スターシップSN8は高高度飛行の夢を見るか2020年10月23日 20:07

スターシップSN8は高高度飛行の夢を見るか
スターシップSN8は高高度飛行の夢を見るか


小笠原に行っている間、基本的にネットには接続しなかった。

往きの集合の際のメッセンジャーとメールチェック2回だけ。

一昨日、帰ってきていろいろ確認したら、宇宙ネタが溢れていて未だに追いついていない。

とりあえず、ファルコン9関係の記事を追っかけ、スターリンクV1L13の打ち上げまでは書いたが、スターシップがトリプルラプターの噴射に成功した件と、ノーズコーンの組み立てが行われた話を書いておくことにする。

記事には、明日にでも高高度飛行試験が行われそうなことが書かれているが、その前に問題を起こして挿げ替えられる予定のラプター1基の取り付け、その燃焼試験(同じことを繰り返すかどうかは分かりません)、取り付けられたノーズコーンの先端にある液体酸素タンクの低温試験(液体窒素で代用?)、実際の燃料(推進剤:酸素とメタン)を入れての試験、そこから実際に燃料等を供給しての燃焼試験を経て、総合的に評価してからの打ち上げになる。

いきなり、1万5千mに上げるのか、ホップ試験(概ね、高度150m)を噛ませるのかは不明だ。

ホップ試験は、エンジン制御と着陸脚(仮設)の動作を検証するためだからな(他にも、耐熱タイルの取り付け方法の確認などもあるようです)。

今までは、エンジン1基だけで行われていたが、飛行中の3基の協調動作を確認する必要があるのではないか。

今のところ、大きな問題を起こしてはいないが、SN8が2種類のステンレス合金(301と304L)を使用していることによる、低温での収縮率の違いによる溶接部分の剥離なども気になる(部分的に修理もしたようです)。

石橋を叩いて渡る慎重さが求められるところだ(うーん、叩いているうちに壊しちゃうんだがな・・・)。

もっとも、SN9が控えているからな。

思い切りよく突っ走っても、骨は拾ってもらえるだろう。

ホップテストなしに、いきなり高高度飛行試験に突入するんだろうか。

(スターシップSN8は、3つのラプターで初めて静的点火を実行し、続いてチップを取り付けました。:公開 2020年10月20日)
https://www.elonx.cz/starship-sn8-provedla-staticky-zazeh-s-tremi-raptory-nasledovat-bude-instalace-spicky/

「1週間前、プロトタイプのStarship SN8が極低温試験に合格」

「10月5日-窒素ガス圧試験」

「10月9日-極低温窒素による最後のテスト」

「10月12日-3つのラプターの設置が完了」

「10月16日にメタンと酸素の給油テストを実施」

「3日後(19日)にプレバーナーのテスト」

「火曜日(20日)の朝、プレバーナーの別のテスト」

「2時間以内に、静的点火もすぐに実行されました。SpaceXはまだテストについてコメントしていませんが、3つのRaptorエンジンすべてが点火されたと想定されています。」

「更新: Elon Muskは、3つのラプターが点火され、得られたデータが良好に見えることを確認しました。」(21日)

ここまでは、円筒状のメインタンク内の推進剤による試験だ。

「しかし、スターシップSN8がどこかに飛ぶ前に、少なくとも2つのことを行う必要があります。現在の静的点火がうまくいき、SpaceXがそれを繰り返す必要がない場合、翌日、完成した空力チップをランプに輸送し、そこでクレーンでSN8の残りの部分に接続することができます。その後、さらなる静的点火が期待されます。ただし、着陸操作を目的とした上記の小型タンクから汲み上げられた燃料を使用するという点で、最初のものとは異なります。そして、この静的点火でさえ計画通りに進んだ場合、次のステップはテスト飛行を実行することです。」

1mmも浮き上がっていない機体を、いきなり1万5千mに飛ばすんだろうか?。

浮沈子的には、やや疑問が残る。

(SpaceXは最初の高高度スターシップのノーズコーンをインストールします)
https://www.teslarati.com/spacex-installs-first-high-altitude-starships-nosecone/

「10月22日、SpaceXはロケットを完全な高さまで積み上げることに成功し、完成したばかりの機首セクションを設置して、飛行に耐える最初の高さ約50m(〜165フィート)のスターシッププロトタイプを効果的に完成させました。」

