🐱原子力推進ロケット再び2023年02月01日 00:09

原子力推進ロケット再び


先週、このニュースがリリースされてからというもの、気になって仕方がない。

(NASAは核熱推進を開発するための軍事計画に参加します)
https://arstechnica.com/science/2023/01/nasa-will-join-a-military-program-to-develop-nuclear-thermal-propulsion/

「NASA​​ は長期的なパートナーである DARPA と協力して、早ければ 2027 年にも高度な核熱推進技術を開発し、実証する予定です。この新しい技術の助けを借りて、宇宙飛行士は深宇宙への出入りをより迅速に行うことができます。これまで以上に、火星への有人ミッションに備えるための主要な機能です。」

「現在、この共同プロジェクトは、この技術を開発するための最も真剣な米国の取り組みです。これには、宇宙機関に関与するよう促している米国議会からの関心という追加の利点があります。」

実は、一度、ブログ記事を書きかけては没にしている。

浮沈子的に未消化な感じがしていて、上っ面をなぞっておしまいにしちまいそうな予感がしているからだ(いつもの事じゃん!?)。

(NASAとDARPA、核熱ロケットエンジンを宇宙で実証へ - 火星有人探査に向け)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230130-2579727/

「米国航空宇宙局(NASA)と国防高等研究計画局(DARPA)は2023年1月25日、「核熱ロケットエンジン」を共同で開発し、早ければ2027年にも宇宙での実証試験を行うと発表した。」

宇宙開発が軍事技術と表裏一体なことは周知だが、こうあからさまだと言葉を失う。

NASAは、数年前から独自に研究開発を進めており(再開?)、今更、ダルパと懇ろにならなくてもいいような気がするんだがな。

まあいい。

核熱ロケットについては、このブログでも数年前に記事にしている。

(原子力ロケットの系譜)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/10/05/8969108

「推進剤を炉心にぶつけて加熱して膨張させ、勢いよくノズルから噴出させて加速するという核熱ロケットというのがあるらしい。」

当時の鳥嶋さんの詳細な記事からも引用している。

(NASA、新たなる「原子力ロケットエンジン」を開発へ)
https://news.mynavi.jp/article/20170825-ntp/

「米国航空宇宙局(NASA)は2017年8月3日、将来の有人太陽系探査を見据え、新しい「原子力ロケットエンジン」の実現に向けた技術の開発を始めると発表した。」

原子力推進ロケットを語るうえで、この記事は必読と言えよう。

この記事の末尾に、原子力ロケット開発に対する思いが綴られているのが印象的だ。

「今後、有人月・火星探査を行おうとすれば国際共同になることはまず間違いなく、その中で原子力のエネルギー源として利用することになれば、日本が技術的、あるいは平和利用のためのご意見番や歯止め役といった形でかかわることができるかもしれない。」

「・・・原子力を"平和目的のみに利用する"ということが大前提である。」

「私たち人類が、原子力というプロメテウスの火を、正しく安全に使いこなし、ただただ平和のため、未来のために使われることを、そしてそれだけの能力が人類にあることを、心から願いたい。」

まあ、そりゃあそうなんだろうが、そうは言ってもなあ・・・。

中国は、スターリンクを射ち落とす(!?)と言って憚らないし、ロシアはウクライナでドンパチやってて、今にも戦術核兵器が使われそうな雰囲気だし(そうなのかあ?)、原子力が平和目的だけで使われる訳はないのだ。

が、そういった話は、今回の記事の中には出てこない。

浮沈子的に気になったのは、メインの推進システムである核熱推進ロケットではなく、原子炉を宇宙空間に持ち出すことで得られる、有り余る電力をふんだんに使うことが出来る電気推進の方の話だ。

「小型原子炉で発電した電気を使って、イオン・エンジンやプラズマ・エンジンなどの電気推進エンジンを動かす形式の原子力ロケットの構想もある。」(マイナビの初出記事より)

イオンエンジンとプラズマエンジンの違いって、分かりますう?。

いろいろ、ネットで調べたんだが、一番分かりやすく整理されていたのはこれ。

(電気推進)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E6%8E%A8%E9%80%B2

<電気推進の種類>
・静電加速型:
・・イオンエンジン:はやぶさ、はやぶさ2、ボーイング702SPバスなど
・・ホールスラスタ:スターリンクなど
・・コロイド推進器:???

