人類の新たな区分:抗体検査が意味するもの2020年04月10日 11:14

人類の新たな区分:抗体検査が意味するもの
人類の新たな区分:抗体検査が意味するもの


新型コロナに罹ってしまって、発熱したり肺炎起こしたりするのは、人体に備わっている免疫機構が反応して、ウイルスの増殖と戦っているからだ。

時に、その反応が過剰になって、サイトカインストームとやらを起こし、そいつでやられることさえある。

(【新型コロナ】 健康な若者が命を落とすのはなぜ?手がかりの「サイトカインストーム」とは:追加)
https://courrier.jp/news/archives/196496/?ate_cookie=1586492144

「サイトカインストームは、免疫システムが過剰反応を起こす危険な現象」

ウイルスという攻撃ミサイルに対する免疫反応を見るのに、抗原抗体反応で作られる抗体(迎撃ミサイルだな)を調べて、治療や疫学的対応に使えないかという話がある。

(「血清検査」でロックダウンからの解放なるか、新型コロナ)
https://www.afpbb.com/articles/-/3277717?page=2

「COVID-19の免疫応答に関連する抗体は2種類ある。人体がウイルスへの反応の初期段階に生成するIgMと、感染の後期に出現するIgGだ。」

この記事は、医学専門の記者が書いたわけではないようで、自己免疫とかの用語の使い方も怪しいし、血清検査という訳語もこなれていない。

血清に対しては血球という用語があって、免疫反応の兵器区分みたいな使い分けが一般だからな。

浮沈子的には、ふつーに抗体検査でいいんじゃないかと思うんだがな。

まあ、どうでもいいんですが。

「抗体は免疫応答の重要な構成要素の一つだ。感染から約1週間で検出可能になり始める」

「血清検査の使用は慎重に行われなければならない。使用する時期が早すぎると、回復期にある患者にはまだウイルスが残っていて体外に放出する恐れがあり、他者へのリスクとなる可能性がある」

「血清検査が広く適用可能になれば、現在世界中で数十億人が経験しているロックダウンから解放・職場復帰できる状態の人を確認するために利用できるようになる。」

反応が検出されるのが感染してから遅い時期になるので、待ったなしの治療現場では限られた補助的使用になるかも知れないが、ウイルスそのものの存在を調べるPCR検査と併用して、消失期やウイルス濃度が低い状態での管理ツールにすることができるかもしれない。

感度(偽陰性に関わる)や特異度(擬陽性に関わる)の問題もあるようだ。

切れない刃物も、使いようだからな。

この検査が注目されるのは、むしろ臨床の場というよりは、抗体(による免疫)を持った人々を社会復帰させ、ロックダウンで死に体となった経済を治療する戦士として活躍させることにある。

まあ、その免疫が、どのくらい有効なのかという問題は未解決だがな。

効き具合、有効期間など、再感染の状況を見ると、余り当てにはならない可能性もある。

それを定性的、あるいは半定量的に把握するためにも、簡易迅速な抗体検査キットの開発が望まれている。

「血清検査は人類の何パーセントがCOVID-19に感染しているかを確実に知る唯一の方法だ。」

ちなみに、新型コロナウイルスの名称はSARS-Cov-2が正しい(COVID-19は疾患名)。

まあいい。

別の記事も当たった。

(新型コロナウイルスに対する抗体検査への期待)
https://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0553.html

この検査の問題点を整理してまとめている(項目列挙)。

・1つ目は新型コロナウイルスにいったん感染したら免疫ができて当面は感染しなくなると言えるかどうかだ。
・2つ目は抗体検査がどの程度信頼できるかがよくわからないことだ
・3つ目は大量生産の可能性だ。
・4つ目はいきなり市場に投入した場合の混乱だ。
・5つ目は感染者が膨大だとわかった時の国民の反応だ。
・6つ目は、新型コロナウイルスが指定感染症になっていることとの関係だ。

内容については記事をお読みいただきたい。

続報も出ている。

(抗体検査(血清検査)への期待(アップデート):新型コロナウイルス関係)
https://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0563.html

「私自身は毎日のようにantibody testという検索用語でweb検索を行っていて、残念ながら期待どおりに開発が進んでいないという悲しい状況を目の当たりにしている。」

