「米国の良心」に触れる記事を読んでカタルシスを感じるも、軍隊が疲弊している状況に愕然2019年10月10日 22:32

「米国の良心」に触れる記事を読んでカタルシスを感じるも、軍隊が疲弊している状況に愕然
「米国の良心」に触れる記事を読んでカタルシスを感じるも、軍隊が疲弊している状況に愕然


米国製のヘリ(つーか、その落下物?)については、このブログでも記事にしている。

(何のカバー?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/12/08/8744657

「ネットで調べてみたら、ヘリコプターのローターの付け根近くにある安全監視システム(IBIS)のカバーらしいことが分かった。」

(自衛隊関係者)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/12/08/8745026

「自衛隊機でも、死亡事故を起こしている。
「1995年6月6日、相模湾で掃海訓練中の海上自衛隊所属MH-53E(8626号機)の機体内で火災が発生、不時着水後に水没し、搭乗員8名が死亡した」」

今回、ヤフーの特集記事を読んだんだが、この事故には触れてなかったな。

(米軍ヘリ「53E」はなぜ墜落したのか? 真相に迫るアメリカの調査報道)
https://news.yahoo.co.jp/feature/1454

「輸送ヘリ「53E」は、全長約30メートル、重量31.7トン。兵士なら55人、貨物なら14.5トンを積載できる。海兵隊所属は「CHスーパースタリオン」、海軍所属は「MHシードラゴン」と呼称は異なるが、いずれも同型機だ。運用は約40年前の1981年から始まり、今も世界中で運用されている。」

「米軍で最も大きなこのヘリは、米軍にとって「死亡事故最多ヘリ」でもある。事故の実態はどうなっているのか。なぜ、事故が続くのか。」

「取材は、ドキュメンタリー映画プロジェクトとして進められ、作品『Who Killed Lt. Van Dorn?(ヴァンドーン大尉を殺したのは誰?)』が昨年10月に公開された。上映は今も全米で続いている。」

「取材で明らかになったのは、53Eヘリの墜落事故は防ぐことができたということ。それなのに、米軍は問題を知りつつ、対応を怠ってきたということです」

(Who Killed Lt Van Dorn Trailer)
https://www.youtube.com/watch?v=_d41jMSqcE4

「29歳の米国海軍士官学校卒業生であり、2人の若い息子の既婚の父親であるウェスヴァンドーン中Lは、彼が操縦していたヘリコプターが2014年の訓練演習中にバージニア沖でoff落したときに死亡しました。 彼女の悲しみに動機付けられて、彼の妻ニコールは災害の原因について説明を求めました。 彼女の努力は、53Eヘリコプター周辺の過失と制度的欠陥の長い歴史を明らかにした調査に拍車をかけました。モデルのヴァンドーンは、彼が殺されたときに操縦していました。 ヴァンドーンの同僚や家族への鋭い報告とインタビューを通して、誰がヴァンドーン中tを殺したのか? は、ある家族の悲劇の悲劇的な写真であると同時に、アメリカの防衛施設の暗い内部作業に対する啓示的な調査でもあります。」(映像解説:自動翻訳のまま)

記事の後半で明らかになるのは、衝撃的な事実だ。

「大尉の死亡事故に関する海軍の内部文書だ。そこには「出火元はナイロン製バンド」と明記されていた。」

「内部文書によると、飛行中の揺れによる摩擦によって、黒いバンドがワイヤーを保護する被覆を破った。さらに、バンドは燃料パイプに微小の穴を開け、空気中に燃料が漏出。むき出しになったワイヤーからの火花が引火、爆発した。キャビンは炎に覆い尽くされ、出火からたった15秒で機体は海面に墜落したという。」

