成層圏を飛ぶ張子の虎 ― 2020年09月13日 20:57
成層圏を飛ぶ張子の虎
JAXAがかつて目指していた、再使用型サウンドロケット(弾道飛行で飛ぶ観測ロケット)みたいな話だ(現在は開発していないようです:2016年プロジェクト終了:RV-Xで研究レベルで継続されているようだが、1度も飛んでいない)。
ただし高度は18kmと低い。
(イーロン・マスク氏が「StarshipのSN8プロトタイプはノーズコーンを搭載し高度約18kmの帰還飛行を試みる」と発言)
https://jp.techcrunch.com/2020/09/13/2020-09-12-elon-musk-says-starship-sn8-prototype-will-have-a-nosecone-and-attempt-a-60000-foot-return-flight/
「SN8は、フラップ(下げ翼)とノーズコーン(先端部分)を備えており、最終的にははるかに高い高度での試験打ち上げを目指している」
目的が異なるので、単純な比較はできないが、それなりの高度に上がってから落下しつつ姿勢制御し、最終的にパワードランディングする。
関連記事も上がっている。
(スターシップニュース:メタンノズル、拡張タンク、洋上発射、各発射のコストなど)
https://www.elonx.cz/novinky-o-starship-metanove-trysky-prodlouzene-nadrze-starty-z-morskych-plosin-naklady-na-kazdy-start-a-dalsi/
「メタンノズル:
宇宙船は着陸前に水平位置から垂直位置に向きを変える必要があり、この操縦は主にラプターエンジンに点火することによって実行されます。しかし、後のバージョンの船には、メタンを燃焼させる強力な操縦ノズルが装備されることになっているため、船がそれらでさらに旋回するかどうかという疑問が生じます。」
もちろん、SN8はコールドガス(窒素)を噴射して向きを変えたりするんだろう(未確認)。
動翼をウニウニさせて、制御落下を行い、最後のところでクルッと向きを変えて、ウルトラC難度の着地を決めようというわけだが、浮沈子的には大事故発生に期待だな(地上の安全確保が重要かも)。
高度が高いので、ラプターエンジンも3基積むことになる(1基でも行けるんじゃないのかあ?)。
3基のクラスター制御もあるし、噴射したガスの流れも見たいところだ。
まずは、真っ直ぐ上がって、隣の空き地に着地して、燃え盛る炎を強力な消火栓で消し止めてもらうところからだな。
初出のテッククランチの記事では、一週間で出来上がると言われているが、最悪、最も短命なプロトタイプの一つとなる可能性が高い。
実際に上がるのは来月以降だろうから、1か月くらいは生き延びるかもしれない(加圧テストや静的点火テストもやるしな)。
いきなり3基のエンジン付けるのか、1基から始めるのかは分からない(たぶん1基からだろうな)。
ホップ飛行から始めて徐々に高度を上げ、動翼の可動をテストし、コールドガスジェットによる姿勢制御を見極めてからダイブ飛行に突入する。
でもって、ドカンだな。
スペースシャトルやXー37B、ドリームチェイサーなどの滑らかな形状をしたブレンデッドウイングボディ機の滑空とは異なり、スプレー缶にブリキの羽根を後付けしただけのチープな仕立てだ。
その動翼をコンピューター制御でウニウニさせて、航空の女神を激怒させつつ、魔法のように減速しながら降りて来るだけでも驚異だ。
まあ、ファルコン9でも、ハエ叩き(グリッドフィン)で似たようなことはやってるけどな。
燃料節約のために、軌道速度からの減速の殆どを空力に頼らざるを得ないわけだ。
もう、これに比べたら、MCASなんて可愛いもんだな。
SN8には静的安定性なんて、爪の先ほどもない。
高速で落下する途中で安普請の動翼の片方がもぎ取られ、きりもみしながら超音速で墜落し、地面にたたきつけられて爆発炎上、中国天津の爆発事故も真っ青な巨大クレーターを作るに決まっている(そうなのかあ?)。
(2015年天津浜海新区倉庫爆発事故)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2015%E5%B9%B4%E5%A4%A9%E6%B4%A5%E6%B5%9C%E6%B5%B7%E6%96%B0%E5%8C%BA%E5%80%89%E5%BA%AB%E7%88%86%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85
