惑星間有人飛行の時代は来るのか:立ちはだかるのは放射線と無重力だけではない:宇宙船の推進力は電気エンジンか原子力か2020年09月07日 10:10

惑星間有人飛行の時代は来るのか:立ちはだかるのは放射線と無重力だけではない:宇宙船の推進力は電気エンジンか原子力か


無人探査機なら、わざわざ地球に戻ってくることはない(サンプルリターンとかは戻らないとな)。

火星の土(無機物ばっかだから、土じゃないか)をすくってくる話にしても、回収できるかどうかは約束された話じゃない。

概ね、探査機は行きっぱなしで、一方通行だ。

有人探査はそうはいかない。

移住とかになれば行ったきりでもいいけど、探査したら、土産話を持って帰らないとな(話だけかあ?)。

月は、そうやって20世紀に探査を行った。

次は火星だそうだが、そう簡単には行かない。

理由は、なんたって遠いから。

遠いと、一般に時間がかかる。

SLSが出来て速くなるとはいえ、月と火星の距離の差はベラボーだ。

近地点を5千6百万キロとしても、月軌道(38万キロ)の150倍弱になる(実際の移動距離は遥かに長い)。

比較にはならない。

1週間もあれば往復できる月とは異なり、火星に行って帰って来るだけでも2年近くかかってしまう。

着陸しようものなら、3年くらいは地球の土(こっちはちゃんとした土です!)を踏むことはできない。

宇宙放射線やら、無重力やら、精神的な安定やらで、人間の負担も大きいしな。

食料や酸素、水の確保も重要だ(人間のための荷物が多い!)。

しかし、なにより、それだけ長い期間を飛んで帰って来るだけの燃料が心配だな。

イーロンマスクは、メタンと液酸を軌道上で給油(油じゃないけど)すれば、行くことはできるとしているようだ。

帰りは、火星の大気中にある二酸化炭素(うっすいですが)と、ちっとはあると言われる水からメタンと酸素を作り出して燃料を作り、それを詰め込む算段をしている。

燃料が出来なければ、帰ってくることはできない(先に無人機送って作っておくとか)。

一か八か・・・。

まあいい。

NASA(ボーイングかあ?:<以下追加>参照)は、もう少しマシなことを考えているようで、とりあえず周回して帰ってこようとしている。

(深宇宙輸送:DST)
https://en.wikipedia.org/wiki/Deep_Space_Transport

「DST宇宙船は、電気推進と化学推進の両方で推進されるオリオンカプセルと居住モジュールの2つの要素で構成され、中規模の生息地で4人の乗組員を運びます。」

オリオン宇宙船の運用寿命は210日といわれているから、何年も掛かる惑星間航行には耐えられない(たぶん)。

まあ、そこんとこは大目に見ることにしているのかも知れない(そうなのかあ?)。

「探査の最初のターゲットは火星(flybyまたはorbit)であり、その他の推奨される目的地は金星(flyby or orbit)であり、サンプルは大きな小惑星からの戻りです。」

人間が着陸しようなどということは、最初から考えられていない。

「DST宇宙船が火星を周回する場合、人間が支援する火星のサンプルリターンなど、火星表面の機器をリアルタイムでリモート操作する機会が得られます。」

うーん、隔靴掻痒の感があるな・・・。

「月のフライバイを使用して速度を上げ、次に太陽電気推進(SEP)を使用して、太陽中心軌道に加速します。そこで火星または他の可能な目的地への通過を完了します。火星の軌道に入るには化学推進力を使用します。クルーは、438日間のウィンドウの間にリモート観測を行ったり、水上を出発したりできます。車両は化学火傷を介して火星軌道を出発しました。それは、SEPと月の重力アシストの混合を使用して、地球の影響範囲に再捕獲します。」

想定されている推進力は、電気推進とフライバイ、伝統的な化学推進だ。

最近の話題は原子力ロケットだな。

(原子力推進)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%8E%A8%E9%80%B2

「核分裂炉又は核融合炉の高熱により直接推進剤(通常は水素)を加熱膨張させ、ノズルから噴出して推進する方式」(他の方式はちょっとヤバ過ぎ!)