やれやれ・・・。

この記事では、抗体検査の効用について整理されている。

・1つ目は、医療崩壊を防ぐために犠牲になって崩壊しつつある経済を復活させるために抗体検査が必要だということだ。
・2つ目は、人口を代表するサンプルで抗体検査を行うことによって、すでに感染した人々がどの程度いるかを把握することだ。

ネガな話として、英国が発注した抗体検査キットがクソだったという記事もある。

(中国製コロナ検査キット使い物にならず、イギリス政府が返金を要求へ)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/post-93061.php

「多くの偽陰性が見られ、偽陽性も確認された......これは、検査の供給側にとっても我々にとっても、良い結果ではない」

感度、特異度ともに、要求仕様を満たしていないとされたわけだ。

別に、中国だけが欠陥品を納めたわけではないようだな。

「イギリス政府は3月、おもに中国から、抗体検査キット350万個を購入した。「デイリー・テレグラフ」紙によれば、英国の企業を含む9社に、キット1750万個の仮注文を出していたうちの一部だ。だが、いずれについても、大規模検査を開始するだけの信頼性は得られなかったとベルは述べている。」

一方、ドイツでは中規模な抗体検査が計画されているようだ。

(ロックダウンからの「出口戦略」、「免疫獲得証明書」を発行とその問題点とは)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/post-93031.php

「4月以降、10万人以上を対象に、新型コロナウイルスへの抗体の有無を調べる血液検査を実施する計画」

イタリアは、実際検査始めたみたいだしな。

(イタリア、新型コロナウイルスの抗体検査開始 北部の医療従事者から)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/post-93035.php

「新型コロナウイルスの感染が早い段階で拡大していたイタリア北部のベネト州で6日、新型コロナに対する抗体の有無を判別する抗体検査が医療従事者を対象に開始された。」

「イタリアでは隣接するエミリア・ロマーニャ州でも先週、抗体検査が開始された。」

記事によれば、開始時期の規模はそれほど多くなく、徐々に広げていく感じだな。

「ベネト州では手始めに2000─3000人の医療従事者に抗体検査を実施。その後、高齢者施設の従業員や利用者、国民との接触機会が多い職員に対して実施する。」

大量の医療従事者が感染し、バッタバッタと死んじまったイタリアは、感度がどうとか特異度がどうとかよりも、藁にも縋る思いなんだろう(そうなのかあ?)。

(イタリア 医師100人超が死亡 新型コロナウイルス:追加)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200410/k10012379061000.html

「イタリアの医師会連盟は9日、新型コロナウイルスで死亡した医師が105人に上り、100人を超えたことを明らかにしました。」

「命を落とした医師の多くは開業医で、防護のための装備も十分ないまま新型コロナウイルスとの戦いに送られた」

「また、看護師連盟によりますと、これまでに死亡した看護師は28人に上っているということです。」

「医療従事者で感染が確認された人は1万4066人に上り、医療従事者を感染からどう守るかが大きな課題となっています。」

出口戦略というよりも、戦場で使える兵士を選び出すという感じか。

我が国は、ようやく本格的な流行に差し掛かったところだが、医療従事者に対する抗体検査は、その意味では有効かもしれないな。

一般に比べて罹患率も高いだろうし、軽症で復帰できれば暫くは使いものになる。

せっせと働いていただく・・・。

有難い話だが、そううまくいくかどうかは分からない。

人類を3種類に区分するウイルス検査。

・第一種:過去に罹患したことがない人類(PCR陰性・抗体陰性)
・第二種:現に罹患している人類(PCR陽性)
・第三種:過去に罹患した人類(PCR陰性・抗体陽性)

無症候性キャリアや軽症者(大部分がPCR検査を受けていない)が思いのほか多ければ、早い段階で第三種が一番多くなるかも知れない。

人類は、いずれ新型コロナの洗礼を受けることになる。

ワクチンが出来れば、疑似的に洗礼して、抗体を得ることができるようになるかもしれない(そう上手くいくのかあ?)。

医療崩壊や社会・経済崩壊せずに、その洗礼を潜り抜けることができるのかどうか。

鰻登りの東京都の感染者グラフを見ると、暗澹たる気持ちにならざるを得ないな・・・。

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