🐱ヘビー、リフトオフ!2023年01月17日 07:04

ヘビー、リフトオフ!
ヘビー、リフトオフ!


(USSF-67のミッション:動画へのリンクは、記事の下の方にあります。)
https://www.elonx.cz/mise-ussf-67/

生中継ではなかったけど、録画で見ていて感動したな。

やはり、ファルコン9とは迫力が違う。

見ていて思ったのは、サイドブースターが離脱する時には、完全に燃焼を終えて離れるのではなく、それなりに推力を保ったままの状態でセンターコアから離れるということだ。

離脱後、数秒後にBECO(ブースターエンジンカットオフ)になる。

ブースターの離脱といえば、コロリョフの十字架が有名だが、同じサイドブースターな設えのデルタ4ヘビーとか、最近できたSLSの固体燃料ブースターのド派手な離脱の印象は薄い。

(砕け散った「コロリョフの十字架」 - いったいなにが起きたのか?:鳥嶋さん渾身の連載記事)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/soyuz-1/

「4基の第1段がまったく同じ動きをしながら離れていき、ある瞬間では十字を形づくることから、「コロリョフ・クロス(コロリョフの十字架)」と呼ばれる。コロリョフとは、R-7の開発者セルゲイ・コロリョフの名前に由来する。」

まあ、SLSは、まんまスペースシャトルだったけどな。

デルタ4ヘビーのサイドブースターの離脱の映像を見た記憶はない。

また、少し小振りのアトラスVとか、我が国のH2Aのブースターも、余り印象に残っていない。

ブースターといえば、スペースシャトルチャレンジャーの事故や、H2A6号機の分離失敗、最近ではソユーズロケットの分離失敗などが思い出される(ソユーズの分離失敗については、鳥嶋さんの連載記事に詳しい)。

うーん、あまりいい印象はないなあ・・・。

横に付いているから、ついブースターと呼んでしまうが、ソユーズロケットのそれは、れっきとした1段目だそうだ。

真ん中のは2段目。

「日本や米国のロケットに倣えば、この部分は「ブースター」と呼びたくなるが、ロシアではこの4基を「第1段」と呼んでいる。(中略)そして、その第1段が寄り添っている中央の機体を「第2段」と呼ぶ。」

逆に、ファルコン9の1段目を、ブースターと呼んだりしている。

まあ、どうでもいいんですが。

とにかく、ファルコンヘビーのサイドブースターの分離(高度約59km:T+2分31秒辺り)は印象的だった。

他のロケットと異なり、この2本のブースターは地上に戻って来る。

数百メートルの距離(テキトーですが)を保って、平行に飛行しながらブーストバックしている様は圧巻だ。

空気の希薄な高度で噴射しているので、火炎は大きく広がってゆらゆらと燃えている(分離後の到達高度は104km:T+4分43秒辺り)。

やがて、向きを変えて、短いエントリーバーンを行い、2本(単位は「本」なのかあ?)揃ってランディングバーンしながら着地する。

カッコイー!!。

やっぱ、パワードランディングは見世物としては一級の価値がある。

他の、どのロケットも行っていない、世紀のショーだ。

何事もなく着地するのも結構だけど、たまにはド派手に墜落激突爆発炎上木っ端微塵になってもいいような気がするけど、最近はそういうのは見られなくなった。

残念・・・。

まあいい。

今年、ヘビーは、5回の打ち上げが予定されている。

今回は、その第1回目ということになる。

回収されたブースター2本は、次回も使われることになるだろう(今回も再使用だそうです)。

「ステージは、USSF-52 ミッションで再び使用されます。」

センターコアは、今のところ全て使い捨てで運用される様だ。

米軍の打ち上げでは、衛星の燃料を温存したり、早期に実戦投入する関係からか、ほぼ静止軌道に直接投入する運用が多いからな。

民間の静止衛星の場合も、出来るだけ重い衛星を、燃料の負担少なく上げる観点からヘビーを使っていくことになる。

まあ、それも、スターシップが出来上がるまでの話だろうけど。

掟破りな打ち上げ能力を持ち、ロケットの常識を悉くぶち壊してしまう。

が、しかし、物理の神様は公平だからな。

ドデカいパワーには、ドデカい失敗がつきものと相場が決まっている。

しかし、ファルコンヘビーは、今のところ5戦5勝だ。

センターコアの回収こそ、完全に成功はしていないけど(1回は、回収後の運搬中にドローン船から滑り落ちた!)、打ち上げ自体は完全成功の記録を保持している。

その後は、意図的に回収しないパターンになっちまってる。

やれやれ・・・。

ファルコン9の方は、ほぼほぼ回収されているからな。

1段目(センターコア含む)の回収は、コストの削減もさることながら、高頻度の打ち上げを継続するという点でも重要だ。

ファルコンヘビーの需要が高まってくれば、最大の打ち上げ能力よりも、そこそこのパワーで重い衛星を繰り返し上げる方が得策になるかも知れない。

ファルコン9の1段目を使い捨てにするのとどっちがいいかを天秤にかけることになる。

それでも、やはり、ヘビーの打ち上げは特別だ。

ひとまわり大きな打ち上げ能力を持つSLSとは一味も二味も違う。

固体燃料ブースターのパワーで、力任せに飛び上がるのとは異なる。

知的で、繊細で、エレガントだ。

「SpaceX は、このミッションでフェアリングの回収を試みる可能性があります。これらの目的のために、Bob ボートは発射場から1496 kmの距離で大西洋に配置され、水に着陸したカバーを釣り上げました。」

