スターリンクV1L9:ブラックスカイグローバルと地球観測需要2020年06月14日 10:58

スターリンクV1L9:ブラックスカイグローバルと地球観測需要
スターリンクV1L9:ブラックスカイグローバルと地球観測需要


スペースフライトナウのページでは、既にスターリンク衛星の打ち上げ日程が上がっている。

「6月22日Falcon 9•Starlink 9 / BlackSky Global 5および6:
・打ち上げ時間: 2220 GMT(6:20 pm EDT)
・打ち上げサイト: LC-39A、ケネディ宇宙センター、フロリダ州」

「SpaceX Falcon 9ロケットは、SpaceXのStarlinkブロードバンドネットワーク(Starlink 9に指定されたミッション)の約60衛星の10番目のバッチを打ち上げる予定です。 。6月24 日より前進しました。【6月9日】」

予定の前倒しというのも珍しいな。

まあいい。

この後、さらに6月末には別の打ち上げが迫っている・・・。

「6月30日ファルコン9•GPS 3 SV03:
・打ち上げ時間: 1955-2010 GMT(3:55-4:10 pm EDT)
・打ち上げ場所: SLC-40、ケープカナベラル空軍基地、フロリダ」

「SpaceX Falcon 9ロケットは、全地球測位システム用の米国空軍の3番目の第3世代航法衛星を打ち上げます。衛星はロッキード・マーティンによって造られました。空軍は以前、このミッションで2番目のGPS 3シリーズ衛星の打ち上げを計画していました。10月、12月、1月、3月から遅延。【6月2日】」

ULAとかわりばんこに打ち上げることにした(そうなのかあ?)新型のGPS衛星だ。

6月3日のスターリンクV1L7が、5月打ち上げ予定から繰り下がってきたとはいえ、ファルコン9は今月の打ち上げが4回になる。

先月末のクルードラゴン打ち上げを入れれば、ほぼ1か月の間に5回の打ち上げをこなすわけだからな。

ハンパない・・・。

で、今回(って、どれ?)は、スターリンクに更なる相乗り衛星を積む。

(BlackSky Global 1、...、60)
https://space.skyrocket.de/doc_sdat/blacksky-global.htm

「地上の解像度は、軌道高度500 kmから0.9〜1.1 mです。彼らは3年間の軌道寿命のための船内推進力を持っています。」

また、民間スパイ衛星(!?)の相乗りか・・・。

今回の衛星は、スカイサットより軽い(56kg)。

従来の配置は極軌道(傾斜角97度台)だから、53度のスターリンクへの相乗りは、イレギュラーということになる。

スカイサットと同じく、高頻度観測の需要があって、例外的に配置するのかも知れない(未確認)。

衛星自体も小型だろうから(おまけに2機だし)、ひょっとしたらスターリンクはフル搭載の60機で行くかもしれない(未確認)。

もう、来週の打ち上げだからな。

10日未満ということになるが、これはフェアリング回収のミスツリーとミスチーフの運用スケジュールがネックということになる。

フェアリングの回収のために、回収船を増やすというのは余り効率的じゃないかもしれない。

宇宙ロケットの打ち上げ頻度のボトルネックが、水上船の運用という意外な事態が生じているわけだ。

21世紀的だな(22世紀には、フェアリングの回収とかはないだろうからな:完全再使用だから、ペリカンのくちばしのように開いて放出し、閉じて帰投するようになる)。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子的に気になったのは、民間スパイ衛星って、そんなに需要があるのかということだ。

前回相乗り打ち上げのスカイサットは、一時期、グーグルの直轄事業だった・・・。

(Googleが構築するスカイサット衛星システムの恐ろしすぎる未来、誰もが考えておくべき可能性と危険性とは)
https://appllio.com/20140619-5362-what-happens-by-googles-acquisition-skyabox-imaging

「母「タケシ、夕方の店番をサボってどこをほっつき歩いてたんだい!!? Googleマップで見たら裏の自転車が見当たらなかったよ!!」
息子「ごめーん、かあちゃーん」」

