そういえばあれはどうなった:穴掘りインサイトは穴掘れたのかあ?2020年11月20日 22:16

そういえばあれはどうなった:穴掘りインサイトは穴掘れたのかあ?


火星探査機インサイトは、ランダーであり、着陸した地点から1mmたりとも動くことはできない。

いくつかの観測機器が搭載されているが、浮沈子的に注目していたのは精密な地震計と、地中にプローブを挿入して計る熱流量系だな。

(InSight)
https://en.wikipedia.org/wiki/InSight

「内部構造の耐震実験(SEIS)」

「SEISは、フランス国立宇宙研究センター(CNES)によって提供」

「2016年のSEISのリークにより、2年間のミッション延期が余儀なくされた。」

浮沈子の記憶が確かならば、テキトーなコネクターを使ったのがまずかったはずだ。

まあいい。

(内部構造の地震実験)
https://en.wikipedia.org/wiki/Seismic_Experiment_for_Interior_Structure

「2018年12月19日、SEIS機器は、ロボットアームによって着陸船の隣の火星の表面に配備されました。」

その後の経緯は不明だ(未確認)。

もう一つの重要な観測器はHP3と呼ばれている。

(熱流および物理的特性パッケージ)
https://en.wikipedia.org/wiki/Heat_Flow_and_Physical_Properties_Package

「HP 3は、ドイツ航空宇宙センター(DLR)から提供されました。」

取り纏めの宇宙機関としては、フランス対ドイツという、絵に描いたような構図になっているんだが、もちろん、それぞれ他の国々も参加している。

「HP 3ヒートフロープローブは、次のサブシステムで構成されています。:」

「・サポート構造(SS)には、次のものが含まれます。
・・支持構造と着陸船の間で通信するためのエンジニアリングテザー(ET)
・・レゴリスの熱特性を測定するための14個のプラチナRTDを備えたフレックスPCBのサイエンステザー(TEM-P)。
・・科学テザーの展開された長さを測定するためのテザー長さモニター(TLM)光学長さメーター」

「・表面温度を測定するための赤外線放射計(HP3-RAD)。」(これは、ランダー本体に固定)

「・バックエンドエレクトロニクス(BEE)電子制御ユニット」

「・表面下に穴を掘るための ほくろ針入度計
・・TEM-アクティブ熱伝導度センサー
・・ほくろの 向きと方向を決定するためのSTATIL傾斜計。」

地中5mなんて、楽勝で掘り進められると思うのは当然だろう。

「機器の1つである「ほくろ」と呼ばれる穴掘りプローブは、火星の表面から5 m(16フィート)下を貫通するように設計されています。」

しかし、さにあらず。

今月、26日で着陸してから丸2年になるというのに、プローブは何度も地面に戻され、現在はようやく地中に収まっているが、冬場で電力確保が難しいことから、来年1月にならないと再開できないようだ。

「槌打ち作戦は2021年1月に継続する予定である。」

やれやれ・・・。

この間の経緯については、DLRのページに詳しい。

(InSightミッションログブック(2019年2月-2020年7月))
https://www.dlr.de/blogs/en/desktopdefault.aspx/tabid-5893/9577_read-1090/

(InSightミッションログブック)
https://www.dlr.de/blogs/en/desktopdefault.aspx/tabid-5893/9577_read-1144/

ウィキの記述を時系列にまとめると以下になる。

・2019年3月、HP 3は地表の砂に穴を掘り始めました
・数センチ後に失速(そんなあ!)
・最初は大きな岩であると疑われていた
・問題が不十分な摩擦に起因する可能性がある
・2019年6月、サポート構造がHP 3モルから持ち上げられた
・火星のレゴリスは圧縮されているように見え、プローブの周りに隙間が残っていました。
・着陸船のロボットアームを使用して、プローブの近くの土壌を押して土壌の摩擦を増加させる手法が実装
・HP 3プローブがアームの範囲の限界にあったため、最終的に、この方法では十分な下向きの力を生成できませんでした。
・代わりに、チームはロボットスクープを使用してプローブを穴の端に固定しました。
・プローブが表面と同じ高さになるまで2週間掘り続けたため、最初は成功したように見えました。
・このとき、プローブの露出した上部はスクープが押し付けるには小さすぎたため、スクープはプローブの近くの土壌を押し下げるように再配置されました。
・残念ながら、これにより、異常な土壌特性と低気圧のために、プローブが再び後退しました。
・プローブが跳ね返ると、緩い土がその下の領域を満たし、プローブを再び半分まで持ち上げた。
・2020年1月、チームは再びピン留め方法を使用しましたが、スクープが再配置された後、再びプローブが排出されました。
・2020年2月、チームはロボットスクープを使用してモルのバックキャップを直接押すリスクを再評価し、手順が許容できると判断しました。それぞれの後にスクープを再配置する必要があるため、手順はゆっくりと進行しました1.5cmの進歩。
・2020年6月、ほくろの頂上がレゴリスの表面に到達しました。
・ほくろは垂直から30度の角度で表面に入りましたが、より深い深さに達すると、この角度は減少する可能性があります。
・2020年7月、ほくろがスクープの下で跳ね返っていたことが明らかになり、掘り続けるには摩擦が不十分であることが示唆されました。
・提案された解決策は、ロボットスクープからの圧力を分散して摩擦を増加させるために、穴を砂で埋めることでした。この手順は2020年8月初旬に実施された。
・2020年8月下旬、テストで陽性の結果が示されました。スクープは、ハンマーストロークが実行されている間、ほくろを覆っている砂に下向きの力を加えました。このテストは数ミリメートルの進歩をもたらし、最終的には機器を埋めました。
・2020年10月、ほくろの上部は火星の表面の下にあり、さらに2スクープのレゴリスをこすり落とし、ロボットスクープで押し下げることが決定されました。

