中国の月サンプルリターンロケット上がる2020年11月24日 06:51

中国の月サンプルリターンロケット上がる
中国の月サンプルリターンロケット上がる


嫦娥5号が、月からのサンプルリターンを行うために、今朝上がった(5時半頃)。

(ライブ報道:中国が月面サンプルリターンミッションを開始)
https://spaceflightnow.com/2020/11/23/chang-e-5-launch-mission-status-center/

「2020年11月24日06:06
長征5号のロケットは、嫦娥5号の宇宙船を月に向かって軌道に乗せるための燃焼が明らかに成功した後、第2段階のエンジンを停止しました。」

打ち上げは成功したようだな。

続報はまだだが、ミッションは来月中旬にかけて継続するようだ。

(中国は40年ぶりの月面サンプルリターンミッションを試みることになった)
https://spaceflightnow.com/2020/11/22/china-set-to-attempt-first-lunar-sample-return-mission-in-four-decades/

「カプセルは12月15日頃に中国の内モンゴル地域に着陸し、そこでチームは月の標本を回収し、分析のために材料を研究所に輸送します。」

中国にとっては一大事件だろう。

進捗状況は、随時伝えられると思われる。

まずは、無事に上がって良かった。

今回、1段目がどうなるかは不明だ(<さらに追加>参照)。

サンプルリターンならいいんだが、不制御落下で燃え尽きずに落ちてくるようなことになると困るからな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(中国の月探査機、嫦娥5号発射 サンプルリターンなるか)
https://www.asahi.com/articles/ASNCS22J5NCSUHBI003.html?ref=auweb

「月面に着陸した後、探査機がロボットアームなどで土などの試料を採取。」

「小型発射機が探査機から分離して月面から飛び立ち、上空で待機している周回機にドッキングして地球に帰還する」

浮沈子も、記事を書く時に悩むんだが、「土」というのは動植物の死骸など、有機物たっぷりのニュアンスがあるからな。

月の土というのは、やや違和感がある。

(土壌)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E5%A3%8C

「土壌(どじょう)とは、地球上の陸地の表面を覆っている鉱物、有機物、気体、液体、生物の混合物である。一般には土(つち)とも呼ばれる」

さりとて、レゴリスあるいは砂というのもしっくりこない。

「工学的には土壌はレゴリスに含まれる。レゴリスには母岩の上の土壌以外の物質も含まれ、地球以外の天体にも存在する」

(レゴリス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B4%E3%83%AA%E3%82%B9

「惑星科学においては、月、惑星・小惑星などの天体の表面に分布する堆積層に対しても用いられ、これは流星物質の衝突破片や、宇宙風化作用によって砕けた岩盤などの細粒物からなる。」

他惑星(衛星含む)の地面を覆っている、岩でないものの名称を新たに考えていかないとな。

まあ、どうでもいいんですが。

採取した試料を持ち帰る手順は、コンサバな手法だ。

ローバーではなく、ランダーと帰還機の組み合わせだろう。

(嫦娥5号)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AB%A6%E5%A8%A55%E5%8F%B7

「嫦娥5号は、軌道船と帰還船、離陸船と着陸船から構成される。」

(ミッションの概要)
https://en.wikipedia.org/wiki/Chang%27e_5#/media/File:Chang'e-5_mission_profile.png

図を見ると、軌道船(の一部)が帰還船になる感じだ(そうなのかあ?)。

(CHANG-E-5)
https://nssdc.gsfc.nasa.gov/nmc/spacecraft/display.action?id=CHANG-E-5

「ミッションは、月周回軌道に入る4つのモジュールで構成されています。 2つのモジュールで構成されるディセンダーは、他の2つのモジュールで構成されるオービターから分離し、月に着陸します。 1つのモジュールである着陸船は、サンプルを収集して2番目のモジュールである上昇ビークルに転送するために装備されています。上昇ビークルは月面から軌道に打ち上げられ、3番目のモジュールであるサービスカプセルとドッキングします。最後に、サンプルは、月の軌道を離れてサンプルを地球に運ぶ、4番目のモジュールであるリターンカプセルに転送されます。」

