火星からのサンプルリターンが意味するもの ― 2019年05月29日 14:16
火星からのサンプルリターンが意味するもの
(月の裏側とリュウグウ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/01/15/9025192
「火星にしたって、表面とかは余り面白くなさそうだけどな(それでも、火星サンプルリターンミッションは、宇宙探査の聖杯といわれている)。」
かつて書いた記事だが、その火星表面からのサンプルリターンについて記事が上がっていた。
(ESA計画の火星探査ミッションを動画で紹介。NASAと連携したサンプルリターンも)
https://sorae.info/030201/2019_5_28_exomars.html
「もう1つは、NASAと協力して進めることが予定されている、史上初の火星からのサンプルリターン(回収)ミッションです。」
記事に明記されているように、この計画はロザリンドフランクリン(探査機)とは関係のない話だ。
サンプルを採取するところは、米国が行う。
「「サンプルの採取と保管」は、エクソマーズ2020と同じ2020年7月に打ち上げが予定されているNASAの火星探査車「マーズ2020」が担当します。」
そのサンプルを運んで、別途送り込まれた打ち上げシステムのところまで運ぶのは欧州。
「マーズ2020が地表に残したサンプルの容器をESAのローバーが回収」
火星軌道までの打ち上げが米国。
「NASAが開発を主導する着陸プラットフォームから火星の周回軌道に向けて打ち上げる」
火星軌道から地球に戻すのが欧州。
「地表から打ち上げられたサンプルを火星の周回軌道上で回収し、地球と戻ります。回収されたサンプルは探査機が搭載している再突入カプセルに移し替えられ、地上へと帰還する」
ややっこしい。
しかも、実際に計画が進んでいるのは、サンプルを採取してカプセルに詰め込むマーズ2020だけ。
後は、まだ検討段階に過ぎない。
ひょっとしたら、マーズ2020が作ったカプセルは、回収されないまま火星に置き去りになる可能性もある。
浮沈子は、その可能性は大きいと考えている。
技術的に困難だからか?。
いや、たぶんやろうと思えばできるんだろうが、敢えてやらない選択を行う可能性がある。
理由は簡単だ。
火星に行く動機が無くなるから。
かつて、火星には海(湖?)があったとされている。
そこでは、生命が誕生し、育まれた可能性があるいう。
火星の土壌を持ち帰って、徹底的に調べれば、キュリオシティや、マーズ2020のような遠隔でチョロい検査機器を操作する必要はなく、最新の機器で直接サンプルを調べることが出来る。
生命の痕跡でも見つかれば、そりゃあ、大騒ぎになることは間違いない。
しかし・・・。
問題は、何も見つからなかった時だな。
何かが見つかった以上に大問題だ。
もちろん、サンプルは地表近くのものだろうから、深いところに何かがある可能性はある。
しかし、たった5mの穴を掘るのにも苦労しているわけだからな(インサイト)。
深さ何キロにも及ぶ掘削を、火星で行うことは不可能に近い。
莫大な金をかけて、そんな探査を行う意義はあるのか。
サンプルリターンで、生命の兆候が見つけられなければ、火星の、少なくとも無人探査は終止符を打たれる可能性すらある。
そんな大博打を、業界(NASAでもESAでも)が打つだろうか?。
浮沈子は、そのリスクを避けるために、回収を見送る選択肢は十分にあると考えている。
無人探査の息の根を止めるだけではない。
月の例を見れば分かるように、有人探査さえ打ち切られ、その後、半世紀以上も放置されている。
米国は、アルテミスミッションを急遽でっち上げたわけだが、今後の紆余曲折が心配だな。
まあ、どうでもいいんですが。
有人火星探査は、火星に生命の兆候があろうが無かろうが、関係なく行われるかもしれない。
いや、むしろ、月のように何もない方がいいという考え方もある。
良心の呵責を感じることなく、核爆弾でも何でも使ってテラフォーミングできるからな。
ゴキブリの移植も可能だ(放射線に強い蛋白源!?)。
しかし、まあ、順当に考えれば、少なくとも生命の兆候が見当たらなければ、科学探査は終わる。
