数々の初物が登場するCRS-212020年12月01日 03:27

数々の初物が登場するCRS-21
数々の初物が登場するCRS-21


スペースXの現在の隆盛を築く礎となったISSへの貨物輸送。

毎回の打ち上げ毎に仕様が変わっているのではないかと思うくらい、頻繁に改良が行われたファルコン9だが、数々の衛星打ち上げと共にドラゴン貨物船をISSに届け、また、成果物を持ち帰ってきた。

第1期の契約は、20回の貨物輸送ということだったが、CRSー7はご存じの通り、木っ端みじんに空中分解した(その分の仕事は以後のミッションで補ったはず:未確認)。

運搬予定だったISSのドッキングアダプターは失われ、永久欠番となっている(新たに追加が作られた)。

やれやれ・・・。

今回(12月5日に延期されたらしい)打ち上げられるCRS-21は、クルードラゴンと同じ、ドラゴン2の外観だ。

スーパードラコを搭載しないなど、有人版とは異なる仕様になっている。

(ミッションCRS-21)
https://www.elonx.cz/mise-crs-21/

「開始日: 5。12。2020 17:39 CET」(日本時間6日02:39)

「食料と設備の供給を運ぶドラゴン2宇宙船(おそらく番号C208.1)」(初物)

「積載重量:まだ不明、ビショップエアロックモジュールの重量は1060 kg」(ドラゴン2の非与圧区画での運搬:初物)

「ロケット: Falcon 9 v1.2ブロック5(すでに使用されている第1ステージB1058.4)」(スターリンクで使用した1段目をNASAが使用するというのは初物:うーん、ちょっと無理筋かあ?)

「ステージ着陸の試み:はい、JRTIまたはOCISLY海上プラットフォームで」(CRSミッションで洋上回収を行うのは初物:重量が増えたため)

「古典的な貨物ドラゴンと比較した最大の変更点は、ISSへの接続方法です。古いドラゴンをキャプチャして手動でステーションに接続する必要がありましたが、新しいカーゴドラゴンは、クルードラゴンと同じように人間の乗組員と自動的にドッキングしました。」(貨物機の自動ドッキング:初物)

「不利な点は、古いドラゴンではマンホールが大きかったため、より大きな荷物を運ぶことができたということです」

アダプター経由だと、やっぱ狭くなるのか・・・。

「今後、SpaceXはNASAからより高い価格を請求します。」(新価格:初物?)

「着陸エリアも変更され、以前のミッションは太平洋に着陸して飛行を終了しました。CRS-21ミッションから、ドラゴン船が大西洋に着陸し始め、バックアップエリアはメキシコ湾になります。」(うーん、残念ながらデモ2でやっちまったからな:カーゴドラゴンとしては、もちろん初物)

「以前のCRSミッションでのファルコン9の最初のステージは通常陸上に着陸しましたが、新しいドラゴンの方が重量が大きいため、ステージはこのミッションから始まる海のプラットフォームに着陸する必要があります。」(既出)

(すべてのドラゴンの概要:カーゴドラゴン2船)
https://www.elonx.cz/prehled-vsech-dragonu/#cargo2

画像だけ頂いた。

輸送能力は、第一世代と大差ない(往き6トン、還り3トン)。

大きな荷物を与圧区画から搬入できなくなったことから、総合的に見た性能はダウンしている(そうなのかあ?)。

自動でドッキングできるから、ISSクルーの手間を省くことができる点では向上しているともいえるがな。

CRS-2でスペースXが獲得した飛行は6回だけ。

CRS-1が20回だったことを考えれば、ショボイ契約だが、コストは激減しているに違いない。

CRSー1では、ドラゴンカプセルは3回しかリユースしていない(しかも、建造は13機)が、CRS-2ではひょっとしたらC208だけで賄うかも知れない(未確認:予備機で1機くらいは造るんじゃね?)。

旧カーゴドラゴンは、ノーズコーンが使い捨てだったが(安物だから、回収しなかったんだろう)、ドラゴン2はクルーもカーゴも、ヒンジ付きで再使用される点が異なる。

ああ、そういえば、太陽電池(旧型はトランク側面からの展開式)のカバーも使い捨てだったが、新型はトランクに直接貼り付けているからカバーはない(トランク自体は新旧とも使い捨てになる)。

