「絶対に二度と運航してはならない」2019年06月08日 09:29

「絶対に二度と運航してはならない」


軟弱で、権威や時流に直ぐに迎合する浮沈子と異なり、20世紀の消費者運動の象徴である筋金入りの人物の発言だからな。

迫力が違う・・・。

(ボーイング737MAX、二度と運航してはならない-ネーダー氏)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-05/PSLTG36JTSEE01

「消費者問題活動家のラルフ・ネーダー氏は4日、墜落事故を起こしたボーイング737MAXについて、エンジンの大型化が設計上の不備だと指摘し、恒久的な運航停止を求めた。」

「絶対に二度と運航してはならない」

「ソフトウエアの問題ではなく、構造上の設計不備の問題だ。従来型の機体に対してエンジンが大き過ぎる」

「737MAXはゼロからの新機体設計ではなく、1960年代に導入した機体にまたも改良を加えたものだと指摘した。」

けだし正論だし、もしも、そんなことが可能なら、当然、低燃費の、しかし、デカいエンジンに見合った新設計の機体を導入すべきだろうが、浮沈子はそうはならないと見ている。

MCASが正常に作動する限り、改良された737MAXは安全で快適(特に、運航する航空会社にとって?)な機体だ。

正常に作動しなかったら?。

AoA(迎え角)センサーに鳥が当たったとかして、正常な値が得られないとかして、離陸後のフルパワーでの急上昇時、かつ旋回中にいきなりMCASがキャンセルされたらどうなるのか。

手練れのパイロットなら、MCASなしの素の737MAXを、トリムコントローラーを手動で弄るなりなんなりして、機首上げ失速を起こしやすい機体を見事にコントロールして安定した飛行に持ち込むことが出来るだろう。

新米の、せいぜい200時間くらいのコーパイ(副操縦士)が、慌てて変な操作をしなければ、乗員乗客が悲惨な目に合うことはない(たぶん)。

「昨年10月以降に起きた2件の墜落事故ではこのシステムでトラブルが発生。事故の犠牲者は346人に上り、この中にはネーダー氏の親族も含まれている。」

個人的恨みが影響を与えていると思いたくはないけどな。

737MAXの機体特性に疑問を抱き、その運航再開に絶対反対を唱える記事に出会ったのは初めてだな。

迎合ダイスキな浮沈子は、事故当初もFAAの発表を鵜呑みにし、その後の対応についても、時代の流れには逆らえないとして、容認する態度を取っている。

21世紀は、物理の神様の言うとおりに機械が設計されていた前世紀とは異なり、電気の力でメカをコントロールして、物理の神様にケンカを吹っ掛ける時代だ。

もう手放してしまったが、03ボクスターに付いていたスタビリティーマネージメントシステム(PSM)などは、その一つと言える。

(横滑り防止装置)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E6%BB%91%E3%82%8A%E9%98%B2%E6%AD%A2%E8%A3%85%E7%BD%AE

「PSM (Porsche Stability Management) - ポルシェ」

この流れは、安価に高性能を得ようとした場合には避けようがないのかもしれない。

材料が扱いやすくなって、その高度な物理特性を生かす新たな設計を得るより、既存の枯れた技術に電子の力でトッピングを施した方が、安価で手っ取り早いからな(そうなのかあ?)。

まあいい。

航空機ネタでは、こんなのもある。

(低燃費で長距離飛行可能なV字形航空機「Flying-V」)
https://gigazine.net/news/20190605-flying-v/

「左右どちらの尾翼もFlying-Vのもの。機首が「V」字の先端にあたり、機体後部は2つに分かれた構造となっています。」

「普通の航空機ならある、機体から左右に伸びた主翼もありません。その代わり、客室・貨物室・燃料タンクが機体内に統合されていて、優れた空力形状と軽量化により、エアバスのA350 XWBよりも20%も燃料効率を改善。」

宣伝効果抜群だが、単胴機のように、簡単にストレッチして大型化できるのかどうかは不明だし、高いところにあるエンジンの整備性も悪そうだな。

B-2などの全翼機との違いがよく分らないんだが、構造的に有利な形状とは言えない気がする。

「エアバスの最新世代旅客機A350 XWBとほぼ同じ数の乗客・貨物を積載可能でありながら、燃費が20%も改善」

飛翔体としての効率化の追求ではなく、経済効率の追求を最優先して出来た形と言えなくもない。

しかしながら、以下の動画を見て、模型が自然に飛んでいるのに驚いた。

(Flying V, Presentation at TU Berlin [video highlights])
https://vimeo.com/119263145

4分16秒辺りには、ストールテストのシーンがある。

機首を上げ、失速(翼が揚力を失う)し、真っ逆さまに降下する。

二度の事故を起こした737MAXの最後も、こんな状態だったんだろう・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