サービスカプセルというのがやや意味不明だが、いいことにしよう(そんなあ!)。

再突入カプセルの試験は、別途行われて成功している。

(嫦娥5号T1)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AB%A6%E5%A8%A55%E5%8F%B7T1

「北京時間2014年10月24日午前2時に西昌衛星発射センターから長征3号Cロケットにより打上げられ、28日夜に月を周回した後、北京時間11月1日6時42分、内モンゴル自治区四子王旗に着陸した」

ランダーの着陸、月面での試料採取(穴掘れるかどうかなど)、月面からの打ち上げ、軌道船(帰還船)とのランデブードッキング(採集した試料の積み替えが上手くいくか)、帰還カプセルの地球への再突入(秒速11.2km!)などが見どころか。

ステップを踏んで、手堅く進めてきた月探査の大きな一歩だな。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(How does China's Chang'e-5 lunar mission work?:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=waF2pzTGX4I&feature=emb_logo

25秒くらいに、1段目の落下点が右下のウインドウに表示される(ブースターの落下点も出ます)。

これを見ると、フィリピンとグアムの間に落ちる感じだな(ヤップ島の北辺りか)。

2段目が重いから、軌道には上がらなかったようだ。

やれやれだな・・・。

2段目は、たぶん、大気中で燃え尽きるんだろう(未確認)。

ひょっとしたら、デブリになるのかも知れない。

映像を見ると、再突入するカプセルは、途中で高度を上げている。

マニューバ(揚力誘導飛行)が出来る仕掛けになっているのかも知れない(未確認)。

それにしても、再突入速度が地球重力の脱出速度(第二宇宙速度:秒速11.2km)と同じというのには驚く。

2014年の嫦娥5ーT1では、秒速4km程度だったからな。

約3倍か・・・。

溶けちまったりして!。

まあ、ICBMを持ち、再突入体のノウハウは磨いているだろうから心配ないかもな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(中国の無人月面探査船「嫦娥5号」が打ち上げ成功、「月の石」持ち帰り目指す - GIGAZINE)
https://gigazine.net/news/20201124-china-launches-change-5-lunar-sample/

「採取後は探査機上部の小型ロケットにサンプルを移し、小型ロケットを探査機から分離して月面から離陸させます。小型ロケットは月の周回軌道上で待機しているサービスモジュールとドッキングして、サービスモジュール内の地球帰還用カプセルにサンプルを移します。」

うーん、ここでもサービスモジュールというのが出て来るなあ・・・。

月周回機から、カバーを投棄した残りで、帰還機のことを指してる気がする。

(What makes China's Chang'e-5 lunar mission special?:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=laLorhi7NiQ

21秒辺りで、4つの構成要素が解説される。

・アセンダー(上昇機)
・ランダー(着陸機)
・オービター(周回機)
・リターナー(帰還機)

で、着陸機と上昇機は、一体となって月面に降下し、サンプル採取後に上昇機だけが上がり、帰還機とドッキングしてサンプルが入ったカプセルを帰還機の一部である再突入カプセルに入れて蓋をする。

帰還機は上昇機と分離して、再突入カプセルを抱えて地球軌道に入り、再突入カプセルを分離すると燃え尽きる感じだ。

分かり辛いのは、周回機が上昇機・着陸機と分離後に、帰還機に化けるからだろうな。

いくつかの動画や図を見ると、デザインが矛盾していたり、変わったりしていて混乱に拍車をかける。

国民に正確にアウトリーチしなくても、予算が付く中国ならではの状況があるのかも知れない。

軍と一体になった宇宙開発だからな。

この混乱は情報戦の一部かも知れないしな(そうなのかあ?)。

サービスモジュールというのは、NASAの記述が元になっているのかも知れない(サービスカプセルとある)。

中国側の資料では、そういう表記はないからな。

機能としての表記と、実際の宇宙機としての表記がマッチしていない。

浮沈子的理解は、今のところこんな感じだ・・・。

<嫦娥5の構成要素>

・軌道周回要素
・・周回機(オービター)
・・・月面降下要素を支えている円錐台形のカバー
・・・帰還機(リターナー、サービスモジュール、サービスカプセル(NASA))
・・・・再突入カプセル(リターンカプセル)

