🐼2023年度NASA予算にまつわるエトセトラ ― 2022年04月05日 17:48
2023年度NASA予算にまつわるエトセトラ
数日前、NASAの予算絡みで、有人火星探査が2040年という報道が流れた。
(有人火星探査、40年までに NASA局長発言)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0141cbcb730475cbe0ef4b67991df156bbd37ec2
「2040年までに人類が火星を歩けるようにするのがわれわれの計画だ」
昔は、2030年代とか言ってなかったっけえ?。
「2040年までに」というから、1年延びただけともとれるが、感覚的には10年先延ばしになった感じだ。
理由は簡単。
月軌道ステーションを作り、月面基地を作り、月軌道をベースにあんなことやこんなこと(詳細不明)をしてから、ようやく火星周回探査に乗り出す(可能な限り先送りしたい?)。
その月面探査にしても、呆れたことに、2度目の月面着陸は2027年以降だという。
(アルテミス5)
https://en.wikipedia.org/wiki/Artemis_5
「2番目の乗組員による着陸」
「発売日 NET 2027(予定)」
まあ、たぶん、実際は2028年とかが最短だろうけどな。
ネックになるのは、もちろんSLSの打ち上げ費用だ。
1発41億ドル(122円換算で、約5000億円)だってさ!。
もたもたしてたら、2040年代だって、あっという間に終わっちまうかもな。
火星絡みで気になるのは、サンプルリターンミッションの遅れだ。
(NASA探査車が火星で採取したサンプル、地球へ届けられるのは早くても2033年か)
https://sorae.info/space/20220402-mars-sample-return-missions.html
「第1段階となる「火星でのサンプル採取」は、2021年2月に火星のジェゼロ・クレーターに着陸したNASAの火星探査車(ローバー)「Perseverance(パーセベランス、パーシビアランス)」によって、すでに進められています。次は第2段階の「サンプルの回収と打ち上げ」を担うミッションが実施されることになるのですが、このミッションはさらに2段階に分割されることになるようです。」
「第2段階のミッションでは、ESAが開発中のローバー「Sample Fetch Rover(SFR)」と、NASAが開発する小型ロケット「Mars Ascent Vehicle(MAV)」が重要な役割を果たします。ローバーSFRはジェゼロ・クレーターの表面からPerseveranceのサンプル保管容器を拾い集め、小型ロケットMAVは火星周回軌道で待機しているESAの地球帰還用探査機「Earth Return Orbiter(ERO)」にサンプルを送り届けます。」
「着陸時の質量に関する分析の結果、MAVとSFRを別々の着陸機「SRL1」と「SRL2」に搭載して打ち上げる方針に改められた模様」
「MAVを搭載する着陸機SRL1はNASAのジェット推進研究所(JPL)によって製造される予定になっているものの、ESAのローバーSFRを搭載する着陸機SRL2が誰によって製造されるのかは決まっていない模様」
「2022年6月までに決定が下される」
「従来の計画では、サンプルが地球へ届けられるのは2031年の予定でした。いっぽう、新たな計画ではESAのローバーSFRの打ち上げが2028年に、サンプルの地球到着は2033年に予定」
こっちの方も、ずるずると遅れていって、パーセベランスが拾い集めたサンプルが腐っちまうかもな(つーことは、有機物があるわけかあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
ESA(エアバス)における回収用ローバーの研究は進んでいるようだが、たぶん、まだ流動的だろう。
もしかすると、NASAが直接拾い集めるかも知れない。
パーセベランス自体に、その機能を持たせているはずだし、地球にはバックアップ用の機体もあるからな。
(NASAのパーサヴィアランス火星探査車には、オプティミズムという名前の地球の双子がいます)
https://www.cnet.com/science/nasas-perseverance-mars-rover-has-an-earth-twin-named-optimism/
「ローバーは、サイズ、駆動システム、コンピューターの頭脳に至るまで、パーサヴィアランスとほぼ同じです。」
プルトニウム原子力電池は、さすがにダミーだろうけど、この部品にも予備はあるからな。
(マルチミッション放射性同位元素熱電発電機)
https://en.wikipedia.org/wiki/Multi-mission_radioisotope_thermoelectric_generator
「キュリオシティローバーが使用するようなさらに3つのMMRTGに燃料を供給するのに十分なプルトニウムがNASAに利用可能」
