夜明け前:潜水計画とダイビングコンピューターの変遷を追う:GF(グラディエントファクター)に挑む:その22021年04月01日 19:18

夜明け前:潜水計画とダイビングコンピューターの変遷を追う:GF(グラディエントファクター)に挑む:その2
夜明け前:潜水計画とダイビングコンピューターの変遷を追う:GF(グラディエントファクター)に挑む:その2


<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事は、テクニカルダイビングの話題です。指導団体によるトレーニングを受けずにハイリスクのダイビングを行う参考にはなりません。浮沈子も、現在トレーニング中の身です。誤った情報が含まれている恐れが多分にあります。ご注意ください!。
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先日から、GFのことを調べ始めている。

様々な記事を当たると、いや、ビュールマンは古いとか、サイレントバブルを考慮しなければならないとか、ディープストップが良いとか、悪いとか、そういう話になっているようだ。

最近は、更に新手のモデルも出てきているようで、百花繚乱だな。

本家ZH-L16にもベーシックなA(保守性なし)、やや保守性を持たせ、広く普及しているB、ダイコンとかに人気のCといった派生形がある。

(Bühlmann解凍アルゴリズム:バージョン)
https://en.wikipedia.org/wiki/B%C3%BChlmann_decompression_algorithm#Versions

「・ZHL-16またはZH-L16A:元の16コンパートメントアルゴリズム(保守性はまったくありません)。
・ZHL-16B:主に中央のコンパートメントで少し控えめな「a」値を使用して、ダイブテーブルの作成用に変更された16コンパートメントアルゴリズム。高性能プロセッサーユニットを搭載したダイブコンピューターで最近使用されていますが、ZHL16Cと比較して柔軟性があります(特にハイテクダイビングで)。
・ZHL-16C:ダイブコンピューターで「パッケージ」として使用することを目的とした、中間および高速の「a」値をさらに変更した16コンパートメントアルゴリズム。ほとんどすべての低レベルプロセッサユニットで使用できますが、ZHL16Bと比較して柔軟性が低くなります。」

ちなみに、浮沈子の初代ペトレルはZHL-16C(GF付き)を採用している。

GFというのは、ビュールマンの16組織コンパートメントモデルの派生形の一つだ。

えーと、一つといっていいかどうかには問題があるかも。

30/70とか、30/80とか、2つの数字(パーセント表示)の組み合わせで、何通りものバリエーションがあるからな。

前回は、初めに出てくるのが深場での保守性を示すGFローセッティング(30とか)で、後ろにくっ付いているのがDFハイセッティング(80とか)であることを、グラフを見ながら確認した。

このグラフは、もちろん、実際のダイビングに使うものではない。

これを持ち込んだとしても、ダイバーの役には立たない。

組織コンパートメントごとの最大許容溶解度を示すM値の深度による推移を示すグラフと、水中の環境圧を示すグラフとの間を、上下(これも混乱するが)に保守率を示すルーラーを置いて、ウニウニと変化させて、保守性(コンサバティズム)を調整するわけだ。

右上のルーラーが示しているのがGFローセッティング、左下のルーラーが示しているのがGFハイセッティングということになる。

このグラフは、GFの概念を分かりやすく説明するためのもので、これをラミネートして水中に持ち込んで参照するためのものではない。

どちらかといえば、潜水計画を立てる時のコンピューターソフトウェアプログラムを書くプログラマーとか、ダイコンの内蔵ソフトウェアを作る際に、基本的な理解を得るための参考図だ。

ダイバーにとって分かりやすいことを目的としているわけではない。

水中は、とにかく忙しいからな。

ややこしいことは、全て陸上で済ませて、水中では余計なことはなるべくしないのがよろしい。

器材のチェック、耳抜き、深度管理、チームの確認、時間の確認、浮力の調整、また耳抜き、マスククリア、残圧の確認、デコタンクのバルブ開閉、浮力の調整、ああ、また耳抜き・・・。

ダイバーに必要なのは、いつ浮上するのか、どのくらいの速度で浮上するのか、何mまで浮上するのか、そこにどれだけ留まるのか、計画とのズレは許容範囲なのか、プランBに変更すべきなのか、修正の範囲内で、元のプランに戻れるのか、ガス量は十分なのか、そのズレをどう管理するかなどなど、実戦的な運用面での情報であって、M値が何だとか、GFが何だとかは、陸上での世迷言に過ぎない(そうなのかあ?)。

自分たちの命が掛かっているにもかかわらず、概ね、減圧理論には疎い(まあ、分かる気もする)。

浮沈子は、ダイビングをスポーツとして考えることは少ないが(陸上の器材運搬は、確かにスポーツ的要素は満載だがな)、テッキーの多くは鍛えた身体と鋼の神経の持ち主だからな。

水中でのストレスだけでなく、陸上での仲間内からのプレッシャーにめげずに、必要な準備を淡々とこなしたり、そもそもこのダイビングをするかしないかなどの判断を下していかなければならない。

冷静沈着慎重な一方、そういうリスキーなダイビングを実行する大胆さや情熱も必要だ。

ダイブプロファイルのグラフ(特に、上の方に赤い線が入っているヤツとか)を見せれば、ハアハアして興奮するかもしれないけど、GFのグラフで発情するとは思えない(未確認?)。

そのくせ、人が30/70のデフォルト設定で潜っていると聞くと、なぜそうなのかとか、保守的過ぎねえかとか(その設定でレクリエーショナルで深場潜ると、概ねデコ出しになるし)、某指導団体は違う数字だとか(知らねーって!)、いろいろ突っ込んでくるのだ。

まあ、どうでもいいんですが。

(ダイビングプランニングの進化)
https://www.shearwater.com/monthly-blog-posts/evolution-of-dive-planning/

「目次(?)
・昔は...
・新しい夜明け
・リスクのリアルタイム管理」

まだ、ちゃんと読んでいないけど、この記事のグラフが特徴的だったので引用した(GFローセッティングのルーラーが縦になっているけど、本質的な違いはない:<以下追加>参照)。

アセント開始してからの最初の線が、環境圧のグラフからスタートしていて、しかも斜めになっているので、こっちの方がリアリティがあるな。

浮沈子が行っている減圧ダイビングは、この記事で言えば夜明け前だな。

テーブルと手計算で潜水計画を立て、予備のプランも立て、ノートとスレートに書き、ちびっとだけデコが出るようにして、一応、パソコンの中の減圧ソフトをグリグリして悲惨な計算違いがないかを確認して、でもって、そっちの潜水計画も予備的に書いておいて潜る(ガス量とかもチェックしてます)。

一応、ペトレルも持って入るけど、それはあくまでも参考で、深度計とダイブタイマーとして使う。

時々、黄色の文字とか、たまあに赤い文字とかが出てきて焦ることがあるけど(良い子は絶対マネしないでね!)、オンタイムに乗せて深度調整している時にはそんなもんを気にするゆとりはない(そんなあ!)。

あとで、ダイブログを見て、ここはヤバかったなと反省する程度だ(そんなことでいいのかあ?)。

あんまり書くと、Cカード返上しろとか言われそうだから、このくらいにしておく。

シェアウォーターの記事では、リアルタイムの減圧管理や、オンタイムに乗らなかった時のバックアップとしての使い方が詳しい(こっちがメインだからな)。

「現在、コンピューターははるかに利用可能で信頼性があります。さらに、コストが大幅に削減されたため、多くの人がバックアップコンピュータを持っています。 コンピュータが提供する柔軟性は、テーブルの堅固な性質とは対照的です。」