いやいや、そのうち、かあちゃんが若い燕とほっつき歩いているのをタケシから問い詰められる羽目になるかも知れない(子供は、分かんなくていいです!)。

記事では、至極真っ当に「神の目」の需要を分析している。

「間違いなく市場には高撮影頻度への高いニーズが存在する。現在、地球観測データ市場最大の顧客は、安全保障に関する情報を求める国家機関だ。紛争地域の状況監視にせよ、相手国船舶の出港入港状況にせよ、日本だったなら北朝鮮のミサイル発射準備状況の監視にせよ、いずれも高頻度の撮影が望ましい。」

「また、大規模災害の被災状況把握でも、高頻度撮影能力は必須である。災害が発生したが、衛星からの次の撮影チャンスが数日後というのでは助かる命も助からないからだ。いつでも、撮影のニーズが発生したら、可能な限り短時間で撮像を終了してデータを送付、さらに刻一刻と変化する現場状況を連続して短い時間間隔で撮像し続ける必要がある。」

しかし、衛星需要という点では、そういう観測ネットワークが出来てしまえば、あとは配布だけの問題になり、需要は飽和するのではないのか。

別系統の、ブラックスカイグローバルのような存在は、一体何を意味するのか。

単に、競争相手というだけの話なのか。

そもそも、元祖スパイ衛星(軍事利用)の解像度が数センチ(現在、6センチくらい)になっているのに、1mなどという雑な情報が、何の役に立つのか・・・。

確かに、画像データの処理は大変だ。

特徴的な「データ」を洗い出し、解析し、意味づけして、「情報」として吐き出すだけでもAIをフル活用しなければならないだろうし、それを他の情報と結び付けて「価値」を生み出すようにすることは更に高度な処理を要する。

超高精細画像であればあるほど、その手間は膨大になる。

そこまではいらない、かあちゃんとタケシ(親をゆすって小遣いを稼ぐ悪ガキ?)にとっては、1mでも十分なのだろう。

そういう、低レベル情報を適正価格(位置情報の提供とのバーターや広告を当て込んだ無料提供含む)で配布するというのも一つの商売だ。

誰もが神の目を持ち、行動の合理化を追求する。

動的ではあるだろうが、そのグラデーションの展開の中で、それぞれのポジションを探ることは可能かもしれない。

衛星の製造価格、打ち上げ価格、解析の価格が猫の目のように変わり、市場によって調整され、一定の定常状態に落ち着いていく。

衛星だけが、神の目を作るわけではない。

浮沈子がこの時期多用している東京アメッシュのように、地上レーダーだって、役には立つのだ。

(東京アメッシュ)
https://tokyo-ame.jwa.or.jp/

広域では、別のページも見る。

(雨雲レーダー(実況))
https://tenki.jp/radar/

同じ降雨情報でも、グローバルに全体を把握するにはGSマップの方が便利だしな。

(衛星全球降水マップ)
https://sharaku.eorc.jaxa.jp/GSMaP/index_j.htm

要は、需要に最適化された多様な手段の提供が好ましいわけだ。

何か一つに純化することに拘る必要はない。

ある種の動物(そうでないのもいますけど)が、脳という制御システムを駆使して、行動を変容させようという性質を持つ以上、我々人間が神の目を求めることは自然だ。

ゾウリムシには神の目は必要ないが、浮沈子には必要ということになる(使いこなせるかどうかは別)。

国家の石油備蓄量が気になる人、アイフォーンがいつ出荷されるかが気になる人もいるだろう(浮沈子は、どちらも気になりませんけど)。

民間スパイ衛星は、多様な需要に応じて、動的に変化しつつ、次々と打ち上げられていくに違いない。

キューブサットから大型衛星まで、高度約3万6千キロの静止軌道から200キロ以下の超低軌道まで、千差万別の衛星が展開する。

それは、我々が望む神の目を与える。

いや、もはや21世紀の人類の目だな。

時間分解能、空間分解能、解析能力は、関連する技術の進歩と普及による低価格化で加速度的に進歩していくに違いない。

物理の神様と技術の女神様、更には商売の神様も加わって、大いに盛り上がるに違いないのだ。

我が国は、指をくわえて眺めているしかないのか?。

(【速報】MOMO5号機打ち上げ失敗、飛行中に異常が発生し宇宙到達ならず)
https://news.mynavi.jp/article/20200614-1055527/