「1つはすでに火星2020とそのパーサヴィアランスローバーに取り組んでいます。他の2つは特定の任務またはプログラムに割り当てられておらず、2021年後半までに利用可能になる可能性があります。」
「寿命は最大17年」
2つのうち1つは、土星の衛星タイタンの探査に使われる様だ(ヘリコプターのリチウムイオン電池の充電用:さすがにプルトニウム電池では重すぎて飛べない!)。
1個は余ってるわけだな。
そいつをオプティミズムに積み込んで、着陸用クレーンと打ち上げロケットを手配すれば、ESA(エアバス)なんかに頼らなくても火星軌道に上げることはできるだろう。
そのころまでには、スターシップだって飛んでるかもしれないしな。
ESAには、地球帰還用探査機「Earth Return Orbiter(ERO)」に注力してもらって、負担を軽くしてやるのがよろしい。
以上は2023年度の予算絡みだけど、宇宙ネタとして気に、なっているのは太陽電池パネルの展開に失敗した小惑星探査機のルーシーだな。
今月下旬には、2馬力のモーター(予備と合わせて2機同時に使うらしい)で、強引にストラップを巻き上げるかどうかを判断する。
(ルーシーミッション)
https://blogs.nasa.gov/lucy/
何かあれば、ここに掲載されるだろう。
欧州の火星飛行は、ロシアのウクライナ侵攻で吹っ飛んじまったし(ロザリンドフランクリンは2年間は塩漬け)、その他のミッションにも多大な影響が出る中、NASAは前年増額20億ドルで元気いっぱいだ。
SLSがWDRで躓いているが、まあ、そっちは想定の範囲内だし、所詮は身内の話だ。
ロシア絡みで悩む話じゃない。
ISSが落ちるかどうかは問題だが、それを決めるのはロシアじゃないからな。
米国がロシアへの部品供給をストップすれば、ソユーズもプログレスも1mmだって飛べない。
それでISSが維持できないとなれば、さっさと落とすのがよろしい。
莫大な維持費を費やさずに済むから、参加各国の予算当局は大喜びだろう。
地球周回軌道に中国の宇宙ステーション(一部のロシアモジュールとドッキング?)だけになって、何か不都合でもあるんだろうか?。
もちろん、火星からのサンプルリターンも、中国が人類で初めて成功させることになる。
(中国、2030年前後に火星のサンプルリターン任務の実施計画)
https://www.afpbb.com/articles/-/3354201
「中国は2025年前後に、地球近傍小惑星のサンプルリターンやメインベルト彗星の周回探査任務を実施し、地球近傍小惑星の周回・探査、着陸、サンプルリターンを実現する。」
「2030年前後に、火星のサンプルリターン任務を実施するほか、木星系の周回・探査と惑星の通過・探査任務を実施する計画」
これが計画通りに行われれば、欧米は火星サンプルリターンで中国にぶち抜かれることになる。
まあ、もっとも、中国の宇宙開発は10年単位で遅れるからな。
それでも、既に、月サンプルリターンを実施済みで、火星へのローバー送り込みにも成功している(一発で!)。
そういう面から見ると、2023年のNASAの予算は、実に味わい深いと言わなければならない。
米国が、名目上、惑星探査のけん引役から脱落することを良しとしたということなわけだ(そういうことかあ?)。
中国がサンプルリターンした試料を、よだれを流しながら指をくわえて見ている数年間・・・。
そこで、我が国のMMXが光ることになるわけだな。
(火星衛星探査計画(MMX))
https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/developing/mmx.html
「火星の2つの衛星フォボスとダイモスを観測し、うち1つからサンプルを採取して地球に帰還することを想定している。2020年代前半の打ち上げを目指し開発を進めている。」
我が国は既にイトカワやリュウグウからのサンプルリターンを成し遂げ、徐々に重力天体に対する同種のミッションへと習熟度を高めている(イトカワ<リュウグウ<フォボス<<火星)。
将来的には、木星圏からのサンプルリターンとか、大金星を狙えるかもしれない。
「これからの惑星や衛星探査に必要とされる技術の向上も期待されます。」
ビミョーな表現だからな。
衣の下から鎧が見えている気がする。
やっぱ、狙うとしたら、外惑星でのサンプルリターンか、天王星や海王星の周回観測だろう。
米国は、今世紀中の探査に舵を切るに違いない。
土星圏は、既にホイヘンス(ESA)の軟着陸に成功し、追随するミッションも具体化してきている。
その先を狙わなければ、ミッションとしての優位性はない。
逆に言えば、その辺で、暫くは我慢するしかない。
技術的イノベーションがなければ、太陽系外の間接探査は無理だからな。
有人探査は、今世紀中は火星止まりだろう。
それも、原子力ロケットとかが出来なければ、実際の話としては不可能だ。
いや・・・。
中国は、片道有人探査とかやるかも知れない。
行ったきり・・・。
帰りの宇宙船が手配できるかどうか。
それって、予算次第かもな・・・。