「SpaceXは周囲温度の圧力テストも実行しているようで、ノーズコーンの先端にある小さな液体酸素ヘッダータンクに漏れがなく、期待どおりに機能していることを確認したようです。」

「機首を取り付ける数時間前に、SpaceXはスターシップSN8の3つのラプターエンジンの1つを取り外したようですが、予備の4番目のエンジンがすでにボカチカにあったことも明らかにしました。言い換えれば、プロトタイプには現時点で2つのラプターエンジンしかインストールされていない可能性があります。つまり、SpaceXは、SN8の次の主要なテストキャンペーンの準備をする前に、もう1つインストールする必要があります。」

「CEOのElonMuskによると、計画はスターシップSN8の3つのラプターエンジンを静的に発射し、最終検査とチェックアウトを実行し、別の静的な発射を実行し、最後に最初の高高度スターシップ飛行試験を試みることでした。」

うーん、ノーズコーンの液酸タンクからの静的発射の後は、いきなり高高度飛行試験というシナリオしかないか・・・。

「成功した場合、その2回目の静的火災により、スターシップSN8の飛行デビューが始まります。このデビューでは、巨大なロケットが15 km(50,000フィート)まで飛行し、スカイダイバー(腹を下ろす)のように地球に急降下し、急進的なロケットを実行します。」

どうも、唐突過ぎる気がするんだがな。

情報は出てこないんだが、当然、風洞試験やコンピューターシミュレーションはさんざんやってるんだろうし、ファルコンヘビーの3本束ねた機体の分離もぶっつけ本番に近かったからな(センターコアの回収には失敗したけど)。

今度のスカイダイブは、スターシップ開発の重要な一里塚であることは確かだ。

ここで成功しなければ、次のステップに進むことはできない(たぶん:そうでないこともあり得る:後述)。

もちろん、軌道速度から再突入し、地球大気の高高度エリアまで大気減速しながら降りてくることに比べればたやすいかも知れない(スターシップ/スーパーヘビーシステムの最大の難関の一つ)。

軌道上給油(浮沈子は誤解していたんだが、極低温推進剤の移転は実績がないらしい)と共に、難所の一つと言われている。

「酸素や水素などの極低温物質の安全な保管と信頼性の高いポンピングは、将来の宇宙探査の重要な技術です。具体的には、スターシップは軌道給油を可能にするように設計されています。宇宙船は、月や火星に移動する前に、タンクを補充することができます。Elon Muskは現在、スターシップに完全に給油するには、特別な給油バリアントで5〜6回のスターシップフライトが必要になると述べています。しかし、火星へのフライトは満タンを必要としないので、4回の給油フライトで十分です。」
(イーロンXの記事より)

まあ、そんな先のことはどうでもいいんですが。

とりあえずは、高高度からの着陸試験を成功させ、次のステップ(軌道からの着陸)へと進まなければならない。

現在のステップは、ファルコン9で言えば、テキサスで行われていたグラスホッパーなどのレベルに当たる。

再使用の最終段階のテストを、繰り返し行っていた。

空中で爆発もしている。

同時に、使い捨ての打ち上げビジネスを行いながら、超音速で飛行している1段目を減速させ、海上にソフトランディングする試験を行っていた。

遷音速域での安定性を向上させるためにグリッドフィンを導入したり、大気減速だけではなくエントリーバーンを取り入れたりしてノウハウを蓄積していた。

ドローン船への着陸で、何度も激突したり、設置後に転倒したりして失敗を繰り返していたが、とうとう陸上への着陸を成功させ、続いて洋上回収にも成功した。

大切なことは、使い捨てロケットとしては、十分完成していたということだな。

今現在のスターシップは、あくまでもプロトタイプだし、ラプターエンジンも完成とは程遠い状態だ(事実、今回も1基交換するようだし)。

完成度としてのレベルは、ファルコン9と比べて遥かに低い。

機体も、チャレンジングな素材と構造を採用している。

未だに、ロケットとしての完成すら危ぶまれる状況に変わりはない。

もちろん、スターシップだけでは軌道に到達することはできない。

ブースターであるスーパーヘビーがいつできるかは分からないが、それなくして軌道試験には入れない。

そのスーパーヘビーもまた、プロトタイプである点に注意だな。

エンジンは2基から4基といわれている。

「ムスクは、スターシップが来年中に軌道に乗るだろうと80〜90%確信しています。ただし、その前に、最初のプロトタイプがまだ生産されているスーパーヘビー発射車両を最初にテストする必要があります。ムスクは、最初のスーパーヘビーには2〜4個のラプターエンジンしか搭載しないと指定しました。その理由は、テスト飛行中に発生する可能性のある障害は、ロケットに28個のラプターがすべて搭載されている場合ほどの経済的損失にはならないためです。」