・電熱加速型(これもプラズマエンジン?):
・・DCアークジェット:一液/二液推進系と推進剤を共有できるため、推進剤としてヒドラジンを用いることが一般的:ロッキードマーチンA2100バスなど
・・レジストジェット:原理はサーマルインクジェットプリンター:かつての偵察衛星など

・電磁加速型(本命のプラズマエンジン!):
・・MPDアークジェット:実験機レベルまでで、商用化はされていないようです(未確認)。

・複合型(大本命のプラズマエンジン!!):
・・VASIMR:比推力可変型プラズマ推進機:研究段階

読み物としては、こんな記事もあった。

(イオンエンジンだけじゃない、電気推進ってなんだ?)
https://fanfun.jaxa.jp/feature/detail/10926.html

「プラスとマイナスに分けてプラスのイオンだけを取り出して加速させるので、その時点では厳密な意味ではプラズマとはいえませんが、加速させた後に電子を与えて電気的に中性な状態に戻すので、その時点ではプラズマに戻ります。その意味では、イオンエンジンはプラズマを吹いているといえます。」

ホールスラスタ(業界の慣例で、長母音にはしないようです:「スラスター」と単独で使う場合は伸ばすみたい)をプラズマエンジンに区分する人もいる。

「ホールスラスタはロシアの天才のモロゾフさんという方が考えたエンジンで、イオンエンジンより燃費は少し落ちますが、同じサイズで10倍以上力が出るというすごいエンジンです。」

ここでも、イオンエンジンと対比して語られている。

「イオンエンジンにはプラスのイオンが反発しあうので、イオンエンジンの噴き出し口のイオンの密度をある一定以上に上げられないという限界があるんですが、ここに電場と磁場を利用してホール電流という方法で電子を漂わせることで、空間電荷の制限を突破して濃いイオンを噴射させることに成功しました。」

電気推進エンジンの用途として考えられている中で、静止衛星のアポジーやペリジーを変化させるのに使うというのがあるけど、推力と比推力とのバランスから考えて、ホールスラスタが適しているとされているようだ。

軌道維持には、もっと低い推力でもいいらしいが、2系統もつのも重量的にネガになるからな。

大推力でありながら、低推力でも燃費のいいホールスラスタが必要かもしれない(2025年くらいに技術試験衛星9号機で検証するようです)。

実用的には、暫くはこれが本命なんだろう。

ちなみに、ボーイングの全電化衛星(702SPバス)はイオンエンジンだ。

記事の中では、イオンエンジンを超低軌道衛星の高度維持に用いる話も出ている。

「イオンエンジンの推力は高度200kmくらいの空気抵抗と同じくらいになるので、本当なら落ちてしまうような低い高度であたかも空気抵抗がないかのように飛ぶことができるんです。」

ゴーチェやつばめがそれなんだが、運用寿命との兼ね合いもあるからな。

この記事は、浮沈子的な理解度に丁度良く書かれていて、読みやすくためになった。

「燃費が良ければ良いほどホールスラスタとも差別化できて、じゃあ木星に行くならμ10シリーズを使いましょうというように使い分けも進んでいくと思います。」

電気推進も、目的に合わせて使い分けていくようになるのかも知れない。

技術試験衛星9号機のホールスラスタ開発に関わった技術者のインタビューも読んだ。

(日本発、長寿命ホールスラスタ)
https://www.satnavi.jaxa.jp/files/project/ETS-9/interview/ETS-9_interview-02.html

「人工衛星を用いた事業において、電気推進衛星では推力が小さいため、サービスインが遅れ、その分の運用コストもかさむので、商用の観点で推力は重要です。 そのため、全電化衛星の推進システムとしては電気推進の中でも大きな推力を発生させるホールスラスタが最適」

