MINERVA-II2の遺影(画像クレジット:JAXA、千葉工大、東京大、高知大、立教大、名古屋大、明治大、会津大、産総研)2019年10月05日 22:28

MINERVA-II2の遺影(画像クレジット:JAXA、千葉工大、東京大、高知大、立教大、名古屋大、明治大、会津大、産総研)
MINERVA-II2の遺影(画像クレジット:JAXA、千葉工大、東京大、高知大、立教大、名古屋大、明治大、会津大、産総研)


ミネルバ2-2(MINERVA-II2:JAXA表記)については、昨年11月に正体がバレてから(稼働しない事が分かっているのに、重りとして搭載した)、何回か記事にしている。

(いまさら何だよ!?ミネルバ2-2)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/11/10/8995264

「余分な重りを抱えたまま帰ってくるよりは、燃料の節約にもなるだろうから、ゴミはさっさと捨ててしまうのがよろしい。」

(100点満点で1000点と大甘の採点の陰に隠れたミネルバ2-2はどーしてくれる?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/07/12/9127525

「もし、投下の際にうまく起動して、何らかの成果を出すことが出来れば、100点満点で10点くらいはあげてもいい。」

「今のままでは、0点だな。」

(名古屋行き以降の爆食を猛反省して、63.1kg(最大瞬間体重から4.8kg減!)まで戻すも、いい気になって再び爆食の予感が漂う今宵)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/08/28/9146728

「はやぶさ2の唯一の欠陥ローバーであるミネルバ2-2(ローバー2)が、重りとして投下され、重力の測定に使用されることが報じられている。」

この後、先月下旬には、そのミッション(?)の詳細が報じられている。

(はやぶさ2で未投下のMINERVA-II2ローバー、重力場の推定で活用へ)
https://news.mynavi.jp/article/20190826-883543/

「そこで、プロジェクトチームは、有意義な成果を得るための新たな計画を作成した。比較的高い高度(1km)で分離し、リュウグウを周回させてから落下することで、重力場の推定を行うという。」

「そのためのリハーサルとして、9月5日には、同様の運用にて、2個のターゲットマーカーの分離を行う。1個目は東方向、2個目は北方向に速度を持たせて分離、それぞれ赤道方向、極方向を周回させる計画。同11日ころまでに落下すると見られているが、その周回する軌道を探査機から観測する。」

リアクションホイールの故障で、若干延期されたようだが、余ったターゲットマーカーの分離、撮影にも成功したようだな。

「ローバー分離運用のリハーサルとして、JAXAは9月12日より、ターゲットマーカーの分離運用を行った。高度1kmにて、2個のターゲットマーカーを、東向きと北向きに分離(水平方向の速度はどちらも秒速12cm)。高度20kmのホームポジションから、周回中のターゲットマーカーを撮影することに成功したという。」

やれやれ・・・。

で、どうやら、本命(?)ミネルバ2-2の分離にも成功、撮影画像が送られてきたようだ。

(【MINERVA-II2】MINERVA-II-2が分離されたことを、本日(10/3)、01:38 JSTに確認しました。分離時刻は、00:57 JST(探査機時刻)です。探査機の状態は正常です。)
https://twitter.com/haya2_jaxa/status/1179440053421932544?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3Ahaya2_jaxa%7Ctwcon%5Etimelinechrome&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.hayabusa2.jaxa.jp%2Fgalleries%2Fonc%2Fnav20191002%2F

(【MINERVA-II2】分離直後に広角の光学航法カメラ(ONC-W2)で撮影したMINERVA-II2です。MINERVA-II2からの電波も受信しています。(画像クレジット:JAXA、千葉工大、東京大、高知大、立教大、名古屋大、明治大、会津大、産総研))
https://twitter.com/haya2_jaxa/status/1179450948931842048/photo/1?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3Ahaya2_jaxa&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.hayabusa2.jaxa.jp%2Fgalleries%2Fonc%2Fnav20191002%2F