「機体は正常に上昇を開始したように見えたものの、打ち上げ後1分ほどで姿勢を喪失。」

「異常の原因についてはまだ明らかになっていないものの、同社によれば、司令所からの手動エマスト(緊急停止)により、飛行を中断」

「今回の到達高度は11km程度と見られ、打ち上げは失敗した。」

MOMO5号機は落ちてしまったが、民間の打ち上げで民間衛星をバンバン上げ、タケシのさぼりとかあちゃんの浮気を監視する日は近い(そうなのかあ?)。

しかし、MOMOは、2回続けて1分ほどで落ちている。

何か、1分の壁のようなものがあるに違いない(未確認)。

(MOMO4号機はエンジンを自動停止、打ち上げの64秒後に何が起きた?)
https://news.mynavi.jp/article/20190731-869310/

「異常が発生したコマンド系は、ロケットに対し、地上側からコマンド(指令)を送る機能」

「コースを外れるなど何らかの異常が確認されたときに、地上からコマンドを送り、飛行を中止させることがある。ロケットの飛行安全のためには、非常に重要な機能だ。」

今回は、このコマンド系機能が役立って、地上からの指令で飛行を中断した様だ。

異なる原因の故障であることは間違いない(エンジンノズルの破損のようです:追加参照)。

いずれにしても、宇宙へのアクセスが容易でないことは確かだ。

22世紀になれば、銭湯のように町会毎に原発が置かれ、祭りの神輿のように衛星打ち上げロケットを持つことになるかも知れないけどな(そうなのかあ?)。

21世紀は、まだ、国家や大企業だけが宇宙にアクセスできる(ISTは小さいけどな)。

そして、神の子である我々は、その神の目のおすそ分けを有難く頂く存在に過ぎない。

それでも、地球は回っている(意味不明)。

民間地球観測衛星(民間スパイ衛星)は、動物である人間の本能に基づく、本質的需要によって打ち上げられる。

個人個人がよりよく行動したいという衝動に裏打ちされた動機がある。

現実には、衛星という単一の手段だけによるものではなく、降雨レーダーなど多様な技術の組み合わせにより実現される(スマホの位置解析とか)。

しかし、今後は衛星が果たす役割が増大していくに違いない。

富士山レーダーが廃止され、気象衛星に取って代わられたようにな。

浮沈子が棲息する東京地方は今日も雨(降ったり止んだりしています)。

別に、インターネットで確認する必要もない。

換気のために窓を開け、耳を澄ませばカーテン越しに雨音が聞こえてくる。

天然自然に備わったセンサー(人間の聴覚)だけでも、行動の最適化は可能だ。

今日も、フィットネスのサボリは決定だな(最適化って、そういうことかあ?)・・・。

<追加>

(MOMO5号機に何が起きたのか。会見で語られたトラブルの原因)
https://sorae.info/space/20200614-momo5-2.html

「エンジンが緊急停止された理由は機体の姿勢と落下予想地点の2つの基準がほぼ同時に基準値を超えたため」

「原因としてはエンジンノズルの破損があげられています。」

「今回破損したとみられるエンジンのノズル(グラファイト製)は初号機の頃から同じ仕様のものが使われていて、数十回実施された試験を含めても今回のような事象は初めてのことだといいます。」

