サンプルリターンの違いに拘る朝2020年11月30日 08:41

サンプルリターンの違いに拘る朝
サンプルリターンの違いに拘る朝


最近、宇宙で流行っているのは3つ。

・打ち上げロケットの再使用
・レーザー通信
・サンプルリターン

サンプルリターンについては、我が国でははやぶさが話題になったが、浮沈子的にはキワモノ扱いで、あまり関心がなかった。

行って帰ってこなくてはならず、効率が悪い。

分析装置を積んでいけば、探査機を戻すことはなく、効率的と考えていたからな。

技術的にも、その方がシンプルでリスクが小さい。

再突入とか、ヤバいプロセスを踏まずに済むしな。

時間も半分で済む。

サンプルリターンということになれば、往復の時間を見込まなければならないし、失敗すれば元も子もない(ミッションの設計にも依ります)。

工学的には困難な話だが、科学的にはサンプルリターンというのは有難い話だ。

目の前に宇宙のカケラが転がっているわけだからな。

浮沈子は、はやぶさが持ち帰ったゴミのような小惑星(イトカワ)のカケラをこの目で見た。

顕微鏡下でキラキラ光っていた星屑(文字通り)。

似て食おうが焼いて食おうが、研究者の意のままになる。

サンプルの量にも依るけど、何十年もの間、こねくり回して楽しむことができる。

メリットとしては、最新の調査方法が適用できるという点は大きい。

行ったきり探査では、打ち上げ時の最新の技術止まりで、その後の進歩が反映できないからな。

それでも、延々時間がかかり、リスクも大きいサンプルリターンは探査の王道ではない気がする。

宇宙探査はいくつか方法がある。

・地球上からの観測(航空機搭載望遠鏡含む)
・宇宙天文台(人工衛星や人工惑星)からの観測
・対象となる天体のそばを通り過ぎる探査機からの観測(フライバイ)
・対象となる天体の周りを周回する観測
・探査機本体かプローブ(探査体:ランダーやローバー)を着陸させて行う観測
・サンプルリターン(有人または無人)

書いてみて気付くんだが、サンプルリターンは、工学的には有人探査と同じだ。

行って帰って来るわけだからな。

有人探査は、今のところ行きっぱなしという話はないし。

中国が、今回の月サンプルリターンで採った方法は、将来の有人探査を見据えていると推察する。

(中国の嫦娥5号宇宙船が月周回軌道に入る)
https://spaceflightnow.com/2020/11/28/chinas-change-5-spacecraft-enters-lunar-orbit/

「興味深いのは、彼らが月から打ち上げられ、月の軌道に入り、そしてそのサンプルを安全にそして妥協することなく地球に戻す地球再突入ビークルとランデブーすることです。ソビエトが1976年にそれをしたとき、最後に、それは地球に直接でした。彼らは月から打ち上げられ、まっすぐ地球に戻ってきました。」

ソ連の行った月サンプルリターンは、3回とも月面からダイレクトに帰還し、月周回軌道上でランデブー・ドッキングという手順を踏んでいない。

(ルナ24号)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8A24%E5%8F%B7

「ルナ計画最後の機体で、無人サンプルリターンに成功した3機目の宇宙機となった(以前の2機はルナ16号と20号)」

「ルナ24号は170.1gの土壌をカプセルに納め、8月19日5時25分に帰還用のロケットを月面から打ち上げた。カプセルは8月22日に地球の大気圏に突入」

(ルナ計画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8A%E8%A8%88%E7%94%BB

「ソビエト連邦の無人月探査計画である。1959年から1976年までの間に、ルナ1号からルナ24号までを月に送った。」

「他に19機の打ち上げ失敗機」

打上げ失敗機には、名前も付けられなかったのかも知れない(記事のリスト参照)。

初のサンプルリターンには、ルナ15号が挑戦したが着陸に失敗(アポロ11号の3日前)。

ルナ16号による初のサンプルリターンの後も、ルナ18号が挑戦したが着陸に失敗。

周回機だった19号を挟んで20号で2回目のサンプルリターン、ローバー探査の21号、周回機の22号、土壌採取に失敗(着陸失敗?)した23号を経て、24号でようやく成功(これ以外にも、月軌道に到達できなかったサンプルリターン目的の打ち上げは数知れず:合計12回のうち9回が失敗(18号と23号を含む))。

嫦娥5号が一発で成功したら、如何に快挙かということが分かる。

しかも、回収手順は、月周回軌道上でのランデブーとドッキング、採取した試料の受け渡し、再突入カプセルの封入、地球帰還直前での帰還機からの切り離しなど、ルナシリーズにはない手順を踏むわけだからな。

T1で事前にテストされているのは、帰還機からの切り離し以降だけ。

月面への着陸も、上昇機を含めたランダーを下ろすのは初で、試料採取以降は全て初めてだ。

「しかし、向こう側の着陸やロービングなど、初めて物事を行うことで彼らが示した能力を考えると、物事が成功することを期待しており、成功することを願っています」(スペースフライトナウの記事)

まあ、社交辞令だろうな。

一発で成功するとは誰も思っていないに違いない(そうなのかあ?)。

中国自身、嫦娥6号を後詰として用意しているからな。

月以外からのサンプルリターンに成功したのは、今のところはやぶさだけ(彗星のチリとかを除く)。

進行中が、はやぶさ2とオシリスレックス。

いずれも、本体が着陸し、サンプルを採取し、地球帰還時に再突入カプセルを切り離して回収するというパターンだ。

はやぶさは帰還機もろとも再突入して燃え尽き、はやぶさ2は燃料が余っていれば、帰還機は別の探査に活用する(オシリスレックスは未確認:帰還機は宇宙に留まるようです)。

