オンガスとオフガス:GF(グラディエントファクター)に挑む:その4 ― 2021年04月04日 04:32
オンガスとオフガス:GF(グラディエントファクター)に挑む:その4
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事は、テクニカルダイビングの話題です。指導団体によるトレーニングを受けずにハイリスクのダイビングを行う参考にはなりません。浮沈子も、現在トレーニング中の身です。誤った情報が含まれている恐れが多分にあります。ご注意ください!。
ーーーーーーーーーー
前回でお終いにしようと思っていたんだが、ちょっと引っかかりが残っているので4回目を書く。
体内(血液含む組織内)に溜まった呼吸ガス(酸素を含む)の動態は、完全に解明されているわけではない。
活性ガス(ここでは酸素)についても、不活性ガス(ナイトロックスの場合は窒素)についても、実際にどうなっているのかは分かっていない。
リアルタイムで追跡した画期的な研究って、見たことないしな(浮沈子が知らないだけかも)。
ただ、組織といっても、ガスの出入りが速い組織と遅い組織とがあることは分かっている。
(「減圧症の予防法を知ろう」:吸排出の「速い組織」と「遅い組織」があることを知ろう)
https://tusa.net/download/support/prevention/genatsu.pdf
「人間の体においては、窒素が溶け込む部分(組織)によって、窒素の溶け込む速さや、窒素が体外に出ていく速さが異なります。」
「例えば、筋肉や、脳、脊髄、皮膚、肺、腎臓、肝臓などは窒素が溶け込みやすく、排出されやすい組織とされています。よって、これらの組織はダイビング中にたくさんの窒素を溶け込ませますが、浮上するに従って素早く排出されます。これが窒素に対する反応が「速い組織」です。」
「逆に、骨や関節、靭帯、脂肪、骨髄などは窒素が溶け込みにくい組織とされています。よって、一旦溶け込んでしまうと、排出もされにくいという特徴があります。少しずつ窒素を溶け込ませていくので、体内に残る窒素量は少ないように思われますが、浮上してもなかなかすぐには排出されず、完全に窒素が排出されるまでには時間がかかります。これが窒素に対する反応が「遅い組織」です。」
もちろん、減圧理論においては、実際の組織ではなく、ハーフタイム(半飽和時間)毎に、仮想的な組織(これをティッシュ(組織)コンパートメントという)を想定して計算を行っているようだ。
「浮上時は周囲の圧力が低下して体内の窒素は排出されていきますが、排出だけを行っているわけではありません。「速い組織」は窒素の吸収と排出の速度が速いため、組織内の窒素圧が短い時間で周囲の圧力と飽和します。このため、浮上時に周囲の圧力が低くなると、それに応じて窒素を排出します。しかし、「遅い組織」では周囲の圧力と平衡になるまでの窒素を吸収するのに時間がかかるため、通常これよりも少ない量の窒素しか溶け込んでいません。ですから、浮上時においても周囲の圧力より組織内の窒素圧が低いので窒素を吸収します。」
不活性ガスの動態は、浮上の際にややっこしい話になる。
ぶっちゃけ、浮沈子にはよく分からない。
それでも、GFの話の中で、どの組織コンパートメントに着目しているのかを意識することは重要だ。
先日描いたグラフに於いて、浮上開始を環境圧ライン上にしているのは、速い組織を想定しているということになる。
浮上し始めれば、即、オフガス(組織からのガス排出量が、吸収量を上回り、減圧となる)という想定だからな。
遅い組織でグラフを描けば、浮上開始直後は、遅い組織は、浮上中にもかかわらず、ガスを溜め込み続けている(オンガス状態)。
ある程度浮上して、排出速度が蓄積速度を上回る時点で、ようやくオフガスになる。
いや、最も遅い組織では、浮上する直前まで蓄積し続けるかもしれない(未確認)。
そういうプロファイルを、GFグラフに描くことに意味はあるんだろうか?。
各組織ごとのM値にたいする保守率を表現することを目的としているGFだから、無意味じゃないだろうが、そういうのはパソコンソフトやダイコンに任せてもいいかもしれな。
典型的なプロファイルとして、前回(その3)で掲出した画像は、意味があると考えている。
水面近くの描き方にも、問題は残る。
別に、最後の浮上をGFハイセッティングギリギリに合わせる必要はない。
最終減圧停止が終わったら、6アップ(水深6mから6分かけて浮上する)とか、できるだけゆっくりとか、指導団体が定める速度で水面に出るだけだからな。
グラフの例では、20/60(0.2/0.6)の設定だが、60でなくても、50でも40でも、GFハイセッティングを超えなければいいのだ。
追加で、書いておこうと思った点は以上だ。
