🐼莫大な利益か、しからずんば破産か:瀬戸際経営のS社2021年12月08日 07:49

莫大な利益か、しからずんば破産か:瀬戸際経営のS社
莫大な利益か、しからずんば破産か:瀬戸際経営のS社


(ムスクの狂気—
イーロンマスクがSpaceXの従業員に感謝祭の仕事を依頼した理由はここにあります
完全に機能するスターシップは、SpaceXの問題の多くを解決します。)
https://arstechnica.com/science/2021/12/heres-why-elon-musk-asked-his-spacex-employees-to-work-thanksgiving/

エリックバーガー渾身の記事(つーか、薬籠中だろうな)。

「リフトオフ」を上梓し、初期のスペースX社の歴史に詳しい彼は、現在の状況の本質を見抜いている。

高々数億ドル(数千万ドルか)だった経営リスクは、おそらく数十倍、数百倍に膨れ上がっている。

「来年2週間に1回以上のスターシップ飛行率を達成できない場合、破産の真のリスクに直面する」

世界経済がクランチし、資本流動性が縮小すれば、資金調達はままならない。

時間的猶予はないのだ。

宇宙開発企業で、こんな綱渡り的財務をしていたのではたまらんな。

記事には、小さな矛盾も見られる。

「真にグローバルで信頼性の高いサービスに到達するには、SpaceXはそのコンステレーションを完了する必要があります。これは、ムスクが彼の電子メールで言及している「スターリンク衛星V2」です。これは、より多くの容量を搭載しているため、初版よりも少しかさばる約12,000の第2世代衛星に相当します。」

「これらを軌道に打ち上げるには、SpaceXの主力製品であるファルコン9ロケットを約300回打ち上げる必要があります。」

この記述が正しいとすれば、1回の打ち上げで上げられる衛星の数は40機ということになる。

バージョン1の衛星重量は260kg、現在(バージョン1.5)はおそらくやや重い。

打ち上げ機数も50機余りに落ちている。

しかし、続く記述にはこうある・・・。

「1回のスターシップの打ち上げで、おそらく約400個のスターリンク衛星が低軌道に入る可能性があります。」

以前、グウィンショットウェルが言及した数字だが、それは、スターシップのペイロード重量が100トンとした際に、250kgの衛星をどんだけ上げられるかという話とリンクしている。

V2の衛星重量は分からないが、それだけの機数を上げることはできないに違いない(衛星の体積や搭載方法による制約は考えないとしてもな)。

まあいい。

それでも、仮に話半分で200機しか一度に上げられないとしたって、完全再使用のスターシップが投入されれば、1万2千機のスターリンク衛星は60回の打ち上げで上がる。

衛星寿命を5年と見積もった場合、年間12回の打ち上げでいいのだ。

リアリティがある(目標の半分でいい)。

今年、S社は既に27回の打ち上げを記録しているしな(あと3回くらいは行けるかも)。

つーか、ファルコン9(たとえヘビーを投入しても)では、このペースを維持することはできない。

スターリンクは破綻し、S社は危機に瀕することになる。

スターシップの成功は、経営上のカギを握っている。

そのエンジンの生産が滞るということは、全ての計画が崩壊し、ビジョンが吹っ飛び、S社が雲散霧消するリスクを現実のものにする。

例えば、BEー4エンジンがいつまで経っても完成しない、ULAのバルカンロケットみたいな話になる(あっちも、相当危ない橋を渡っているということだな)。

現実的に、来年3機くらいのスターシップを打ち上げるとして、年間100基以上のエンジンを消費するわけだからな(たぶん、回収には成功しないだろうし)。

2段目はともかく(当分ムリポ!)、1段目の回収に成功して、エンジンの再使用効率が上がるまでには、数百基から1000基のエンジンが必要になる。

将来的には、次世代エンジンに取って代わられるだろうが、目先のスターリンク衛星の打ち上げは、ラプターエンジンに頼らざるを得ない。

その生産が思うようにいかなければ、確かにS社の命取りになりかねない。

記事にもあるように、たった今、スターリンク事業を放り出し、スターシップの開発も打ち切って、ファルコンシリーズで細々と稼ぐ道を選ぶなら、やっていけないことはないだろう(未確認)。