「はやぶさイオンエンジンは推力1gfくらいで、よく「1円玉1枚を持ち上げる力」に例えられていました。 それにならうと「いちご(35g)1粒を持ち上げる力」でしょうか。」

なんだ、そんなもんか・・・。

「技術試験衛星9号機の静止軌道投入中に、大電力噴射を実証します。 また、静止軌道に到着してからは、姿勢軌道制御用の小電力モードでの噴射も実証します。」

ホールスラスタの特性については、面白いことが書いてある。

「ホールスラスタでは、空間に広く印可された磁場の中で、生成も加速も渾然一体で行われます。 イオンエンジンのように緻密な構造物でプラズマを制御するのではなく、安定で損失が小さい状態に自然になるよう、ある意味プラズマの自己調整に委ねているイメージです。」

「ただし経験則はあれど、磁場中での電子の輸送すなわち"プラズマの自己調整"のメカニズムは、未だに解明されておらず今でもホットな研究テーマになっています。」

うーん、テキトーだな・・・。

訳は分からなくても、使えればそれでいいわけだ(そうなのかあ?)。

張さんは、いつか中国に帰ってしまうかも知れない。

そうすれば、中国が高い技術力を持って、この業界に参入してくることになる。

スターリンク衛星だって、叩き落とせるようになるかもしれないしな。

(中国研究班がイーロン・マスクの通信衛星「Starlink」爆撃戦略を公開)
https://www.gizmodo.jp/2022/06/chinas-plan-to-bomb-starlink.html

「SpaceX社のStarlinkが国家の安全を脅かした場合、中国はこれを無効化あるいは破壊できなければならない。1基1基の追跡・監視・無効化のケーパビリティを備える必要がある」

既に、スターシールドという、軍事目的を含む、政府向けのサービスも動き始めている。

「Starlinkが「攻撃」目的に使われて、衛星搭載のイオンエンジンで中国の宇宙船や衛星を軌道外にノックアウトされる恐れ」

いやいや、それはホールスラスタで、イオンエンジンとは別物だって言ったって、通じないだろうけどな。

「ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの宇宙物理学者、Jonathan McDowellさんに取材したら、「軍部に属し任務が宇宙戦争の人から見ると、Starlinkはまったく別の厄介な問題なのだ」と言ってました。」

「数基撃ち落としたぐらいじゃ全システム停止は望めないし、SpaceXの手にかかれば、撃墜分を回復するのも時間の問題」

まさに、インターネット衛星の面目躍如な抗堪性(こうたんせい)を持っているわけだ。

「地球低軌道はそのうちSpaceXに占拠され、米軍による支配を同社が支援するかもしれない」

あるある・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

原子力推進ロケットの話は、のーてんきな火星旅行の話だけじゃない。

米軍は、シスルナ空間を自由自在に飛び回りたいわけだし、そのための推進力として、核熱エンジンに注目しているわけだからな。

このネタは、何年か毎に、浮かんでは消える話だ。

今回のダルパとの相乗りにしたって、同じ様なことを別々にやるよりも議会受けがいいからというだけの話かもしれない。

SLSの運用(アルテミス計画)に、膨大な予算を持っていかれるわけだからな(ブロックB1も開発中だし)。

事業統合して、コスト削減に努めているというアピールに違いない(未確認)。

今回の原子力推進ロケットの話だって、いつ立ち消えになってもおかしくはない。

一寸先は闇の宇宙開発。

その先にあるのが、21世紀版スターウォーズだったとしても、浮沈子は驚かないけどな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(NASAが核分裂の熱で火星を目指す「核熱ロケットエンジン」の開発を発表)
https://gigazine.net/news/20230126-nasa-nuclear-engine/