潜水計画を立て、そのプロファイル通りに潜る器材運用とダイビングスキルを学び、訓練を重ね、認定されてテッキーになり、経験値を上げながらレベルアップしていく・・・。

その中で、その時代の最も優れた(と思われる)減圧理論を反映した減圧ソフトなり、ダイビングコンピューターを使いこなして、安全かつ楽しいダイビングを続ける。

そう、レジャーダイビングなわけだからな。

楽しめなければ意味はない。

GFについて調べることも、レジャーの一環だ。

自分が命委ねている減圧理論の背景を知り、その正当性がどのように裏付けられているのか、なぜ、保守性などという概念を持ち込まなければならないのか(理論通りに潜ると、DCS続発だからかあ?)を、腹の底から理解したい。

安全なダイビングなどというものはない。

少し危険か、かなり危険か、むちゃくちゃ危険か。

NDLを超えて減圧停止を伴うダイビングは、浮沈子的にはむちゃくちゃ危険なダイビングの範疇になる。

あーっ、とか言いながら、水面に向かって浮上することはできない。

ガスが無くなれば、DCS覚悟で浮上せざるを得ないけど、それはヤバ過ぎな話だ。

そういう目に会わないために、潜水計画を立て、ガス量を管理し、減圧計画と整合させて、なおかつ、チーム全体での調整も行って初めて水に浸かる。

何事もなければ、絵に描いたような安全なテクニカルダイビングは終わる。

水中で何かが起こった時、減圧ダイビングでは直上浮上はできない。

目には見えないガラスの天井(減圧シーリング)があるからな。

そこで、ガス切れに対処し、器材のトラブルに対処し、チームのトラブルに対処しながら、何事もなかったかのように余裕をもって浮上する。

トレーニングの大半は、トラブル対処に費やされる。

CCRの時も、練習していたのは9割がトラブル対処のスキルだったからな。

ファンダイブを楽しんだのは、潜降している時と浮上している時だけ・・・。

まあいい。

「常にテーブルを使うべきだという印象や、ダイブコンピューターを使うよりもテーブルの方が安全だという印象がまだ残っています。」

浮沈子は、そういう考え方を教わっている。

ダイコンは、あくまでバックアップだと。

基本はテーブルだぞと。

記事は繰り返しがあったり、ガス計画がくどかったりして読みづらいところもあるけど、ダイコンを使った緊急時のデコ管理についても書かれている(浮沈子にはワケワカですが)。

「ダイバーが利用できるツールは変化と改善を続けているため、利用可能なツールを最大限に活用するには、使用するテクニックも変更する必要があります。この記事は、ダイビングを計画する必要性を排除するどころか、今日利用可能な洗練されたダイビングコンピューターが計画プロセスの改善に役立つことを示すことを目的としています。」

「状況が変化したときに計画を適応させるために使用することもできます。これは、ダイバーが自由に使えるツールを理解し、それらを使用する練習をしている場合にのみ可能です。」

「この記事のすべての情報を理解し、それを使用してダイビングを計画したり、ダイビング計画を変更したりする前に、それを実践することが不可欠です。他のツールと同様に、実際に使用する前に練習する必要があります。」

「時間と練習に少し投資することで、コンピューターや固定されたデコテーブルのセットを盲目的に追跡するよりもはるかにインテリジェントな方法で上昇を管理できるようになります。」

まあ、浮沈子が出来るようになるのは相当先のことになりそうだがな。

今回はここまで。

次回は、気になってしょうがないディープストップの話を書こうと思っている。

GFの記事を読むと、たいていはディープストップのことが書いてある。

(ポストディープストップの世界における勾配要因)
https://gue.com/blog/gradient-factors-in-a-post-deep-stops-world/

「ディープストップは、魚類学者でテクニカルダイビングのパイオニアであるリチャードパイルによって偶然に開発された経験的な「パイルストップ」の形で初期のテクニカルダイバーの注目を集めました。」

「あの」リチャードパイルか・・・。

(リチャード・パイル)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/06/06/8587150

「記事の後半には、ディープストップに関する記述がある。
「Pyle published his observation that he had less fatigue when he made such deep stops—now often called "Pyle stops"—which have become common practice on deep dives.」(パイルは深いダイビングでよく練習になっているような深いストップをしたときに疲れが少なくなったという観測を発表しました。)
賛否両論のプロファイルなんだが、パイルストップというのは、初めて聞いたな。」

自分で書いてて、失念していた(まあ、いつものことですけど)。

(パイルストップ)
https://en.wikipedia.org/wiki/Pyle_stop

「ハワイのアメリカの魚類学者であるリチャード・パイル博士にちなんで名付けられました」

「パイルは、1989年に彼の上昇パターンが、デビッド・ヨーント博士の減圧計算の変動透過性モデル(VPM)によって生成されたものと類似していることを発見したとき、彼の発見に対して理論的な正当化を受けました。上昇パターンは、「パイルのストップ」または「ディープストップ」として知られるようになりました。」

まあ、あんまネタバレすると、次回書くことがなくなっちまうからな。

この辺にしとくか・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

①シェアウォーターのグラフ(このブログ記事(その2)掲載の画像:縦置き:初回減圧停止時)と、②ダイブライトのグラフ(前回のブログ記事(その1)掲載の画像:横置き)を比較すると、GFローセッティングのルーラーの置き方が異なる。

さらに言えば、③前回(その1)の<以下追加>で掲載したグラフも、縦置きには違いないが、浮上開始時に置いている点が異なる。

もっとも、③は浮上中(減圧中)の体内ガスの変化がないように描かれているから、ややリアリティに欠けるけどな。

しかし、それにしても、どれがGFローセッティングのグラフ表現として正しいんだろう?。

②のルーラーは、浮上のタイミングとか、減圧のタイミングとかに関係なく、なんかテキトーに置かれている気がする。

①は、初回減圧停止時ということで、一見もっともらしいが、初回減圧停止は、GFローセッティングの設定で変わるわけだから、因果律から考えれば妙な話のような気もする。

プログラムに実装するにも、何か苦労しそうだ(2値を変化させて収束させなければならない)。

どこか、特定の深度でGFローセッティングを決めてくれれば楽なんだが、グラディエントファクターの主旨が、減圧における保守性の付与であることを考えれば、少なくとも動的に、どこかのタイミングで設定されていなければ意味がない気がする。

だって、深度1000m(ありえねー!)で30パーセントに設定したって、せいぜい100m位でしか潜らない現実のダイバーの保守率は、殆どGFハイセッティングの値になっちまうからな。

メーカーの記事や、査読付きの解説記事のグラフがテキトーに描かれているとすれば、テッキー達は、寄って集って騙されていることになる(そういうことかあ?)。

まあ、前回のブログ記事(その1)の標題に書いた通り、GFというのはテクニカルダイバーにとっては鬼門だ。

みんな、細かいところはよく分からずに、半ば盲目的に指導団体やメーカーの推奨する値を入れて、気合と根性をトッピングして潜っているのだ(そんなあ!)。

元々、リチャードパイルが経験値から割り出したプロファイルであるディープストップ(パイルストップ)は、上記の記事にもあるように、その後、VPM(可変気泡モデル)によって理論的裏付けを得たとされる。

その良し悪しは別にして、GFローセッティングを低め(10パーセントとか)に咬ませれば、疑似的にディープストップを実装できることから、GFの記事の中にはディープストップを論じているのが多いようだ。

本来は、別々の出どころの話なんだがな。

GFの原論文が見つかったら、ローセッティングの具体な正解(ややワケワカ)についても書く。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(勾配係数の計算)
https://alertdiver.eu/en_US/articles/gradient-factor-calculations

「1990年代に減圧研究者のErikBakerによって開発された勾配係数(GF)は、保守性を調整するためにBuhlmann減圧モデルで一般的に使用されます。」

オリジナル論文ではないみたいだが、関係する図が出ているのは見つけた。

(Clearing Up The Confusion
About “Deep Stops”
By Erik C. Baker, P.E.)
https://www.shearwater.com/wp-content/uploads/2012/08/Deep-Stops.pdf

広告多いけど、自動翻訳を通してくれるページも。

(「ディープストップ」に関する混乱の解消ErikC。Baker著)
https://docplayer.net/128772-Clearing-up-the-confusion-about-deep-stops-by-erik-c-baker.html