「MINERVA-II2からの電波も受信しています。」

これは、元から確認されていた応答信号(通称:ピン)のことなのか、それとも通信系の機能が復活したということなのかは未確認だ。

単なるゴミ捨てに過ぎない分離投下だが、転んでもただでは起きないしぶとい運用が泣ける(!)。

浮沈子は、この画像がミネルバ2-2の遺影に見えて仕方がない。

上下方向には、ややノイズが乗っているしな。

この画像を思い出したりして、ちょっとウルっとしてしまいそうだ。

(拍手)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/12/09/7942943

記事は、あかつきの軌道投入の際のものだが、引用の大部分は初代はやぶさの帰還のストーリーだ。

「画像は、浮沈子が最も美しいと感じる地球の写真。
そう、はやぶさが、最後に撮ったものである。
撮影日時は2010年6月13日、22時02分頃。」

初代はやぶさが撮影した画像は、探査機自体が最後に見た地球の姿ということで、深く印象に残っている。

「この50分後、はやぶさは流れ星となって、地球に帰還した・・・。」

今回の画像は、結局重りに過ぎなくなってしまった探査用ローバーの、最後の画像の1枚だ。

撮影自体は、落下までの数日間(5日±数日)に何百枚も行われるだろう(未確認)。

しかし、切り離した直後の画像(お世辞にも鮮明とは言えないけどな)は、たぶん、これで最後だろう。

遺影みたいなもんだからな。

遺影ってのは、アルバムの中の昔の写真を引き伸ばしたりして作るからな。

白黒でピンボケと相場が決まっている(そうなのかあ?)。

最近は、合成で色付けたりすることも出来るようだ。

まあ、どうでもいいんですが。

生まれることなく消えていく命もある。

十分とは言えないかもしれないが、何らかの役に立って生涯を終えることができるなら、それはそれで幸せな一生と言えるのかもしれない。

重力場測定や微小重力天体への軌道放出とか、単なる「廃棄」じゃない役割を与えた研究者や技術者達の親心を感じる(そうかあ?)。

まあいい。

ターゲットマーカーを含め、余分な重りを捨て、身軽になったはやぶさ2は、今後、地球への帰還軌道に移る。

イブーとかアウルとか名付けられたミネルバ2-1(A、B)やマスコット、投下された5個のターゲットマーカーたちと共に、ミネルバ2-2は彼の地に残される。

はやぶさ2が徐々に遠ざかり、その光学センサーがリュウグウの姿を捉えられなくなるころ、どこからともなく音楽が聞こえてくる・・・。

(It's a Small World)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/09/22/8963773

「ここは、人類がまだ見ぬ別世界だ。
朝日が報じたこの写真を見た時、浮沈子の頭に浮かんだのはこの曲・・・。」

「ディズニーは「人種や性別、国籍、言語の違いがあっても子供達は何のしがらみもなくすぐに友達になれ、ケンカしても泣いて笑ってすぐに仲直りしてしまう。まさしくこれが平和の世界ではないか」と考え、「「平和な世界」とは「子供たちの世界」ではないか」と考えた末に、アトラクションのテーマが決定した。」

4台のローバーと、5個のターゲットマーカーだけの世界(おっと、クレーター作った砲弾(インパクター)もあったか)。

やがて、リュウグウの上には、各辺の比が1:4:9の直方体が現れ、天空にはツァラトゥストラはかく語りきの荘厳なシンフォニーが鳴り響くに違いない(真空ですから、音はしません)。

リュウグウに残されたアイテムたちには、地球上の微生物が大量に付着していることを忘れてはいけない。

真空だろうが、放射線がバシバシ降り注ごうが、低重力だろうが関係ない。

それらのいくばくかは、地中に潜り込み、厳しい宇宙空間で生き延び、数十億年掛けて宇宙生命へと進化していく・・・。

やがて、ふるさと地球の生命が死に絶え、太陽の重力からも解き放たれた小惑星リュウグウは、惑星間航行の旅に出発する・・・。

時は流れ、とある恒星系の重力に捕獲されたリュウグウは、その惑星の知的生命体によって探索される。

もう、大騒ぎだな。

最も不可解なのは、宇宙生命へと進化した微生物でもなく、投下時には正常に稼働していたランダーでも、何の機能も持たないターゲットマーカーでもない。

複雑な構造を有し、初歩的な駆動機構を備えながら、制御機構のバグのために動けなくなっている1台の機械(我らがミネルバ2-2のこと)。

この機械を作った者たちは、いったい何をしようとしていたのか。

議論百出、収拾がつかない。

そこに、ある仮説を提唱してきたその惑星の大学教授がいた。

ひょっとしたら、初めから動かないと分かっていながら、バランスウエイトとして搭載されたのではないのか。

なぜなら、他の小さい円筒形の機械(イブーとアウル)の質量を足し合わせると、同じになるからな。

折しも、その惑星でも宇宙探査が盛んにおこなわれていて、似たような話が出たことがあるらしい・・・。

洋の東西どころか、星系が異なろうが、時代が十億年単位でずれようが、知的生命体が考えることは同じだったりするわけだ。

ったく・・・。

ミネルバ2-2については1年近く気を揉んだが、とりあえず分離(廃棄?)には成功した。

工学的にはともかく、科学的成果が得られたかどうかは、今後の解析を待たなければならない。

それよりも何よりも、収拾されたリュウグウのサンプルを早く持ち帰ってもらいたいもんだな。

無事に回収できれば、地球上の最先端の分析施設で弄繰り回して、太陽系の起源に迫ることができる(ことになっているらしい)。

はやぶさ2のミッションは、とりあえず一段落した。

帰還の途中でリアクションホイールが壊れたり、イオンエンジンが動かなくなったりしても慌てることはない。

初代はやぶさは、リアクションホイール1個だけで帰還したしな。

イオンエンジンも、生き残った部品を繋ぎ合わせて融通しながら何とか持たせた。

本体は、地球大気の中で流れ星になっちまったけどな。

今回は、帰還カプセルを分離したら、再び宇宙空間に戻して、他の天体を目指す可能性もある。

燃料がどの程度残っているかにもよるらしいが、欲をかかずに、基本ミッションの完遂を第一に考えて欲しいもんだな・・・。

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