「消火活動後に撮影された航空写真では、爆発現場周辺の地形がクレーター状に変形」
そういえば、最近ではベイルートでも大規模爆発があったな。
(2020年ベイルート爆発)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2020%E5%B9%B4%E3%83%99%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E7%88%86%E7%99%BA
「原子爆弾によらない爆発としては間違いなく史上最大規模」
「地面は大きくえぐれ幅124m、深さ43mのクレーターが形成された」
べらぼーめ・・・。
ボカチカのスペースXファシリティは、跡形もなくなるかもな(そんなあ!)。
もちろん、そうなればいいなどと願っているわけではない(さっき、期待してるって書かなかったっけえ?)。
しかし、ロケット開発には魔物が潜んでいる(エンジン開発じゃなかったっけえ?)。
安全には、万全を期してもらいたいと願っているだけだ。
高速反復開発手法を採るスペースXのロケット開発では、事故が起こることは織り込み済みだろうしな(壊してみなけりゃ分からんだろう?)。
運用に入ってからドカンと行くよりは、今のうちにトラブルの種を出し尽くしておいた方がいいに決まっている。
本番よりも厳しい条件や、強度限界まで追い込んで、たっぷりと安全係数を確保してもらいたい。
イーロンXのペトルメレチンの記事では、スターシップ(もちろん、まだプロトタイプですが)重量が超過していて、減量の最中という。
「開発と生産:
空の宇宙船はまだ非常に高い重量があり、目標は100トン(具体的には85トン)未満になることであると述べました。」(MK1は200トンだそうです。)
「残念ながら、マスクが現在のスターシップSN6またはSN8プロトタイプの重量をまだ明らかにしていないため、これが達成されたかどうかはわかりません。」
減量の辛さは浮沈子にも理解できる(関係ないんじゃね?)。
まあいい。
動翼が付いたSN8が、万が一、ウルトラCを決めて着陸しても、それはスターシップの再使用にめどが付いたことにはならない。
所詮は18kmの成層圏から自由落下しただけの話だ。
軌道速度(毎秒8kmとか)から、大気減速を行いつつマニューバして、温度と速度をコントロールしながら成層圏まで降りてくるところこそ、最大の難関なわけだ。
スペースシャトルコロンビアが空中分解し、スターライナーがあわやサービスモジュールにド突かれそうになった危険な領域・・・。
そのテストが出来るのは、スーパーヘビーが完成し、スターシップを宇宙空間に送り出し、さらにスターシップの真空ラプターを全開にして軌道速度に加速することができてからの話だ。
いつになることやら・・・。
勘違いしてはいけない。
スターシップ/スーパーヘビーは、SLSのライバルなどではない。
NASAが2030年代以降に開発するかもしれない、SLSの次世代ロケットのライバルなのだ(そうなのかあ?)。
現在の状況を見る限り、2022年にSLSは上がる(無人:アルテミス1:来年にはムリポ)。
根本的な問題がなければ、2023年には有人月周回飛行(アルテミス2)が行える可能性は高い。
その頃、スターシップ/スーパーヘビーは、ようやく本番機の開発に着手し、そろそろ軌道飛行を実現できるかどうかというところだろう。
つーことは、まだ、軌道からのスターシップの回収再使用のテストさえ始まっていないということだ。
アルテミス3は、月着陸船が期限通りに出来そうもないので、キャンセルされるかもしれないしな。
来年のことも分からないのに、3年後の話をしても仕方ない。
楽観することは物事を進めるうえで重要な態度だが、それを前提に何かを考えるのは危険だ。
給水塔のスターホッパーが上がってから、1年経ってスプレー缶(穀物サイロとも)のSN5が上がった。
スターホッパーを上げたラプターはぶっ壊れ、SN5を上げたやつは、飛行中にエンジン上部から火を吹いていた。
1か月後に上がったSN6は、着陸後に機体下部から出火して、消火栓の水をぶっかけられて事なきを得た。
本日現在、スーパーヘビーは影も形もなく、部品が散乱するボカチカで、SN8が組まれているという話もない。
だが、一寸先は闇だ。
順調に燃焼試験をこなしているSLSのコアステージが吹っ飛ぶかもしれず、ラプター3基組のSN8が年内にウルトラCを決めないとは断言できない。
