再開への圧力でいつか来た道を辿らないとは限らないB社への懸念2019年10月28日 09:33

再開への圧力でいつか来た道を辿らないとは限らないB社への懸念
再開への圧力でいつか来た道を辿らないとは限らないB社への懸念


ボーイング737MAXの事故について、しつこく追いかけている(たまにググる程度ですが)。

一連の報道を見ていると、エアバスの攻勢に対抗する必要から、省燃費への早期対応を迫られ、エンジン搭載位置の変更によるMCASの導入に焦り、生煮えのままリリースした状況が浮き彫りになってきている。

やれやれ・・・。

社内では、懸念する声も上がっていたようだが、技術者の良心はビジネス(=金儲け)優先の大合唱にかき消されたようだ。

まあ、しかし、ありがちなパターンでもある。

まずいことに、米国の規制当局(FAA)は、この時期に型式認定の作業の大部分をメーカーに丸投げし、実質的な評価を行っていなかったことも明らかになっている。

つまりは、メーカー内部の匙加減でどうにでもなる状況が生まれていたことになる。

やっば!。

実際、どうにでもなっちまったしな・・・。

メーカーが適当こいても、規制当局が十全に機能していたら、こういう事態にはならなかった。

つーか、規制当局が公的部門の経費削減や効率化などで骨抜きになることを見透かしたメーカーの意図的対応と言えなくもない。

犯罪的な状況だったわけだ。

それは、過去形なのかな?。

浮沈子が今懸念しているのは、再開への圧力の中で、同じことが繰り返されようとしているのではないかという点だ。

常識的に考えれば、静的不安定性をもつ現行の設計を抜本的に見直し、MCASなしでも機首上げ失速しない機体を再設計して仕切り直すのが順当だ。

リリースした機体は、全てスクラップにするか、部品取りに回すしかない。

開発には時間が掛かるだろうから、その間は燃費が悪い737-800などのNGシリーズを作ることになる。

もちろん、ランニングコストは高くなるから、キャリアはいやがるだろうが、それは仕方ない。

エアバスのウエイティングリストは、6年先まで埋まっているらしいから、シェアが急激に逆転することはないだろうが、その間に再設計が完了し、まともな審査を受け、生産体制を確立し、ラインを軌道に戻すことに失敗すれば、米国の短距離航空機戦略は危機に瀕することになる。

また、その間の技術的乖離は、取り戻すのに長い時間が掛かるに違いない。

エアバスだって、何があるか分からないしな。

ざまあみろとはいわないが、他山の石として厳粛に受け止めているに違いないのだ。

実際の話は、抜本的再設計ではなく、クソなMCASの改良に留まる。

機種転換訓練(移行訓練)も最小限のままだ。

ロイター(ニューズウイーク掲載)の記事が気になる。

(ボーイング、737MAX関連メールの当局提出遅らせた? 失速防止機能の問題巡り)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/737max-8.php

「FAAは18日、ボーイングが前日に「数カ月前」に把握したメッセージを提出したと説明。737MAXが初めて認証された2016年時のFAAとのやり取りが記されているという。」

この件には、いくつもの問題点がある。

2016年当時、現場の声を握りつぶした点、司法省に先に提出し、当初はFAAには知らせなかった点、把握してから、少なくとも4か月間(ホントかあ?)FAAには秘密にしていた点などなど。

司法省に先に知らせた点については、司法捜査との関係で説明されているが、FAAとの信頼関係が危うくなっている証拠かもしれない。

4か月前に初めて知ったという話は、どう考えても眉唾だが、それが本当なら新たな懸念が生じる。

B社は、今も、そしてひょっとしたら今後も、2016年当時と同じく、或いはそれ以上にFAAを欺こうとしているのではないか。

費用の最小化と収益最大化の追求が唯一無二の価値となり、製造する航空機は単に収益を上げるための道具になる・・・。

安全性に責任を持つのは規制当局で、メーカーではなく、規制当局を上手く騙しおおせたなら、メーカーの勝ちだ(そうなのかあ?)。

その規制当局に対して、政治的圧力を掛けたり、業務の効率化を理由に経費削減させたりするのも得意だ(そんなあ!)。

もちろん、杜撰な開発で認定された飛行機が落ちまくれば、信用は地に落ち、B社の飛行機を買う者はいなくなるから、めちゃくちゃないい加減さを貫くわけにはいかない。

ギリギリの緊張関係の中で、許容できるリスクを計算して商売していく。

そこは、保険会社や株式市場も目を光らせることになるから、長期的、複合的視点からは、安全は構造的に担保されているともいえる。

しかしだ、B社の株主でもなく、乗客として旅客機に乗る身としては、そういう間接的、経済的な仕組みだけで安全を担保するというのは納得いかない。

737MAXの件は、ボーイングの基本的経営姿勢が重大事故につながった事例として、長く記憶されることになるだろう。

確認しておこう。

浮沈子の見るところ、ボーイングは今も、そしてこれからも、誠実さの仮面を被りながら、内心では規制当局を欺き、出し抜こうと画策し続けるに違いない。

B社の価値の核心は、安全などではなく増収増益、株価の上昇、旅客機シェアの拡大、エトセエトセだ。

そして、残念なことに、エアバスもまた、同じ穴の狢に違いないということだ。

旅客機に乗る以上、この両社を避けて通ることはできない。

浮沈子は自家用ジェット、持ってないからな(ビンボーなんで・・・)。

最悪な話、姑息な手段を使って、またもや当局を欺きおおせた挙句、737MAXは、3度目の墜落事故を起こすことになる。

(ボーイング、737MAX墜落前にシステム再設計検討=NTSB)
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN1X429U.html

「ボーイング社員は迎角(AOA)センサーからの誤ったデータによりMCASが繰り返し起動される件について話し合い、再設計の必要性を検討。パイロットに対するアラートについて協議した」

「ボーイングは25日、MCASが起動される前に複数のAOAセンサーからの情報を比較するようシステムを再設計したと発表。「このソフトウェアの変更により、墜落事故で発生した飛行制御条件が再び生じることを防ぐ」とした。」

センサー単体の情報でのみ処理していた点が改善されたのは好ましい。

誤作動は、劇的に減るに違いない。

しかし、問題は完全自動制御な動的安定性を求めるのではなく、パーシャルな制御に留まり、それが破綻したらパイロットに放り投げるという運用思想には、何ら変更がないことだ。

戦闘機とは異なる民間旅客機である以上、ある程度コスト削減に注力するということは認めざるを得ないが、そうするなら、少なくともMCASの作動を放棄して機首上げ失速状態で急旋回している機体を、パイロットが制御できるように訓練することだけは、手を抜かないでもらいたいな。

機種転換訓練には、1年くらい掛けてもらいたいもんだ(そんなあ!)。

今までは、アイパッドで1時間くらいだからな。

3度目の事故が起これば、B社だけではなく、米国の航空産業全体に重大な危機が及ぶ。

完全再設計するか、移行訓練を徹底的に行うか、動的制御を戦闘機並みに高度化するか、さもなくば3度目の墜落事故か。

ああ、自家用ジェットを買うという選択肢もあるか・・・。

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