「NASAは、有人火星ミッションの実現のために研究開発を進めていますが、現行のロケットエンジンを使用した場合、地球と火星の往復に3年を要する」

「往復時間を約2年に短縮することを目指しており、航行時間の短縮を見込める核熱ロケットエンジンの開発を進めていました。」

6か月を4か月に縮めるというと、大したことはないような気がするが、火星との会合周期を加味して3年が2年になれば、その効果は大きいだろう。

「DARPAはロケットシステム関連の調達や日程調整、セキュリティの確保などを担当」

研究が進展してきて、具体な話になってきているのかも知れない。

NASAの長官が、2027年とか言い出してるようだしな。

「NASAとDOEが開発を進めている技術はDRACOプロジェクトとは異なる目的に使用される」

エネルギー省と行っている開発がどんなものかは知らない。

宇宙空間でドンパチやるためのダルパとの契約とは無縁であることを願いたいが、核燃料の管理とかはDOEが管轄しているからな。

ダルパの開発の目玉は、何といっても低濃縮ウラン(20パーセント以下)を使用する点だからな。

無関係ではないだろう。

高濃縮ウラン原料の流通は、核兵器の開発に繋がりかねない。

原子力潜水艦など、軍事目的の原子炉に限定しておきたいに違いないのだ。

燃料の流通や、高温かつ高放射線に曝される炉心材料など、原子力推進ロケットの開発環境の整備は今後の課題だ。

我が国では、原子力船を初めとして、この手の話はタブーみたいだしな。

いつまでたっても、その手のロケットが実用化されることはないだろうな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(NASAとDARPAが「核熱ロケットエンジン」の技術開発で協力 将来の有人火星探査も想定)
https://sorae.info/space/20230127-nasa-darpa-ntr.html

「NASAとDARPAは「DRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)」プログラムを通じて高度な核熱推進技術を共同開発」

うーん、結局、NASAの開発がDARPAのプログラムに取り込まれたということなのではないか。

情報は主にNASA側からしか出てこないから、一般には軍事利用の話は広まらないしな。

有人火星飛行や月への物資の輸送の話ばっかだ・・・。

「核熱ロケットエンジンは化学推進と電気推進の中間的な性能を有します。DARPAによると、核熱推進の推力重量比は電気推進の約1万倍で、宇宙で使用する場合の比推力は化学推進の2~5倍になるといいます。飛行時間を短縮して宇宙飛行士が負うリスク(宇宙放射線の被ばくなど)を軽減できるだけでなく、月や火星へ効率的かつ迅速に物資を輸送できる可能性もあることから、核熱ロケットエンジンは改めて注目されています。」

ソラエの記事は、それなりにまとまっているし、原子力電池(RTG)や電気推進の話も織り込まれていて、全体を俯瞰するには適した内容となっている。

2017年の鳥嶋さんの記事と併せて読んでおきたい感じだな。

が、しかし、やっぱ、この話のキモは、原子力推進ロケット(特に、核熱ロケット)の開発に当たって、NASAが軍事利用に手を出した点だろう。

いろいろ記事を読み漁って、もやもやが少し晴れた気がする。

気になっていたのは正にその点だ。

同床異夢というやつだな。

そもそも、NASAは、米軍(陸軍と海軍)が行っていた宇宙開発の民生利用を実現するために作られた機関だ。

まあ、そうはいっても、同じ技術の上に立脚しているわけだから、従来から、水面下では、共同開発みたいなことは行っていたに違いないが、大っぴらにはしてこなかったのかも知れない(未確認)。

ナンシーグレースローマン宇宙望遠鏡が、国家偵察局(NRO)のスパイ衛星の払い下げなこともあるしな。

そのスパイ衛星の技術は、20世紀のNASAのハッブル宇宙望遠鏡(1990年の打ち上げ)の開発ともつながっている(どっちが先かは知りませんが)。

NASAは、ロケットの推進技術とは別に、従来から月面などでエネルギー源として使用するための小型原子炉の開発も行ってきている(米国エネルギー省(DOE)との共同開発か?:未確認)。

おそらく、高濃縮ウランの扱いが、懸案事項だったのかもしれない。

宇宙空間に原子力を持ち出す際には、安全性と共に重量の問題は無視できないからな。

しかし、それこそが軍事利用と共通の課題なわけだ(原子力潜水艦とかは、艦齢よりも長い燃料寿命で、核燃料の交換を行わなくて済むしな)。

DARPAの研究が、低濃縮ウラン燃料を使用するという点は、その制約を回避しているわけで、DOEが高濃縮ウラン燃料の使用制限について譲らなかったからかも知れない(未確認)。