配線の被膜に使用されているカプトン(ポリイミド製品の商品名)については、以前にも調べた(イカロスの帆に使用されている)。

(ポリイミド)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%89

「工業的に実用化されたのは1965年、米国のデュポン社がポリイミドフィルムの商品名カプトンを上市したのが最初である。」

今回問題になったカプトン・ワイヤーが爆発するという話は、よく分からないな。

機械的強度も高いし、耐熱性にも優れるんだがな。

まあいい。

ここまではよくある話で、浮沈子も想定していたんだが、問題はこの後だな。

「実は、カプトン・ワイヤーの問題については、海軍も気付いており、運用開始から間もない1987年にはこれの使用中止を決めている。」

「ところが、使用中止は、新たに製造される機体のみが対象とされ、カプトン・ワイヤーを使用している既存の151機には適用されなかった。」

「53Eを製造したシコルスキー・エアクラフト社は海軍に対し、30年以上も前から再三、問題のワイヤーを別の物に交換すべきだと提言していたのである。ところが、海軍はこれを拒否。1998年に3度目の提言が行われてから、ようやく「検討する」との対応に変わった。」

「『53Eは金食い虫だ』と言ったんです。53Eはやがて引退する。ワイヤーの交換に多額の修理費を充てるなら、他に使い道があると」

「世界最大の軍事予算をもつ米軍は、最新の兵器や戦闘機の開発に湯水のごとく予算を投じ、その陰で安全確保のための修理費は削られてきた、と取材チームは指摘する。」

「米国には、米軍を尊敬、賛美する文化があり、米軍や米兵たちを特別な社会的地位に押し上げてきました。一方で、米軍は批判対象から外されてきた。でも、軍の内側を見ると、組織の中で苦しみ、声を上げながら潰されてきた兵士たちがいました。彼らは、僕らと同じ人間です。今回の調査報道ドキュメンタリー映画は、米軍の組織改善のために必要な、健全な批判です」

53Eは引退すると言われ続けながら、少なくとも2030年代まで使われ続ける。

「53Eの使用を海兵隊は2032年まで続ける。海軍では使用中止の見通しは立っていない。」

後継機(53K)の開発が遅れているためだ。

米軍は疲弊している。

技術的にも、組織的にも。

多額の予算をつぎ込んでも、現場に必要な支援は届かない。

(米軍事費、7年ぶりに増加 トランプ政権を反映)
https://www.afpbb.com/articles/-/3223035

「米国が単独で占める6490億ドル(約72兆円)の軍事支出は、米国に続く上位8位までの国々の合計額に匹敵する。」

まあ、米ドル換算での比較だろうから、必ずしも実態を反映しているとは限らないしな。

「2016年以降、軍事費を縮小させているロシアは、上位5か国から外れた。ウクライナ危機を理由に2014年以降、欧米諸国がロシアに対して発動している経済制裁が、ロシアの軍事予算に影響を及ぼしている。」

ルーブルの下落を見込んで再計算する必要がある。

米国は、むちゃくちゃなことを平気で行う未成熟な国家だ。

それが、20世紀以降の世界を蹂躙し、翻弄し、混迷に陥れている。

その一方で、今回の記事に見られるような優れたジャーナリズムが健全に存在している。

普天間では、その後、ヘリの窓が窓枠ごと落下するという、信じられない事態も発生している。

(普天間第二小学校の校庭に落下した…)
https://www.jiji.com/jc/d4?p=fal016-jpp025714389&d=d4_zz

「普天間第二小学校の校庭に落下した米海兵隊CH53E大型輸送ヘリコプターの窓枠=2017年12月13日」

記事を検索していたら、今年の夏にも窓(枠なし)が落下した話があったようだ。

(普天間所属米軍機から海上に窓落下、来月4日まで飛行停止)
https://www.sankei.com/politics/news/190830/plt1908300018-n1.html

「海兵隊CH53大型輸送ヘリコプターが27日午後5時半ごろ、同県約8キロの沖にプラスチック製の窓(重さ1キロ)を落下させていたことが分かった。」

「安全管理の徹底や、原因究明と詳細な結果報告も求めた。」

おざなりな当局の対応と、おざなりな報道。

まあ、当局の対応は仕方ないとしても、報道自体が疲弊していてどーする!?。

健全な軍隊は、健全なジャーナリズムからだな(そうなのかあ?)。

自国の兵士の損耗さえ気にしない軍上層部が、外国に駐留する軍隊が起こすトラブルに気を回すゆとりはないだろう。

(沖縄の保育園・小学校に米軍ヘリ部品落下であわや大惨事も、百田尚樹とネトウヨが「自作自演」「捏造」と攻撃!)
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_3654/

