この道はいつか来た道と、心を過る一抹の不安2019年07月02日 20:06

この道はいつか来た道と、心を過る一抹の不安


(NASA、大型ロケット「SLS」の2020年打ち上げ方針は変わらず)
https://sorae.info/030201/2019_06_03_sls.html

「「スペース・ローンチ・システム(SLS)」の初打ち上げを2020年に実施するスケジュールは、依然として変更されていない」

(「スペース・ローンチ・システム(SLS)」の初打ち上げを2020年に実施するスケジュールは、依然として変更されていない:標題から自動翻訳のまま:以下同じ:元記事)
https://www.space.com/nasa-still-aiming-for-2020-first-sls-launch.html

「航空宇宙安全諮問委員会の委員長であるPatricia Saunders 氏は、4月25日の委員会で、「安全な操業を確保するために必要な、本格的な統合推進システムの重要な運転データを集める他の試験方法はない」と述べた。」

この記事は、以下のような延期報道を踏まえていると思われる。

(NASAの将来の月面ロケットはおそらくまた遅れて予算を超過するでしょう。)
https://www.theverge.com/2019/6/19/18691230/nasa-space-launch-system-orion-artemis-moon-human-exploration

「SLSが2021年6月という遅くに初めて飛行する可能性があります。」

この遅延(まだ、決定じゃないけど)が、米国の月面着陸計画のスケジュールに、どれ程の影響があるのかは知らない。

NASAは、従来必要とされてきた統合テストである「フルグリーンランテスト」の代わりに、スペースXのファルコンシリーズが行っているような、発射台における短時間の噴射試験で済まそうとしている(そうなのかあ?)。

「SLSコアステージの元請業者であるボーイングが今年の終わりまでにステージを完成させてステニスに出荷することができれば、2020年6月末までにコアステージはKSCに行くことができるでしょう。」

こっちの方こそ、有り得ない話だな・・・。

既に、ボーイングやロッキードマーチンに対しては、何度も札びらで顔をひっぱたいているしな。

必要な手順を端折り、政治日程に迎合しようとして重大事故を招いた実績(!)があるNASAは、その組織上の問題などから、再び同じ道を歩もうとしているのかもしれない。

(いやーな予感)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/02/26/8376285

「チャレンジャー号の事故の後、NASAでは幾つか顕著な改革がなされたが、多くの評論家はNASAの管理構造と組織文化における変化は深いものでも長続きするものでもないと評した。」

そしてコロンビア号の事故が起こるが、その際問題にされたのが、今回苦言を呈している航空宇宙安全諮問委員会(ASAP)なわけだな。

(NASAは主要なSLSテストを保持するよう求めた)
https://spacenews.com/nasa-urged-to-retain-key-sls-test/

「マーシャル宇宙飛行センターで4月25日に開催された宇宙航空安全諮問委員会(ASAP)の会議で、メンバーは宇宙飛行士の乗務員の運搬に安全であることを保証するためのいくつかのマイルストーンの1つとしてグリーンランテストを実施することを勧めました。」

浮沈子的には、今回は真っ当な助言をしていると感じるんだがな。

もちろん、初飛行は無人で行われる。

仮に、何か隠れた瑕疵があったとしても、事前の個別テストや短時間の噴射と合わせ、その際のデータを解析して対応することは可能なのかもしれない。

しかしながら、巨大技術の検証というのは、それ自体がそもそも可能なのかということもある。

宇宙ロケットなんて、どこまでやっても、完璧にテストすることなどできはしない。

絡んでいるのがボーイングだし。

737MAXの対応をみれば、金儲けのためのコストダウンや、それを糊塗する営業トークは得意だからな・・・。

(737MAXの欠陥ソフトウエアは低賃金、大学を出たばかりの臨時社員が開発:追加)
https://www.businessinsider.jp/post-193842

「当社の最優先課題は、常に当社の製品とサービスが安全なものであり、最高の品質を持ち、適用されるすべての規制に準拠していること」

そんじゃあ、なぜ飛行機が落っこちるんだあ?。

どうやら、司法省は737MAXのみならず、火を噴くバッテリーを搭載したまま飛んでいる787も気になっているらしい。

(DOJプローブは787 Dreamlinerを含むBoeing 737 MAXを超えて拡張:追加)
https://www.seattletimes.com/business/boeing-aerospace/federal-prosecutors-issue-subpoena-for-boeing-787-dreamliner-records/