数日前、NASAの予算絡みで、有人火星探査が2040年という報道が流れた。
(有人火星探査、40年までに NASA局長発言)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0141cbcb730475cbe0ef4b67991df156bbd37ec2
「2040年までに人類が火星を歩けるようにするのがわれわれの計画だ」
昔は、2030年代とか言ってなかったっけえ?。
「2040年までに」というから、1年延びただけともとれるが、感覚的には10年先延ばしになった感じだ。
理由は簡単。
月軌道ステーションを作り、月面基地を作り、月軌道をベースにあんなことやこんなこと(詳細不明)をしてから、ようやく火星周回探査に乗り出す(可能な限り先送りしたい?)。
その月面探査にしても、呆れたことに、2度目の月面着陸は2027年以降だという。
(アルテミス5)
https://en.wikipedia.org/wiki/Artemis_5
「2番目の乗組員による着陸」
「発売日 NET 2027(予定)」
まあ、たぶん、実際は2028年とかが最短だろうけどな。
ネックになるのは、もちろんSLSの打ち上げ費用だ。
1発41億ドル(122円換算で、約5000億円)だってさ!。
もたもたしてたら、2040年代だって、あっという間に終わっちまうかもな。
火星絡みで気になるのは、サンプルリターンミッションの遅れだ。
(NASA探査車が火星で採取したサンプル、地球へ届けられるのは早くても2033年か)
https://sorae.info/space/20220402-mars-sample-return-missions.html
「第1段階となる「火星でのサンプル採取」は、2021年2月に火星のジェゼロ・クレーターに着陸したNASAの火星探査車(ローバー)「Perseverance(パーセベランス、パーシビアランス)」によって、すでに進められています。次は第2段階の「サンプルの回収と打ち上げ」を担うミッションが実施されることになるのですが、このミッションはさらに2段階に分割されることになるようです。」
「第2段階のミッションでは、ESAが開発中のローバー「Sample Fetch Rover(SFR)」と、NASAが開発する小型ロケット「Mars Ascent Vehicle(MAV)」が重要な役割を果たします。ローバーSFRはジェゼロ・クレーターの表面からPerseveranceのサンプル保管容器を拾い集め、小型ロケットMAVは火星周回軌道で待機しているESAの地球帰還用探査機「Earth Return Orbiter(ERO)」にサンプルを送り届けます。」
「着陸時の質量に関する分析の結果、MAVとSFRを別々の着陸機「SRL1」と「SRL2」に搭載して打ち上げる方針に改められた模様」
「MAVを搭載する着陸機SRL1はNASAのジェット推進研究所(JPL)によって製造される予定になっているものの、ESAのローバーSFRを搭載する着陸機SRL2が誰によって製造されるのかは決まっていない模様」
「2022年6月までに決定が下される」
「従来の計画では、サンプルが地球へ届けられるのは2031年の予定でした。いっぽう、新たな計画ではESAのローバーSFRの打ち上げが2028年に、サンプルの地球到着は2033年に予定」
こっちの方も、ずるずると遅れていって、パーセベランスが拾い集めたサンプルが腐っちまうかもな(つーことは、有機物があるわけかあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
ESA(エアバス)における回収用ローバーの研究は進んでいるようだが、たぶん、まだ流動的だろう。
もしかすると、NASAが直接拾い集めるかも知れない。
パーセベランス自体に、その機能を持たせているはずだし、地球にはバックアップ用の機体もあるからな。
(NASAのパーサヴィアランス火星探査車には、オプティミズムという名前の地球の双子がいます)
https://www.cnet.com/science/nasas-perseverance-mars-rover-has-an-earth-twin-named-optimism/
「ローバーは、サイズ、駆動システム、コンピューターの頭脳に至るまで、パーサヴィアランスとほぼ同じです。」
プルトニウム原子力電池は、さすがにダミーだろうけど、この部品にも予備はあるからな。
(マルチミッション放射性同位元素熱電発電機)
https://en.wikipedia.org/wiki/Multi-mission_radioisotope_thermoelectric_generator
「キュリオシティローバーが使用するようなさらに3つのMMRTGに燃料を供給するのに十分なプルトニウムがNASAに利用可能」
「1つはすでに火星2020とそのパーサヴィアランスローバーに取り組んでいます。他の2つは特定の任務またはプログラムに割り当てられておらず、2021年後半までに利用可能になる可能性があります。」