一体、スーパーヘビーを何機落とすつもりなんだろうな。

既に、27基のマーリンエンジンの同時制御にはファルコンヘビーで成功している。

とはいえ、パワーでは遥かに大きいラプターエンジンを、同一の機体に積み込んで燃焼させるというのはチャレンジ以外の何物でもない(ファルコンヘビーは、3基のロケットに分散していた)。

クラスター化したエンジンの挙動は、シミュレーションでは読み切れないのではないか。

さらに、そのうちの数機が故障した際の補償的燃焼のコードも書かなければならない。

ソフトウェアのデバイスであるエンジンを、上手に手なずけて飛ばさなければ、猛獣を檻から解き放つことになる。

28匹の猛禽(ラプター)が、巨大ロケットを吹っ飛ばしにかかるわけだ。

まあ、プロトタイプは4基までだそうだから、吹っ飛ぶにしてもそれなりだろうが、スターシップの爆発(SN4とか)を見ていると、それなりの見ものになりそうな気がする。

いずれにしても、軌道に飛ぶには早くて1年以上かかることはイーロン時間でも明らかだし、それまでに高高度飛行試験の実績を積めるかどうかが問題だな。

何度か書いているけど、スターシップの着陸は必要条件であって、必要条件ではないかもしれない。

少なくとも、無人貨物輸送やタンカー仕様では、必ずしも軌道から戻ってこなくてもミッション自体は成功させられる。

現在のファルコン9の1段目だって、コスト的な要件を無視すれば、再使用しないで運用可能だ。

フェアリングだって、わざわざ拾いに行く必要はない。

その意味では、スターシップの高高度飛行試験の位置付けはビミョーだ。

成功すればめっけもん位な感じか。

しかし、軌道からの回収を実現させるためには、初速度0からの自由落下状態で成功しておくことは重要かもしれない。

困難極まりない軌道速度からの大気減速を成功させた暁に、最後のスカイダイビングが怪しい状況というのは情けないからな。

スーパーヘビーも、構造と重量、巨大なパワーの制御がネックになる。

繰り返し使用回数が多いことによる耐久性や、消耗品やメンテナンスの管理も問題だ。

プロトタイプでは明らかに出来ない運用上の課題を多く抱えている点では、再使用回数が限られる2段目のスターシップとは質的に異なる。

確認しておこう。

スターシップも、スーパーヘビーも、現在組み立てられているのはプロトタイプで実機ではないということ、ラプターエンジンは未完成であること、ノーズコーンが乗せられたからと言って、明日にでも飛び上がることはないこと(吹っ飛ぶ可能性は常にあるけど)。

「Elon MuskはSN8が正常に着陸する可能性を約50%しか与えません。」(イーロンXの記事より)

大甘じゃね?。

浮沈子は、順調に行って、年内にホップ飛行が成功すれば十分だと考えている。

エンジン3基を協調燃焼させて制御し、高度150m程度の飛行を行い、奇妙な配置の液酸タンクや、中央の着陸専用メタンタンクからの推進剤供給に成功するだけでいい。

高高度飛行試験は、それらのデバイスの問題点を潰し切って、満を持して行うべきだろう。

それでも、成功の確率は万に一つだ(テキトーです)。

大気減速を行った後にパワードランディングした機体は、打ち上げロケットでは過去に例がない。

航空機では垂直離着陸試験機に例があるが、それらは実用化されることはなかった。

まあ、その後、何機かは実戦導入されているが、全てジェットエンジンを使用し、大気から酸素を供給している。

ロケットエンジンでの実績は皆無だ。

前例無き挑戦が始まる。

心情的には応援しているが、理性的には悲観している。

初回高高度飛行試験の成功確率は、限りなくゼロに近い。

打ち上げられたが最後、その雄姿を再び見ることはない可能性が高い。

それが、来月なのか、年内なのか、来年なのかはあまり関係ないだろうな。

そう思って、組み上げられたSN8を見ると、また別の感慨が沸き起こってきそうだ・・・。

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