🐼雀の子そこのけSLSのお通りだ:Ax-1の悲哀:クルー4も巻き添えか2022年03月26日 22:44

雀の子そこのけSLSのお通りだ:Ax-1の悲哀:クルー4も巻き添えか


実際のところはどうなのか。

アキショムの打ち上げが遅延しているという話は既に書いた。

(ISS墜落不可避!?:経済制裁の有効性とISSへの影響)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2022/03/17/9473372

「<さらに追加:2022年3月25日>」

「アキショムのミッションが、数日遅れるという報道が出ていた。
(SpaceXの次のクルードラゴン宇宙飛行士の打ち上げは4月にスリップします)
https://www.teslarati.com/spacex-crew-dragon-launches-delayed-2022/
「NASA、SpaceX、および個人顧客のAxiom Spaceは、同社の今後のクルードラゴンの打ち上げのうち2つをわずかに遅らせることを決定しました。どちらも、現在4月に行われる予定です。」
・3月30日→4月3日:Ax-1
・4月15日→4月19日:クルー4」

「C206エンデバーの整備の都合とされている。」

しかし、どうも、さらにAx-1の打ち上げがずれ込み、玉突きでクルー4(どうやら、新しいクルードラゴンの名前は「フリーダム」になったようです:くっさ!)にも影響がありそうだ(未確認)。

クルー4は、クルー3との交代があるから、そう無制限にずらすわけにはいかない。

原因は、どうやらSLSにあるようだ・・・。

(NASAは、商業宇宙飛行士の打ち上げよりもアルテミスの地上試験を優先しています)
https://spaceflightnow.com/2022/03/25/nasa-gives-priority-to-artemis-ground-test-over-commercial-astronaut-launch/

「NASAの関係者は、金曜日にSpaceXロケットで国際宇宙ステーションに最初のすべての商用宇宙飛行士の打ち上げ(Ax-1のこと)を4月3日に青信号にしました。」

「打ち上げは、4月3日日曜日の午後1時13分EDT(1713 GMT)にケネディ宇宙センターのパッド39Aから予定されています。」

「同日、NASAは超低温の液体水素と液体酸素の推進剤を宇宙打ち上げに搭載する予定です。パッド39Bでのカウントダウンドレスリハーサル用のシステムロケット。」(SLSのウェットドレスリハーサルのこと)

なんでまた、おんなじ日に設定したんだろうなあ・・・。

記事にあるように、39Aと39Bは、2.7kmの距離で隣接している。

ケネディスペースセンターは、その地上施設を供用しており、今回は窒素ガスの充填を同時に行うことが出来ない事から、どちらが優先するかをNASAが判断するという羽目に陥った様だ。

「主な制約は、両方の発射台で使用される窒素ガスに関係しています。地上クルーは、SLS燃料補給テストとAx-1打ち上げの間に窒素を補充するための時間を必要としている、とLuedersは言いました。」

「NASAの優先事項は4月3日のSLSドレスリハーサルを達成することである」

「(SLS)ウェットドレスを完成させてから、(Ax-1)の一連の打ち上げの機会を許可することは、私たちにとって賢明なことだと思います」

「チームは当初、SLSのドレスリハーサルからAx-1の打ち上げまでに2日かかると考えていましたが、それは1日に短縮される可能性があります。」

「Ax-1ミッションが4月3日を開始できない場合、SpaceXは4月4日午後12時50分EDT(1650 GMT)と4月5日午後12時27分EDT(1627 GMT)にバックアップの機会があります。」

浮沈子がここで言いたいのは、Ax-1にとって、SLSのウェットドレスリハーサルは、彼らにとって何の関係もない余計なことだという点だ(余計かどうかは別ですが)。

少なくとも、直接の関係はない。

トバッチリだ・・・。

もともと、3月30日に予定されていて、それが宇宙船の整備の関係でずれ込んだわけだから、スペースX側の都合であることも確かだ。

日程がガチンコしたのは、たまたまなんだろうな。

で、キャシーリーダースが下した結論が、SLSの方が優先するという判断なわけだ。

いいだろう。

NASA直轄の公的スケジュールを優先させ、民間のお遊び(物見遊山或いは金儲けのための商業打ち上げ)を後回しにするというのは理に適っている。

スティーブンクラークは、次の点を指摘している。

「アルテミスのカウントダウンリハーサルはNASAの優先事項ですが、Ax-1ミッションを軌道に乗せることにも緊急性があります。」

「彼らは軌道を回る研究施設で約8日間生活します。」

4月5日にAx-1を打ち上げ、4月7日にISSにドッキング、4月15日辺りにドッキング解除して、同日地球に戻るというスケジュール感だな。

「Ax-1ミッションは、打ち上げからスプラッシュダウンまで約10日間続き、フロリダ沖で発生する予定です。」

「次のクルードラゴン飛行の開始までに約2日かかります。」

「現在4月19日までに予定」

まあ、若干の余裕(2日程度)もあるから、天候その他の理由でAx-1の打ち上げが多少遅れたとしても、ISSの近くでクルー4の宇宙船(フリーダム)が、Ax-1の宇宙船(エンデバー)が離脱するのをジーッと待っているという事態にはなるまい(ちぇっ、早くどけよ・・・)。

