不調のエンジンはどれか:大胆な予想は当たるか2020年10月25日 23:34

不調のエンジンはどれか:大胆な予想は当たるか
不調のエンジンはどれか:大胆な予想は当たるか


例によって、何の根拠もないテキトーで当てずっぽうな予想だから、与太話に過ぎない。

そうはいっても、浮沈子的にもっともらしい理屈は付けられる(ホントかあ?)。

1段目の回収の際のパターンを復習してみよう。

(SpaceX Falcon 9 Booster Trajectory:図は、CRS-8(LZ-1への着陸)の時のパターンです)
https://zlsadesign.com/infographic/trajectory/spacex-falcon9-booster-dpl.png

ファルコン9の1段目は、2種類のパターンで着陸する。

一つは、LZ-1(ケープカナベラル)やLZ-4(バンデンバーグ)といった陸上への着陸だ。

この場合、水平方向に逆戻りするためのブーストバックバーンが必要になる。

さらに、超音速で大気圏を落下している機体を減速させるためのリエントリーバーン、最後に着陸寸前に勢いを殺すランディングバーンが行われる。

ブーストバックバーンやリエントリーバーンは、エンジンを3基使うが、ランディングバーンは中央の1基だけ。

ドローン船に着陸する場合には、ブーストバックバーンは行われない。

どちらの場合も、オクタウェブと呼ばれる中央1基とそれを取り巻く8基のエンジンのうち特定の3基が使われるが、最も使用頻度が高いのはド真ん中の1基ということになる。

煤が最も溜まりやすく、メンテナンスの手間やコストがかかり(場合によっては交換か)、再使用へのリードタイムを長くしているのはこのエンジンに決まっている(そうなのかあ?)。

ガス発生器(発生したガスは、タービンを駆動した後は捨てられてしまうから、プレバーナーとは言わないらしい)と、タービンに付いた煤を減らそうと思ったら、まず、このエンジンから手を付けるだろう。

酸素をしこたま送り込んで、燃え残りが出ないようにするとか、燃焼室内の燃焼パターンを改善するなど、工夫の余地はありそうだからな(もちろん、未確認)。

その制御に失敗すれば、燃焼圧力が高くなり過ぎて、タービンに影響が出るかもしれないし、エンジンの損傷にもつながる。

オクタウェブの配置は、エンジンの間に隔壁があって、多少の損傷では他のエンジンに影響が出ないようになっているとはいえ、嬉しい話ではない。

浮沈子が、中央のエンジンが怪しいと睨んでいる理由はほかにもある。

おそらく、何らかの変更を施したエンジンを積んでいると思われる1段目は、GPS衛星打ち上げ用(B1062.1)、センチネル6A用(B1063.1)、クルードラゴン(クルー1)用(B1061.1)のいずれも、打ち上げ中止になっているからな。

そんなことは、当たり前だと思うかも知れないが、それなりの理由があると見ている。

念のためとか、安全を最優先とか言う理屈は一見もっともらしいが、実は中央のエンジンに不具合が出れば、1段目の回収が出来なくなり、再使用を前提としたビジネスモデルが崩壊してしまうからというのが本音ではないのか。

S社は、海に落ちたフェアリングを拾いに行くほどのケチな会社だ。

打ち上げスケジュールも、少なくとも1段目の回収が困難だと分かっていれば、射点の天候がいくら良くても先送りにしている。

打ち上げっぱなしのそこいらのロケットとは、全く異なる運用が前提となっているのだ。

だから、回収に支障を来す中央のエンジンの不具合は、会社として容認できないわけだ。

エンジン9基をクラスター化して打ち上げるファルコン9は、1基くらいのエンジンが止まってもミッションを成功させることができると言われている(2基までは行けるという話も:後述)。

