GPS衛星の打ち上げに見るファルコン9の問題点2020年07月01日 22:38

GPS衛星の打ち上げに見るファルコン9の問題点
GPS衛星の打ち上げに見るファルコン9の問題点


GPS3SV(Space Vehicle)03の打ち上げを録画で見る。

(GPS III Space Vehicle 03 Mission:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=6zr0nfG3Xy4

(SpaceXが米宇宙軍の最初のミッションを開始)
https://spaceflightnow.com/2020/06/30/spacex-launches-its-first-mission-for-u-s-space-force/

今日は水泳教室だったので、夜更かし(早起き)せずに、ギリギリまで寝ていて、帰ってきてから見た。

ちょっと体調が悪く、夜のフィンスイムのテクニカルプログラムはパスした。

雨も降ってたしな。

こういう時はサボるに限る・・・。

まあいい。

サボリついでに、関連情報を見ていて、あることに気付かされた。

ファルコン9(現状のヘビーも)では打ち上げられない衛星が存在する・・・。

(OTV-5ミッション)
https://www.elonx.cz/mise-otv-5/

「シャトルがアトラスVを飛行したとき、垂直に統合されました。つまり、シャトルは垂直にロケットに取り付けられました。ただし、SpaceXはまだ技術的に垂直統合の準備ができていないため、常に格納庫内で水平方向に荷重を統合します。敏感な光学系を備えた一部の衛星は、垂直統合のみを目的として設計されています。そうしないと、損傷する可能性がありますが、X-37Bの場合、水平統合は問題になりません。」

記事を当たったのは、空軍関連のミッションで、ファルコンシリーズが再使用を行った事例を確認するためだったが、スパイ衛星の中には、垂直組み立て棟でないと、光学系(中身はハッブルみたいな宇宙望遠鏡ですから)が歪んでしまうんだろう(未確認)。

そういえば、ファルコンヘビーが宇宙軍の打ち上げに参入するために、垂直組み立て棟とドデカいフェアリングを開発する話をどこかで読んだ気がする(追加参照)。

まあいい。

いずれにしても、現状ではファルコンシリーズで打ち上げられない衛星があるということだな。

GPS3衛星については、初めての打ち上げ(2018年12月23日)の際に記事にしている。

(再使用ロケットの真のリスク)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/12/18/9013298

(謎のミッション番号「ー2」)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/12/18/9013713

(高度2万2百km)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/12/23/9016488

(高度8710km)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/12/24/9016516

ちなみに、今回のデプロイ高度は4228km辺りだ。

前回より低いが、打ち上げ時の軌道プロファイルを見直したようだな。

衛星の放出と1段目の回収を同時に果たしている(フェアリングも、両方とも掬い上げたようです)。

10年はかかると思っていた空軍(今回から宇宙軍だそうですが)の実務ミッションで、初めて再使用するための回収が認められたということだ。

しかし、打ち上げに使われた1段目は新品だからな。

これからは、再使用の1段目を使うことに向けて売り込むのかも知れない。

まあ、どうでもいいんですが。

お役所は税金の節約になるし、スペースXは儲かるし、ULA以外に誰も困るものはない(ブルーオリジンのニューグレンやノースロップグラマンのオメガは、影も形もないしな)。

今後の打ち上げ(現行モデル残り7機)のうち、少なくとも3機をファルコン9が打ち上げることになるようだ。

(GPS-3 (Navstar-3))
https://space.skyrocket.de/doc_sdat/navstar-3.htm

「Satellite:Date:LS:Launch Vehicle:
・GPS-3 4 (Navstar xx):2020:CC:Falcon-9 v1.2 (Block 5)
・GPS-3 5 (Navstar xx):2020:CC:Falcon-9 v1.2 (Block 5)
・GPS-3 6 (Navstar xx):2021:CC:Falcon-9 v1.2 (Block 5)」

