日本学術会議の忖度2020年01月30日 21:19

日本学術会議の忖度


まずは、分かりにくい毎日の記事から。

(次世代加速器「リニアコライダー」選ばれず 日本学術会議の重点計画:池田知広)
https://mainichi.jp/articles/20200130/k00/00m/040/123000c

「日本学術会議は30日、大型研究計画に関する方針「マスタープラン」をまとめ・・・」

「「国際リニアコライダー(ILC)」を優先度の高い「重点大型研究計画」に選ばなかった。」

「重点化に向けて学術会議が実施した計画のヒアリング対象には選ばれ、将来的な可能性は残った。」

全体でいくつの計画が提案され、その中での重点大型研究計画はどう位置付けられているのか。

ヒアリングとは何か。

なぜ、ヒアリング対象になると可能性が残るのか。

そもそも、マスタープランちゃ何なのか。

記事を読んでワケワカマーク(???)だらけになった浮沈子のスカスカな頭(2019-nCoV漬け?)をスッキリさせてくれたのは、産経の記事。

(次世代加速器 学術会議が重点計画選定見送り 誘致遠のく)
https://www.sankei.com/life/news/200130/lif2001300057-n1.html

「速やかに実施すべき「重点大型研究計画」への選定を見送った。」

ははあ、重点大型研究計画というのは、速やかに実施すべき計画ということなわけだ。

「文部科学省の大型研究プロジェクトは、学術会議の重点計画から主に選ばれており・・・」

なるほど、だから実現が難しくなったというワケか。

でも、まだ実現の可能性があるということらしいけどお?。

「学術会議は、学術的意義が高いと認める大型の研究計画をリスト化する「マスタープラン」をほぼ3年ごとに策定。」

「公募で集めた大型計画の中で、特に重要なものについて関係者にヒアリングを行い、積極的に推進すべき重点計画を選ぶ。」

ああ、ヒアリングって、選定プロセスの一つなんだ・・・。

重点計画に選ばれるって、大変なんだな。

積極的に推進すべきというお墨付きを与えるわけだ(俗に言う、「一押し」ってやつか)。

「今回は165件の応募があり、ILCを含む59件についてヒアリングを実施。重点計画に31件を選んだが、ILCは漏れた。」

でも、3年毎に見直されているわけだから、次のマスタープラン作成で頑張ればいいんじゃね?。

「ただ、文科省の大型研究プロジェクトは、ヒアリングが実施されれば重点計画でなくても検討の対象とされるため、ILCが選ばれる可能性も残っている。」

ほほう・・・。

浮沈子は、そこに忖度を感じる。

文科省に選択の余地を残す、気の利いた選定・・・。

つーか、この記事の分かりやすさは秀逸だ。

毎日の池田さんに、爪の垢煎じて飲ませたい。

ただ、産経の記事には気になる表現もある。

「学術会議は見解で学術的な意義は認めていたが、今回はそれも否定した形だ。」

詳しくは知らないが、そうじゃないんじゃね?。

ヒアリングの対象にもしないで、ばっさり切り捨てる真似をしなかったのは、逆に学術的な意義を認めていたからなのではないか。

意義はあっても金はない・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

「ILCは全長20キロに及ぶ巨大な研究施設で、岩手・宮城両県の北上山地が建設候補地となっている。電子と陽電子を加速して正面衝突させ、万物に質量を与える素粒子「ヒッグス粒子」を生成。精密に測定することで、宇宙創成の謎に迫れると期待されている。」(毎日)

「ILCは全長20キロのトンネル内で、ほぼ光速に加速した粒子同士を衝突させ、宇宙誕生直後の超高温状態を再現する施設。物理学の新たな理論につながるノーベル賞級の成果が期待され、物理学者らが岩手・宮城両県にまたがる北上山地への建設を構想している。」(産経)

ILC自体についての解説はどっちもどっちだが、ノーベル賞に言及のある産経に一票か。

「経済波及効果は2兆~5兆円と試算されており、地元で誘致活動が活発化している。」(毎日)

欲に目が眩んで、将来に禍根を残しかねない施設誘致(そうなのかあ?)に言及している毎日にも一票かもな。

浮沈子は、基本的にはこんな施設はいらないと考えている。

セルンでも、対抗する直線型加速器を検討してるし、円形加速器で同じように電子と陽電子をぶつける計画は、中国とセルンでぶち上げられている。

元々、米国で画策されていた計画を、我が国に押し付けられているような経緯もあるしな。

世界に自慢できる大型プロジェクトを誘致するという観点からは、核融合施設(ITER:イーター)をフランスに持っていかれちまったということもあるし、穴埋めにちょうどいいのかも知れないが、いかんせん、後が続かない話だからな。

核融合のように、関連産業育成のメリットも少ない。

(世界最大、核融合実験炉の部品となる巨大コイル完成:追加)
https://www.sankei.com/life/news/200130/lif2001300053-n1.html

「2025年の運転開始を目指しフランスでイーターを建設中。日本は核融合反応を起こすための磁場コイルなど中枢機器の製作を担当」

(核融合実験炉用の300トン巨大コイル初号機完成 三菱重工が初公開:ついでに毎日の記事も追加)
https://mainichi.jp/articles/20200130/k00/00m/040/153000c

「永久磁石で最も強力なネオジム磁石の約10倍の高い磁場を作り出す。」

東北振興の意味合いも震災後10年を経て希薄化するし、さらに今後、オリンピックが終わればなおのことだ・・・。

政策的意義は、時間が経つ程に失われていく。

首の皮一枚繋いで先送りしている現状は、事を荒立てることなく安楽死的結末を期待しているようにも見える。

安定地盤にトンネルと聞いて、核廃棄物の長期保管施設への転用という生臭い話もある。

運転中排出されるトリチウム水繋がりで、福島との縁も浅くない(そうなのかあ?)。

政治的選択の余地を残した忖度が、果たして意味があるのかどうかはともかく、ILCが遠くなったことだけは間違いない。

画期的な要素(バブル再燃とかあ?)がない限り、復活の日は来ないだろう。

3年くらいして、次期マスタープランが検討される頃には、誰も覚えていないかもしれないしな。

露と落ち、露と消えゆくILC、東北誘致は夢のまた夢・・・。

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