原子炉を宇宙空間に打ち上げるという、一見、荒唐無稽かつヤバイ話に思えるが、リスクはさておき、推進効率から考えれば理に適っているようだ。

(アジャイルCislunar運用用のデモロケット(DRACO))
https://www.darpa.mil/program/demonstration-rocket-for-agile-cislunar-operations

「NTPは、電気推進よりも約10,000倍、化学推進よりも2から5倍高い比推力(推進剤効率)の高い推力対重量比を提供します。」

比推力(燃費みたいなもん)は高いが、推力対重量比は低い(もちろん、電気推進よりは遥かに高い)。

(核熱ロケット:ソリッドコア)
https://en.wikipedia.org/wiki/Nuclear_thermal_rocket#Solid_core

「米国の核熱ロケットの設計は最終的に推力対重量比が約7:1に達しました。これは、推力対重量比が70:1のオーダーである化学ロケットで達成可能な推力よりもはるかに低い推力対重量比です。液体水素貯蔵に必要な大型タンクと組み合わせると、これはソリッドコア核熱機関が地球外の軌道での使用に最適であることを意味します」

宇宙空間で使った場合は、そこそこの燃費とそれなりの推力を得られるということか。

あくまでも、設計上の話で、あらゆるリスクを棚上げにした机上の空論に過ぎない(材料の融点くらいしか考慮されていないんじゃね?)。

原理は簡単で、熱いストーブに水滴を垂らして蒸発した水蒸気の膨張圧力をノズルから推進力として吐き出すだけだ(そうなのかあ?)。

ストーブが原子炉に、水滴が水素になっただけ(酸素と反応して燃やすわけではない)。

原子炉の制御や、噴出ガスの制御(膨張室:ノズルの設計とか)が難しそうだが、構造的にはシンプルになる。

事故が起こってメルトダウン(重力ないので落ちませんが)すると厄介だな。

溶けまくって核分裂反応を続ける放射性物質が、長期間宇宙を漂うことになる(未確認)。

連鎖反応が制御できなければ、ドカーンと行くわけで、宇宙ステーションの近傍とかだとマジヤバになる。

重力を利用して、核分裂反応を止められるシンプルな構造の原子炉が提案されているが、重力のない宇宙空間では、そういう設計はできないからな。

(自然冷却でより安全に運用可能な「小型モジュール式原子炉」がついに規制当局から承認される)
https://gigazine.net/news/20200904-nuscale-small-nuclear-reactor/

「制御棒はモーターによって燃料棒の上に常に引き上げられている状態となっており、停電が発生したり電源が切られたりすると、自重でそのまま燃料棒の上に落下します。」

「この原子炉は「パッシブ冷却システム」を採用しており、熱された水が熱交換コイルを通って上昇し、冷却後に燃料棒に向かって下降するように配置されているので、原子炉を安全に運転するためのポンプや可動部品は必要ありません」

宇宙では、この有難い重力の恩恵を受けることはできないからな。

なにかあれば、即、メルトダウンだ。

そういう、根本的にヤバイユニットに依存するというのは、民間宇宙船の動力としては向かないかもしれない。

宇宙空間でドンパチやる軍事利用なら別だけどな。

DSTの重さは、NASAの検討案では100トンにもなるという(化学推進と電気推進を併用の場合)。

想定されている運用では、軌道から離脱したりする際には化学推進で、軌道に沿って移動する場合には電気推進で加速するということらしい。

それに、天体の重力を利用したフライバイを組み合わせて惑星間空間を移動する。

原子力推進が使用されるなら、電気推進の発電部分を原子炉からの熱で賄うこともできる。

太陽から離れれば、太陽電池で発電できる電力も減っちまうしな。

電子機器だけ賄っていればいい探査機とは異なり、動力ということになればそれなりの電力を食うだろう。

木星圏以遠への飛行については、必須になるだろう。

(NASA、新たなる「原子力ロケットエンジン」を開発へ)
https://news.mynavi.jp/article/20170825-ntp/

「宇宙開発に無限の希望を抱いていた1960年代に開発が行われたが、膨大な開発費や、必要性の弱さ、安全性などの面から打ち切られ、実際に宇宙を飛ぶことはなかった。」

打ち切られた理由が、現代に至って何か変わったかと言われれば、そんなことはない。

膨大な開発費が掛かり、必要性は全くなく(有人宇宙探査なんてしなくても、困ることは何もない)、危険性が減ったわけでもない。

月以遠の深宇宙へ人類が進出する際に、避けて通れない推進システムというだけの話だ。

近い将来(まあ、早くても2030年代以降ですが)、DSTの検討が進み、その推進力をどーするかという議論の中で、原子力ロケットが模索されることになるかも知れない。

火星くらいだと、あんまいらないかもな(でっかい太陽電池で電気推進か)。

木星圏への飛行ということになれば、必須の検討事項になるかも知れない。

探査機じゃなくて、帰ってこなければならないし、火星と違って燃料を現地調達できないからな。

ウィキの元ネタには、2030年代初頭の火星探査は不可能という記事が出ている。

(独立したレポートは、2033年の人間の火星ミッションは実行不可能であると結論します)
https://spacenews.com/independent-report-concludes-2033-human-mars-mission-is-not-feasible/