イーロンマスクの野望は、火星という惑星を丸ごと支配するトンデモな話なわけだ。

ロジと通信の全てを牛耳る(火星にもスターリンクコンステレーション作るだろうしな)。

地下にはボーリングカンパニーが掘ったトンネルが走り、移動は電気自動車なわけだ。

全ての事業は火星に通じている(ニューラリンクはどうなんだあ?)。

SLSのエンジン制御装置にトラブルが発生し、スターリンクS20の打ち上げは、それに先んじる可能性が高くなってきた。

片や、月を周って帰ってくる飛行だし、此方、地球低軌道(厳密には4分の3周の弾道軌道)に過ぎないとはいえ、その先に続くビジョンの大きさでは雲泥の差がある。

それが、高々、ロケットエンジンの生産が追い付かないことでとん挫し、金が回らなくなり、事業と会社ごと消えてなくなる運命にある。

んな、来年、2週間に1回の打ち上げなんて出来るわけないし、本当にそれを当てにして事業計画(資金調達を含む)を立てているわけでもないだろうけど。

まあ、どうでもいいんですが。

スターシップがスターリンク計画の要であるという点については、このブログでも度々指摘している。

誰がどう考えたって、次期計画である3万機のコンステレーションを、ファルコンで作り上げたり維持したりすることは不可能だからな。

現在の全世界のバックボーンに匹敵する通信容量を賄う衛星ネットワークを、ゼロから構築するわけだからな。

夢物語と言われても仕方ない。

浮沈子は、スターシップの開発には10年掛かると見ている。

使い捨てを含め、ファルコンの時と同じように、稼ぎながら開発することになるだろう。

有人は、更にその先、2030年代半ば以降の話だ。

そうしたら、大陸間弾道旅客ロケットが飛び、地球の裏側まで30分で行くことが出来るようになるかもしれない。

うーん、週末は、セノーテでダイビングでもしてくるか・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(イーロンマスクは、ラプターエンジンの生産に問題があるため、スペースXに出没しています。本当にどうですか?)
https://www.elonx.cz/elon-musk-strasi-bankrotem-spacex-kvuli-problemum-s-vyrobou-motoru-raptor-jak-je-to-doopravdy/

相変わらず冷静なペトルメレチンの記事。

この記事にも、やや誤解している点がある。

「ムスクは来年最大12回のテスト飛行が行われることを望んでいます。」

社員宛てのメールでは、その倍の回数を望んでいると明記されている。

「来年少なくとも2週間に1回スターシップの頻度に到達できない場合、破産する危険があることを意味します。」

破産は確実だな・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

エリックバーガーといい、ペトルメレチンといい、動揺を隠しきれないようだ(そうなのかあ?)。

S社の破産ということが、どれ程のインパクトを業界に投げかけているかということの表れかもしれない。

実際にメールを受け取った社員にしてみれば、そのインパクトは想像を超えるだろう。

あるいは、逆に、「またか・・・」という、冷めた見方になるのかもな。

社長(CEO)の乱心は、日常茶飯事だからな。

まあいい。

経営危機という観点からは、破産のリスクが現実化しているわけではない。

その可能性がゼロではなく、ラプターの生産がボトルネックになっていて、その解決が急務であるということの象徴的表現に留まっていることは事実のようだ(未確認)。

S社は、形式的にはイーロンマスクの個人会社で、財務が公表されているわけじゃないからな。

客観的な評価は不可能だ。

それだけに、全てを把握しているイーロンマスクの言葉に、世界が注目することになる。

飛行エンジンとしては、世界初のフルフロー2段燃焼エンジンであるラプターを開発しただけでなく、驚異的速度で生産しようとしているS社の技術力を疑う者はいない。

一方で、それを生産ラインに乗せて、要求されるペースで作り続けることが容易でないことは確かだ。

スターシップが、宇宙開発の歴史を書き換えることになる画期的なロケットであることは間違いない。

問題なのは、それがいつ完成し、実用に供されるかという点になった。

しつこく繰り返すが、来年とか2年後とか言うことはない。

10年先の話だし、その間は、使い捨てや一部使い捨ての状態で、開発を継続しながら飛び続けることになる。

実際の話、ファルコンシリーズにしても、1段目(ヘビーのサイドブースター含む)の回収は、名目上、未だに試験段階にあるわけだからな(当局への申請書類にはそうある)。

2段目に人間を乗せてネコ着地するなどというのは、2030年代にならなければムリポだ。

120パーセント確実に回収できなければ、有人で飛ばすことなど思いもよらない。

回収以前の話としては、スターシップに緊急脱出システムが一切ないことも考慮しなければならない。

スーパーヘビーブースターを含めたシステムトータルの安全性に依存することになる。

確かに旅客機には、戦闘機のような射出座席などはない。

同じ様に、システムトータルとしての安全性に依拠している。

スターシップが、先日浮沈子が乗ってきたB787と同じレベルに達するまでには、下手をすると数十年掛かるに違いない。

今日(12月8日)は、前澤氏らがソユーズでISSに辿り着いた(12日間滞在するようです)。

60年以上に渡り2000回近い打ち上げ実績を積み上げ、枯れた技術でシステムの安全性を確認し続けているソユーズでさえ、数年前にはブースターの不良から、緊急脱出システムのお世話になっているからな。

やれやれ・・・。

スターシップに乗って、週末のセノーテツアーが出来るようになるのは、まだまだ先の話だな・・・。