確かなことはただ一つ。
SLSと同じように、1段目の燃焼テストを行っていたH3の初飛行が1年先送りされたということだけ。
やれやれ・・・。
確認しておこう。
SN8は張子の虎で、成層圏までしか上がれないロケット推進の航空機だ。
サウンドロケットとしては高度が足りず、使い物にはならない。
つまり、プロトタイプ以外の何物でもない。
スターシップに似てはいるけど、似て非なるものだ。
ただし、それが挑戦しようとしているのは、べらぼーな事業だ。
巨大ロケットの完全再使用。
軌道上での推進剤移充填。
月面着陸バージョンへの展開。
大陸間弾道旅客機。
月面基地の建設。
火星移民(ありえねー・・・)。
まあ、どうでもいいんですが。
最悪、当面2段目使い捨てでも、巨大衛星打ち上げロケットとして、未だに影も形もないニューグレンを凌いでいる。
まずは、そこからスタートだろうな。
重要なのは、スターリンクの第2期展開に、このロケットが必要不可欠であるということだ。
S社としては、そこを最低ラインとして、可能な限り早期に実現しなければならない(遅くても、2023年には軌道に上げたいところだな)。
衛星打ち上げロケットとしての成功が、次の開発へと繋がっていく重要な一里塚となる。
SN8は、そこに至るための初めの一歩になるかも知れない・・・。
<以下追加>----------
(再使用ロケット実験機の現状)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sspss/5/0/5_86/_pdf
「本研究活動は JAXA において宇宙科学研究所および研開部門の協働で進められるとともに,民間企業との共同研究により取り組まれており,得られる成果は 1 段再使用化に向けた実験機 CALLISTO のシステム設計や,我々が提案する再使用観測ロケットの開発,さらにはより将来の本格的な再使用型宇宙輸送システムにつながるものである」
サウンドロケットへの展開は、提案レベルに留まり具体化はしていないようだ。
もっとも、ブルーオリジンはニューシェパードで完全再使用サウンドロケットを既に実用化しているからな(高度100km以上)。
同じものを作ってみても面白みがないということはある。
今後は、カリストと言われる欧州との共同研究に発展的に解消されて、再使用サウンドロケットの芽は消えてなくなるかも知れない(そうなのかあ?)。
(CALLISTO)
https://ja.wikipedia.org/wiki/CALLISTO
「2017年6月に独仏日の宇宙機関が協定を締結して、共同で高度30kmの飛行を行う実験機CALLISTOの開発を行うことが決定された。」
こういう政治的な枠組みの中で、効率的な開発が行われたためしはない。
「ロケットエンジンや後部胴体、液体酸素タンクをJAXAが、降着装置や液体水素タンク、機首部構造、空力舵面をDLRが、地上設備をCNESが分担する。」
ギアナ実験場が使えるメリットはあるかも知れないが、この実験気が飛んで、何かが変わるとは思えないな。
欧州も、我が国も、NASAでさえ、再使用ロケットを本気で開発しようとしているわけではないのだ。
「将来の再使用型宇宙往還機 (RLV) の開発と運用において必要な技術の実証を目的としており、また再使用における運用コストの評価も行う。」
やるかやらないかを、これから実験機を開発し、飛ばしてみて、その結果から判断するという悠長な対応だからな。
政府系の衛星以外、全部S社に持っていかれてしまわない限り、目は覚めないだろう。
たぶん、そうなっても再使用には手を出さないかもしれない。
開発に掛かる膨大なコスト、勝ち目のない価格競争、政府系衛星の打ち上げ頻度などを考慮して、打ち上げロケットの開発そのものから撤退するということもあり得る。
H3が、我が国最後の基幹ロケットになるかも知れない。
その後は?。
スターシップ/スーパーヘビーの離発着場を整備したり、我が国の製造技術を生かして下請け製造したり、ライセンス生産させてもらって食いつなぐことになる。
そういうのは得意だからな。
時が来れば、独自ロケットの開発を再開できるかもしれない。
N-1ロケットは、そうして導入されたしな。
歴史は繰り返す。
どうやら、MRJ(違う名前にしたようですが)も、塩漬けのままお蔵になりそうな気配だしな。
重工は、試練の時を迎えている。
宇宙戦艦大和でも建造させてもらわんとな・・・。
