デブリ対策もないICPSで有人飛行するのかあ?2019年12月11日 04:32

デブリ対策もないICPSで有人飛行するのかあ?
デブリ対策もないICPSで有人飛行するのかあ?


SLSの初期のスケジュールと、構成の関係がこんがらがっている。

ハッキリ言って、混乱の極みだな。

変更に次ぐ変更、アルテミス計画が突如立ち上がったりして、ミッションの名称が変わったりしている。

エウロパクリッパーが絡んで来たりして、その混乱に拍車をかける。

スケジュールが遅れるのには慣れているとはいえ、その見直しが行われるのは直前になってからだ。

ネガティブな発表は、先送りしたいのが人情だしな。

SLSが、政治絡みで弄られやすいというのも困ったものだ。

米国の選択は、4年毎の大統領選挙でころころ変わる。

少し、現状を整理しておかないとな。

というわけで、ICPS(暫定極低温推進ステージ)から始めよう。

(ボーイングはSLSの上位段階への変更を計画:2018年10月5日)
https://spacenews.com/boeing-plans-changes-to-sls-upper-stages/

「当初、2番目のSLSミッションである探査ミッション(EM)2で使用する予定でした。代わりに、SLSのブロック1B構成として知られるものの最初の飛行は、4番目のSLS打ち上げまで遅れました。」

「EUSの導入を遅らせるという決定は、元の暫定極低温推進ステージ(ICPS)で2つの追加のSLSブロック1ミッションを飛行することを意味します。これらのミッションの1つはオリオンの最初の乗組員飛行であるEM-2に対するものであり、もう1つはNASAのエウロパクリッパー宇宙船を木星の月エウロパに打ち上げるために予約されています。」

「ICPSは元々、人間が評価することを計画していませんでしたが、EM-2ミッションで使用するためにいくつかの変更を行う予定です。最大の変更点は、商業乗組員のミッションでアトラス5のケンタウルス上段で使用されているものと同様の緊急検出システムの追加です。冗長性とオリオンの宇宙飛行士にステージのステータスに関する詳細情報を提供するために、追加のセンサーと計装がステージに追加されます。」

この時点では、まだ、エウロパクリッパーは2回目の飛行ということになっている。

フライトナンバー:ミッション名:打ち上げ予定:ロケット構成:上段:(2018年現在)
・1:EMー1:2020年6月:ブロック1:ICPS
・2:エウロパクリッパー:2022年以降:ブロック1:ICPS
・3:EMー2:2023年:ブロック1:ICPS
・4:ー:2024年:ブロック1B:EUS

たぶん、こんな感じか(テキトーです!)。

今日現在のウィキでは、こうなっている。

フライトナンバー:ミッション名:打ち上げ予定日:ロケット構成:上段:(2019年現在)
・1:アルテミス1:2020年11月以降:ブロック1:ICPS
・2:アルテミス2:2022年第4四半期:ブロック1:ICPS(有人仕様)
・3:アルテミス3:2024年:ブロック1B:EUS
・4:エウロパクリッパー:2025年:ブロック1貨物:ICPS

(Space Launch Systemの起動リスト)
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Space_Launch_System_launches

「暫定極低温推進段階(ICPS)として知られるデルタ極低温第2段階、または探査上段(EUS)を備えたそのブロック1B構成。」

(The Boeing-built @NASA_SLS Exploration Upper Stage will fly on Artemis-3.)
https://twitter.com/BoeingSpace/status/1156655836514738177

「ボーイング製の@NASA_SLS探査アッパーステージは、Artemis-3で飛行します。」

完全に整合性があるとは言えないが、とりあえず書いてみた。

ウィキではアルテミス3がブロック1となっているが、EUS上段の構成は1Bが正しいからな(って、開発は間に合うのかあ?)。

エウロパクリッパーは、2025年に追いやられただけではなく、下手したら民間ロケットに追いやられる可能性もある。

まあ、議会の決定(SLSで上げること!)があるから、そうはならないと見ているけどな。

問題なのは、元々有人飛行用として設計されていないICPSを、アルテミス2で有人飛行させようという話だ。

「最大の変更点は、商業乗組員のミッションでアトラス5のケンタウルス上段で使用されているものと同様の緊急検出システムの追加です。冗長性とオリオンの宇宙飛行士にステージのステータスに関する詳細情報を提供するために、追加のセンサーと計装がステージに追加されます。」(再掲)