「8(項番)

圧力グラフ:勾配係数(グラフの標題)

x(軸)周囲圧力、絶対

y(軸)コンパートメント不活性ガス圧力、絶対


<以下、グラフの右の欄の注釈>
・グラデーション係数は、M値のグラデーションの小数(またはパーセンテージ)です。

・勾配係数(GF)は、0と1の間で定義されます。

・勾配係数0は、大気圧線を表します。

・勾配係数1は、M値の線を表します。

・勾配係数は、減圧ゾーン内の保守性のために元のM値方程式を変更します。

・低いグラデーションファクター値(GF Lo)は、最初のストップの深さを決定します。「可能な限り深いデコストップ」の深さまで深いストップを生成するために使用されます。

<以下、グラフ内の注釈>
・GF Loは、ファーストストップ勾配ファクターを生成します

・M値勾配

・表面圧力

・M値ライン

・ファーストストップ

・周囲圧力ライン

・GF Hi(表面値)は、勾配係数の段階的変化に対する安全マージン

・勾配係数の段階的変化に対する線形関数

<以下、グラフの下の欄の注釈>
勾配係数(GF)で使用するために変更されたM値方程式

・職人方程式:
M =深さ(M GF-GF + 1)+(Psb + GF(MO-Psb))
Tol。深さ= [P-(Psb + GF(MO-Psb))] /(M GF-GF + 1)

・ビュールマン方程式:
Pt.tol。ig = Pamb。t。(GF / b-GF + 1)+ GF a
Pamb.tol。=(P ig-GF a)/(GF / b-GF + 1)

勾配係数は、各ストップに手動で適用することも、自動モードで適用することもできます。単純な線形関数により、勾配係数をGFLo値からGFHi値に徐々に変更できます。

GF勾配=GFHi-GFLo/最終停止深度-最初の停止深度

GF = GF勾配×現在の停止深度+ GFHi

保守主義のための勾配因子法の利点:

・「可能な限り深い減圧停止」の深さまでの深い停止を生成するために使用できます

・ディープストップを含む減圧ストップは、常に減圧ゾーン内にあります

・最初の停止から表面までの勾配の段階的な変化を含む、過圧勾配の正確な制御を可能にします

・おなじみのハルダニア減圧モデルへのマイナーな変更-理解と適用が簡単

・柔軟性-勾配係数を適用して、個々の生理学やさまざまなタイプのダイビングプロファイルを処理できます」

ベタ訳だが、グラフを理解する助けにはなる。

これを見ると、最初の減圧停止が20パーセントライン(グラフでは0.2)に当たっていることが分かる(20パーセント同士を結んでいるので、ライン上はどこでも20パーセントになっていることに注意)。

そうすると、①が正しく、②(タイミング不明)③(浮上開始時)は誤りということか。

やれやれだな・・・。

ディープストップの功罪:リチャードパイルには効果満点だからいいんじゃね?:GF(グラディエントファクター)に挑む:その32021年04月02日 11:37

ディープストップの功罪:リチャードパイルには効果満点だからいいんじゃね?:GF(グラディエントファクター)に挑む:その3
ディープストップの功罪:リチャードパイルには効果満点だからいいんじゃね?:GF(グラディエントファクター)に挑む:その3


<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事は、テクニカルダイビングの話題です。指導団体によるトレーニングを受けずにハイリスクのダイビングを行う参考にはなりません。浮沈子も、現在トレーニング中の身です。誤った情報が含まれている恐れが多分にあります。ご注意ください!。
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<本稿について、特に追加のおことわり>ーーーーーーーーーー
本稿ではディープストップについて書いていますが、ここで取り上げているのは、テクニカルダイビング(ここでは、減圧停止を含むディープダイビングのこと)におけるディープストップ(パイルストップとも)です。レクリエーショナルダイビングで話題となるディープストップ(深いところで追加で行う短時間の安全停止のようなもの)とは、異なる話とお考えいただいた方がいいと思います。
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昨夜は、一睡もせずに、GFローセッティングの謎に挑んだ。

名だたるダイビングサイトに掲載されている図は、悉く誤っていて、浮沈子的に許せるのはシェアウォーターの記事に添えられている図だけ(前回記事:その2の画像参照)。

それでも、潜降とかボトムの情報が描かれておらず、浮上開始からとなっている。

エリックベイカーの論文から、それらしき図を見つけて、ようやく得心したので、それを元に、ダイビングプロファイルを書き込んだ図を掲載する。

が、しかし、この図にも、やや不満が残る。

①グラディエントファクターがパーセント表示でないのはいいとしても、事例として20/60というのはいかがなものか。

論文の主旨は、グラディエントファクターを使えば、気泡モデルでなくたって、ディープストップの一つや二つ(そういう数え方するのかあ?)作るのは訳ないという話だから、GFローセッティングの20はいいとしても、GFハイセッティングが60というのはないだろう・・・。

②さらに言えば、グラディエントファクターのルーラーが、やや対数表示になっている点だな(X軸は逆対数表示?)。

つーことは、ダイビングプロファイルを書き込んだりすると直線にならないかもしれないということになる。

念のため書いておくけど、プロファイルといったって、深度/潜水時間のグラフじゃないことに注意だ(このグラフに、時間軸はありません)。

まあ、どうでもいいんですが。

一応、凡例を書いておく。

①潜降
②ボトム
③浮上開始
④初回減圧停止(グラフの下の方にも書いてありますけど)

浮上開始後の縦の線は、減圧停止中であることを示している。

斜め下に緩やかに下がっているところは浮上中ということだな。

最後に水面に出るわけだが、0気圧ではない(絶対圧だからな。0気圧だと、宇宙空間まで浮上(?)することになる)。

浮上しても、体内にはまだ不活性ガスが残っている(地球大気での飽和点に下がるまで)から、高所移動とかには気を付けなければならない(ダイビング直後の激しい運動も禁止!)。

このGF設定では、ハイセッティングが60パーセントだから、それでも抜いている方だ。

ようやく、徹夜して納得がいく結論を得たので満足している(所詮、自己満ですが)。

潜降時や浮上時のグラフの傾きとかは、テキトーなので念のため。

で、前回、ディープストップの予告で相当ネタバレしちまったので、やっつけでテキトーなネタを仕入れた。

(減圧理論PT4)
https://www.tdisdi.com/tdi-diver-news/decompression-theory-pt-4/?lang=en_us

「ディープストップ:
・・・
リチャード・パイル博士は、彼の減圧ダイビングにディープストップを体系的に組み込んだ最初のダイバーの一人であることが広く知られています。」

まあ、ちょっとしつこいけど、前振りみたいなもんだからな。

「VPMとRGBMの開発者がほぼ同時に行った調査により、ディープストップの必要性に理論的な信憑性が加わりました。その後、VPMまたはRGBMアルゴリズムを使用するダイビングプランニングソフトウェアの不可欠な部分になりました。」

気泡モデルによる理論的裏付けを得て、ディープストップは一躍ダイビング界のトピックとなった。

が、しかし・・・。

「ガス含有量と気泡モデルを使用して計画および実行されたダイビング後のVGEスコアをカウントした3つの別々の研究はすべて、気泡モデルからの気泡カウントがガス含有量モデルのものと同じかそれより多いことを指摘しました。」(静脈ガス塞栓症(VGE:venous gas embolism)

同じならいいんだがな。

「米国海軍実験ダイビングユニット(US NEDU)によって実施され、2011年に公開されました。この調査の結果の尺度は、一部のボランティア(その倫理委員会に所属していたのは誰ですか?)の実際のDCSでした。2つのモデル間でDCSのケースに統計的に有意な差があるとすぐに研究は終了し、バブルモデルのダイバーが198回のダイビングのうち10回のDCSのケース(5.6%)を持ったときに終了しました。ガス含有量のダイバーは、192回の潜水から3回DCSが発生しました(2%)。調査後、米海軍はダイビング操作でのバブルモデルの使用を拒否しました。他の研究の1つは、フランス軍が潜水作戦について同じ結論に達したというものでした。」