残る4機の打ち上げがどうなるかは未定のようだな。

アトラスVの後継機(バルカンロケット)の進捗状況次第ということになるが、大幅に遅れるようならまたファルコンで上げるに違いない。

ゆくゆくは、2機纏めて上げたいようだしな。

「Atlas-5(551)やFalcon-Heavy(ブロック5)のような大型ロケットでの2回の打ち上げは、9番目以降の衛星で検討されています。」

別に、ULAが困るわけじゃない。

いずれにしても、ファルコンシリーズで上げられない衛星は、彼らのロケットで上げるしかないのだ。

垂直組み立て棟(移動車?)は、スペースXも欲しいところだろう。

こっちは、スターシップの打ち上げともかかわってくるしな。

どう考えても、あれを水平から起こすというのは選択肢にはない(100m超えるしな)。

起こせたとしても、スーパーヘビー止まりだ。

そのノウハウを吸収するためにも、ヘビーの垂直組み立てはしたいだろう。

最低でも、特大の衛星フェアリングを乗せるところはそこでやりたい。

ハッブルをそのまま仕込んで積み込むような話だからな。

スターシップともなれば、打ち上げ延期が続いているJWSTを丸ごと積み込むことだって可能だ。

(ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%96%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%9C%9B%E9%81%A0%E9%8F%A1

「計画は度々延期され、打ち上げ予定日は2021年3月30日に再設定された」(それも、危ないんじゃね?。)

「口径 〜6.5 m (21 ft)」

(スターシップ (宇宙船))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)

「全長 120 m」

「直径 9 m」

もう、こいつに積めない衛星はないだろうしな。

地球低軌道で給油して、再度加速すれば、100トンもの貨物を月だろうが火星だろうが輸送することができる(地球低軌道に上げるまでが大変!)。

例によって、作ってはぶっ壊しを繰り返しているけど、10年はかかると思っていたGPS衛星の打ち上げ時の1段目回収が、2年後に実現したわけだからな。

何が起こるかは分からない。

一寸先は闇の宇宙開発を照らす光が、スターシップ(のプロトタイプ?)の爆発の閃光でないことを祈るのみだな・・・。

<追加>

(FAA環境評価、ケープカナベラルでのSpaceX計画の詳細)
https://www.nasaspaceflight.com/2020/02/faa-environmental-assessment-spacex-cape-canaveral/

「SpaceXが新しいモバイルサービスタワー(MST)の建設により、NSSLに対して最も目に見える変更の1つを行うのはLC-39Aです。」

「特定のペイロードは、ロケットに結合されるときに垂直方向に維持する必要があります。」

「もう1つの変更は、Falcon Heavyのより大きなフェアリングの導入」

「現在、(中略)直径は5.2メートル(17フィート)、長さは13.1メートル(43.0フィート)です。これは巨大なNRO宇宙船には十分な長さではないため、これらのペイロードを運ぶためにSpaceXロケットが選択された場合、新しいフェアリング(おそらくストレッチバージョン)が必要になります。」

「United Launch Alliance(ULA)、Blue Origin、Northrop Grummanと競合しています。」

2社が残るようだが、ULAが落ちることは考えづらいからな(わからんぞお・・・)。

S社とノースロップグラマンのガチになるかもな。

既に開発がほぼ終わって実機も飛んでいるS社は、アットーテキ有利だ。

NG社は、開発はこれからだし、上段は他社依存になるからな。

つぎ込んだ金は、ドブに消えるかSLSのブースターの改良に回されることになるかも知れない(そうなのかあ?)。

ブルーオリジンが、何らかの衛星打ち上げロケットを飛ばすのは、早くても2025年以降の話だ(テキトーです)。

スターシップの開発が、万が一(!)上手くいくようなことがあれば、打ち上げ契約をほぼ独占することができるかもしれない(リスク分散のために、最低2社は確保するでしょうが)。

もちろん、米国の軍事衛星だけが市場じゃない。

全体の半分以上は、民間打ち上げということになる。

効率を追求すれば、S社に頼んで打ち上げてもらうのが最安になる。

特定時期に特定軌道に送り込まなければならないキューブサットのような自己推進力を持たない特殊な衛星だけが、エレクトロンのような小型ロケットで飛ぶことになる。

ある程度軌道修正が可能で、相乗りでもいいという場合は、破格の値段で飛ばせるS社を利用しない手はない。

もう、そういう時代になっている。

H3は、一体何を飛ばすんだろうな・・・。