ちなみに、TUSAの記事には画像に掲げたように、2000年ころを境にして、減圧症患者が急増しているグラフが添えられている。
レクリエーショナルダイビング(まあ、これ自体がP社の社内用語ですけど:テクニカルダイビングと対比して使う場合)において、ダイコンが普及した時期と一致していることから、NDL目一杯まで潜って急浮上したり、時間を置かずに高所移動していることが原因と書いてある。
それにしても、一気に10倍とか100倍というのは驚きだ。
ダイビングプロファイルの事例では、水深10mで214分のやつがある。
「現実のレジャーダイビングでは有り得ない例」
タモン湾縦断で、3時間(180分)以上潜っていた浮沈子(CCRですが)にしてみれば、有り得ないとは言えないな(ガスには相当余裕あったし)。
大井町のジェクサーにプールがあった頃は、120分間10リットルのタンクで潜っていた(水深は3mくらいですが:SAC13リットルくらい?)。
サイドマウント2本持ち(11リットルのアルミ)で、予備タンク(6リットル)1本持って入れば、ギリギリでカバーできる時間だ(215分くらい?)。
目指せ、水深10mでのデコ出し!(良い子は、絶対マネしないでね)。
まあ、どうでもいいんですが。
TUSAのダイコンが、M値に対してどの程度の安全係数(GF)を採っているかは知らない。
NDLを盲目に信じて、目一杯不活性ガスを溜め込み、急浮上や直後の高所移動を行うことだけは避けよう。
ダイコンは、所詮、補助的に使う(特にレクリエーショナルダイビングでは)。
水中でシェアウォーターのダイコン弄って、GFハイセットポイント変更して不測の事態に対応するなんて芸当は、10年早いな。
しっかり計画して、その通りに潜る練習を重ね、徐々に難度を上げ、十分習熟してからの話だ。
浮沈子的には、当分の間は指導団体や一緒に潜るチームや、メーカーデフォルト値のまんまでもいいや・・・。
それよりも、その設定での警告(黄色や赤の表示!)を出さず、しっかりと潜水時間や深度の管理が出来るようなトレーニングで精一杯だからな。
へたれで、ひよっこなテッキー・・・。
こんなことで、テック1とかチャレンジして大丈夫なんだろうか?。
メキシコ行けるようになったら、フルケーブにチャレンジだってえ?。
まあいい。
まだ、見極める時間はある。
落第覚悟の挑戦だしな。
GFの問題とかも出るのかな・・・。
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事は、テクニカルダイビングの話題です。指導団体によるトレーニングを受けずにハイリスクのダイビングを行う参考にはなりません。浮沈子も、現在トレーニング中の身です。誤った情報が含まれている恐れが多分にあります。ご注意ください!。
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前回でお終いにしようと思っていたんだが、ちょっと引っかかりが残っているので4回目を書く。
体内(血液含む組織内)に溜まった呼吸ガス(酸素を含む)の動態は、完全に解明されているわけではない。
活性ガス(ここでは酸素)についても、不活性ガス(ナイトロックスの場合は窒素)についても、実際にどうなっているのかは分かっていない。
リアルタイムで追跡した画期的な研究って、見たことないしな(浮沈子が知らないだけかも)。
ただ、組織といっても、ガスの出入りが速い組織と遅い組織とがあることは分かっている。
(「減圧症の予防法を知ろう」:吸排出の「速い組織」と「遅い組織」があることを知ろう)
https://tusa.net/download/support/prevention/genatsu.pdf
「人間の体においては、窒素が溶け込む部分(組織)によって、窒素の溶け込む速さや、窒素が体外に出ていく速さが異なります。」
「例えば、筋肉や、脳、脊髄、皮膚、肺、腎臓、肝臓などは窒素が溶け込みやすく、排出されやすい組織とされています。よって、これらの組織はダイビング中にたくさんの窒素を溶け込ませますが、浮上するに従って素早く排出されます。これが窒素に対する反応が「速い組織」です。」
「逆に、骨や関節、靭帯、脂肪、骨髄などは窒素が溶け込みにくい組織とされています。よって、一旦溶け込んでしまうと、排出もされにくいという特徴があります。少しずつ窒素を溶け込ませていくので、体内に残る窒素量は少ないように思われますが、浮上してもなかなかすぐには排出されず、完全に窒素が排出されるまでには時間がかかります。これが窒素に対する反応が「遅い組織」です。」
もちろん、減圧理論においては、実際の組織ではなく、ハーフタイム(半飽和時間)毎に、仮想的な組織(これをティッシュ(組織)コンパートメントという)を想定して計算を行っているようだ。