JAXAがかつて目指していた、再使用型サウンドロケット(弾道飛行で飛ぶ観測ロケット)みたいな話だ(現在は開発していないようです:2016年プロジェクト終了:RV-Xで研究レベルで継続されているようだが、1度も飛んでいない)。
ただし高度は18kmと低い。
(イーロン・マスク氏が「StarshipのSN8プロトタイプはノーズコーンを搭載し高度約18kmの帰還飛行を試みる」と発言)
https://jp.techcrunch.com/2020/09/13/2020-09-12-elon-musk-says-starship-sn8-prototype-will-have-a-nosecone-and-attempt-a-60000-foot-return-flight/
「SN8は、フラップ(下げ翼)とノーズコーン(先端部分)を備えており、最終的にははるかに高い高度での試験打ち上げを目指している」
目的が異なるので、単純な比較はできないが、それなりの高度に上がってから落下しつつ姿勢制御し、最終的にパワードランディングする。
関連記事も上がっている。
(スターシップニュース:メタンノズル、拡張タンク、洋上発射、各発射のコストなど)
https://www.elonx.cz/novinky-o-starship-metanove-trysky-prodlouzene-nadrze-starty-z-morskych-plosin-naklady-na-kazdy-start-a-dalsi/
「メタンノズル:
宇宙船は着陸前に水平位置から垂直位置に向きを変える必要があり、この操縦は主にラプターエンジンに点火することによって実行されます。しかし、後のバージョンの船には、メタンを燃焼させる強力な操縦ノズルが装備されることになっているため、船がそれらでさらに旋回するかどうかという疑問が生じます。」
もちろん、SN8はコールドガス(窒素)を噴射して向きを変えたりするんだろう(未確認)。
動翼をウニウニさせて、制御落下を行い、最後のところでクルッと向きを変えて、ウルトラC難度の着地を決めようというわけだが、浮沈子的には大事故発生に期待だな(地上の安全確保が重要かも)。
高度が高いので、ラプターエンジンも3基積むことになる(1基でも行けるんじゃないのかあ?)。
3基のクラスター制御もあるし、噴射したガスの流れも見たいところだ。
まずは、真っ直ぐ上がって、隣の空き地に着地して、燃え盛る炎を強力な消火栓で消し止めてもらうところからだな。
初出のテッククランチの記事では、一週間で出来上がると言われているが、最悪、最も短命なプロトタイプの一つとなる可能性が高い。
実際に上がるのは来月以降だろうから、1か月くらいは生き延びるかもしれない(加圧テストや静的点火テストもやるしな)。
いきなり3基のエンジン付けるのか、1基から始めるのかは分からない(たぶん1基からだろうな)。
ホップ飛行から始めて徐々に高度を上げ、動翼の可動をテストし、コールドガスジェットによる姿勢制御を見極めてからダイブ飛行に突入する。
でもって、ドカンだな。
スペースシャトルやXー37B、ドリームチェイサーなどの滑らかな形状をしたブレンデッドウイングボディ機の滑空とは異なり、スプレー缶にブリキの羽根を後付けしただけのチープな仕立てだ。
その動翼をコンピューター制御でウニウニさせて、航空の女神を激怒させつつ、魔法のように減速しながら降りて来るだけでも驚異だ。
まあ、ファルコン9でも、ハエ叩き(グリッドフィン)で似たようなことはやってるけどな。
燃料節約のために、軌道速度からの減速の殆どを空力に頼らざるを得ないわけだ。
もう、これに比べたら、MCASなんて可愛いもんだな。
SN8には静的安定性なんて、爪の先ほどもない。
高速で落下する途中で安普請の動翼の片方がもぎ取られ、きりもみしながら超音速で墜落し、地面にたたきつけられて爆発炎上、中国天津の爆発事故も真っ青な巨大クレーターを作るに決まっている(そうなのかあ?)。
(2015年天津浜海新区倉庫爆発事故)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2015%E5%B9%B4%E5%A4%A9%E6%B4%A5%E6%B5%9C%E6%B5%B7%E6%96%B0%E5%8C%BA%E5%80%89%E5%BA%AB%E7%88%86%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85