ペイロードを打ち上げて、回収だけできなくてもいいということなら、とっくの昔に打ち上げていたかもしれない(そうなのかあ?)。

打ち上げは成功しても、S社のミッションとしては半分だけの成功ということになる。

再使用によるコスト削減が果たせなければ、ミッションは半分失敗ということになる。

中央のエンジンに不具合が起こっているということは、S社の打ち上げビジネスにとっては死活問題ということになる。

そんなリスクは冒せないからな。

打上げを見送るのは当然と言える。

それを正当化できるのは、回収に支障を来す可能性が高いエンジンの不調ということになり、したがって、1基だけということなら、最も可能性が高いエンジンは中央のそれという結論だ。

風が吹けばS社が儲かる・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

いろいろ調べていく中で、面白い記事を見つけた。

(ファルコン9~再飛行が可能な最初の軌道クラスのロケット~)
https://tiisys.com/blog/2019/06/10/post-26765/4/

「Falcon 9は最初の段階で最大2つのMerlinエンジンを失い、それでもその任務を完了することができます。」

5ページからなる記事の3ページ目の記述から、この記事が2015年の6月頃に書かれていることが分かる。

「宇宙ステーションへの8番目のFalcon 9とDragon貨物ミッション、現在この日曜日に予定。」

飛行中に失敗した唯一の事例となるCRS7は、6月28日日曜日の打ち上げである。

そう思ってこの記事を読むと、なかなか味わい深いものがあるな。

現在、プロトタイプを開発中のスターシップ/スーパーヘビーは、1段目のスーパーヘビーが28基(まあ、これから何度か変わるかも知れませんが)、2段目のスターシップが6基(真空専用エンジンは、そのうち3基)のクラスターを形成する。

スーパーヘビーの28基のうち、中央に配置される8基はジンバルが付いているが、周囲の20基は固定だと言われている。

そのうち何基かがぶっ壊れても、スターシップを所期の軌道に送りこむことはできるんだろう。

もっとも、ラプターエンジンは、再使用に当たってすす払いをする必要はないからな(たぶん)。

今回のように、無理くり燃焼条件を弄ることもない。

人類史上唯一飛行したフルフロー二段燃焼エンジン。

完成度は今一のようだが、とりあえず給水塔やスプレー缶を飛ばしただけでも大したものだ。

年内には、先っぽと羽根を付けたスターシップのプロトタイプを空中に放り投げるかもしれない。

んでもって、地べたに叩きつけられてお釈迦か・・・。

まあいい。

新品エンジンを積んだファルコン9のスタックが続く中、浮沈子の妄想が確かならば、中央エンジンの燃焼条件を再度見直して従来の設定に戻せば、直ぐにでも打ち上げは再開できるはずだ。

そうしないのは、おそらく、その変更にNASAや空軍も一枚噛んでいるからかもしれない。

何の断りもなく、そんな変更をS社が勝手に行うとは考えづらいからな。

煤が溜まり辛く、なおかつ、異常な燃圧が起きない最適な燃焼条件を確定することができ、その制御に成功すれば、GPSもセンチネル6Aもクルードラゴンも最適な形で上がる。

最も早く上がりそうなのは、センチネル6Aと見られている(現状では11月10日予定)。

その数日後(11月15日以降)に、成果を評価したうえでクルードラゴンを上げる。

GPS衛星は、その後となる公算が高い(11月下旬以降)。

面白いのは、12月に予定されているCRS21が、再使用の1段目(B1058.4)を使って上げる予定となっていることだな(5回くらいは再使用されると見られるカプセルの方は新品)。

(ミッションCRS-21)
https://www.elonx.cz/mise-crs-21/

「開始日: 2020年12月」

「ロケット: Falcon 9 v1.2ブロック5(すでに使用されている第1ステージB1058.4)」

「一次貨物: 食料と備品の供給を運ぶドラゴン2宇宙船(おそらく番号C208.1)」

新品ロケットは怪しいが、再使用ロケットは安心して上げられるという、洒落にならない状況が生まれている。

今回のGPS衛星打ち上げのロケット不良の原因については、やがて公表されると思われる。

この与太記事が、瓢箪から出た駒になるか、ただの屑に終わるかは、いずれ分かることだ・・・。

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