再突入のアブレーションを保護する関係で、トランクは再突入直前で切り離されるため、再使用できない。

ちなみに、B社のスターライナーは、非与圧な貨物を運ぶことはできないし、カプセルの底部にあるサービスモジュールが耐熱部分の保護カバーを兼ねている。

打ち上げ時のアボートエンジンや、姿勢制御用ロケットをサービスモジュールに搭載しているしな(姿勢制御ロケットは、カプセル側にもあります)。

有人専用の設計なわけだ。

まあ、どうでもいいんですが。

ドラゴン2は、有人と貨物とどちらでも使える基本設計だ。

有人無人で共用でき、再使用を前提に開発され、メンテナンスも合理化されている。

打ち上げロケットであるファルコン9は完成形だしな(それにしては、エンジンの穴にマスキング剤のカスが詰まるなどのマイナートラブルが多い気もする・・・)。

まあいい。

一見、何の特徴もなさそうな、見飽きた感のあるISSへの貨物輸送だが、CRS-21には様々の初物が詰まっているようだ。

有人宇宙飛行が民間主導で行われ、実績のあるB社が失敗して足踏みしているのを横目に見ながら追い越していくのは痛快だな。

一方で、S社が独り勝ちなのもつまらない。

再使用ロケットでは、ブルーオリジンのニューグレンに期待したいところだ(いつになったら出来るのやら・・・)。

有人宇宙船では、今のところオリオンがライバルだが、6年前にドンガラをテストで上げたきりだからな。

スターライナーの、年明けと言われる(どーせ、延期でしょうけど)OFT-2が成功する保証はない。

それも、無人飛行だし。

カーゴでは、シグナスと、その後継(?)のドリームチェイサーに期待だ。

おっと、我が国のHTVーXを忘れるところだった。

H3ロケットの初飛行が延期になって、いつ上がるかは分からないけどな。

ソユーズの後継機はいつできるか分からないし、そもそもISSから離脱する可能性もある。

ロシアは、中国の宇宙ステーションに相乗りすることを水面下で模索しているに違いない(テキトーです)。

冷戦が終了し、緊張緩和の象徴として生まれた国際宇宙ステーションだが、ロシアの衰退と中国の台頭、米国の相対的地位低下が連動して、お荷物になり始めているのかも知れない。

民間払い下げと、ロシアモジュールの離脱、中国独自の宇宙ステーションが現実になってきた。

長征5号ロケットも完成したからな。

欧州はベガで躓き、アリアン6の開発が遅れ、民間衛星の打ち上げを一手に担ってきた我が世の春は終わりつつある。

ロシアから調達しているソユーズだけが安泰という、情けない状況になっている。

何より、欧州にはISSへの運搬手段は無くなったしな。

その遺産で、オリオン宇宙船のサービスモジュールを作って凌いでいる有様だ。

そんでもって、月面着陸させてもらおうという腹だからな。

確認しておこう。

世界の打ち上げロケット情勢の中で、唯一気を吐いているS社のISS運搬宇宙機が更新される(まあ、中国は元気だし、インドも頑張ってるけど)。

S社にしてみれば、枯れた技術を使って作った過去の代物だろう。

堅実で、外連味なく、今風にソフトウェアでデバイスをコントロールして全自動で運転する。

小規模の改良は続くんだろうが、大きな進歩はない。

実績を重ね、やがてロシアのソユーズのようになる。

ソフトウェアの改善で、若干の性能向上は見られるかもしれないが、デバイスは大きくは変わらない。

儲けは十分出ているし、新たな開発を行う動機もない。

S社の関心は、既にスターシップに移っている。

ゲームのルールを変えるどころか、ゲーム盤自体をひっくり返してしまう破壊力を持つ(米国にはちゃぶ台ないし)。

まだまだ海のものとも山のものともつかないけど、数年経てば、ひょっとしたら2段目使い捨ての巨大ロケットぐらいはものになっているかもしれない。

5年くらいかもな(浮沈子的には、ファルコンヘビーの開発期間を参考にしている)。

運用しながら改良を重ねて行ったファルコン9を束ねて飛ばすだけの話だったが、当初予定から4年遅れの実現になった。

スターシップは来年飛ばすと言ってるからな。

5年後というのは、無理のないスケジュールだろう。

それまで、ISSが飛んでいれば、補給ミッションを一手に引き受けて、おつりがくるに違いない(ISSに収まりきれないほどの補給品を積めるしな:100トンだってさ!)。