計画されているサンプルリターンは未確認だが、火星の月(フォボス:ダイモスはフライバイ観測)は、我が国が狙っている(MMX)。

火星本体は、パーセベランスがサンプル採取だけ行う(いちおう、これも進行中か)。

(無人サンプルリターンの一覧)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3#%E5%B0%86%E6%9D%A5

まあ、どうでもいいんですが。

中国は、将来火星からのサンプルリターンも狙っている。

今回の、月周回軌道上でのランデブードッキング手順は、とりあえずは、それを見越してのものかも知れない。

直接帰還でも回収できることが分かっているのに、一手間も二手間も余計にかけてのミッションに拘っている。

浮沈子的には、将来の有人ミッションへの布石と見ている。

とりあえずは月なんだろうが、もたもたしていると火星に狙いを付けるかもしれない(未確認)。

今のところは、無人月面基地と有人月着陸だろうけどな。

ヘリウム3の採取で、核融合というストーリーが描かれているが、誰も信じていないだろう。

人類はまだ、宇宙開発で現世利益を追求しようという段階じゃない。

地球周回軌道に通信衛星や地球観測衛星(スパイ衛星含む)を飛ばすか、太陽観測衛星(人工惑星含む)で宇宙天気予報出すくらいだろう。

ISSでの観測や実験の成果が、実利に繋がっているかどうかは不明だ。

(中国の嫦娥5月探査機が2回目のブレーキをかけ、着陸の準備をする)
https://news.cgtn.com/news/2020-11-29/China-s-Chang-e-5-lunar-probe-completes-final-brakes-prepares-to-land-VOPRQFUL1S/index.html

「中国の嫦娥5月探査機は、日曜日の午後8時23分(BJT)に2回目のブレーキングを無事に完了し、月の200 km上の円形の月周回軌道に入り、着陸操作の準備をしました。」

もう着陸したかもしれない。

なにかあれば、また書く。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(月面着陸を実行する中国の嫦娥5探査機)
https://news.cgtn.com/news/2020-11-30/China-s-Chang-e-5-probe-to-execute-soft-landing-on-the-moon-VPBqsJu66k/index.html

「嫦娥5号探査機の着陸船とアセンダーは、月曜日の午前4時40分にオービターと帰還機から分離しました。」

「着陸は3日で予定されています。」

「サンプリング作業と月面からのアセンダーの離陸は48時間以内に完了する必要がある」

太陽電池の受光問題というよりも、機器の温度低下に伴う作動限界からのタイムスケジュールなのかもしれない(未確認)。

着陸予定につては、別記事も上がっている。

(改訂 中国の嫦娥5号が月面に着陸、2020年12月2日?)
https://spacepolicyonline.com/events/possible-landing-of-chinas-change-5-on-lunar-surface-nov-29-2020-330-pm-et/

「それは12月2日の東部標準時ですが、中国では12月2日または3日になる可能性があります。」

この記事では、アポロとの関連についても触れられている。

「これらの手順は、50年前の米国のアポロ月着陸船が宇宙飛行士を着陸させて帰還させた方法とほぼ同じですが、この場合はロボットで行われます。嫦娥5号には誰も乗っていない。」

いや、それはどーかな?。

帰還カプセルの中に、縮こまって乗ってる人がいるかもしれない(未確認!:画像参照(嫦娥5号T1の時のもの):一人くらいなら入れないことはない?)。

全ては自動で行われるということだが、実はミッションの成否は彼(または彼女)の腕に掛かっているのかも(そんなあ!)。

「サンプリング作業と月面からのアセンダーの離陸は48時間以内に完了する必要がある」(再掲)

早くしないと、再突入カプセルの中の人が持たないからな(そうなのかあ?)。

今朝の東京の最低気温は5.2度。

今期最低だが、宇宙はそんなもんじゃないだろう・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(中国は火曜日に嫦娥5月面着陸を試みる可能性が高い
アジアの国は現在、月の近くまたは月上で7機の宇宙船を運用しています。)
https://arstechnica.com/science/2020/11/china-likely-to-attempt-its-change-5-moon-landing-on-tuesday/

「宇宙船の着陸船はすでにメイン軌道モジュールから分離しており、月曜日に低月周回軌道に配置される予定です。情報筋は、火曜日の活動について次のタイムラインを示唆しています。」

「・動力降下の開始:14:48 UTC(9:48 am ET)
・月面着陸:15:15 UTC(10:15 am ET)
・地下サンプルの掘削:17:15 UTC(12:15 pm ET)」

なんか、1日早まったようだな(日本時間だと、着陸は明日の午前3時過ぎ)。

「中国の野心的な宇宙計画は、その活動の詳細な計画を事前に公表することはあまりありません。おそらく、政府が失敗を説明しやすくするためです。」

まあ、そういう話はよくある。

自動翻訳だと、誤訳と漏れが出てしまうんだが、副題にある宇宙船(無人なので、正確には宇宙機)は以下の通り。

・Chang'e-3 lander
・Chang'e-4 lander(月の裏側)
・Yutu-2 rover(太陽が当たると動き出すらしい)
・Queqiao relay satellite(L2で中継中)
・Chang'e 5 T1 orbiter(月軌道に残ってるんだ:L2のリサージュ軌道上)
・Chang'e 5 orbiter(進行中)
・Chang'e 5 lander/ascent vehicle(進行中)

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(「はやぶさ2」カプセル 大気圏突入は12月6日午前2時28分ごろに)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201130/k10012738831000.html

「カプセルの帰還が成功すれば、初号機に続いて小惑星の砂を持ち帰ることになるとみられ、世界から注目されています。」

ほほう、NHKは砂と呼んでいるんだ・・・。

土、土壌、砂、レゴリス・・・。

サンプルリターンだからな。

「サンプル」が一番いいかもな・・・。

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