「1965年には読谷村で米軍が訓練中に吊り下げたトレーラーが落下し、11歳の女児が圧死するという痛ましい事故も起こっている。」

(1965年6月11日 読谷村で米軍のトレーラーが落下し小学生死亡)
https://www.archives.pref.okinawa.jp/news/that_day/4861

「1965年(昭和40)6月11日、旧読谷飛行場で行われていた米軍の戦場物資パラシュート投下訓練中に、重さ2トン半のトレーラーが読谷村親志の民家そばに落下しました。旧読谷飛行場と民家はわずか500メートルの距離にあり、小学校5年生の女の子が鉄板に載ったトレーラーの下敷きとなって死亡しました。当時、沖縄ではベトナム戦争の激化とともに演習も増えて事故が多発しており、パラシュート投下訓練によって死者が出る最悪の事態となりました。」

おっと、返還前だからな。

外国とは言えないだろう?。

もし仮に米朝戦争が起こるような事態になれば、同様の悲劇が繰り返されることになるかもしれない。

平時の現在でも、放射線防御用キャップや窓枠付き窓、窓枠無し窓、ヘリ本体が空から降ってくるわけだからな。

しかも、それらの原因については、軍隊自体が内部でしっかりした対策を取っていないことは、ヤフーの記事を読めば明らかだ。

疲弊した軍隊を持つ国家は、やがて滅びる。

いや、やがて滅びる国家だから、健全な軍隊を維持できなくなる。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子が若い頃、ワシントンのアーリントン墓地を訪ねたことがある。

(アーリントン国立墓地)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%A2%93%E5%9C%B0

ちょうど、誰かの墓に献花するところで、居合わせた人々は直立不動で手を胸に当てていた。

「米国には、米軍を尊敬、賛美する文化があり、米軍や米兵たちを特別な社会的地位に押し上げてきました。」

ヤフーの記事のこのくだりを読んだ時、腑に落ちるものがあった。

また、映画「インサイダー」のことも出てくる。

「創設者のローウェル・バーグマン名誉教授は、米国のタバコ産業の不正を暴いた調査報道ジャーナリストとして、映画『インサイダー』のモデルになった人物だ。」

(インサイダー (映画))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

「しかし、CBSの上層部はタバコ産業との訴訟を恐れ、ワイガンドのインタビューをカットして放送する事を決定、バーグマンも『60 Minutes』を降ろされてしまう。」

同じ系統の話としては、ペリカン文書とかもあったし、最近の映画ではザ・ポストもそうだったな。

(ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書:原題:The Post)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BA/%E6%9C%80%E9%AB%98%E6%A9%9F%E5%AF%86%E6%96%87%E6%9B%B8

トランプ大統領の弾劾が話題だが、大統領の陰謀と言えば、ウォーターゲート事件を忘れるわけにはいかない。

また、我が国では田中角栄の話もある。

しかし、残念なことに、これらは例外に近いのかもしれない。

ジャーナリズムの健全性をアピールする映画が繁盛するというのも、情けない話だ。

久しぶりに、ネット記事を読んでカタルシスを感じたわけだが、それ以上に米軍の疲弊した状況に危機感を覚える。

組織は人間が作り、人間は組織によって鍛えられる。

その連鎖が途切れれば、人間も組織も共に腐る。

内部に是正する仕組みを導入して、自浄作用を働かせようとするが、それが上手くいくとは限らない。

一蓮托生で、もみ消されることだってある。

誰かが、どこかで、しっかりと目を光らせ、秘密のベールを引きちぎり、全てを白日の下に晒していかなければならない。

関電の話もあるしな。

いろいろ考えさせられることが多い記事だった。

そろそろ寝ないとな。

明日は、久しぶりに機中の人になるわけだからな・・・。

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