「予算の制約がなくても、火星の2033年軌道ミッションは、NASAの現在および概念的な計画の下では現実的にスケジュールできないことがわかりました」

その一方で、こうも書いている。

「私たちの分析によると、火星の軌道ミッションは、2037年の軌道ウィンドウまでに、大規模な技術開発、スケジュールの遅延、コスト超過、予算不足のリスクを受け入れずに実行できることが示唆されています。」

ワケワカ・・・。

記事を読むと、2037年に実現するとは書かれていない。

少なくとも、それ以降にならなければ、極端なリスク(計画断念とか)を受け入れずに実行することは出来ないと言っているだけだ。

「STPIはまた、2037年にこの最初の火星ミッションを実行するコストを推定しました。」

興味をそそられるところだが、元にしたのがオリオン宇宙船の開発というのが気になるな。

すでに、アポロが飛び、予見できるリスクの元で、ちっとばっか大きくし、運用期間を多少伸ばしたに過ぎない。

DSTは、今までに人類が行ったことがない未知の領域に踏み込む・・・。

・SLS、オリオン:337億ドル(昨年まで:たぶん名目)
・DST:292億ドル
・月軌道ゲートウェイ:60億ドル(米国負担分のみ)
・その他:517億ドル
・合計:1206億ドル

DSTは、1機とは限らないからな。

開発した後、おそらく数機を作成して、実際の運用に適用できるかどうかを数回テストしなければならない。

そのテスト期間は、1回に付き数年に及び、少なくとも2回程度(無人1回:こっちは実際に火星軌道に飛ばしてもいい、有人1回:ヤバくなったらいつでも戻れる辺りをぐるぐる回ってもらう)おこなったうえで火星探査を実行することになる。