効率から考えれば、宇宙利用においてこそ、高濃縮ウラン燃料の使用が求められるはずだ。

技術的要請と政策との兼ね合いで、折衷案が動き出している形だ。

RTGだって、プルトニウムの管理上、DOEから供給されているわけだが、他に選択の余地がないしな。

三つ巴の様相を呈しているのかも知れない。

まあいい。

この辺りの事情が表沙汰になるのかは分からい。

高濃縮ウラン燃料が、民間企業(スペースXとかあ?)含めて、バンバン流通する事態は、米軍やNASAにとっては美味しい話でも、DOEにとっては悪夢に違いない。

まあ、月面開発が進んで、核融合燃料(ヘリウム3)が無尽蔵に手に入るようになれば、こんな話はチンケに映るのかも知れない。

月面で水爆作って、地球に向けて打ち込む時代はもうすぐだな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

一応、中国が月面開発に成功して、ヘリウム3の採掘に成功した暁に、地球に向かって核兵器ぶっ放す可能性についても調べた(そういうことかあ?)。

(先進プラズマ研究開発)
https://www.qst.go.jp/site/jt60/5248.html

「01:核融合について簡単に教えて下さい。」

「地球上の核融合」

「重水素と重水素の反応や重水素とヘリウム3では10億度程度にしなければなりません。」

10億度かあ!(JT-60はプラズマ温度5.2億度の世界記録とある)。

うーん、ちっと高いなあ・・・。

ヘリウム3で核爆弾を作る(核融合反応を起こす)のは簡単ではないようだ。

材料としても、重水素がいるみたいだしな。

「最後の重水素とヘリウム3の反応は中性子が出ないのが特徴です。反応で発生するのは荷電粒子(電気を帯びた粒子=ヘリウム4と軽水素のイオン)だけですが、この荷電粒子から直接効率良く電気を発生できる可能性があることが長所です。」

「ただし、重水素と三重水素の反応と比べるとやはり高温が必要なことと、ヘリウム3が地球上には存在しないことが難点です。つまり、現時点では実現できません。しかし、ヘリウム3は月の地面には豊富に埋まっていることが分かっていますので、いつか宇宙開発が進み、月からヘリウム3を掘り起こして持ち帰れるようになった未来には可能性が出てきます。」

「もちろんまだまだずっと先のことですが、地球の海からの重水素と月の大地からのヘリウム3とで核融合エネルギー=太陽のエネルギーを生み出す、そう考えるとわくわくしませんか。」

浮沈子的には、兵器利用の可能性を考えると、あんまわくわくしないけどな・・・。

<また追加>ーーーーーーーーーー

(宇宙望遠鏡をひっくり返すとスパイ衛星になる? 『ゼロからわかる宇宙防衛』)
https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20190812-00138034

「ハッブル宇宙望遠鏡は同じキーホール系列のスパイ衛星「KH-11」と形状の相似を指摘されることが多い。」

記事では、ハッブルの運用上のトラブルを、軍事衛星で培った技術で克服する話が紹介されている。

宇宙開発は、どちらが先ということではなく、混然一体となって進展しているというエピソードだ(そうなのかあ?)。

こういう裏取引(?)ではなく、大っぴらに共同開発する時代になったわけだな。

核熱推進(NTP)について、コンパクトにまとめているページも見つけた。

(核熱推進について知っておくべき6つのこと)
https://www.energy.gov/ne/articles/6-things-you-should-know-about-nuclear-thermal-propulsion

1. NTPシステムは核分裂によって動かされている
2. NTP システムは化学ロケットよりも効率的です
3. NTP システムは起動時に使用されません
4. NTP システムはより大きな柔軟性を提供します
5. NTP システムは DOE の支援を受けて開発されました
6. NTPシステムは低濃縮ウランの使用に焦点を当てています