「NEDU研究の結論は、ディープストップは高速組織を過飽和から保護するというものでしたが、コストがかかり、それらのディープストップ中の低速組織の負荷が増加します。これらの組織は、表面化した後にのみ過飽和を開始します。遅い組織の遅い過飽和は、NEDU研究のDCSの最ももっともらしい原因であると考えられました。」

(REDISTRIBUTION OF DECOMPRESSION STOP TIME
FROM SHALLOW TO DEEP STOPS INCREASES
INCIDENCE OF DECOMPRESSION SICKNESS IN AIR
DECOMPRESSION DIVES:原論文)
https://gue.com/blog/wp-content/uploads/2019/10/NEDU_TR_2011-06.pdf

GUEのブログに張り付いていたので、元記事を見てみた。

(パート3:バブルワイズ、ポンドバカ。ディープストップは危険ですか?)
https://gue.com/blog/part-three-bubble-wise-pound-foolish-are-deep-stops-dangerous/#:~:text=In%20July%202011%2C%20the%20Navy,SICKNESS%20IN%20AIR%20DECOMPRESSION%20DIVES.%E2%80%9D

シャチョーさんのジャロッド・ジャブロンスキー自ら書いている。

「ディープストップは役に立たなかっただけでなく、実際には減圧の問題のリスクを高めました。」

「実際、DCS症例の数と重症度を考えると、この研究はより説得力があります。さらに、追加の研究があります NEDUの結論を支持するものですが、ディープストップの価値を支持する研究はありません。」

「1990年代後半から2000年代初頭にかけて、ディープストップは大きな人気を博しましたが、登場するのとほぼ同じ速さで、多くのサークルで黒い羊になりました。」 (黒い羊=厄介者?)

「今のところ、深い停止は減圧を加速する上で明確な価値を表していない可能性が高く、実際に問題を引き起こす可能性があると言えます。」

GFローセッティングを低い値にすれば、気泡モデルでなくともディープストップを実装できることは既に触れた。

逆に、それを高い値に変更すれば、深い深度での減圧停止をしないで済むということになる。

「勾配係数の使用は、ディープストップグループとアンチディープストップグループの両方で非常に一般的です。深いストップから離れることを好む人は、より高い勾配でより積極的な上昇を好む。」

G社のビュールマンアルゴリズムによるグラディエントファクターの参照標準は20/85のようだ(2000年代初頭に開発)。

最終的には、経験豊かなチームに委ねられるとはいえ、やや特異な感じもする。

教育機関でもあるG社の立ち位置もあるんだろうし、ディープストップへの対応とのバランスを取ろうとしたのかも知れない。

ジャブロンスキーは、オープンな議論を望んでいるだけで、決定的な結論は出していない。

しかし、G社総帥としてのスタンスは明快だ。

「これらの標準は進化する可能性があり、実際に進化しますが、意味のある値が確立されない限り、不注意に変更するべきではありません。」

G社の面目躍如というところか。

まあいい。

確認しておこう。

様々な問題があるにしても、新しい減圧理論(気泡モデル)でディープストップが登場し、個人的に行われていたパイルストップをオーソライズしたことは明らかだ。

その後の経緯については、限られた話しか読んでいないけど、G社を含めてどこの指導団体でも、大っぴらにディープストップを推奨していないことは確かだな(浮沈子が知らないだけかも)。

初めに引用したTDIの記事の中には、思いっきり書いてあるしな・・・。

「テクニカルダイビングコミュニティはバブルモデルからゆっくりとシフトしています。」

もう、流行りものじゃなくなったわけだ。

浮沈子は、RGBMを内蔵したスントのズープをレクリエーショナル専用として使っているし、V-Planner(VPM-8)を使って減圧計算をしている。

うーん、バブル(気泡モデル)は弾けたという感じかあ!?。

気泡モデルは、理論としては美しいし、理に適っている気もするし、実際、短時間で減圧が行えればそれに越したことはないだろうし、テッキーの夢を叶える魔法の杖だったのかも知れない(過去形かあ?)。

米国海軍の実験が、必ずしもテクニカルダイビングの手順と環境で行われたわけではなく、その結果についての議論がくすぶっているとしても、もう、一度そっぽ向かれちまったらほとぼりが冷めるまでは動きはないだろうな。

G社的には、浮沈子はまだテッキーじゃない(楽しい、レクリエーショナルダイバーだ:ファンダメンタルズのテックパスやら、レクリエーショナルレベルのDPV(のカード)やらは持ってるけど)。

テック1の講習を受けるようになったら、是非ともGFローセッティングを20パーセントにした理由を聞いてみたいもんだと思っている。

エリックベイカーは、この値をビュールマンZH-L16でディープストップするために設定したわけだからな(前回(その2)<さらに追加>で引用した論文より)。

ちみは、GFいくつで潜ってるの?。

浮沈子は、こう考えている。

GFは、最終的には実際に潜るダイバー達(一緒に潜るチーム)に任せるべきだと。

ガス計画やら、緊急対応とかあるから、チーム内ではみんなおんなじがいいに決まっている。

減圧の際にばらけちまったら、対応できないからな。

ディープストップは、パイルストップに戻ったわけだ。

リチャードパイルは、おさかな採集のために潜る。

採れなかったら、さっさと上がり(ディープストップなし)、もし採れていたら、途中で浮力を足すためにディープストップしていた(そんなに大漁だったのかあ?)。

(パイルストップ)
https://en.wikipedia.org/wiki/Pyle_stop

「1980年代、パイルは収集する魚を探して180〜220フィート(50〜70 m)の深さを探索するためにダイビングを行っていました。」

「彼は、いくつかのダイビングパターンがダイビング後の倦怠感を感じさせないことに気づきました。彼のダイビングプロファイルを見直し、パイルは、ポストダイビング疲労ことを彼を見つけた症状は、彼が彼の必須減圧停止前にいくつかの「深い停止」を行ったときにはほとんど存在しませんでした。」

「魚を捕まえなかったため、最初の強制減圧停止に直接上昇しました。彼が魚を集め、最初の減圧停止のかなり前に浮き袋を通気するために上昇を中断したダイビングでは、彼は表面に倦怠感を示しませんでした。」

不活性ガスの蓄積は、身体の組成(筋肉質か脂肪太りか)などによっても異なるからな。

パイルの場合、ディープストップが身体に合っていたんだろう(魚が採れて、嬉しかったりしたことも影響したかも・・・)。

今も、潜っているかどうかは知らないけど、ディープストップが流行らなくなってパイルストップに戻ったって、彼にとっては何も変わらないわけだな。

世の中の流行り廃りとは関係なく、自分にとって最適なプロファイルを見つけたわけだから(魚にとっては最適じゃないかも)、浮沈子から見たら羨ましい話だ。

GFネタは、まだまだあるかも知れないが、浮沈子的にはこの程度で満足している。

連載は、たった3回でお終いにする(早やっ!)。

個人的には満足できたし・・・。

ちなみに、P社では、テクニカルダイビングのコースでも、GFやディープストップは話題にならない(教材にもないし)。

出入りしているSプロショップでも、レクリエーショナルダイビングでのディープストップを推奨しているわけではないようだ(あんま深いとこ行かないしな)。

トレーニングダイブや講習では、トレーナーやインストラクターが設定する深度をキープすることに集中する。

GFも、同じに合わせる。

何も考えなくていい(そんなあ!)。

それをシビアに追及するようなダイビングはしない(出来ない?)。

それでも、比較的浅い水深だって、長時間になればデコ出しもあるからな。

基礎を理解して、自分が何に基づいて潜水計画を立てているかを確認しておかなければならない。

エンジニアじゃないから、使うだけだけど、開発者が想定していないような使い方をすることだってあるかも知れない。

アポロ13号の二酸化炭素除去剤(水酸化リチウム)のキャニスターの話は、あまりにも有名だ。

(アポロ13号:着陸船の問題点)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AD13%E5%8F%B7#%E7%9D%80%E9%99%B8%E8%88%B9%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9