「消火活動後に撮影された航空写真では、爆発現場周辺の地形がクレーター状に変形」
そういえば、最近ではベイルートでも大規模爆発があったな。
(2020年ベイルート爆発)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2020%E5%B9%B4%E3%83%99%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E7%88%86%E7%99%BA
「原子爆弾によらない爆発としては間違いなく史上最大規模」
「地面は大きくえぐれ幅124m、深さ43mのクレーターが形成された」
べらぼーめ・・・。
ボカチカのスペースXファシリティは、跡形もなくなるかもな(そんなあ!)。
もちろん、そうなればいいなどと願っているわけではない(さっき、期待してるって書かなかったっけえ?)。
しかし、ロケット開発には魔物が潜んでいる(エンジン開発じゃなかったっけえ?)。
安全には、万全を期してもらいたいと願っているだけだ。
高速反復開発手法を採るスペースXのロケット開発では、事故が起こることは織り込み済みだろうしな(壊してみなけりゃ分からんだろう?)。
運用に入ってからドカンと行くよりは、今のうちにトラブルの種を出し尽くしておいた方がいいに決まっている。
本番よりも厳しい条件や、強度限界まで追い込んで、たっぷりと安全係数を確保してもらいたい。
イーロンXのペトルメレチンの記事では、スターシップ(もちろん、まだプロトタイプですが)重量が超過していて、減量の最中という。
「開発と生産:
空の宇宙船はまだ非常に高い重量があり、目標は100トン(具体的には85トン)未満になることであると述べました。」(MK1は200トンだそうです。)
「残念ながら、マスクが現在のスターシップSN6またはSN8プロトタイプの重量をまだ明らかにしていないため、これが達成されたかどうかはわかりません。」
減量の辛さは浮沈子にも理解できる(関係ないんじゃね?)。
まあいい。
動翼が付いたSN8が、万が一、ウルトラCを決めて着陸しても、それはスターシップの再使用にめどが付いたことにはならない。
所詮は18kmの成層圏から自由落下しただけの話だ。
軌道速度(毎秒8kmとか)から、大気減速を行いつつマニューバして、温度と速度をコントロールしながら成層圏まで降りてくるところこそ、最大の難関なわけだ。
スペースシャトルコロンビアが空中分解し、スターライナーがあわやサービスモジュールにド突かれそうになった危険な領域・・・。
そのテストが出来るのは、スーパーヘビーが完成し、スターシップを宇宙空間に送り出し、さらにスターシップの真空ラプターを全開にして軌道速度に加速することができてからの話だ。
いつになることやら・・・。
勘違いしてはいけない。
スターシップ/スーパーヘビーは、SLSのライバルなどではない。
NASAが2030年代以降に開発するかもしれない、SLSの次世代ロケットのライバルなのだ(そうなのかあ?)。
現在の状況を見る限り、2022年にSLSは上がる(無人:アルテミス1:来年にはムリポ)。
根本的な問題がなければ、2023年には有人月周回飛行(アルテミス2)が行える可能性は高い。
その頃、スターシップ/スーパーヘビーは、ようやく本番機の開発に着手し、そろそろ軌道飛行を実現できるかどうかというところだろう。
つーことは、まだ、軌道からのスターシップの回収再使用のテストさえ始まっていないということだ。
アルテミス3は、月着陸船が期限通りに出来そうもないので、キャンセルされるかもしれないしな。
来年のことも分からないのに、3年後の話をしても仕方ない。
楽観することは物事を進めるうえで重要な態度だが、それを前提に何かを考えるのは危険だ。
給水塔のスターホッパーが上がってから、1年経ってスプレー缶(穀物サイロとも)のSN5が上がった。
スターホッパーを上げたラプターはぶっ壊れ、SN5を上げたやつは、飛行中にエンジン上部から火を吹いていた。
1か月後に上がったSN6は、着陸後に機体下部から出火して、消火栓の水をぶっかけられて事なきを得た。
本日現在、スーパーヘビーは影も形もなく、部品が散乱するボカチカで、SN8が組まれているという話もない。
だが、一寸先は闇だ。
順調に燃焼試験をこなしているSLSのコアステージが吹っ飛ぶかもしれず、ラプター3基組のSN8が年内にウルトラCを決めないとは断言できない。
確かなことはただ一つ。