「寿命は最大17年」
2つのうち1つは、土星の衛星タイタンの探査に使われる様だ(ヘリコプターのリチウムイオン電池の充電用:さすがにプルトニウム電池では重すぎて飛べない!)。
1個は余ってるわけだな。
そいつをオプティミズムに積み込んで、着陸用クレーンと打ち上げロケットを手配すれば、ESA(エアバス)なんかに頼らなくても火星軌道に上げることはできるだろう。
そのころまでには、スターシップだって飛んでるかもしれないしな。
ESAには、地球帰還用探査機「Earth Return Orbiter(ERO)」に注力してもらって、負担を軽くしてやるのがよろしい。
以上は2023年度の予算絡みだけど、宇宙ネタとして気に、なっているのは太陽電池パネルの展開に失敗した小惑星探査機のルーシーだな。
今月下旬には、2馬力のモーター(予備と合わせて2機同時に使うらしい)で、強引にストラップを巻き上げるかどうかを判断する。
(ルーシーミッション)
https://blogs.nasa.gov/lucy/
何かあれば、ここに掲載されるだろう。
欧州の火星飛行は、ロシアのウクライナ侵攻で吹っ飛んじまったし(ロザリンドフランクリンは2年間は塩漬け)、その他のミッションにも多大な影響が出る中、NASAは前年増額20億ドルで元気いっぱいだ。
SLSがWDRで躓いているが、まあ、そっちは想定の範囲内だし、所詮は身内の話だ。
ロシア絡みで悩む話じゃない。
ISSが落ちるかどうかは問題だが、それを決めるのはロシアじゃないからな。
米国がロシアへの部品供給をストップすれば、ソユーズもプログレスも1mmだって飛べない。
それでISSが維持できないとなれば、さっさと落とすのがよろしい。
莫大な維持費を費やさずに済むから、参加各国の予算当局は大喜びだろう。
地球周回軌道に中国の宇宙ステーション(一部のロシアモジュールとドッキング?)だけになって、何か不都合でもあるんだろうか?。
もちろん、火星からのサンプルリターンも、中国が人類で初めて成功させることになる。
(中国、2030年前後に火星のサンプルリターン任務の実施計画)
https://www.afpbb.com/articles/-/3354201
「中国は2025年前後に、地球近傍小惑星のサンプルリターンやメインベルト彗星の周回探査任務を実施し、地球近傍小惑星の周回・探査、着陸、サンプルリターンを実現する。」
「2030年前後に、火星のサンプルリターン任務を実施するほか、木星系の周回・探査と惑星の通過・探査任務を実施する計画」
これが計画通りに行われれば、欧米は火星サンプルリターンで中国にぶち抜かれることになる。
まあ、もっとも、中国の宇宙開発は10年単位で遅れるからな。
それでも、既に、月サンプルリターンを実施済みで、火星へのローバー送り込みにも成功している(一発で!)。
そういう面から見ると、2023年のNASAの予算は、実に味わい深いと言わなければならない。
米国が、名目上、惑星探査のけん引役から脱落することを良しとしたということなわけだ(そういうことかあ?)。
中国がサンプルリターンした試料を、よだれを流しながら指をくわえて見ている数年間・・・。
そこで、我が国のMMXが光ることになるわけだな。
(火星衛星探査計画(MMX))
https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/developing/mmx.html
「火星の2つの衛星フォボスとダイモスを観測し、うち1つからサンプルを採取して地球に帰還することを想定している。2020年代前半の打ち上げを目指し開発を進めている。」
我が国は既にイトカワやリュウグウからのサンプルリターンを成し遂げ、徐々に重力天体に対する同種のミッションへと習熟度を高めている(イトカワ<リュウグウ<フォボス<<火星)。
将来的には、木星圏からのサンプルリターンとか、大金星を狙えるかもしれない。
「これからの惑星や衛星探査に必要とされる技術の向上も期待されます。」
ビミョーな表現だからな。
衣の下から鎧が見えている気がする。
やっぱ、狙うとしたら、外惑星でのサンプルリターンか、天王星や海王星の周回観測だろう。
米国は、今世紀中の探査に舵を切るに違いない。
土星圏は、既にホイヘンス(ESA)の軟着陸に成功し、追随するミッションも具体化してきている。
その先を狙わなければ、ミッションとしての優位性はない。
逆に言えば、その辺で、暫くは我慢するしかない。
技術的イノベーションがなければ、太陽系外の間接探査は無理だからな。
有人探査は、今世紀中は火星止まりだろう。
それも、原子力ロケットとかが出来なければ、実際の話としては不可能だ。
いや・・・。
中国は、片道有人探査とかやるかも知れない。
行ったきり・・・。
帰りの宇宙船が手配できるかどうか。
それって、予算次第かもな・・・。
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