・月面降下要素(ディセンダー(NASA))
・・着陸機(ランダー、着陸船(NASA))
・・・ドリル
・・・ドリルで採取した土壌を収める容器
・・・スコップ
・・・・スコップで採取した土壌を収める容器
・・上昇機(アセンダー、上昇ビークル(NASA))
・・・サンプルカプセル(ドリルで採取した土壌を収める容器とスコップで採取した土壌を収める容器を収納)

ミッションの流れは以下の通り。

・11月23日:打上げ(長征5ロケット)
・一路月へ(経路不明)
・月周回軌道に投入(11月26日くらい?:周回軌道や周回数不明)
・軌道周回要素と月面降下要素とを分離
・月面降下要素が月面に着陸(11月末くらい?)
・着陸機が、ドリルとスコップで月面の土壌を採取し、それぞれ別の容器に入れ、それらを上昇機のサンプルカプセルに収納
・着陸機は月面の観測を実施(たぶん)
・月周回軌道上で、周回機から円錐台形のカバーを投棄して帰還機に変身!(ここ、重要です!)
・上昇機が月面から離陸(12月10日くらい?:着陸機が月面の観測を続けるかどうかは不明)
・月周回軌道上で上昇機と帰還機がランデブー、ドッキング
・上昇機からサンプルカプセルを帰還機に搭載された再突入カプセルに移送
・上昇機と帰還機を分離(その後、上昇機が月周回軌道上で何らかの観測を行うかは不明:たぶん月面に落ちて終わり)
・帰還機が月周回軌道を離脱(12月13日くらい?)
・地球帰還軌道に投入
・再突入カプセルを分離(帰還機がその後何らかの観測を行うかどうかは不明:たぶん、大気圏で燃え尽き)
・再突入
・マニューバ
・パラシュート展開(ドローグシュート(メインパラシュート引き出し用の小型パラシュート)を使用するかどうかは不明:メインパラシュート引き出し用の仕掛け不明)
・パラシュート降下
・着陸(12月15日くらい?)
・回収
・研究機関へ移送

そういえば、NASAは月の土壌や岩石を買い取る話があったな。

中国が売るとは思えないけどな・・・。

<また追加>ーーーーーーーーーー

(中国、初の月サンプルリターンミッション「嫦娥5号」打ち上げ成功 44年ぶりの月試料採取)
https://sorae.info/space/20201125-change5.html