2017年のNASAの開発再開当初から、DOEは低濃縮ウランの使用をサジェストしていたようだ。

「DOE は NASA と協力して、NTP システムにウラン濃縮をあまり必要としない新しい燃料を使用する実現可能性のテスト、開発、評価を支援しています。」

「高度に濃縮された燃料の使用に伴うセキュリティ関連のコストを削減するのに役立つ可能性」

まあいい。

どーせ、お役所同士の縄張り争い(業界用語では、協力関係ともいう?)なんだろう(そうなのかあ?)。

低濃縮ウランは、ロシアでも開発されている。

(焦点:米の次世代小型原子炉、燃料調達で「ロシア問題」に直面)
https://jp.reuters.com/article/nucklear-idJPKBN2RG050

「大半の原発で燃料に利用されるウランの濃縮度は5%程度なのに対し、HALEUは最大20%まで高められている。ところが、現在のところHALEUを商用販売しているのは、ロシア国営原子力企業・ロスアトム傘下のテネックスしかない。」

なんと・・・。

宇宙開発の名のもとに、米国での高純度低濃縮ウラン(HALEU)の製造販売に弾みをつけようということなわけだな(そういうことかあ?)。

需要自体は、小型モジュール式原子炉(SMR)の方が、はるかに多いからな。

「持続的かつ市場主導型のHALEUの供給態勢を確立させるインセンティブを早急に与える行動が、不可欠なことは分かっている」

2つの話は、繋がっている。

NTPがSMRの起爆剤になるかどうかは知らない。

「米政府が予算を拠出して開発されているSMRは、10基のうち9基がHALEUを燃料に想定している」

HALEUの供給体制の充実は避けて通れない課題だ。

「SMRは使用済み燃料の処理回数が少なくて済むため、従来型原子炉よりも3倍効率が高まる。」

「HALEU使用のSMRの採算分岐コストを示す均等化発電原価(LCOE)は60メガワット時と、従来型原子炉の97メガワット時より低い。」

従来型原発に取って代わるかも知れない話だ。

「テラパワーとX-エナジーは、米政府からコストを共有する形で2028年までに2基の試験用原子炉を建設する契約を結んでいる。」

燃料の供給が伴わなければ、時間切れになることも懸念されている。

NASAが、2027年という実証時期を明示した背景には、HALEUの供給を巡る思惑もあるのかも知れない(つーことは、単なるリップサービスなのかも知れない)。

宇宙開発は、宇宙だけを見ていたのでは分からないからな。

だって、宇宙だけで宇宙開発してるわけじゃないし(開発は、概ね地上で行われています)。

「供給問題を解決するため、米政府は核兵器用の高濃縮ウランを商用に「ダウンブレンド」して供与する方法も検討中」

「ダウンブレンド率を加速させる機会は、常に考慮されている」

核兵器級高濃縮ウランの在庫を過剰に取り崩すことになれば、安全保障上のリスクにつながりかねない(DOEとして、それは避けなければならない)。

タイトロープだなあ・・・。

ロシアのウクライナ侵攻は、こんなところにも大きな影響を及ぼしている。

「西側諸国の対ロシア制裁では、主に原子力産業に及ぼす影響の重大さに配慮してロスアトムは対象から除外されてきた。」

それだって、いつどうなるか分かったもんじゃない。

「X-エナジーやテラパワーといったSMR開発を手がける米企業は、やはりロシアのサプライチェーンに頼る気はない。」

当然だろうな。

ニワトリが先にせよ、卵が先になるにせよ、SMRは実現していくことになるだろう。

原子力推進ロケットは、おそらく、この話とは関係なく、技術的要素が律速することになる(確立された技術だけじゃないからな)。

もしかしたら、高純度ウラン燃料の話になる可能性だってある(そうなのかあ?)。

この時期に、DARPAとNASAの連携の話が出たのは、裏でDOEが糸を引いていたからに違いない。

なんか、起爆剤になる話はないのかあ?。

これなんか、どーでしょうねえ?。

いーんじゃね?。

核燃料の供給に於いて、軍事、民生の両方に係るDOEこそ、陰の主役なわけだ。

浮沈子のこの妄想が正しければ、NASAの発表にある2027年のエンジン実証試験なんて話は、無きに等しい。