このV双胴機が、ものになるかどうかはわからない。

浮沈子的には、経済効率を出発点として、物理特性を合わせていく手法に不安を感じる。

飛行特性に回避し難い問題が見つかれば、そう、MCASみたいな仕掛けを施して、解決を図ろうとするに決まっている(経済最優先だからな)。

旅客機は金儲けのための道具だ。

それ以上でも以下でもない。

安全は、最終的には乗客が判断することになる。

許容範囲を超えて墜落を繰り返す旅客機には、誰も乗らなくなるからな。

実際には、航空会社が選択することになるだろうけどな。

双胴機といえば、ストラトローンチの記事が上がっている。

(ストラトローンチ事業終了の報道 巨大航空機からのロケット打ち上げ計画)
https://sorae.info/030201/2019_06_02_st.html

「ロイターは5月31日、空中からロケットを打ち上げる計画を進めてきた米ストラトローンチが事業を終了すると報道しています。」

記事の真偽は不明だが、ありそうな話だ。

浮沈子も、以前に書いた記事の中で懸念を表明した。

(ポールアレンの魂)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/04/14/9059740

「年に1回飛ぶかどうかというペガサスロケットを飛ばすためだけに、この航空機を維持していくというのはあまり現実的とは思えないな。
特殊な機体だし、エンジンも先行き不透明な747のを6発も使っている。
天候に左右されにくい、特殊な打ち上げ用途にしか使えない。
米軍は、ペガサスに代わる空中打ち上げシステム(XS-1)の開発に入っているからな。
活用されるとしても、それまでの繋ぎだ。
AFPの記事にもあるように、会社の存続さえ怪しい。
ひょっとしたら、初飛行でお終いになってしまうかもしれないからな。」

想定の範囲内の話だ。

それでも、やっぱ、なんとなく寂しい。

航空機からの打ち上げという関連では、バージンの話もある。

(ANAホールディングス、空中発射衛星打ち上げロケット企業ヴァージン・オービットと提携)
https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20190606-00129112/

「ボーイング747-400型機(愛称コズミック・ガール)から小型ロケットLauncher One(ランチャーワン)を空中発射」

「専用の打ち上げ射場を必要とする小型ロケットに対し、航空機からの空中発射であるランチャーワンは、既存の空港を利用した施設から打ち上げが可能で需要に合わせて柔軟に拠点の追加ができる。」

まあ、そろそろ引退に追い込まれそうな747を使うところがネックだが、既存の空港をそのまま使えるところがミソというわけだ。

運用としては、ペガサスと同じだからな(あっちは、トライスターだけど)。

同じ航空機からの打ち上げでも、ストラトローンチが離着陸できる空港は限られるだろうからな。

ブランソンが、ラウンチャーワンの母機を、ホワイトナイトツーではなく747にしたのは、ビジネス的には大正解だろう。

実際には、混雑しまくっている民間空港を、ロケット打ち上げに開放するかどうかという問題はあるけどな。

間違えて作っちまった、立派な(747が離着陸できるくらいの)地方空港を活用するしかないだろう。

或いは、軍用空港を開放してもらうとか。

秋山さんの記事では、いよいよISSを宇宙旅行に開放する話も出ている。

(国際宇宙ステーションで2020年から民間宇宙飛行士受け入れ NASA発表)
https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20190608-00129253/

「民間宇宙飛行士は、NASAがスペースX、ボーイングの2社と開発を進めている有人宇宙船に搭乗してISSへ向かう。」

これについては、別途書くつもりだが、肝心の「有人宇宙船」とやらが飛ばない限りは始まらない話だ。

旅客機と異なり、有人宇宙船のリスクは桁違いに高い。

MCASどころか、動的制御なしには一瞬たりとも飛行できない。

「二度と運航してはならない」とか言ってられないからな。

21世紀。

大変な時代になったものだ・・・。

(安全に対する利益?家族が答えを要求すると737マックス以上の火災でボーイングがクラッシュする:追加)
https://www.theguardian.com/business/2019/jun/17/boeing-737-max-ethiopian-airlines-crash

「最初のライオンエアの衝突後は何もしていません。2回目の後に何かをする必要があります。」

「3度目のクラッシュが発生することは望ましくありません」

「彼らは、経済的利益に導かれるのではなく、最高の安全性を備えた製造業者であることに戻る必要があります。」

誰もが、それを望んでいる。

経済的利益が正しくもたらされるためにも、ボーイングの真っ当な対応が今ほど求められている時はない。

それが機体の再設計なのか、ソフトウェアの書き換えなのかは分からない。

そして、それが正しく行われなかったとしたら、残念ながら3度目のクラッシュということになるのだ。

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