「月のサンプルリターンミッションは、1969年にアメリカのアポロ11号での採取、1976年に旧ソ連(ロシア)が行ったルナ24号のみとなっています。」

浮沈子もテキトーな記事を書くけど、これ程ひどくはないぞ(ホントかあ?)。

米国もロシアも、複数回のサンプルリターンを行っている。

「嫦娥5号は主に4つの部分で構成されています。着陸機、上昇機、周回機、帰還カプセルの4つです。」

周回機と帰還カプセルに整理しているところは、サンプリングの後の誤解を回避するには都合がいい。

が、しかし・・・。

「上昇機で月面から離れ、月軌道上に待機している周回機と合体して、地球周回軌道に向かいます。そして、カプセルのみが地球へ帰還します。」

ちょっと違くね?。

上昇機と周回機が合体して帰還機になるというのは、初めて聞いた気がする。

地球「周回」軌道というのも気になる。

地球へ向かう軌道から、いきなり再突入するに違いない(未確認)。

周回軌道に入ったら、再突入速度が毎秒11.2kmになるはずはないのだ。

まあいい。

「約2mの穴をほり、2kgのサンプルを持ち帰ります。」

これでは、全ての土壌サンプルが、地中採取であるとの誤解を招きかねない。

「一部の報道では、月への到着は11月27日ごろとなっており、地球への帰還についても12月17日の予定です。多少前後する可能性もあります。」

浮沈子の予想より1日から2日ほど後だが、多勢に影響はない。

月面での作業が日中である14日程度に限られているからな(電力供給や回路の保温の関係か)。

「これまで嫦娥ミッションは1号から4号まで行われています。」

2014年の嫦娥5-T1ミッションは無視かよ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

突っ込みどころ満載の記事だが、公式発表がいかに大切かを痛感する。

米国経由でしか中国の宇宙開発についての情報が得られないというのも情けない話だ。

誰か、サルな頭の浮沈子にも分かる解説記事を書いてくれないかな・・・。

<またまた追加>ーーーーーーーーーー

(嫦娥5テストミッション)
https://spaceflight101.com/change/change-5-test-mission/

記事は2014年のT1のものだが、今回のミッションや再突入のマニューバについても詳細が出ている。

「嫦娥5宇宙船の概要:
嫦娥5宇宙船は、サービスモジュール、リターンビークル、ランダー、アセントビークルの4つのモジュールで構成されています。」

ははあ、サービスモジュールというのはここが出どころなんだな。

「サービスモジュールには、発電用ソーラーアレイ、地球からのコマンドアップリンクおよびテレメトリダウンリンク用の通信システム、推進システム、姿勢制御スラスターが装備されています。」

月周回軌道に入ったら周回機、月軌道離脱時には帰還機に名称変更するわけだ。

「サービスモジュールの推進システムは、月に向かう途中の軌道修正操作、月軌道挿入燃焼、軌道維持、およびミッション終了時の地球帰還軌道投入燃焼を実行するために使用されます。」

「サービスモジュールは、サービスモジュールのキャビティに取り付けられた返却車両と直接インターフェースして、車両の全長を短縮します。」

再突入カプセル(返却車両)は、帰還機とは区別されている。

「返却車両は、縮小版の神舟カプセルの設計によく似ています。それは毎秒11キロメートルの速度で地球の大気圏への再突入に耐えることができるように修正された熱シールドを備えています。着陸は、ドローグから始まりメインシュートが続く大気飛行中に展開されるパラシュートを使用して行われます。リターンビークルには、再突入前にその向きを積極的に制御し、適度なサイズの着陸帯をターゲットにするように空力揚力を調整することによって再突入経路を変更するスラスターシステムが含まれています。着陸した車両の位置を示す車載測定システムと通信ビーコンも、進入車両の一部です。」

記事には、再突入のマニューバの詳細も出ている。

「嫦娥帰り車は、正確な進入案内のために空力揚力を積極的に変更できます。機体の中心線から離れた重心を使用して、車両はヒドラジンスラスターを使用してロール軸を中心に操縦することで重心を移動できます。」

「車両の限定的な空力安定化は、大気の上層で始まります。通常約0.2Gの小さな減速を感知すると、車両はフルリフトアップ姿勢に移行します。」

「嫦娥5T-1は、高度60キロメートルで引き抜きを開始します。」

「大気圏外に出ると、ビークルは140キロメートル近くの遠地点で弾道の弾道軌道上になります。」

「再び大気圏に入ると、約0.2Gの減速を感知して短い制御セグメントを再開し、90秒未満で飛行経路を微調整し、その後のフットプリントを縮小します。」

「亜音速で10キロメートルの高度で、帰還車両はパラシュートカバーを投棄し、降下を安定させ、水平速度を放散してメインシュートを安全に解放するドローグシュートを展開します。」

なるほど・・・。

我が国も、ISSからのお持ち帰りに成功しているが、月軌道からの第二宇宙速度での再突入ではない。

また、はやぶさのカプセルには、揚力を利用したマニューバを行う能力はない(はやぶさ2も同じ)。

嫦娥5号は、既に月着陸態勢に入っているはずだ(11月28日に周回軌道に投入成功と報じられている)。

(中国の嫦娥5号宇宙船が月周回軌道に入る)
https://spaceflightnow.com/2020/11/28/chinas-change-5-spacecraft-enters-lunar-orbit/

「中国国家航天局によると、嫦娥5号の宇宙船は、1258 GMT(7:58 am EST)にメインエンジンを発射し、17分間燃焼して、月の周りの楕円形の8時間軌道に移動しました。」

月面着陸が報じられたら、また書く。

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