お持ち帰りは保証の限りじゃないから、別便は必要かもな。

カーゴドラゴンは、10年くらいは飛び続けるかもしれない。

そう、今、テキサスで作っているのは、火星移民のロケットだけじゃなくて、将来カーゴドラゴンを代替する軌道輸送機なわけだ。

完全再使用なISS輸送機・・・。

しかも、2桁違う輸送能力・・・。

その隣にドリームチェイサーが並んだりして(積めるんじゃね?)。

そーか、ドリームチェイサーを積んでって、帰りの荷物はそっちに積んでもらうようにすればいいかもな。

で、廃棄物積んでスターシップの再突入実験を兼ねて軌道から離脱する。

万一失敗しても影響はない。

大切な成果物は、ドリームチェイサーが低い加速度で減速して、優しく地上に戻してくれるからな。

カーゴドラゴン2の寿命は、意外に短いかもな。

5年くらいか。

5日(日本時間6日)に予定されているCRS-21は、そう考えると貴重な打ち上げのような気がする。

何年も見られるものじゃないかもな。

年年歳歳花相似たり、歳歳年年ロケット同じからず・・・。

フルデプス潜水艇も再使用の時代か2020年12月01日 20:23

フルデプス潜水艇も再使用の時代か
フルデプス潜水艇も再使用の時代か


嫦娥5号のニュースを追いかけていたら(今夜遅く、日付が変わって2時過ぎに着陸予定だそうです)、中国が建造した深海潜水艇がチャレンジャー海淵で1万メートル超の潜水を成功させたそうだ。

(中国の有人潜水艇「奮闘者号」が帰港 水深1万909メートルを記録)
https://www.afpbb.com/articles/-/3318446

「科学調査船「探索1号」がいかりを下ろし、マリアナ海溝で水深1万909メートルの到達記録を達成した有人深海潜水艇「奮闘者号」も無事帰港」

まあ、工学的な成果はともかく、超深海にサカナはいたのかとか(従来の調査では、8千メートルくらいまでしかいないと言われている)、新種の発見はあったのかとか、そういう方が気になるけどな。

調べていくと、既に米国でも民間でのフルデプス探査が行われていた。

(中国、1万m級・フルデプス有人深海潜水艇、「奮闘者」号と命名)
https://pelicanmemo.hatenablog.com/entry/2020/06/21/183000

「水深10000m以上の、世界でもっとも深い海の底に到達した人類は宇宙空間よりも少ない。」

「1960年1月の「トリエステ (Trieste)」で2人、2012年3月「ディープシー・チャレンジャー (Deepsea Challenger)」で1人。わずかこれだけだった。」

「しかし、昨年(2019年)4月に「Five Deeps Expedition」が世界の5つの海溝の最深部への到達に成功。」

「今年(2020年)も6月7日に、「Ring of Fire Expedition」でマリアナ海溝への1度目の潜航に成功した。NASAの元宇宙飛行士キャサリンD.サリバンが、女性としてはじめてチャレンジャー海淵の最深部に到達した(宇宙遊泳と深海底最深部の二冠をはじめて達成)。」

日本語の記事にもなっている。

(人類初の偉業達成!「世界最深の海底」をぜんぶ見た男、現る!)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68249

「2019年4月28日、アメリカの探検家ヴィクター・ヴェスコーヴォ(Victor Vescovo、ヴェスコヴォとも)氏が、有人潜水船「リミティング・ファクター(Limiting Factor)」号に単独乗船し、世界で4人目のチャレンジャー海淵到達を果たした。」

彼は、7大陸の最高峰、南極及び北極、5大洋(太平洋、大西洋、インド洋、北極海、および南極海)の最深部を見た世界でただ一人の男である。

「ヴェスコーヴォ氏は、自分専用の潜水船を新造することから手をつけた。受注したのは、アメリカ・フロリダ州にある、潜水船では歴史のある「Triton Submarine」社で、約3年かけて、2人乗りのフルデプス潜水船(Triton 36000/2)が完成した。」

「価格は、約5000万ドル(およそ50億円)だという。」(激安!)

考えてみれば、キャメロンも民間で行ったわけだからな。

米国は、有人フルデプス探査については、国家事業とすら見做していない。

「「リミティング・ファクター(Limiting Factor)」号と名づけられたこの潜水船の耐圧殻(内径1.5メートル)は、厚さ90ミリメートルのチタン製で、深さ1万4000メートルの水圧に耐える強度を有する。」

「観察窓は3つあり、水中作業のためにマニピュレーター(ロボット腕)を1本備えている。潜水船の操縦はすべて、ヴェスコーヴォ氏が自らおこなう。」

まだ、ちゃんと読んでないけど、彼が経営する会社のページも見つけた。

(caladan oceanic)
https://caladanoceanic.com/

「Triton Submarinesの深海潜水艦の専門家に課せられた課題は、海の最深部への繰り返しの 旅を可能にする車両を開発することでした。完全な海の深さに到達するための以前の2つの潜水艇のどちらも、旅を2回以上しませんでした。」(トリトン36000/2:船名:リミティングファクターの解説より)

