スターライナーの蹉跌:何かがおかしくなっているNASAの宇宙開発2020年07月28日 23:06

スターライナーの蹉跌:何かがおかしくなっているNASAの宇宙開発
スターライナーの蹉跌:何かがおかしくなっているNASAの宇宙開発


昨年暮れに無人飛行(OFT-1)でISSに辿り着けなかったという、世紀の大チョンボとなったB社のスターライナー(NASA長官は、有人なら行けたかもと暴言を吐いていたが、帰還時のプログラムのチョンボもあって、有人だったらヤバイ話になるところだったのがバレたら、それ以降は言わなくなったな:そうなのかあ?)。

久々に、関連記事が上がっていた。

(ボーイングの新型宇宙船、試験飛行の事故調査を完了 - 今年後半に再飛行へ)
https://news.mynavi.jp/article/20200728-1178256/

「80項目に及ぶ改善勧告を作成」

「勧告の全リストは機密により非公開」

・試験やシミュレーションの追加や強化:21項目
・プロセスと運用の改善:35項目
・ソフトウェアの修正:7項目
・要求事項:10項目
・知識獲得とハードウェアの修正:7項目

この調査を行い、勧告を出したのは当事者であるNASAとボーイングだ。

お手盛り感溢れる状況なわけだな。

専門性が高く、第三者が入り込めない世界なわけで、スペースシャトルの事故も似たような状況で繰り返し起こっている。

「両者の調査チームはまた、技術的な原因だけでなく、ボーイングとNASAのそれぞれ、また両者間における組織的な原因についても調査を行い、提言を行っている。」

どこまで踏み込めたのかは知らない(未調査)。

「2回目の無人での飛行試験「OFT-2」を行うことを表明」

クルードラゴンが使いもんになるようなら、撤退した方がいいのではないか(そんなあ!)。

乗り掛かった舟が沈没しそうなのに、無駄金をつぎ込んだと非難されたくないからそのまま突っ走るというのは、原爆開発と同じパターンだからな。

元々、ISSタクシーは、2014年の選定の際に1社だけを選ぶ予定だった。

B社は、選ばれなかった場合を想定して、スタッフに解雇予告を出していたくらいだ。

NASA内部でどういう経緯があったかは知らないが、結果的に2社を選んだわけで、そもそもの選定に問題があったのかも知れない。

80項目の改善を行っても、組織的な問題を解決しても、このままスターライナーの開発を継続して本番投入に持ち込むこと自体に問題はないのか。

もちろん、クルードラゴンが完璧であったというわけじゃない。

むしろ、チョンボ連発(デモ1で使ったカプセルに設計上の欠陥があって爆発したり、パラシュートの不具合で開発が遅れたり、座席の固定方法で揉めたりもしたしな)で、一寸先は闇だったからな。

更には、当初、再使用を認めなかったNASA自体が、最近クルードラゴンの再使用を認めるという話も出ている。

何が、どう評価されて、再使用を認めることになったのかという情報は報じられていない(未確認)。

怪しい話は、S社にも山のようにあるに違いない・・・。

(ボーイング乗務員カプセルの品質管理を懸念する安全委員会)
https://spaceflightnow.com/2020/07/27/safety-panel-concerned-about-quality-control-on-boeing-crew-capsule/

「NASAは先月、SpaceXがクルードラゴンスペースクラフトとファルコン9ブースターをNASA宇宙飛行士のミッションに再利用できるようになると発表」

「SpaceXは2番目の認定後ミッション、またはCrew-2から始まる搭乗員の打ち上げで、Crew Dragon車両とFalcon 9の最初のステージの再利用を開始できる」

