・。

既に、CERNは円周100kmに及ぶ次期コライダー計画(FCC)をぶち上げ、その(時期的な)一部の機能として電子・陽電子コライダー(FCC-eeというらしい)を作る構想を固め始めた。

方式としては中国と同じ、大きさが気持ちデカい程度で、完全なライバルになる(最近は、初めはデカい構想を掲げて、予算当局に譲る形で縮小するのが流行りだからな)。

(ILCがいらない理由がまた一つ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/01/17/9026232

「FCCはこれまでにないエネルギーと強度で電子-陽電子、陽子-陽子、イオン-イオンの衝突を観測できるようになるだろう」

直線型加速器も検討している。

(ILCがいらない理由がもう一つ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/01/18/9026270

「セルン自身が、CLICというILCとよく似たプランを進めているのだ」

これが現実の話になるかどうかが、リンエバンスが言うところの「検討を続けていくのは難しくなる」という話の具体像なのかもしれない。

我が国のILCには、早々に見切りをつけて、中国とのガチの競争に打ち勝たなければならないからな。

「リニアコライダー計画としての技術的成熟度では、ILCがCLICよりも数年以上先んじていることは、関係者の衆目の一致するところである。」

「新しい物理学を拓くという観点からは、より高い3TeVを目指す点で、1歩先んじている(ILCは、最大でも1TeVまで)。」

さて、どう転ぶことになるのか。

中国の方も、調べてあるので引用しておく。

(もう一つの巨大加速器)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/01/19/9026762

「CEPCは8つの円弧と8つの直線部を持ちます」(たぶん、直線部分は短い)

規模は、FCCと同じ程度だ(最大規模で同等)。

加速器が沢山出てきたので、ここらで整理しておこう(一部ですが)。

名称:機関等:形式:タイプ:衝突エネルギー:時期
・FCC:CERN:円形(100km):陽子・陽子等:100TeV:50年代
・FCC-ee:CERN:円形(100km):電子・陽電子:250GeV:40年代
・SPPC:中国:円形(100km):陽子・陽子等:100TeV:40年代
・CEPC:中国:円形(100km):電子・陽電子:250GeV:30年代
・CLIC:CERN:線形(11〜50km):電子・陽電子:3TeV:30年代
・ILC:日本:線形(20~30km):電子・陽電子:1TeV:20年代

エネルギー等は最大値を掲載している。

あくまで目安にしかならないけど、全体を概観するにはちょうどいいかも。

線形加速器では、ILCが時期的にリードしている。

技術的なハードルも、相対的には低い。

中国は、円周型加速器に於いて、CERNを10年リードしようとしている。

時間という資源を有効に利用して、イニシャチブを取ろうというわけだ。

下手したら、美味しいところは全部中国に持っていかれた後に、遅れて出来たCERNのマシンで落穂ひろいする羽目になるかも知れないのだ。

やれやれ・・・。

それに対するCERNの保険がCLICなのかもしれない。

ピュアな実験結果を先んじて手に入れ、パワー的にもリードできる。

ヒッグス粒子の定量的研究においては、先んじることが出来るだろう。

もう、既に、世界はILC抜きで回り始めているのかもな。

巨額の資金を動かし、国際協力を取り付け、当局に構想を呑ませる力。

衝突エネルギーの大きさだけではない、事業推進力としてもビッグパワーサイエンスなわけで、それをこなしていくことが求められる。

国内の学術コミュニティにおける合意作りで躓いているレベルでは、話にもならない。

浮沈子は、さっさと白旗掲げて撤退するのがいいと考えている。

震災復興といっても、ごく一部の地域にしか恩恵はない。

しかも、継続して事業があるわけではなく、時限的なプロジェクトであることに留意すべきだろう。

建設に10年、研究に10年。

そして、長い長い負の撤退期間が残る。

掘りぬいたトンネルの後始末、放射化した器材や排水の管理、寂びれゆく街、荒んでいく人の心・・・。

止めといた方がいいんじゃないのかあ?。

中国に美味しいところを持っていかれないためにも、CERNのCLIC構想に道を譲り、活用できる遺産は引き継いで、そっちの成功に協力して国際的な成果を得るのがよろしい。

東北の復興や、学術会議のマスタープランは、他の事業に譲った方が無難だ。

浮沈子的には、このプロジェクトは我が国が担うには重過ぎる気がする。

次期核融合炉とかなら、まだ、筋は良かったんだがな。

産業界を絡めて、大いに盛り上がったかもしれないけど、あれはフランスに持っていかれてしまったからな。

ああ、今回もフランスかあ(スイスとの国境にまたがってますが)。

まあいい。

ひょっとしたら、大どんでん返しで我が国になるかも知れない。

オリンピックが終われば、景気は冷え込むからな。

大阪万博までの繋ぎも必要だ。

政策的には、時限的なお祭りの方がいいこともある。

始めた事業を撤退するのが一番難しいからな。

終わりが見えている方が、扱いやすいということもある。

「中国で実現の可能性が高いとなれば研究者はなびく」

そう、最後はそこが決め手になるかも知れない。

優れた構想や、高い実現可能性だけだは飯は食えないからな。

現物を作ることが出来るかどうかが決め手になる。

火中の栗を拾うことが出来れば、そして、それが本物ならば、果実を得ることが出来る。

政権が、魅力を感じているのもそれがあるからだろう。

我が国は、そういうワケワカのリスクを避けてきた過去があるからな。

しかも、ILCは、元をただせば米国の事業だ。

尻拭いをしてやれば、有難がられるに違いない(そうなのかあ?)。

まあ、どうでもいいんですが。

学術会議で不合格と採点された事業だからな。

政府が採用するには、そこのところを科学コミュニティ内で整理して、受け入れやすいカタチにしなければならないだろう。

少なくとも、従来の費用負担の在り方を抜本的に改める必要がある。

更に、人材確保についても、我が国の人材を過剰に奪われることがないようにしなければならない。

他にもやることは沢山あるのだ。

事業が終わった後の施設や組織の活用方法についても、従来の考え方とは異なるアプローチが必要だろう。

核廃棄物の長期保管場所とか、あらぬ疑いを掛けられないようにしておかないとな(そうなのかあ?)。

どーせなら、首都移転しますとか、そのくらいのスケール感が欲しい。

まあ、単なる祭りで終わらせるつもりなのかもしれないし、それでいいのかもしれない。

さて、どうなることやら・・・。