まあいい。

5mのはずが、1.5cmとか数ミリメートルとかいう単位で記述されている点にガックリだな。

結論から言えば、2年近く経っても全然潜り込めていないわけだ。

「穴を掘るほくろは、長さが約35 cm(14インチ)、直径が3.5 cm(1.4インチ)の滑らかな外面を持つ先の尖った円柱です。」

つーことは、あれだな、せいぜい40cmくらいというところか。

太陽電池の電力が回復して、再び掘り始めたとして、今後の見通しが明るいわけではない。

DLRの最新のブログの記述を見てみる。

「ログブックエントリ2020年10月16日
8月10日の前回の航海日誌のエントリで、予想以上に砂をピットに押し込むことに成功したと報告しました。しかし、それでも、モルのバックエンドを傾斜したスクープで押し続けて、地面に少し深くしたかったのです。次に、アームの助けを借りずにプローブがさらに地面に移動するかどうかを再度テストすることを計画しました。言い換えれば、私たちは「フリーモールテスト」と呼ばれるものを実行します。」

「残念ながら、これらのテストは、より困難になった条件下で行われました。特に、近くの砂嵐と太陽電池への塵の沈降の結果としての火星大気中の塵は、利用可能な電力を大幅に減少させました。これは、HPにつながっ3我々が望んでいたとして放射計は、もはや測定を行います。さらに、減少した電力可用性の管理に関連する運用チームへの要求の高まりは、モルとスクープが9月以降2週間ごとにしか命令できなかったことを意味しました。それ以来、8月22日(Sol 618)と9月5日(Sol 632)に100ストロークで2回、9月19日(Sol 645)に250ストロークで1回、合計3回のハンマー操作が実行されました。」

「最初の2回のハンマー打ちと、3回目のハンマー打ちの前半で、スクープがさらに砂の中に入ることがわかりました。ほくろはスクープの下に隠されていたため、プローブ自体の貫通を直接観察することはできませんでした。打撃中、プローブに向かって走っている平らなテザーはかなり動きましたが、これらは8月22日の打撃中の前進運動としてのみ明確に識別できました。全体として、スクープの動きから、ほくろが最大で1センチメートル離れて地面に移動したと推定できました。9月19日の250回のハンマー打撃のラウンドの後半に、おそらくデュリクラストに遭遇したために、スクープがそれ以上進まなかったことを観察することは興味深いことでした。これは確かに望ましい結果でした、2回目のフリーモールテストを実施することができたからです。実際、プローブはテザーの動きに応じて動き続けましたが、これらの動きがモルを地面に深くしたことを明確に判断することはできませんでした。」(デュリクラスト(Duricrust):土壌の表面またはその近くの硬い層:ウィキより)

「プローブの不確定な動きとかなりの時間がかかることを考慮して、チームは広範な議論の末、この道を離れ、代わりにピットを埋めることに進みました。この目的のために、スクープは10月3日に持ち上げられ、ピットが見えるようになりました。」

「次のステップについて話し合った後、10月17日土曜日に2つの平行スクープ移動を実行することを決定しました(Sol659)。その後、熱伝導率の測定が実行されます。これにより、埋め戻しに関する間接的な指標も得られます。次に、中身を押して砂を圧縮し、モルを押します。埋め戻しの結果に応じて、ピットを埋めるためのさらなるアクションが計画されてから、さらにハンマーで叩き、後で別のフリーモールテストが行われます。」

いつになったら、あらまほしき深度で計測できるようになるかの見通しはない。

2年で40cmだからな。

4m進むのに20年掛かることになる。

その間に、砂嵐で堆積した砂ぼこりで太陽電池の性能は落ち込むばかりだ。

まあ、20年くらい先なら、人間が火星に行って、シャベルで簡単に5m位の穴を掘れる状況になっているかもしれない。

昔は大変だったんだなあ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

確認しておこう。

穴掘りインサイトは、一向に進展していない。

当初、地中の岩に当たったと言われていたのは間違いで、周りのレゴリスとの摩擦が足りなかったことから掘り進めないことが分かったが、その後試みられた様々な対策が功を奏したとは言い切れない。

とりあえず、プローブの入った探査針は地中にあるが、この先、そのまま進むかどうかは分からない。

お先真っ暗と言っていい(そうなのかあ?)。

表面の温度変化の影響を避けるための地中埋設だからな。

浅すぎれば、ノイズが大きくて観測にならないに違いない。

一応、NASAのページもリンクしておく。

(インサイトマーズランダー)
https://www.nasa.gov/mission_pages/insight/main/index.html

「火星の深い内部を探索する最初のミッションであるInSightは、2018年11月26日月曜日に、火星のエリシウム平原地域に着陸しました。それは40億年以上前に内部太陽系の岩石惑星を形作ったプロセスを調査するでしょう。」

まあ、40億年前の話を調べに行ってるわけだからな。

40年くらいかかっても大目に見ないとな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(火星のSEIS:最初の結果の公開後のレビュー)
https://www.seis-insight.eu/en/seis-news/517-seis-results

「HP 3は、ハンマーで叩くセッション中、下層土を振動させることにより、アクティブな震源のように動作します。したがって、科学者は火星の表面下の最初のメートルでのP波の伝播速度を推定することができ、それによってレゴリスに固有の特定の物理的特性を推測することができました。」

うーん、全く役立たずなわけでもないようだな・・・。

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