火星に有用な資源があるとか、植民地としての価値があるとか、複数の惑星に分かれて住んだ方がいいとか、そういう話は、あくまでおとぎ話の世界だ。
少なくとも、今世紀中に実現するような話じゃない。
サンプルリターンで戻ってきた土壌を徹底調査して何も出なかった時、向こう半世紀、火星の探査打ち切りが決まるに違いないのだ(そうなのかあ?)。
有人宇宙ミッションにも留保がかかる。
同じ何もないなら、なぜ月ではダメで火星ならいいのか。
火星の方がデカいから?。
まあいい。
そろそろ、そういう話が出てくるかもしれない。
人類の地平をどこに置くか。
放射線や微小重力の問題を、どう解決するのか(遺伝子改変?)。
或いは、この地球の表面に留まって、この星と運命を共にするのか・・・。
全然関係ないんだが、英国ではEC離脱(ブレグジット)を巡って、政権が1つ吹っ飛んだ。
国論は真っ二つに割れ、妥協の余地はない。
宇宙開発についても、そういう事態にならないとは限らないからな。
地球外生命の兆候が火星に見いだせなかった時の影響を、今から考えておいた方がいいのかも知れない。
浮沈子は、どういう選択をするにしても、先送りなどしないで黒白ハッキリさせるべきだと考えている。
サンプルリターン、大いにやるべきだ。
何も出ない方に1票だがな。
そして、地質学的、惑星科学的探査を、かつて月がそうであったように、細々と続けるのがよろしい。
22世紀、地球人口が減少に転じ、温暖化による海面上昇で海岸近くの大都市の殆どが水没した後、植民地主義、拡張主義を唱える輩がどれだけいるかは知らない。
宇宙開発が、人類のステータスであるという概念が残っているかどうかも不明だ。
その頃には、メンテナンスされなくなったスターリンク衛星群は、全て地球大気で燃え尽きてしまってるに違いないしな。
宇宙空間には、20世紀後半から21世紀前半にかけて打ち上げられた宇宙ゴミが漂っているだけになっているかもしれない。
宇宙開発の終焉と、退縮し、種としての存続が危ぶまれる人類の危機。
たった1つの惑星の管理もできない種族が、他の惑星の不適応な環境で、何ができるというのか。
未来は暗澹たるものかもしれないな・・・。
(月の裏側とリュウグウ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/01/15/9025192
「火星にしたって、表面とかは余り面白くなさそうだけどな(それでも、火星サンプルリターンミッションは、宇宙探査の聖杯といわれている)。」
かつて書いた記事だが、その火星表面からのサンプルリターンについて記事が上がっていた。
(ESA計画の火星探査ミッションを動画で紹介。NASAと連携したサンプルリターンも)
https://sorae.info/030201/2019_5_28_exomars.html
「もう1つは、NASAと協力して進めることが予定されている、史上初の火星からのサンプルリターン(回収)ミッションです。」
記事に明記されているように、この計画はロザリンドフランクリン(探査機)とは関係のない話だ。
サンプルを採取するところは、米国が行う。
「「サンプルの採取と保管」は、エクソマーズ2020と同じ2020年7月に打ち上げが予定されているNASAの火星探査車「マーズ2020」が担当します。」
そのサンプルを運んで、別途送り込まれた打ち上げシステムのところまで運ぶのは欧州。
「マーズ2020が地表に残したサンプルの容器をESAのローバーが回収」
火星軌道までの打ち上げが米国。
「NASAが開発を主導する着陸プラットフォームから火星の周回軌道に向けて打ち上げる」
火星軌道から地球に戻すのが欧州。
「地表から打ち上げられたサンプルを火星の周回軌道上で回収し、地球と戻ります。回収されたサンプルは探査機が搭載している再突入カプセルに移し替えられ、地上へと帰還する」
ややっこしい。
しかも、実際に計画が進んでいるのは、サンプルを採取してカプセルに詰め込むマーズ2020だけ。
後は、まだ検討段階に過ぎない。
ひょっとしたら、マーズ2020が作ったカプセルは、回収されないまま火星に置き去りになる可能性もある。
浮沈子は、その可能性は大きいと考えている。
技術的に困難だからか?。
いや、たぶんやろうと思えばできるんだろうが、敢えてやらない選択を行う可能性がある。