「連邦検察官はボーイングからサウスカロライナの787 Dreamlinerの生産に関する記録を召喚した。」

「飛行機を顧客に配達する際の遅れを避けるために不完全な作業を承認する圧力が含まれる可能性がある」

まあ、どうでもいいんですが。

政府機関であるNASA自体が、政治的圧力に晒されるのは当然としても、下請け企業も同じ穴の狢じゃあな・・・。

ここは、政権のメンツなんて思いっきりぶっ潰して、10年くらい遅れてでも、より確実で安全な道を歩むべきだろう。

その頃になれば、中国とかインドが月面着陸に乗り出しているだろうけど・・・。

既にライバルだったロシアは撤退し、月周回ステーションのモジュールを提供できるかどうかも怪しい。

10年遅れたって、米国の優位は揺るがないだろう。

元の計画が2028年だったわけだからな。

数年遅れは当たり前の宇宙開発だ。

2020年代に初飛行できれば、誰も咎めたりはしないだろう(そうなのかあ?)。

どーせ、身内であるスペースXのBFR(スターシップ+スーパーヘビー)との競合になるのだ。

どちらも、10年くらいのスパンで見た方が無難だな(どちらも、2年先には飛ばすと言ってるけど)。

まあ、何事もなく開発が順調に進んだとしての話だ。

SLSは、根本的な問題を抱えて、結局飛ばずに頓挫する可能性すらある(そんなあ!)。

再使用型ロケットのエンジンを使い捨てにするという、いわば後ろ向きの開発を行ったにもかかわらず、ここまで長引いたわけだからな。

固体燃料ロケットのブースターにしても、アレス1の開発には失敗しているわけだしな(開発を途中でやめただけじゃね?)。

ブースターとロケット本体が結合された状態でどんなことになるかは、やってみなければ誰にもわからない。

せめて、液体燃料系の統合テストを完璧に行い、問題点を可能な限り潰しておかなければ、史上最大出力のロケットシステムを本番に供することなどできないと考えるのがふつーだ。

まして、有人宇宙船を上げるわけだからな。

「オリオンの作品は予定よりも「五十数日」遅れているという。「私たちは、そのうちのいくつかを回復できるかどうかを確認するために取り組んでいます。」」

おいおい、こっちもテストを端折るつもりなのかあ?。

スペースXのクルードラゴンがテストベッドで木っ端みじんに吹き飛んだのは、ついこの間じゃなかったっけえ?。

まあいい。

この際、1年や2年の遅れは問題にならないだろう。

チャレンジャー号、コロンビア号に続いて、SLS絡みで死者を出すようなことがあれば、米国の宇宙開発史に取り返しのつかない汚点を残すことになる。

学習能力ゼロと言われても仕方ない(そもそも、学習する気があるのかどうか・・・)。

無人の打ち上げに成功したとしても、それは、隠れた瑕疵がたまたま表面化しなかっただけなのかもしれないしな。

有人宇宙船の打ち上げの際に表面化することにでもなれば、無人の打ち上げをフルグリーンランテストの代わりにするというのは無謀だ(通常、テストの方が、実際の打ち上げの時よりも過酷な条件を与えるしな)。

事前にやれることは、全てやっておくに越したことはない。

SLSは、それでなくてもスペースシャトルの部品を繋ぎ合わせて作ろうとしている。

筋が悪いロケットだからな。

基本設計は、1970年代だ。

どんな技術も、正しく運用されなければ、所期の結果を得ることはできない。

いつか来た道を辿ることがないよう、外野からヒヤヒヤしながら見守るしかないわけだがな・・・。

(NASAの長寿命のORIONテストプログラムにおけるAA-2テストの次のステップ:追加)
https://www.spaceflightinsider.com/missions/human-spaceflight/aa-2-test-next-step-in-nasas-long-lived-orion-testing-program/

「打ち切りシーケンスがトリガーされ、ミリ秒以内に打ち切りモーターが発射され、乗組員モジュールをロケットから引き離しました。姿勢制御モーターがカプセルをひっくり返して適切な向きにした後、投棄モーターが作動し、大西洋での飛び降り用のクルーモジュールを解放しました。」

動的アボートテストは成功したみたいだな・・・。

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