「浮上時は周囲の圧力が低下して体内の窒素は排出されていきますが、排出だけを行っているわけではありません。「速い組織」は窒素の吸収と排出の速度が速いため、組織内の窒素圧が短い時間で周囲の圧力と飽和します。このため、浮上時に周囲の圧力が低くなると、それに応じて窒素を排出します。しかし、「遅い組織」では周囲の圧力と平衡になるまでの窒素を吸収するのに時間がかかるため、通常これよりも少ない量の窒素しか溶け込んでいません。ですから、浮上時においても周囲の圧力より組織内の窒素圧が低いので窒素を吸収します。」
不活性ガスの動態は、浮上の際にややっこしい話になる。
ぶっちゃけ、浮沈子にはよく分からない。
それでも、GFの話の中で、どの組織コンパートメントに着目しているのかを意識することは重要だ。
先日描いたグラフに於いて、浮上開始を環境圧ライン上にしているのは、速い組織を想定しているということになる。
浮上し始めれば、即、オフガス(組織からのガス排出量が、吸収量を上回り、減圧となる)という想定だからな。
遅い組織でグラフを描けば、浮上開始直後は、遅い組織は、浮上中にもかかわらず、ガスを溜め込み続けている(オンガス状態)。
ある程度浮上して、排出速度が蓄積速度を上回る時点で、ようやくオフガスになる。
いや、最も遅い組織では、浮上する直前まで蓄積し続けるかもしれない(未確認)。
そういうプロファイルを、GFグラフに描くことに意味はあるんだろうか?。
各組織ごとのM値にたいする保守率を表現することを目的としているGFだから、無意味じゃないだろうが、そういうのはパソコンソフトやダイコンに任せてもいいかもしれな。
典型的なプロファイルとして、前回(その3)で掲出した画像は、意味があると考えている。
水面近くの描き方にも、問題は残る。
別に、最後の浮上をGFハイセッティングギリギリに合わせる必要はない。
最終減圧停止が終わったら、6アップ(水深6mから6分かけて浮上する)とか、できるだけゆっくりとか、指導団体が定める速度で水面に出るだけだからな。
グラフの例では、20/60(0.2/0.6)の設定だが、60でなくても、50でも40でも、GFハイセッティングを超えなければいいのだ。
追加で、書いておこうと思った点は以上だ。
ちなみに、TUSAの記事には画像に掲げたように、2000年ころを境にして、減圧症患者が急増しているグラフが添えられている。
レクリエーショナルダイビング(まあ、これ自体がP社の社内用語ですけど:テクニカルダイビングと対比して使う場合)において、ダイコンが普及した時期と一致していることから、NDL目一杯まで潜って急浮上したり、時間を置かずに高所移動していることが原因と書いてある。
それにしても、一気に10倍とか100倍というのは驚きだ。
ダイビングプロファイルの事例では、水深10mで214分のやつがある。
「現実のレジャーダイビングでは有り得ない例」
タモン湾縦断で、3時間(180分)以上潜っていた浮沈子(CCRですが)にしてみれば、有り得ないとは言えないな(ガスには相当余裕あったし)。
大井町のジェクサーにプールがあった頃は、120分間10リットルのタンクで潜っていた(水深は3mくらいですが:SAC13リットルくらい?)。
サイドマウント2本持ち(11リットルのアルミ)で、予備タンク(6リットル)1本持って入れば、ギリギリでカバーできる時間だ(215分くらい?)。
目指せ、水深10mでのデコ出し!(良い子は、絶対マネしないでね)。
まあ、どうでもいいんですが。
TUSAのダイコンが、M値に対してどの程度の安全係数(GF)を採っているかは知らない。
NDLを盲目に信じて、目一杯不活性ガスを溜め込み、急浮上や直後の高所移動を行うことだけは避けよう。
ダイコンは、所詮、補助的に使う(特にレクリエーショナルダイビングでは)。
水中でシェアウォーターのダイコン弄って、GFハイセットポイント変更して不測の事態に対応するなんて芸当は、10年早いな。
しっかり計画して、その通りに潜る練習を重ね、徐々に難度を上げ、十分習熟してからの話だ。
浮沈子的には、当分の間は指導団体や一緒に潜るチームや、メーカーデフォルト値のまんまでもいいや・・・。
それよりも、その設定での警告(黄色や赤の表示!)を出さず、しっかりと潜水時間や深度の管理が出来るようなトレーニングで精一杯だからな。
へたれで、ひよっこなテッキー・・・。
こんなことで、テック1とかチャレンジして大丈夫なんだろうか?。
メキシコ行けるようになったら、フルケーブにチャレンジだってえ?。
まあいい。
まだ、見極める時間はある。
落第覚悟の挑戦だしな。
GFの問題とかも出るのかな・・・。
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