SLSと同じように、1段目の燃焼テストを行っていたH3の初飛行が1年先送りされたということだけ。
やれやれ・・・。
確認しておこう。
SN8は張子の虎で、成層圏までしか上がれないロケット推進の航空機だ。
サウンドロケットとしては高度が足りず、使い物にはならない。
つまり、プロトタイプ以外の何物でもない。
スターシップに似てはいるけど、似て非なるものだ。
ただし、それが挑戦しようとしているのは、べらぼーな事業だ。
巨大ロケットの完全再使用。
軌道上での推進剤移充填。
月面着陸バージョンへの展開。
大陸間弾道旅客機。
月面基地の建設。
火星移民(ありえねー・・・)。
まあ、どうでもいいんですが。
最悪、当面2段目使い捨てでも、巨大衛星打ち上げロケットとして、未だに影も形もないニューグレンを凌いでいる。
まずは、そこからスタートだろうな。
重要なのは、スターリンクの第2期展開に、このロケットが必要不可欠であるということだ。
S社としては、そこを最低ラインとして、可能な限り早期に実現しなければならない(遅くても、2023年には軌道に上げたいところだな)。
衛星打ち上げロケットとしての成功が、次の開発へと繋がっていく重要な一里塚となる。
SN8は、そこに至るための初めの一歩になるかも知れない・・・。
<以下追加>----------
(再使用ロケット実験機の現状)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sspss/5/0/5_86/_pdf
「本研究活動は JAXA において宇宙科学研究所および研開部門の協働で進められるとともに,民間企業との共同研究により取り組まれており,得られる成果は 1 段再使用化に向けた実験機 CALLISTO のシステム設計や,我々が提案する再使用観測ロケットの開発,さらにはより将来の本格的な再使用型宇宙輸送システムにつながるものである」
サウンドロケットへの展開は、提案レベルに留まり具体化はしていないようだ。
もっとも、ブルーオリジンはニューシェパードで完全再使用サウンドロケットを既に実用化しているからな(高度100km以上)。
同じものを作ってみても面白みがないということはある。
今後は、カリストと言われる欧州との共同研究に発展的に解消されて、再使用サウンドロケットの芽は消えてなくなるかも知れない(そうなのかあ?)。
(CALLISTO)
https://ja.wikipedia.org/wiki/CALLISTO
「2017年6月に独仏日の宇宙機関が協定を締結して、共同で高度30kmの飛行を行う実験機CALLISTOの開発を行うことが決定された。」
こういう政治的な枠組みの中で、効率的な開発が行われたためしはない。
「ロケットエンジンや後部胴体、液体酸素タンクをJAXAが、降着装置や液体水素タンク、機首部構造、空力舵面をDLRが、地上設備をCNESが分担する。」
ギアナ実験場が使えるメリットはあるかも知れないが、この実験気が飛んで、何かが変わるとは思えないな。
欧州も、我が国も、NASAでさえ、再使用ロケットを本気で開発しようとしているわけではないのだ。
「将来の再使用型宇宙往還機 (RLV) の開発と運用において必要な技術の実証を目的としており、また再使用における運用コストの評価も行う。」
やるかやらないかを、これから実験機を開発し、飛ばしてみて、その結果から判断するという悠長な対応だからな。
政府系の衛星以外、全部S社に持っていかれてしまわない限り、目は覚めないだろう。
たぶん、そうなっても再使用には手を出さないかもしれない。
開発に掛かる膨大なコスト、勝ち目のない価格競争、政府系衛星の打ち上げ頻度などを考慮して、打ち上げロケットの開発そのものから撤退するということもあり得る。
H3が、我が国最後の基幹ロケットになるかも知れない。
その後は?。
スターシップ/スーパーヘビーの離発着場を整備したり、我が国の製造技術を生かして下請け製造したり、ライセンス生産させてもらって食いつなぐことになる。
そういうのは得意だからな。
時が来れば、独自ロケットの開発を再開できるかもしれない。
N-1ロケットは、そうして導入されたしな。
歴史は繰り返す。
どうやら、MRJ(違う名前にしたようですが)も、塩漬けのままお蔵になりそうな気配だしな。
重工は、試練の時を迎えている。
宇宙戦艦大和でも建造させてもらわんとな・・・。
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