理由は簡単だ。
火星に行く動機が無くなるから。
かつて、火星には海(湖?)があったとされている。
そこでは、生命が誕生し、育まれた可能性があるいう。
火星の土壌を持ち帰って、徹底的に調べれば、キュリオシティや、マーズ2020のような遠隔でチョロい検査機器を操作する必要はなく、最新の機器で直接サンプルを調べることが出来る。
生命の痕跡でも見つかれば、そりゃあ、大騒ぎになることは間違いない。
しかし・・・。
問題は、何も見つからなかった時だな。
何かが見つかった以上に大問題だ。
もちろん、サンプルは地表近くのものだろうから、深いところに何かがある可能性はある。
しかし、たった5mの穴を掘るのにも苦労しているわけだからな(インサイト)。
深さ何キロにも及ぶ掘削を、火星で行うことは不可能に近い。
莫大な金をかけて、そんな探査を行う意義はあるのか。
サンプルリターンで、生命の兆候が見つけられなければ、火星の、少なくとも無人探査は終止符を打たれる可能性すらある。
そんな大博打を、業界(NASAでもESAでも)が打つだろうか?。
浮沈子は、そのリスクを避けるために、回収を見送る選択肢は十分にあると考えている。
無人探査の息の根を止めるだけではない。
月の例を見れば分かるように、有人探査さえ打ち切られ、その後、半世紀以上も放置されている。
米国は、アルテミスミッションを急遽でっち上げたわけだが、今後の紆余曲折が心配だな。
まあ、どうでもいいんですが。
有人火星探査は、火星に生命の兆候があろうが無かろうが、関係なく行われるかもしれない。
いや、むしろ、月のように何もない方がいいという考え方もある。
良心の呵責を感じることなく、核爆弾でも何でも使ってテラフォーミングできるからな。
ゴキブリの移植も可能だ(放射線に強い蛋白源!?)。
しかし、まあ、順当に考えれば、少なくとも生命の兆候が見当たらなければ、科学探査は終わる。
火星に有用な資源があるとか、植民地としての価値があるとか、複数の惑星に分かれて住んだ方がいいとか、そういう話は、あくまでおとぎ話の世界だ。
少なくとも、今世紀中に実現するような話じゃない。
サンプルリターンで戻ってきた土壌を徹底調査して何も出なかった時、向こう半世紀、火星の探査打ち切りが決まるに違いないのだ(そうなのかあ?)。
有人宇宙ミッションにも留保がかかる。
同じ何もないなら、なぜ月ではダメで火星ならいいのか。
火星の方がデカいから?。
まあいい。
そろそろ、そういう話が出てくるかもしれない。
人類の地平をどこに置くか。
放射線や微小重力の問題を、どう解決するのか(遺伝子改変?)。
或いは、この地球の表面に留まって、この星と運命を共にするのか・・・。
全然関係ないんだが、英国ではEC離脱(ブレグジット)を巡って、政権が1つ吹っ飛んだ。
国論は真っ二つに割れ、妥協の余地はない。
宇宙開発についても、そういう事態にならないとは限らないからな。
地球外生命の兆候が火星に見いだせなかった時の影響を、今から考えておいた方がいいのかも知れない。
浮沈子は、どういう選択をするにしても、先送りなどしないで黒白ハッキリさせるべきだと考えている。
サンプルリターン、大いにやるべきだ。
何も出ない方に1票だがな。
そして、地質学的、惑星科学的探査を、かつて月がそうであったように、細々と続けるのがよろしい。
22世紀、地球人口が減少に転じ、温暖化による海面上昇で海岸近くの大都市の殆どが水没した後、植民地主義、拡張主義を唱える輩がどれだけいるかは知らない。
宇宙開発が、人類のステータスであるという概念が残っているかどうかも不明だ。
その頃には、メンテナンスされなくなったスターリンク衛星群は、全て地球大気で燃え尽きてしまってるに違いないしな。
宇宙空間には、20世紀後半から21世紀前半にかけて打ち上げられた宇宙ゴミが漂っているだけになっているかもしれない。
宇宙開発の終焉と、退縮し、種としての存続が危ぶまれる人類の危機。
たった1つの惑星の管理もできない種族が、他の惑星の不適応な環境で、何ができるというのか。
未来は暗澹たるものかもしれないな・・・。
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