運用期限が来てしまうオリオンの改造も必要だろう。

仮に、3年間の運用となった場合、現在の半年程度から数倍に延長する必要がある。

DSTの開発については、何の目途も立っていない。

「長いリードタイムを必要とする生命維持システムや推進力など、特に深宇宙輸送に関連する技術リスク」

それが、どれ程になるか、どのように解決するかについては、全く闇の中だ。

ああ、合成生物学で遺伝子改変して、放射線耐性を上げたり無重力でも骨が減らないようにしたりするアイデアはあるけどな。

それが、果たして有効に機能するかどうかは分からない。

現実には、どう解決したらいいかという具体な話はないに等しい。

放射線遮蔽壁や人工重力発生装置(メリーゴーランドのようなヤツ)を装備することはできるが、その重量をどのように推進するかという新たな課題を生む。

重くなれば、それだけ燃料を食う。

宇宙では、軽さは正義だ。

そして速さも。

宇宙空間に長期間留まることは、それだけでリスクなわけで、それを減らすことができるのは移動のスピードを上げることだ。

人間を生きたまま動かすためには、生命維持に莫大な資源を要求される。

電子機器も、放射線耐性については似たような話が付きまとう。

回路やデバイスの冗長化、電子機器への遮蔽などは、全て重量増加につながる。

ミッション全体で、相当程度のリスクを負わなければ、実現自体が不可能な状況なわけだ。

ふん、移民なんて、とんでもない話だな。

DSTの重量が100トンというのは、おそらくSLSで上げることができる最大重量から割り出した後付けの数字に違いない(未確認)。

必要な要素を積み上げていけば、おそらくとんでもない重量になって、月軌道はおろか、地球低軌道までも上げられなくなる。

分割して上げるか、断念するか。

浮沈子は、断念するのが正解と考えているけどな。

人類は地球に留まり、他の天体の有人探査は月だけ。

他の惑星やその衛星の探査はロボット(探査機)が行う。

有人月面基地などとんでもないし、火星移住など与太話以外の何物でもない。

月軌道ステーションは、技術的に手頃という意味でのミッションとしては面白いが、それだけでは何の意味もない。

アルテミス計画を、月軌道ステーションを使わずに行うというのは、時間的な制約というより、それが道理にかなっているからだろう。

月面着陸に、ステーションはいらない。

月面に定期的に着陸する程度なら、直接行くのが正しい。

人類の宇宙開発の地平は、余程のことがない限り、そこから先に進むことはない。

交代で常駐するのは地球低軌道まで。

宇宙旅行は、自由帰還軌道の月周回程度まで。

それでも、十分過ぎるくらいの背伸びだろう。

DSTについて調べれば調べる程、その実現可能性についての疑問が出てくる。

後世の歴史家が、20世紀後半から21世紀初頭にかけてのこの時期を、宇宙開発という切り口でどのように記述するかは知らない。

一旦、月へと進出しながら、地球低軌道へと後退したことを、否定的にとらえるのか。

それとも、限界をわきまえた英知と捉えるのか。

人類が宇宙空間向きでないことは灯を見るより明らかだ。

大気圏内であったとしても、地面から離れた途端にリスクが生じる。

それを、どこまで許容するかを決めるのは、物理の法則でも生命科学でもない。

人間自身の意思だけが、その限界を決めることができる。

技術の進歩とか、経済とかを睨みながら、自分たちの行動の限界を模索し続ける。

挑戦と挫折を繰り返して、その限界を知るのだ。

挑戦を止めれば、実質的にそこが限界となる。

挑戦し続けても、毎回全滅なら、まあ、それも限界だがな。

技術を進歩させるか、金を貯めるかして、再起を図るしかない。

20世紀の終わりから21世紀初頭にかけて、人類の選択は地球低軌道に留まるという妥当なものだった。

技術の成熟を待って、再び月や火星に向かおうとしているが、浮沈子には拙速に思える。

われわれは、それ程賢く、豊かになったのだろうか?。

無人の探査機を飛ばすのは構わない。

それだって、限界はあるし、サンプルリターンに成功しているのは、月と限られた地球近傍の小惑星だけだ。

人的リスクなく、チャレンジし続ける意義はある。

無人の月面基地(月面天文台含む)だって、面白いかも知れない。

ロボットを常駐させて、天体観測でも鉱物の採掘でもさせればいいのだ。

やることはいくらでもある。

地球大気の底に最適化した人類が、のこのこ行く必要はない。

所詮は、道楽の域を出ない(そうなのかあ?)。

探検や冒険は、生存圏の拡張を求め続ける生物の本能だと言われるが、そして、それは環境変化に適応するための生存戦略であることは確かだろうが、それには長い時間が必要だし、限界もある。

滅んでいた生物のリストで、歴史の図書館は一杯だ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

宇宙に進出できずに人類、ひいては地球生命が絶滅したとしても、それはそれで仕方ないと浮沈子は考えている。

究極の選択だな。

宇宙に出て死ぬか、地球に留まって死ぬか。

幸いなことに、現代では、宇宙に出られる人は限られている。

大部分の人々は、その選択を迫られることはない。

安心して、地球で生き、死ぬことにしよう。

DSTという棺桶で死ぬより、余程充実した最期を迎えられそうだしな・・・。

<以下追加>----------

(ボーイング、月や火星の探査基地や探査船「Deep Space Gateway/Transport」コンセプトを発表)
https://sorae.info/030201/2017_04_05_boeing.html

(ボーイング社、月と火星探査の深宇宙概念を発表
深宇宙ゲートウェイ、将来の人間の宇宙活動に不可欠な輸送)
https://boeing.mediaroom.com/2017-04-03-Boeing-Unveils-Deep-Space-Concepts-for-Moon-and-Mars-Exploration#assets_117:20176

「ディープスペースゲートウェイは、火星ミッションの中間地点になる可能性があります。国際宇宙ステーションが商業運用に使用しているものと同様のドッキングシステムを利用して、人間を火星に運ぶディープスペーストランスポートビークルをホストできます。火星に近づくと、乗組員は着陸船を地上ミッションに配備したり、他の科学的およびロボットミッションを軌道上で実施したりできます。」

「輸送車両には、深宇宙の過酷な環境と独自の堅牢なSEPバスから乗客を保護するために特別に設計された生息地が装備されます。」

「ボーイングのコンセプトはどちらも、実績のある太陽電気推進技術と702衛星ファミリーのハードウェア設計を活用しています。」

このコンセプトでは、オリオン宇宙船との同伴は考えられていない。

提案されているのは、ディープスペースゲートウェイ、ディープスペーストランスポートビークル(SEPバス:ソーラー電気推進ユニット+居住施設)、オマケのロボット(火星軌道からリモート操作)だけだ。