「問題は、二酸化炭素(CO2)の除去に必要な水酸化リチウム(LiOH)であった。」

「司令船内には十分な予備があるものの、司令船の濾過装置は、着陸船とは規格が全く異なっていた。」

「司令船のフィルターエレメントは四角形であり、そのままでは着陸船の円形のフィルター筐体に装着することはできない。」

浮沈子は、この話が大好きで、今までも同じことをどこかで書いていると思うが、今回も書く(つーか、コピペする)。

「そのため地上の管制官たちは、船内にある余ったボール紙やビニール袋をガムテープで貼り合わせてフィルター筐体を製作する方法を考案し、その作り方を口頭で飛行士たちに伝えた。こうして完成させた間に合わせのフィルター装置を、飛行士たちは形状や設置状況が似ることから「メールボックス」と呼んだ。」(ボール紙は、マニュアルの紙だったという話を読んだ記憶がある:まさに、マニュアル通りの使い方じゃないということか)

直上浮上できないテクニカルダイビングでは、不測の事態に陥らないように周到に準備するとともに、万が一、何かが起こった場合でも、限られた資源を最大限に活用して、安全に浮上しなければならない。

ペトレルで、GFの設定方法も怪しい浮沈子だが、これを機会に、徹底的に弄っておくことにしよう。

まあ、来週くらいでいいかな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(減圧ストレスの柔軟な制御)
https://www.shearwater.com/monthly-blog-posts/flexible-control-of-decompression-stress/

「勾配係数は、コンピューター画面に表示される制限を調整します。」

・低いGFlow値(たとえば、≤20)は、深い停止を信じている人向けです。
・より高いGFlow値(例えば、≥30)は、ダイバーを底から外し、飽和していない組織への不活性ガスの取り込みを減らします。
・低いGFhigh値(たとえば、≤70)は、ダイビングで経験する最大減圧ストレスを制限します。
・GFhigh値が高い場合(例:≥80)、ダイバーはすぐに水から出ます。

ざっくりと、GF設定の主旨が示されている。

上記によれば、ペトレルのデフォルトである30/70は、

「ダイバーを底から外し、飽和していない組織への不活性ガスの取り込みを減らし、ダイビングで経験する最大減圧ストレスを制限します。」

ということになる。

問題のGUE参照標準(20/85)の場合は、

「深い停止を信じている人向けで、ダイバーはすぐに水から出ます。」

ということになる。

ジャブロンスキーは、なんだかんだ言いながら、ディープストップを推奨しているわけだ(そうなのかあ?)。

GFに、絶対の正解はない(たぶん)。

そのダイビング環境や装備(気温、水温、流れ、熱保護、CCRorオープンサーキット、その他諸々)、その日の体調(寝不足、疲れ、連日のダイビング、腹下し、食い過ぎ!?、その他諸々)と相談しつつ、チームメンバーとすり合わせて決めればいいのだ。

また、シェアウォーターの場合は、水中でGFハイセッティングを変更することもある(GFローセッティングは、変更できないようです)。

「思慮深く知識豊富なダイバーは、ダイビング中の状態がリアルタイムのリスクに影響を与えることを知っています。露出を管理して快適なゾーン内に保つのに役立つダイブコンピューターを用意することも、すべてのダイビングで良好な結果を保証するのに役立ちます。」

まあ、そのうち、AIが搭載されて、なんでも良きに計らってくれるようになるかもしれない。

当分先だろうけどな。

少なくとも、来週じゃないことだけは確かだ・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(宇宙博)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/18/7416912

自分で書いた宇宙博の記事の中に、アポロ13号の記述を見つけた。

「アポロの展示では、13号の二酸化炭素のキャニスターの実物が展示されていた。」

うーん、二酸化炭素「除去剤」のキャニスターなんだがな・・・。

まあいい。

「この話は、浮沈子が大好きな話の一つで、前にも取り上げている。」

引用しているところも、さらに以前に取り上げた記事を引き合いに出しているところもそっくりだな・・・。

ケネディの有名な演説も、テクニカルダイビングを齧り始めて読むと、味わい深いものがある・・・。

「我々は月に行く決断をした。我々は60年代のうちに月に行き、それ以上のことを達成する決断をした。たやすいから行くのではない、困難だからこそ行くのだ。このゴールが我々の意思力と能力を組織化し測るには最良だから行くのだ。このチャレンジを我々は甘んじて受け入れ、立ち止まることを望まず、勝利への意思を持っているからこそ行くのだ。」

味わい深いと言えば、昨夜見つけたエリックベイカーの論文の冒頭にも、気の利いた警句が仕込まれていた・・・。

「「1オンスの予防は1ポンドの治療に値する」という古い格言は、減圧症(DCS)のさまざまな症状に確かに当てはまります。これらの病気のすべての最善の治療法は、最初に十分な減圧プロファイルを完了することです。」

1オンス≒28g
1ポンド≒454g

いずれにしても、比喩的表現だから、何倍に当たるかとかは意味がない。

これからも、せいぜい1オンスの予防に励むことにしよう・・・。

オンガスとオフガス:GF(グラディエントファクター)に挑む:その42021年04月04日 04:32

オンガスとオフガス:GF(グラディエントファクター)に挑む:その4
オンガスとオフガス:GF(グラディエントファクター)に挑む:その4


<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事は、テクニカルダイビングの話題です。指導団体によるトレーニングを受けずにハイリスクのダイビングを行う参考にはなりません。浮沈子も、現在トレーニング中の身です。誤った情報が含まれている恐れが多分にあります。ご注意ください!。
ーーーーーーーーーー

前回でお終いにしようと思っていたんだが、ちょっと引っかかりが残っているので4回目を書く。

体内(血液含む組織内)に溜まった呼吸ガス(酸素を含む)の動態は、完全に解明されているわけではない。

活性ガス(ここでは酸素)についても、不活性ガス(ナイトロックスの場合は窒素)についても、実際にどうなっているのかは分かっていない。

リアルタイムで追跡した画期的な研究って、見たことないしな(浮沈子が知らないだけかも)。

ただ、組織といっても、ガスの出入りが速い組織と遅い組織とがあることは分かっている。

(「減圧症の予防法を知ろう」:吸排出の「速い組織」と「遅い組織」があることを知ろう)
https://tusa.net/download/support/prevention/genatsu.pdf

「人間の体においては、窒素が溶け込む部分(組織)によって、窒素の溶け込む速さや、窒素が体外に出ていく速さが異なります。」

「例えば、筋肉や、脳、脊髄、皮膚、肺、腎臓、肝臓などは窒素が溶け込みやすく、排出されやすい組織とされています。よって、これらの組織はダイビング中にたくさんの窒素を溶け込ませますが、浮上するに従って素早く排出されます。これが窒素に対する反応が「速い組織」です。」

「逆に、骨や関節、靭帯、脂肪、骨髄などは窒素が溶け込みにくい組織とされています。よって、一旦溶け込んでしまうと、排出もされにくいという特徴があります。少しずつ窒素を溶け込ませていくので、体内に残る窒素量は少ないように思われますが、浮上してもなかなかすぐには排出されず、完全に窒素が排出されるまでには時間がかかります。これが窒素に対する反応が「遅い組織」です。」

もちろん、減圧理論においては、実際の組織ではなく、ハーフタイム(半飽和時間)毎に、仮想的な組織(これをティッシュ(組織)コンパートメントという)を想定して計算を行っているようだ。