「今後は原因の究明とともに、これまで実施してきたノズル納品時の目視検査に加えて材料特性の検査や非破壊検査の導入も検討するとしています。」

ファルコン9も、ヘリウムタンクの支持体の破損で、ISS貨物輸送をパーにしているからな(確か、我が国のカメラも吹っ飛んだはずだ)。

今、クルードラゴンが接合しているエアロックは、その後に作成された別物だ。

失敗は、宇宙開発にはつきものだ。

原因がある程度特定されているだけマシかもしれない。

検査方法を強化するという対策がいいのかどうかは知らない。

そういう方向性だと、どんどんコストが嵩んでいきそうな気もするしな。

ノズルと言えば、ファルコン9の記事で、最近、驚愕の記事を読んだ。

(SpaceXストーリー:開始の数日前に板金ばさみでマーリンを修理します:記事はチェコ語です。)
https://www.elonx.cz/historky-ze-spacex-oprava-merlinu-nuzkami-na-plech-par-dni-pred-startem/

「Falcon 9の方が良かった。 このロケットの2回目の打ち上げである2010年のCOTS-1ミッション中に、SpaceXは最初のドラゴン船、3つのキューブサット、および1ラウンドのフレンチチーズルブルエールを打ち上げることでした。」

ホイール型のチーズについては、こちら・・・。

(ブルエール)
https://en.wikipedia.org/wiki/Brou%C3%A8re

「典型的なラウンドの直径は約43センチ(17インチ)で、重量は12キログラム(26ポンド)です。」

「2010年12月8日に、Monty PythonのチーズショップスケッチへのオマージュとしてSpaceX Dragonカプセルに搭載されたホイールが軌道に乗せられました。」

まあ、どうでもいいんですが。

ここからに注目だ。

「最後のリリース前チェック中にSpaceXが欠陥に気づきました。」

「第2ステージのマーリンエンジンノズルのニオブ拡張部に亀裂が見つかりました。」

「これらの亀裂はこのノズルの最端部にのみあり、あまり大きな力を受けない」

だからといって、その対処方法は、余りにシンプルかつ理に適っている。

「ひび割れた部分だけを切り取ればどうなるだろう」

「彼はノズルまでの中間ステージに登り、通常のはさみで板金のひび割れ部分を切り落としました。」

マジか!?。

「通常の解決策は、ロケットを分解し、ノズルを交換し、検査することであり、1か月かかる」

そりゃそうだろう。

最先端の技術と綿密な計算の上に成立しているロケットの、しかも、最重要部品であるエンジンを、金切りばさみで切り取るとは!。

もちろん、それで十分対処できる、推力的に余裕のあるミッションだったからこそ行われた修理(?)だったということもあるけど、柔軟な発想でその場を凌ぐ知恵は大したものだ(2段目だから、再使用とか関係ないしな)。

トップシークレットのチーズが(もちろん、3機のキューブサットも)、ISSに無事に配達されたことは言うまでもない。

この話が、MOMO5号機の失敗の対応と具体に関係しているわけではない。

破損したノズルは、何らかの欠陥があったのかも知れず、それを事前にチェックできなかったとすれば、まずは、チェック方法を検討するというのは正しい。

だけど、そもそもグラファイト製のノズルの材料選定、形状、構造が適切だったのかを遡って検証することも必要かもしれない(ファルコン9のノズルの先っちょはニオブ製だとあるから、ちっと高いかもな)。

目視の点検だけで十分な素材と構造で、金切りばさみで切り取る程度で直せるなら、そっちの方がいいかも知れない(ファルコン9の亀裂が目視で発見されたかどうかは不明)。

まあいい。

快刀乱麻を断つ解決方法で対応したスペースXも、その後の空中爆発やスタティックファイアテストでペイロードを失うというチョンボをしでかしている。

確認しておこう。

宇宙開発に失敗はつきものだ。

そして、それにめげずに前進し続けた者だけが成功の果実を得る。

スペースXは、成功したのか?。

うーん、そうとも言えるし(ファルコンシリーズとか)、そうでないとも言える(スターシップとかスターリンクとか)。

100年待つ必要はないかも知れないけど、10年くらいは様子を見ないとな・・・。

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