「人間の宇宙飛行任務で以前に空輸されたハードウェアの使用は独特であり、人間の認証要件に対処する必要があるNASAに追加の作業を作成します。」

再使用については、スターライナーも同じだが、こっちは陸上回収で、初めから再使用を目論んでいる。

記事では、宇宙船の再使用がS社の専売特許のような書き方だが、B社が開発運用したスペースシャトルのオービターは、元祖再使用宇宙船だったはずだがな。

まあいい。

改善を重ねてより良いロケットに育てる文化を危ぶむような姿勢に対しても、首をかしげざるを得ない。

もちろん、有人ロケットや有人宇宙船としての安全性や適性を確保するというのは大前提だ。

個々の改善を全体の中で統合的に評価し、その都度決定していくプロセスは絶対条件だろう。

NASAには、最早、それを行う能力がないのではないか。

SLSがいつまで経っても飛ばないのは、開発各社の技術力や予算、政治状況のせいではなく、インテグレーションを行っているNASA自身の問題なのではないか。

こんな状況で、月周回軌道にゲートウェイを建造したり、有人月面着陸を行って大丈夫なんだろうか。

B社は、自前でOFT-2を実施するというが、それが成功裏に終わる保証などない。

仮に、運よく成功したとしても、その後の有人テストで問題を起こしかねないしな。

ここは、NASAの評価能力を分散させずに結集し、スターライナーを切り捨てSLSを無期限に延期して、クルードラゴンの運用確立に集中すべきなんじゃなかろうか。

元々2028年の予定だった有人月面着陸を、2024年に前倒ししたのが諸悪の根源かも知れない。

ISSタクシーを2社に請け負わせるという決定も、管理能力を分散させるというリスクを負った。

スターライナーOFT-1の失敗は、そのツケが回ってきたということだ。

お手盛りの勧告で、80項目の改善点を挙げて、数で勝負のお役所的体裁を整えたとしても、そんなもんが当てにならないことはNASAの歴史が証明している。

民間の参入が増えたといっても、それはアポロ時代も同じだ。

その数十分の一のコストで同じことをやろうとしたら、どこかに無理が出るに決まっている。

宇宙開発は、生身の人間が行っているのだ。

それを忘れてはいけない。

組織だって、生身の人間が動いてナンボ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子的には、スターライナーの開発に固執するNASAとB社の慣れ合いは、いつか来た道への一里塚のような気がしてならない。

OFT-2が年内に上がるかどうかは、何とも言えない。

それこそ、じっくりと時間を掛けて評価体制の立て直しから地道に取り組み、たまたまラッキーで成功しただけかもしれないアトラスV-N22の再評価もキッチリ行ってもらいたいもんだ。

80項目が多いとは思えない。

800項目でも8000項目でも十分かどうかは分からない。

項目の多寡ではないのだ。

たぶん、おそらく、きっと、質的な問題が根底にあって、しらみつぶしに目に見えるところを改善し尽くしたとしても、未来永劫、問題を抱え続ける気がする。

それは、S社についても言えるかもしれない。

クルードラゴンやブロック5のファルコン9に、隠れた瑕疵がないとは言い切れないからな。

米国的にはISSの入り口に掲げた星条旗を持ち帰りたいところだろうが、ロジカルに考えればソユーズに任せておくのが無難だ(そうなのかあ?)。

低軌道しか使えないクルードラゴンやスターライナーに金をつぎ込んで手に入るのは、米国の自尊心だけだからな。

S社だって、スターシップに資源を集中させたいだろうからな。

クルードラゴンの開発は停滞し、技術者のモチベーションは下がる一方だし、そのエンジニア自体が引っぺがされてスターシップを吹っ飛ばすプロジェクト(!?)に配置換えされるに決まっている。

(SpaceX Starshipエンジンテストは、ハリケーンの損傷とバグにより1日に2回中断されました)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-engine-test-two-aborts-one-day/

「Starship Raptorエンジンのテストは、ハードウェアの小さなバグとハリケーンハンナによって引き起こされた損傷によって1日に2回遅れた」

今のところ、SN5は無事のようだ。

いずれにしても、ISSタクシーを巡る懸念は消えない。

付け焼刃の対策を百万回施しても、解決するかどうかは怪しい。

抜本的に見直さないといけないような気がして成らない。

事は人命にかかわるし、それが損なわれる事態が生じれば、宇宙開発自体の長期間の停滞を招きかねない。

中国は大喜びするかもしれないけどな・・・。

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