「浮上時は周囲の圧力が低下して体内の窒素は排出されていきますが、排出だけを行っているわけではありません。「速い組織」は窒素の吸収と排出の速度が速いため、組織内の窒素圧が短い時間で周囲の圧力と飽和します。このため、浮上時に周囲の圧力が低くなると、それに応じて窒素を排出します。しかし、「遅い組織」では周囲の圧力と平衡になるまでの窒素を吸収するのに時間がかかるため、通常これよりも少ない量の窒素しか溶け込んでいません。ですから、浮上時においても周囲の圧力より組織内の窒素圧が低いので窒素を吸収します。」

不活性ガスの動態は、浮上の際にややっこしい話になる。

ぶっちゃけ、浮沈子にはよく分からない。

それでも、GFの話の中で、どの組織コンパートメントに着目しているのかを意識することは重要だ。

先日描いたグラフに於いて、浮上開始を環境圧ライン上にしているのは、速い組織を想定しているということになる。

浮上し始めれば、即、オフガス(組織からのガス排出量が、吸収量を上回り、減圧となる)という想定だからな。

遅い組織でグラフを描けば、浮上開始直後は、遅い組織は、浮上中にもかかわらず、ガスを溜め込み続けている(オンガス状態)。

ある程度浮上して、排出速度が蓄積速度を上回る時点で、ようやくオフガスになる。

いや、最も遅い組織では、浮上する直前まで蓄積し続けるかもしれない(未確認)。

そういうプロファイルを、GFグラフに描くことに意味はあるんだろうか?。

各組織ごとのM値にたいする保守率を表現することを目的としているGFだから、無意味じゃないだろうが、そういうのはパソコンソフトやダイコンに任せてもいいかもしれな。

典型的なプロファイルとして、前回(その3)で掲出した画像は、意味があると考えている。

水面近くの描き方にも、問題は残る。

別に、最後の浮上をGFハイセッティングギリギリに合わせる必要はない。

最終減圧停止が終わったら、6アップ(水深6mから6分かけて浮上する)とか、できるだけゆっくりとか、指導団体が定める速度で水面に出るだけだからな。

グラフの例では、20/60(0.2/0.6)の設定だが、60でなくても、50でも40でも、GFハイセッティングを超えなければいいのだ。

追加で、書いておこうと思った点は以上だ。

ちなみに、TUSAの記事には画像に掲げたように、2000年ころを境にして、減圧症患者が急増しているグラフが添えられている。

レクリエーショナルダイビング(まあ、これ自体がP社の社内用語ですけど:テクニカルダイビングと対比して使う場合)において、ダイコンが普及した時期と一致していることから、NDL目一杯まで潜って急浮上したり、時間を置かずに高所移動していることが原因と書いてある。

それにしても、一気に10倍とか100倍というのは驚きだ。

ダイビングプロファイルの事例では、水深10mで214分のやつがある。

「現実のレジャーダイビングでは有り得ない例」

タモン湾縦断で、3時間(180分)以上潜っていた浮沈子(CCRですが)にしてみれば、有り得ないとは言えないな(ガスには相当余裕あったし)。

大井町のジェクサーにプールがあった頃は、120分間10リットルのタンクで潜っていた(水深は3mくらいですが:SAC13リットルくらい?)。

サイドマウント2本持ち(11リットルのアルミ)で、予備タンク(6リットル)1本持って入れば、ギリギリでカバーできる時間だ(215分くらい?)。

目指せ、水深10mでのデコ出し!(良い子は、絶対マネしないでね)。

まあ、どうでもいいんですが。

TUSAのダイコンが、M値に対してどの程度の安全係数(GF)を採っているかは知らない。

NDLを盲目に信じて、目一杯不活性ガスを溜め込み、急浮上や直後の高所移動を行うことだけは避けよう。

ダイコンは、所詮、補助的に使う(特にレクリエーショナルダイビングでは)。

水中でシェアウォーターのダイコン弄って、GFハイセットポイント変更して不測の事態に対応するなんて芸当は、10年早いな。

しっかり計画して、その通りに潜る練習を重ね、徐々に難度を上げ、十分習熟してからの話だ。

浮沈子的には、当分の間は指導団体や一緒に潜るチームや、メーカーデフォルト値のまんまでもいいや・・・。

それよりも、その設定での警告(黄色や赤の表示!)を出さず、しっかりと潜水時間や深度の管理が出来るようなトレーニングで精一杯だからな。

へたれで、ひよっこなテッキー・・・。

こんなことで、テック1とかチャレンジして大丈夫なんだろうか?。

メキシコ行けるようになったら、フルケーブにチャレンジだってえ?。

まあいい。

まだ、見極める時間はある。

落第覚悟の挑戦だしな。

GFの問題とかも出るのかな・・・。

ニュース価値に乏しいニュース:年内は着陸できないかもしれないスターシップと打ち上げ危ういスターラーナー2021年04月04日 11:14

ニュース価値に乏しいニュース:年内は着陸できないかもしれないスターシップと打ち上げ危ういスターラーナー


先週後半はGF(グラディエントファクター)に集中していて、SN11が墜落激突爆発炎上木っ端微塵になった話はパスしていた。

毎度のことながら、ファルコン9の1段目の回収成功と、スターシップの爆発に、ニュース価値はない。

毎度のことだからな。

100回目の回収とか(今のところ、70回くらいか)、100回目の爆発(10回くらい?)になれば、少しはニュース価値がある。

回収できずに、海ポチャしたとか、空中爆発してペイロード毎失われたなどという事態になれば、大ニュースだ。

そのペイロードが、スターリンク衛星(一気に、60機がパーとかあ?)だったりしたら、大騒ぎだな。

一方のスターシップが、ちゃあんと着陸して、火災も起きず(起きてもすぐ消せて)、更にはプロトタイプとしても再使用出来たりしたら、天地がひっくり返るような話だ。

まあ、年内はムリポだな・・・。

(スペースXの巨大宇宙船、飛行試験で爆発も「想定内」 - すでに改良型を開発)
https://news.mynavi.jp/article/20210402-1863540/

「スターシップもスーパー・ヘヴィも完全再使用が可能で、1回あたりの打ち上げコストは約200万ドルと、破格の安さを目指している。」

最近、円安が進んで1ドル110円前後で推移し始めたが、2億2千万円で、地球低軌道に100トン送り込めるというのは破格だ。

1回の打ち上げに20億ドル(2200億円)といわれるSLSの100分の1だからな。

それだけではない。

浮沈子が注目するのは、その打ち上げ頻度だ。

大陸間弾道旅客ロケットとして、1時間以内に再使用すると豪語している。

年間1機がやっと飛ぶかどうかというSLSと比較すると、仮に1日10機しか飛ばさなくても、3600倍の頻度ということになる。

べらぼーめ・・・。

もう、従来の打ち上げロケットという枠ではとらえられない。

世界最大の長距離路線を持つ、新たな航空会社(兼、航空機メーカー)が誕生することになる。

まあいい。

そう簡単にはいかない。

SN8から始まって、4回連続で失敗している。

「同様の試験は今回が4回目で、昨年12月には「SN8」が、今年2月にも「SN9」が同様の試験に挑んだが、着陸に失敗し、爆発炎上。3月4日には「SN10」が、やや不完全ながらついに着陸に成功したものの、その後機体が爆発するという憂き目に遭った。」

「スペースXでは「爆発(explosion)」ではなく、「予定外の急速な分解(rapid unscheduled disassembly)」と呼んでいる。」

ばかもん!、それを爆発というんだ・・・。

「より実機に近い「SN20」の製造も進んでいるという。このSN20は地球周回軌道への打ち上げを見据えた”メジャー・アップデート”となり、耐熱シールドやスーパー・ヘヴィとの分離システムなどを装備するとしている。」

浮沈子的には、気が早過ぎる感じだがな。

「SN20以降の機体は、マッハ25で地球の大気圏に再突入することになります。再突入時に受ける加熱、そしてその後の着陸を無傷で乗り切ることは難しいでしょう。おそらく、多くの試行錯誤が必要になります」