ヘビーの打ち上げでさえ、せこくフェアリングを回収しに出かけている。

1500kmも大西洋を渡ってな。

東京から小笠原まで(約1000km)より、まだ遠い。

こういう、爪に火を点すような節約が、大きな儲けに繋がるのだ。

回収コストを掛け、メンテナンスを施しても、新たなフェアリングを作るよりは安上がりだろうし(未確認)、高頻度な打上げにも貢献するからな。

ファルコンヘビーは、大型のフェアリングも開発中といわれる。

垂直組み立て棟が出来れば、国家偵察局のスパイ衛星を打ち上げることになるわけだ。

それ以外でも、ナンシーグレースローマン宇宙望遠鏡は、同じ仕掛けで上げることになるわけだしな(元々、スパイ衛星用の光学機器を譲り受けているわけだからな)。

打上げはまだ先(2020年代半ば)だが、大型フェアリングでなければ収まらないだろうし、光学系の強度を考えれば垂直組み立て棟でのアッセンブリーが必要だろう。

もちろん、フェアリングは回収される(たぶん)。

今回の打ち上げのセンターコアには、もちろん、グリッドフィンも着陸脚も付いていない。

すっきりしたもんだ。

暫くは、この設えが続く(今回の2段目の分離は、T+4分丁度頃(高度約116km辺り)で行われている:以後の2段目の中継(フェアリングの分離含む)はない)。

米軍の運用では、2段目の燃料の凍結を防ぐための灰色の塗装が目を引く。

コースティングの時間が長いからな。

今回も、ペリジーやアポジーを上げるのに、複数回の噴射を繰り返したに違いない(未確認)。

我が国のH3でも、似たような芸当はできるんだろうけど、衛星の重量はグッと軽くなっちまうだろうな。

彼我の差は、如何ともし難い。

これで、スターシップの開発に成功したら、どーなっちまうんだろうな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(日曜日の Falcon Heavy の打ち上げでは、最初から最後まで壮観な画像が配信されました
ブースターリターンの映像も見逃せません。)
https://arstechnica.com/science/2023/01/from-start-to-finish-sundays-falcon-heavy-launch-delivered-spectacular-imagery/

アルスが、素晴らしい写真とともに記事を上げているのでリンクしておく。

「これは宇宙軍にとって 2 回目の Falcon Heavy の打ち上げ」

米軍関係の打ち上げは、3回目じゃなかったっけえ?。

1回目:2018年2月18日:テスラロードスターとスターマン
2回目:2019年4月11日:アラブサット-6A
3回目:2019年6月25日:STP-2(米国空軍)
4回目:2022年11月1日:USSF-44(米国宇宙軍)
5回目(今回):2023年1月15日:USSF-67(米国宇宙軍)

ああ、名前が変わってたわけね(空軍→宇宙軍)。

「地球への帰還のために速度を落とした後、サイド ブースターはほぼ連続的に一連の冷ガス スラスターを発射します。これらの窒素動力のスラスターは、ロケットが惑星に向かって降下するときにロケットを適切な方向に保つのに役立ち、地球の大気圏への再突入を生き延びます。
これらの発砲は、日曜の夜、薄れゆく光の中で見事に見えました。」

浮沈子がブーストバックバーンだと思っていた噴射の一部は、窒素ガスの噴射だったわけだ(訂正!)。

「今年の将来のミッションには、
・3 月の衛星通信会社 ViaSat の商用ミッション
・4 月の宇宙軍の USSF-52 ミッション
・5 月の EchoStar の商用ミッション
・10 月の NASA の Psyche 小惑星ミッション
が含まれます。」

エリックバーガーは認定気象学者(気象予報士のようなもんか)らしいコメントも付け加えている。

「日曜日の夜にファルコンヘビーの打ち上げの余波で夜光雲のショットを撮りました. これらは、大気中で形成される可能性のある最も高い雲の一部であり、水氷の結晶が上層大気の小さな破片の粒子に凝縮するときに形成されます。
ロケットの打ち上げは、上層大気で水蒸気を生成することにより、これらの雲に寄与する可能性があります。」

ロケットの打ち上げは上層大気の状態に影響されるが、打ち上げ自体も多少の影響を与えるわけだ。

巨大なロケットの打ち上げも、地球にとっては、夕空に刷毛で描いた一辺の雲に過ぎない。

自然の営みの中の小さな出来事なわけだ。

我々人類もまた、その自然の営みの一部であることに気づかされる。

ファルコンヘビーの3年ぶりの打ち上げ再開、SLSの初打ち上げ、そして今年最初のヘビーの打ち上げ。

最早、現役最強とは言えないけど(SLSが上がっちまったからな)、巨大ロケットの打ち上げが続いている。

イーロンマスクは、第一四半期にスターシップの軌道テスト(準軌道テスト?)が行われる公算が高いと言ってるけど、去年の10月とか11月にもその頃に上がると言ってたからな。

当てにはならない。

断言しておこう。

次のヘビーリフターの打ち上げは、間違いなくファルコンヘビーだ(バルカンじゃないのかあ?)。

あれは、ヘビーリフターって言えないしな(ブースターしこたま付けない限り、ただの中型ロケットに過ぎない)。

スターシップは、今年中に上がればめっけもんだ。

その前に、ツイッターが倒産すれば別だがな・・・。