DRCエボラの記事を読む2019年11月07日 07:37

DRCエボラの記事を読む
DRCエボラの記事を読む


ほぼ毎日のように感染状況を確認しているコンゴ民主共和国(DRC)のエボラ。

今回の流行は、昨年8月に報告され、1年以上の長きに渡っている。

最近は、感染者が減少しつつあり、終息も間近いかと思われるが、安心するのはまだ早いかもしれない。

そんな中、ヤフーの記事にもなっていたので、47ニュースに掲載されていた記事を読んだ(共同通信配信)。

(忘れ去られたコンゴのエボラ熱流行地)
https://this.kiji.is/562816152497849441?c=39546741839462401

「携帯電話の材料で紛争、世界最悪の危機」

副題がいいな。

携帯電話の素子の材料であるタンタルの産出と絡めて、現地の紛争の背景、それがエボラ流行に与える影響、一向に改善されない衛生状況を浮き彫りにしている。

「新規感染者は減り流行も都市部から山間部へ移りつつあるが、劣悪な治安や住民の不信感で医療活動が妨げられ、終息にはしばらく時間がかかりそうだ。」

いくつか目新しい記述もある。

「エボラ熱の流行地域以外も合わせると、コンゴ東部一帯には100以上の武装勢力が乱立しているとされ、市民を殺りくする勢力もある。」

「膨大な資源収益の多くは国庫に納められず、コンゴ政府高官や外国企業に流れ闇に消えている。」

「医療などの行政機能はほとんど存在せず、まともな病院はない。」

「病院に手袋がなく、血まみれの患者を素手で触っていた。同僚の看護師は死んだ。どこの病院も似たような状況だ」

想定の範囲内とはいえ、直接取材に基づく記事だからな。

説得力がある。

「地球上で最も(資源が)豊かな国の一つだが、国民は最も貧しい」

エボラの治療についても情報があった。

「米国立衛生研究所(NIH)などは8月、新薬で患者の約9割が生存したとの研究結果を発表」

初期に投与すれば、助かる確率は高いが、潜伏する患者に初期対応することは難しいという。

「新薬は流行終息の打開策にならない」

やれやれ・・・。

ワクチンも出来、治療薬も現れ始めた。

エボラは治る病気になりつつあるのかもしれない。

そうしてみると、確かに他の病気に医療資源が振り向けられていないというのは、まずい対応のように思える。

「もとから保健システムがもろい中、エボラ熱の流行であらゆる(人的、物的)資源がエボラ対応に割かれている。でも、他の病気のことも忘れてはいけない」

MSF(国境なき医師団)の言うことはもっともな話だ。

1年余りで3000人の死者なんて、統計上の誤差の範囲かも知れない。

この病気が注目されているのは、致死率が高く、今までは有効な治療薬やワクチンがなかったために、大規模な国際感染を起こした場合、全世界がパニックになる恐れがあったからだが、状況は変わりつつある。

その他大勢の病気と同じように、ベースとなる保健医療体制全体の中でとらえる必要が出てきている。

この記事は、そういったエボラに対する新たな視点を示唆していると感じた。

今期の流行が終息する時期は分からない。

新規感染者は確かに減って、週に10人台に収まってきたが、以前にも似たような状況はあったからな。

地球の裏側の、アフリカのど真ん中の国の小さな嵐。

2014年の西アフリカのようなことにはならないと思うけど、この感染症との付き合い方を誤れば、人類は未曽有の危機に直面することになる。

もう暫くは、毎朝の新規感染者の確認を続けることにしよう・・・。