そりゃ、スーパーヘビーが出来上がったらの話だ。

「スターシップを打ち上げるスーパー・ヘヴィの試作機「BN1」の開発も進んでおり、近々飛行試験が行われる予定」

これも、年内はムリポだな。

ムリポといえば、延期に延期を重ねているスターライナーのOFT-2もある。

7月といわれていたが、今回、スペースフライトナウのスケジュールでは、7月下旬になっていた。

ははあ、ひょっとしたら、日程が詰まってきたのかも知れないな。

しかし、3月末から4月にかけても、具体な日付をちらつかせながら、最終的には大きく延期されたことを忘れるわけにはいかない。

ヒューストンを襲った想定外の寒波(による停電)の影響を差し引いても、数か月単位という延期は普通じゃない。

何か、解決困難な問題を生じているのかもしれない。

技術的問題とは限らない。

ひょっとして、OFT-2をすっ飛ばして、CFTに格上げしろという話が出ている可能性もある(未確認)。

ライバルのS社は、既に無人1回と2回の有人飛行をこなし、3回目(クルー2)を控えている(4月22日だそうです)。

また、9月には、クルー3が決まっている。

数日の調整はあるかも知れないが、大きくずれることはないだろう。

B社は、既にライバルに2年も水をあけられている(4周遅れ確実:無人ISS飛行、有人試験飛行、本番1回目、本番2回目)。

起死回生を目論むとすれば、1個飛ばしは当たり前で、2個飛ばし(いきなり、1回目の本番ミッション)に持ち込みたいのが本音だろう(それでも1周遅れ)。

OFT-2は、全部B社の持ち出しになるからな。

それなりの成果を出したいに違いないのだ(無論、失敗は絶対に許されない!)。

延期に次ぐ延期は、そんな妄想を掻き立てる。

7月下旬が9月にずれ込むことがあれば(現在は、有人飛行(CFT)の予定日だが)、いっそのこと、来年にしちまおうとかな(やけっぱち?)。

そんなテキトーな話より、何か技術的な壁にぶち当たっているのかも知れない(こっちの方が可能性ありそうだ)。

80項目の改善の他に、新たな問題が出て来たとか。

いや、もちっと別の話か。

そう、大統領が代わっちまったからな。

クルードラゴンがあるからいいだろうって。

2つも3つも、ISSタクシーはいらないだろうって(ソユーズに金払った方が安かったりして)。

B社を切り捨ててたって、やがて放っておいても15年くらいすれば、S社から新しい有人宇宙船が登場するからな(未確認?)。

それも、ISSにドッキングしたら、重力バランスが崩れるくらいデカいヤツ!。

接続したままじゃ、リブーストかけられないかもしれないしな。

そういう先が見えてきているのに、鳴かず飛ばずの宇宙船に、これ以上、投資するのは如何なものか。

B社は、ビゲローなど、民間宇宙ステーションへのタクシーも見据えている。

だが、こっちにだって、S社の食指は伸びてきているのだ。

民間需要は、ISSよりも更にコスパ重視だからな。

使い捨てのアトラスVN22や、バルカンロケットでは、客が付かないだろう。

もう、S社一人勝ちの様相なのだ。

(ISS宇宙旅行、スペースX・ビゲローから開始。NASA価格より割安:追加:2019年の記事)
https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20190612-00129823/

「4名の旅行客がISSに1~2ヶ月滞在するための宇宙船搭乗費用として、2018年9月にスペースXへ預託金と予約料を支払い済み」

確認しておこう。

年内にスターシップが軌道に達することはない(つーことは、スーパーヘビーの実用化もない)。

断言はできないけど、スターライナー(ボーイングCST-100)が、有人であれ無人であれ、ISSとドッキングすることもない。

有人の方は、まず間違いなく来年送りだ。

ついでに、SLSの初打ち上げも先送りだな(これが一番確実か)。

今年は、冴えない打上げばかりが続く。

スターリンク、ワンウェブ、ISS貨物(カーゴドラゴンとシグナスとプログレス(新しいこうのとり(名称未定)は来年以降))、ISSタクシー(ソユーズ宇宙船、クルードラゴン)、いくつかの静止軌道衛星、いくつかの地球観測衛星、いくつかのスパイ衛星、いくつものミニ衛星・・・。

バルカンも、スターライナーも、みーんな来年送りになる(たぶん)。

ああ、JWST(ジェームズウェブ宇宙望遠鏡)の打ち上げがあったな。

10月だというが、まあ、再度の延期は免れないだろう(そうなのかあ?)。

年末に近いから、これも来年になる。

昨年送り込んだ火星探査機などの過去の話題でお茶を濁し、来年に先送りしたこれからの話で間を持たせなければならない。

その間に、ファルコン9の1段目回収の失敗とか、スターシップの成功(えーと、当事者や業界がいう「成功」(部分的とか、データ収集できたとか)じゃなくて、誰が見ても非の打ちどころのない完全な成功のこと)でもあれば、何とか息継ぎができようというものだ。

民間有人ミッションは、浮沈子から見れば茶番だ。

国家が主導し、国家の威信をかけて行う宇宙飛行から、金儲けのために行うショービジネスに成り下がった宇宙飛行。

別に、それが悪いわけじゃないけど、そして、それは健全な姿ではあるけれど、さらに、政治過程を経ていないだけで、人間の欲望の具現としては同じ土俵にいるわけだけど、やっぱ、どこかしっくりこない。

チャラい・・・。

どこかで何かが失敗すれば、確実に命が失われるヤバい事業を金儲けの手段とするのは憚られる。

まあ、S社だって、B社だって、どこだって同じだけどな。

そこに公的機関であるNASAが咬んでいるから、次々起こると人的損害を乗り越えることが出来る。

ISSタクシーは、NASAが民間からサービスを調達する形だ。

その意味では、バージンが立ち直っているのは奇跡に近いな。

まあ、開発フェーズでの事故だからな・・・。

S社にしても、B社のスターライナー(CST-100)にしても、運用初期だったり開発中だったりしている。

実績豊富で枯れた技術で飛んでいるソユーズ宇宙船とは異なる。

ロシアが、クルードラゴンに乗りたがらない理由も分からないではない。

まあ、こっちは、製造段階での品質管理上の問題を抱えているようだけどな。

衛星が吹っ飛ぶ程度ならまだしも、スペースシャトルチャレンジャーやコロンビアの二の舞(三の舞?)は見たくない。

やはり、スペースシップにしてもISSタクシーにしても、何度も失敗して、悪いところを直して、完全な形で有人化してもらいたいもんだな。

スターライナーの無人軌道試験(OFT-2)は必須だ。

技術的な問題を複数抱えたまま、打ち上げにゴーサイン出したNASA側の問題もあるしな。

10周遅れくらいになっても、徹底した試験飛行を行うべきだろう。

それができないなら、開発失敗ということでお蔵入りにするのが正しい。

公私合わせて50億ドル以上が消えるわけだが、SLSを3回止めればお釣りがくる(そういう計算かあ?)。

SLS存続の是非の議論をしているうちに、スターシップが登場して、100分の1の価格かつ3600倍の頻度で飛ばせるようになれば、50億ドルなんて屁みたいなもんだ(SLSのオリオンと併せて合計400億ドルの開発費はどーする!?)。

宇宙開発が、日常の金銭感覚を超える世界なことは確かだな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(SpaceXの最新の高高度スターシップテスト飛行は別の爆発で終わります)
https://spaceflightnow.com/2021/03/30/spacexs-latest-high-altitude-starship-test-flight-ends-in-apparent-explosion/

「スターシップ発射基地の北約5マイル(8 km)に位置するサウスパドレ島のアイラブランカパークの写真家は、ロケットから来た可能性のある軽い破片を報告しました。公園はスターベース施設周辺の避難区域の外にあり、スペースXファン、ニュースメディア、地域住民に人気の視聴サイトです。」

それだけ遠くに破片が飛散したということは、相当な高度で「予定外の急速な分解(rapid unscheduled disassembly)」とやらが起こったことを示唆している。

「FAAは「SpaceXと協力して、この地域の軽い破片の報告が事故や飛行の他の段階に関連しているかどうかを特定している」と述べた。」

FAAとの協力(=軋轢?)も活発になりそうだな。

スーパーヘビーの開発も進んでいる。

「目標は、4月末までに軌道パッドにエンジンを搭載したBN2を入手することです。運が良ければ軌道に乗れるかもしれません。」

もっとも、S社の場合、開発=墜落激突爆発炎上木っ端微塵だからな。

壊してみなけりゃ分らんだろう?。

変異種:再感染:ワクチンの限界と集団免疫の崩壊:専門家が眠れなくなる今後の展開:東京都の第4波は1日23万人!?2021年04月05日 04:10

変異種:再感染:ワクチンの限界と集団免疫の崩壊:専門家が眠れなくなる今後の展開:東京都の第4波は1日23万人!?
変異種:再感染:ワクチンの限界と集団免疫の崩壊:専門家が眠れなくなる今後の展開:東京都の第4波は1日23万人!?