NASAは、無理やりオリオン宇宙船をくっ付けたに違いない(未確認)。

火星に行くのに、オリオンは必要だと。

しかし、210日しか設計寿命がない宇宙船をくっ付けて大丈夫なのかという懸念は残るな(やっぱ、ダメでしょう・・・)。

何がネックになるのかは知らないが、例えば電子機器の放射線耐性とか、太陽電池の寿命とか。

太陽電池の方は、SEPバスからの給電を当てにできるかもしれないが、電子機器については遮蔽や冗長性を見直す必要がある。

想定されているのは、期間の際、オリオンだけ切り離して、そのまま地球におろすというシナリオなんだろうが、ゲートウェイ経由なら、係留して置いたオリオンに再度乗り換えてもいい。

居住施設については、さらに悲惨な状況で、ベースにしているのはISSのディスティニーモジュールだそうだ。

(深宇宙の生息地)
https://en.wikipedia.org/wiki/Deep_Space_Habitat

「60日間のミッション -基本的な60日間のミッションバリアントは、極低温推進ステージ(CPS)、ISS Destiny由来のラボモジュール、およびエアロック/トンネルで構成されます。」

「500日間のミッション -500日間のミッションバリアントは、同じ60日間の乗組員の生息地とサイズで構成されます。大量の増加は、多目的ロジスティックスモジュール(MPLM)を追加して、ミッション期間を延長するための追加の供給ストレージを提供することから生じます。」

この構成では、航法機器などのエレクトロニクスは、おそらくオリオン側にしか装備されない(未確認)。

必須の要素ということになる。

ボーイングの構成では、SEPバス側に航法機器関係を持ってくることも可能だろう。

また、500日の運用期間で火星探査が可能だとしているが、ギリギリだな。

そばを通り過ぎて戻ってくるだけだろう(周回軌道には入れない)。

ちなみに、ディスティニーはボーイングの建造による。

2001年2月から運用を開始して、既に20年近くになるから地球低軌道における耐久性には定評があるが、惑星間空間における堅牢性は未知だ。

(運命(ISSモジュール))
https://en.wikipedia.org/wiki/Destiny_(ISS_module)

「質量 14,515キログラム(32,000ポンド)
長さ 8.4メートル(28フィート)
直径 4.2メートル(14フィート)
加圧容積 104.77 m 3(3,700立方フィート)」

既存の実績のあるモジュールと接続機構を通じて、宇宙船をコンポーネントして作り上げる手法はNASAお得意だ。

インテグレートされた宇宙船を、トータルとしてテストもする。

地上で出来ることは地上で、宇宙でしかできないことは宇宙で。

本番に投入される時、未確定要素は少なければ少ないほどいい。

宇宙では、予測不可能なことが起こる。

予測可能なことは、事前のテストで潰しておくのが鉄則だ。

壊してみなければ分からないのなら、事前に壊しておいて、破壊限界を把握して、それ以下の応力だけしかかからないように設計・製造しなければならない。

運用に当たっても、その限界を超えない運用でなければ破壊されることになる。

機械的強度(金属疲労含む)、化学的劣化、紫外線等による脆化、電蝕、腐食、その他諸々を考慮し、堅牢な機体を作らなければならない。

惑星間空間に曝し、何年も無人で飛ばしてみて、徹底的に粗探しをして、人を乗せて大丈夫ということにならなければ有人飛行はできない。

有人テスト飛行の際にも、生命維持だけではなく、総合的な負荷の中で、全ての機能をチェックして、人類初の惑星間航行宇宙船としての性能を証明しなければならない。

改善すべき点があれば改善し、できなければ作り直しになる。

そして、テストに次ぐテスト・・・。

有人惑星間飛行が、明日にでも実現しそうな話は、全て与太話に過ぎない。

実際のところは、何も分からないし、何も決まっていない。

月に行くことはできる。

われわれは、既に行ったからな。

その先に踏み込むことは、別の話になる。

月軌道の10倍のところくらいまでは行けるかもしれない(オリオンでブッ飛ばしてな)。

人類の地平を広げることは可能だ。

早くても、2年後以降だがな。

そこから先については、我々は何も持っていない。

具体な計画やビジョンはない。

あるのは、要素技術の研究や個々バラバラの提案レベルで、オーソライズされたものではない。

もちろん、成案を得るプロセスの中にあると言えないこともない。

あーだこーだと議論百出しなければ、上手いアイデアは出てこないからな。

挙句の果ては、断念ということになるかも知れない。

初めから、そう明確には言わないだろう。

無期限延期、棚上げ、当面見送り、検討中(前向きに?)、エトセエトセ・・・。

100年経って、もう、いい加減誰もが忘れた頃になって、断念したと決定する(まだ引っ張ってたのか・・・)。

恒星間宇宙船の話なんて、50年くらい前のことだけど、まだ諦めてないしな。

惑星間航行を諦めさせるのはムリポかもな・・・。