「クルー3の宇宙飛行士は、4月26日に宇宙ステーションを離れて地球に戻る予定です。」

引継ぎには1週間程度が割り当てられており、オンスケジュールで回せれば、大きな影響はないだろう。

今回のタイトロープなスケジュールは、今後も続く可能性が高い。

「Ax-1ミッションは、すべて商用の乗組員がいるステーションへの最初のミッションであり、Axiomは、今後数年間でさらに多くの乗組員ミッションを計画」

ISSへの接続は、大混雑になるわけだな。

またもや先送りされたスターライナーのOFT-2(無人の軌道飛行テスト)だが、いつになったら飛べるのやらだな。

アキショムの話は、物見遊山の金持ちどもをISSに運ぶ定期便の運航に留まらない。

「Axiomは、2020年代後半に軌道上で組み立てられる可能性のある独自の商用宇宙ステーションを設計しています。」

それに先立ち、ISSへ自社モジュールを接続し、ゆくゆくはそれをベースに自社商用宇宙ーステーションに発展させる腹だ。

つまり、初めから、先々切り離して運用することを想定した設計になっている。

ドッキングポート、電力供給、放熱板などの熱対策、軌道維持、スペースデブリ回避の推進システムなどなど(詳細不明)。

ロシアモジュールで、最近接続されたナウカとプリチャルみたいな感じかあ?。

あっちも、ゆくゆくは離脱して利用することを考えているに違いない(浮沈子の妄想の中では、中国の天宮宇宙ステーションとドッキングすることになってるんだがな)。

まあ、どうでもいいんですが。

今回の日程調整の絡みで見えてきたのは、SLSが一番偉いということなわけだ。

民間観光宇宙船のみならず、たとえISSの正規の運用スケジュールに影響を与えることがあったとしても、また、スターライナーのような他の有人宇宙船開発スケジュールを圧迫することになったとしても、SLS(アルテミス計画:オリオン宇宙船含む)が最優先でスケジュールされていくということだ。

おうま(御馬)なわけだな(その他雑魚どもは、追い散らされる雀かあ?)。

雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る(一茶)

季語はスズメで、夏なんだそうだ(収録は『おらが春』だけどな)。

(『おらが春』は、一茶死後25年たった嘉永5年(1852)刊。 一茶57歳の年の元旦から歳末までの見聞・感想などを、長女の死を中心に発句を交えて記したもの。)

まあいい。

浮沈子は、SLSのウエットドレスリハーサルが、予定通り行われるかどうかは怪しいと見ている(これまでも遅延続きだったしな)。

「SpaceXは、SLSドレスのリハーサルが遅れた場合に備えて、Ax-1ミッションを4月3日に打ち上げる準備を整えることを目指しています。」

そのほうがいい。

雀の子にも、五分の魂・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(次のULAの打ち上げスケジュールでのボーイングスターライナーのテスト飛行)
https://spaceflightnow.com/2022/03/11/boeing-starliner-test-flight-next-on-ulas-launch-schedule/

「宇宙軍のUSSF12ミッションの遅延を発表」

「私たちは引き続きSSCと協力して、USSF12の次の打ち上げの機会を決定します」

「昨年8月から延期されたスターライナーのテスト飛行は、USSF 12ミッションの延期前に、5月20日にケープカナベラルから打ち上げられる予定でした。」

「ボーイングのスターライナークルーカプセルのテスト飛行のやり直しをULAの打ち上げスケジュールの最前線に移動しました。」

「これは、ULAのアトラス5スケジュールの次の飛行となるミッションです。」

「USSF 12の延期により、スターライナーの任務が大幅に前進することは期待されていません。」

OFT-2が5月20日の予定(公式かどうかは未確認)から遅れる要素は、今のところない。

その前(4月)に打ち上げられる予定だったUSSF12が、延期(時期未定)になっただけの話だからな。

スティーブンクラークは、前倒しになるとは見ていないようだ。

今回の空軍の衛星打ち上げの延期は、少なくとも遅れる要素ではない。

が、まあ、遅れるだろうな・・・。