「変異株」でググって出てきた2つの記事がヤバイ。

(焦点:楽観砕いたコロナ変異種、免疫仮説の抜本修正必要に:この記事は、1か月前の3月5日の記事です。)
https://jp.reuters.com/article/covid-variant-idJPKCN2AX06J

「米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME、シアトル)のクリス・マーレイ所長が新型コロナウイルスの感染数と死者数について示す予測は、世界中から注視されている。」

当初、流行を過小評価して、時の大統領の覚え目出度く、ホワイトハウスに重用された研究機関で、再生産数からの積み上げを行っていなかったことから、数理疫学者にボロクソにいわれていたとこか(そうなのかあ?)。

「しかし、同氏は今、流行の先行きについて仮説を修正しつつある。」

反省だけならサルでも出来る(そんなあ!)。

「このデータを見た後は「眠れなかった」とマーレイ氏はロイターに打ち明けた。」

どんなデータかってえ?。

「先月に明らかになった南アフリカでのワクチン臨床試験データは、感染力の強い変異株がワクチンの効果を弱める可能性があるだけでなく、感染したことのある人の自然免疫をもくぐり抜ける恐れがあることを示した。」

つまりだな、記事にはちゃんと書いていないけど、再感染が爆増するという意味なわけだ。

ワクチンうった方が、うたないよりはいいかも知れないけど、それは気休め程度にしかならないということだな。

「南ア型やブラジル型の新たな変異株を巡ってここ数週間に出てきたデータは、そうした楽観的な見方を打ち砕いた」

「専門家らは今、コロナは一定の地域や季節に一定の罹患率で広がり続けるウイルスとして地域社会に残るというだけでなく、今後何年も発症者や死者の多大な犠牲を招く可能性が大きいとの見方に変わっている。」

オリンピック開催を控え、忖度社会の我が国では封印されてしまっているが、世界の認識は激変しつつある。

「南ア型や同様の変異株が急速に広がり続けた場合、次の冬のコロナによる入院数や死亡数はインフルエンザ流行の4倍に高まる可能性がある。これは有効性65%のワクチンがその国の国民の半数に接種されたと仮定しての話だ。米連邦政府によるインフル死者の年間予測に基づくと、最悪の場合は次の冬に米国だけで最大20万人がコロナ関連で死亡する可能性があるとの計算になるという。」

「コロナ流行の緊急事態局面が過ぎるというのは一体何を意味するのか」

「米ジョンズ・ホプキンズ大学公衆衛生大学院のステファン・バラル氏は・・・目標をもっと控えめに、しかし意味がある内容に置いている。」

「私が想定するのは、病院が満杯でなくなり、集中治療室もいっぱいでなくなり、人々が悲劇的な死を迎えなくて済む状態だ」

「状況打開のための答えや進むべき道は、できるだけ多くの人に接種することだ。それは今も、12月1日時点や1月1日時点と変わらない」

「しかし、そうした努力から期待できる「成果」はもはや、以前と同じではない」

さて、むち打ちどころか(記事では、専門家が受けたショックをそう例えている)目の前が真っ暗になっちまった浮沈子は、次の記事を読んで他人事ではないと思った・・・。

(「ワクチンのみ」では感染爆発へ 変異株の抑制対策重要 筑波大試算)
https://www.sankei.com/life/news/210402/lif2104020072-n1.html

「都内の英国型変異株の感染者数は10月20日に1日当たり22万9300人に達し、1月の緊急事態宣言時の全感染者の100倍近くに。」

桁を間違えているのではないかと思うような数字だ。

米国では、クリスマス休暇明けに、実際30万人近い感染者の報告を計上しているが、ベースとなっている人口は東京都の20倍以上だからな。

浮沈子は、現状から第4波の規模を予想しているけど、せいぜい5千人程度(第3波の約2倍:人口比(約1.5倍)を加味して、NY州並み)だ。

既に、関西や宮城だけでなく、東京都でも増加に転じているけれど、変異種の猛威を加味しても、100倍というオーダーにはなるまいと思っている。

一定程度の増加が見られれば、社会政策が発動される仕組みは出来ている。

そこには、専門家の介入する仕掛けもあるし、実際、強制力を伴わない社会政策を採っている国の中では、我が国はうまくやっている方だ。

「1日当たり感染者数が500人を超えた時点で対策を取れば、感染者数のピークは1日当たり1700人」

「さらに優先接種対象を高齢者の同居家族など感染を拡大させやすい若い世代に広げると、感染者数は920人」

重症者数については、浮沈子は追いかけていないのでパスだな(そんなあ!)。

感染拡大しやすい若年者にワクチンを接種すれば、直接高齢者に対して行うよりも効果があるということは、インフルエンザでも知られている。

ジジババは、ワクチンの付きが悪いしな。

ワクチンというのは、そもそも、人体が元々持っている免疫力を賦活させる手段だからな。

そっちが衰えちまってるジジババを、如何に鞭打っても(!)、ダメなものはダメで、免疫活発で感染させまくりの若い連中にワクチンうって防壁を作らなければならないわけだ。

しかし、初出のロイターの記事は、そういう話さえ吹っ飛んでしまうということなわけだからな。

変異種の病原性が低くなるように変異してくれるのを待つか、ワクチン開発をワープさせて、次々と起こる変異に迅速に対応していくしかない。

それでも、一定の社会政策は継続する必要があり、それらを合わせて、医療の崩壊を防ぐことができれば御の字なわけだ。

マスク外して、カラオケ放題になるのは、100年先とあきらめるしかない(そうなのかあ?)。

オリンピックだって、100年くらい延期にしておくのがよろしい(そんなあ!)。

まあ、それがだめなら、せめて無観客開催だろうな。

今後の流行状況次第だが、動く標的である新型コロナ(ロイター記事より)の対策は、常に見直し続けなければならない。

巷で話題の「まん防」とやらも、まあ、効果を見極めつつ実施していくべきだろうな。

ピンポイントの対策の積み重ねでは、どうしても漏れが出るし(対象区域外の飲食店に移動するだけだし)、強制力もないからな(人流制限に過料はない)。

どの道、第4波は関西から東京に押し寄せてくる。

春になり、人々の動きも活発になった。

昨日あたりから、新宿区の感染者報告数の伸びが目立ち始めている(そうなのかあ?)。

少なくとも、第2波は、そこが起点だったからな。

今週中に、東京都の確認感染者数は500人を突破する(断定的!)。

行政は、オリパラに忖度して、社会政策の発動が遅れることは明白だしな。

23万人かあ。

ヤバいな・・・。

ヤバ過ぎ!。

悪夢のような数字だが、真実は500人と23万人の間のどこかにある(範囲広過ぎるだろう!?)。

浮沈子は、やっぱ5千人くらいだと思うんだがな・・・。