アトラス5のケンタウロス上段と言えば、もちろん、N22(スターライナー打ち上げ用)のことだ。

それが、最大の変更だってえ!?。

浮沈子は、以前、トランプ政権が有人月周回軌道飛行(EM-2)を前倒しして、無人のEM-1のスケジュールに乗せられないかとNASAに検討を依頼した際の記事を探した。

(2019年の乗組員SLS /オリオンミッションを調べるNASAの研究:2017年2月24日)
https://spacenews.com/nasa-study-to-examine-crewed-slsorion-mission-in-2019/

「乗組員のEM-1ミッションで検討されているコンセプトは、すでにEM-2で考慮されているものと同様の軌道で2人の乗組員をオリオンで飛行させることです。打ち上げ後、地球軌道で1日過ごした後、オリオンは月の周りを自由に戻る軌道を飛行し、打ち上げ後8〜9日後に戻ります。」

「このミッションは、EM-2以降のミッションで計画されているEUSではなく、EM-1で使用される、より強力ではない暫定極低温推進ステージ(ICPS)上段で飛行できます。」

「しかし、デルタ4上段から派生したICPSには、乗組員のオリオンを飛行させるための修正が必要です。」

「それには、おそらくステージに微小流星体のデブリ保護を追加することが含まれます。」

最後の変更点は、ゲスティンマイヤーの言葉ではないが、当然考慮されてしかるべきだ。

微小流星や宇宙デブリがヒットすれば、ICPS自体の機能が失われるだけでなく、最悪の場合、オリオン宇宙船に被害が及ぶ場合も想定される。

そんなこたあないだろうと、高を括ってはいけない。

多少構造は異なるが、アポロ13号の事故は、似たような状況になった。

機械船の爆発で電源が失われ、月着陸船の資源を食いつぶして凌いだ。

アルテミス2には、月着陸船は付いていないからな。

ICPSにデブリがヒットして、その余波で機械船(サービスモジュール)がやられてしまえば、オリオンだけで何とかして地球に戻らなければならない。

もちろん、NASAはその点も考慮しているんだろう。

地球高軌道へ放り込むための噴射を行えば、ICPSは切り離される。

オリオンだけの旅路になる(月へ向かう軌道への投入は、オリオンのメインエンジンで行うようだ)。

そのリスクをどう評価するかだな。

デブリのリスクは受け入れて、ミッションに命かけることになるのか。

(アルテミス2)
https://en.wikipedia.org/wiki/Artemis_2

「2018年現在、アルテミス2のミッションプランでは、最初の乗組員のオリオンカプセルに入れられた4人の宇宙飛行士を最大21日間月面フライバイに送ります。」(飛行期間は概ね10日を予定しているみたいだがな:画像参照)。

アルテミス計画自体が、大統領選挙の行方次第ではどうなるか分からないしな。

ICPSなんて、しかも、そのデブリ対策なんてジミーな話題だが、ミッションの成否を握る鍵だ。

緊急検出システムだけ追加して、むき出しのタンクはそのままにして飛ばすことになれば、マーフィーの法則通りになるかもな。

ただ1度だけのミッションのリスクだけどな。

NASAは、懲りないなあ・・・。

(NASAの乗組員による初飛行、長期的な月への帰還、火星へのミッションの重要なステップ:ページ最終更新日:2019年9月27日:追加)
https://www.nasa.gov/feature/nasa-s-first-flight-with-crew-important-step-on-long-term-return-to-the-moon-missions-to

「打ち上げ後、SLSロケットの宇宙船と上段は、最初に地球を2回周回し、システムが正常に動作することを確認します。オリオンは100海里の高度で90分間、円軌道に到達します。」(軌道挿入)

「最初の軌道に続いて、RL10エンジンを搭載したロケットの暫定極低温推進ステージ(ICPS)が軌道上昇を行い、オリオンを地球の高度楕円軌道に配置します。」(部分半月面注入)

「ICPSはオリオンから分離し、乗組員は宇宙船の重要なシステムのユニークなテストを行います。彼らは、Orionのサービスモジュール を使用して、トランスルーナーインジェクション(TLI)バーンと呼ばれる2回目の最後の推進動作を完了する前に、1日の軌道からエンジニアリングデータを収集して評価し ます。」

ICPSは、高い軌道に投入したら比較的早期に切り離し、そこから月へ向かう軌道へはオリオン側で行うことでリスクの低減を図っているようだ(この運用で、素っ裸のICPSのリスクがどれ程軽減されるかは不明)。

宇宙船の機能チェック(1日がかり)は、切り離しの後で行っている。

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