「技術仕様:
・容量 2人の乗客
・デュレーション 16時間+
・乾燥重量 25700ポンド/11.7トン
・深さ 11,000メートル/ 36,000フィート
・ペイロード 220kg +
・スピード(水中) 縦1〜2kn、横2〜3kn
・表面バラスト 合計2150リットル
・可変バラスト 最大500kgのダイビング重量+ 100kgの可変
・長さ 4600 mm / 15フィート
・幅 1900mm /9.2フィート
・高さ 3700mm /12.2フィート
・耐圧殻ID 1500mm / 59インチ
・ハッチ内径 450mm /17.7インチ
・24V電源 二重供給+緊急事態
・メインバッテリー 65 kWh
・外部ライト 10 x20000ルーメンLED
・生命維持 酸素+ CO2スクラバー
・緊急生命維持 96時間
・ビューポート 3x超広角
・緊急リリースシステム バッテリー、スラスター、マニピュレーター
・カメラ 4x広角状況認識カメラ
4x高解像度ミッション記録カメラ」

再使用可能な民間のフルデプス潜水艇。

深海のファルコン9といったところか。

もちろん、中国の奮闘者だって、再使用可能だろう(未確認)。

少なくとも、複数回の潜水はこなしている。

我が国だって、最大運用深度こそ半分ちょっとしかないけど、しんかい6500を長年運用している。

(しんかい6500)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%846500

「1989年に完成」

もう30年以上も現役で頑張ってる。

しんかい12000の構想もあるが、実現する可能性は皆無だ(そうなのかあ?)。

(しんかい12000)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%8412000

「2023年に向けての政府に運用開始を提言したが、予算措置は講じられていない。海洋研究開発機構は2020年代後半の完成を目指している」

まあ、無理だろうな。

米国が離脱したように、我が国も有人フルデプス探査からは手を引いてしまったからな。

無人探査艇も、失われたりして今はない。

民間で、資源探査や探検、映画撮影などに使うやつもない。

7000メートル以深は、他国の調査を仰がなければならない(リミティングファクター借りるか、中国にお願いして乗せてもらうか)。

我が国には、海上自衛隊が誇る川重製のDSRVがあるが、運用最大深度は非公開だ(軍用だしな)。

7000m位は行けるかもしれない(未確認)。

この完成を持って、しんかい6500に一升瓶が設置されなくなったという話もある。

救助してもらえるからな。

諦めなくて済む・・・。

そう、深海探査は、今も命懸けなわけだ。

中国は、宇宙開発でも深海探査でも世界の最先端を驀進している。

我が国は、桜が咲いたとか見たとか見ないとか言ってるだけで(そうだっけえ?)、そういう話はほとんど議論されない(つーか、報道されない)。

四方を海に囲まれ、世界6位の広大な海洋資源を管理しながら、そのためのツールは限られている。

外相会談後の記者会見で、尖閣に違法操業の漁船を出すなとか言われてる体たらくだ(言ってるんじゃなくて、言われる方:念のため)。

何もしてないからな。

言われても仕方ないかも知れない。

中国は国家、米国は民間が有人超深海探査に乗り出している。

2番じゃダメなんですかあ?(現役でも4番ですけど)。

(深海潜水艇:最も深い探検家)
https://en.wikipedia.org/wiki/Deep-submergence_vehicle#Deepest_explorers

「深度は500m単位で四捨五入。
1番:アメリカ DSV制限係数 – 11,000 m(現役)
2番:アメリカ バティスカフェトリエステ – 11,000 m(退役)
3番:オーストラリア ディープシーチャレンジャー – 11,000 m(陸上で破壊)
4番:中国Fendouzhe – 11,000 m(現役)
5番:フランス アルキメード – 9,500 m(退役)
6番:中国 蛟竜 – 7,000 m(現役?)
7番:日本 DSVしんかい6500– 6,500 m(現役)
8番:ロシア コンスル – 6,500 m(現役)
9番:アメリカ DSVシークリフ – 6,000m(退役)
10番:ロシア MIR – 6,000 m(現役)
11番:フランス ノーチレ – 6,000 m(現役?)」

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子は、今日の今日まで、蛟竜くらいしか知らなかったからな。

奮闘者(英語表記だとFendouzhe)なんて聞いたこともなかったし、リミティングファクター(自動翻訳だと制限係数)も初めて知った。

新型コロナと宇宙ネタばかり追いかけていると、足元を見失うかもな・・・。