燃料のひっ迫から(SMRに持っていかれちまうに決まってるしな:そうなのかあ?)、中止か、良くて延期に追い込まれるに相違ない。

月面からの核攻撃の方が、リアリティがありそうなくらいだ・・・。

🐱フル:22-23:注意報2023年02月02日 19:15

フル:22-23:注意報
フル:22-23:注意報


(都内のインフルエンザ「流行注意報」)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/02/02/18.html

「都内のインフルエンザ定点医療機関からの第4週(1月23日から1月29日)の患者報告数が、「流行注意報基準」【注1】を超え、インフルエンザの流行が広がっています。」

「【注1】流行注意報基準:感染症発生動向調査による定点報告において、10人/定点(週)を超えた保健所の管内人口の合計が、東京都の人口全体の30%を超えた場合としています。」

が、まあ、グラフを見る限り、これから怒涛の如く急上昇して警報(警報基準:定点医療機関からの報告において、定点当たり患者報告数が30人/週を超えた場合&東京都の人口全体の30%を超えた場合)レベルになるとは思えない。

新型コロナの方も、ピークアウト後は順調に下がってきているからな。

ダブルで流行という最悪の事態は避けられそうだ。

それでも、毎日数千人が新たに感染し続けている状況はヤバイ。

(東京都 新型コロナ 20人死亡 3502人感染確認 前週比1559人減)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230202/k10013968521000.html

「1週間前の木曜日より1559人減りました。
前の週の同じ曜日を下回るのは16日連続です。」

今年の冬は、大人しくして、インフルであれ新型コロナであれ、罹患せずに済ませたいものだ・・・。

🐱怪しい「みちびき」2023年02月03日 00:04

怪しい「みちびき」
怪しい「みちびき」


宇宙の軍事利用が民間の資源を当てにし出している(調べているのは、スターシールド絡み)。

このことについては、稿を改めて書くけど、関連情報を当たっていたら、瓢箪から駒が出た。

(米国は、日本の衛星に搭載される 2 つの宇宙センサーのうちの最初のものを納入)
https://spacenews.com/u-s-delivers-first-of-two-space-sensors-to-be-hosted-on-japanese-satellites/

「米国の 2 つのペイロードは、静止軌道上の別々の QZSS 衛星でホストされます。」

「マサチューセッツ州ハンスコム空軍基地の米空軍技術者は、2023 年 1 月 5 日に準天頂衛星システム QZSS 衛星に搭載される予定の打ち上げのために日本に出荷された米国センサー ペイロードのコンポーネントを確保します。」(記事の写真のキャプションより)

「最初のセンサーは QZS-6 で飛行し、2 番目のセンサーは QZS-7 で飛行し、現在、それぞれ 2023 年と 2024 年に打ち上げられる予定です。」

「日本の国家宇宙政策事務局および三菱電機株式会社と協力して、QZS-6 および QZS-7 にセンサーを統合しています。」

「ペイロードは、マサチューセッツ州のハンスコム空軍基地の第 66 航空基地翼から日本の横田空軍基地の第 374 空輸航空団まで航空移動司令部が運用する軍用機で輸送されました。 」

この件については、米軍関係の記事が上がっている。

(日本の国家宇宙政策局が米国宇宙軍と歴史的な覚書に署名)
https://www.spaceforce.mil/News/Article/2451728/japans-office-of-national-space-policy-signs-historic-mou-with-the-us-space-for/

「米国宇宙軍と日本の国家宇宙政策局は、今週、日本の準天頂衛星システムで 2 つの米国ペイロードを打ち上げるための歴史的な覚書に署名しました。」

「空軍の宇宙ミサイルシステムセンターは、スペースドメイン認識光学センサーを備えたペイロードを開発しており、それぞれ2023年と2024年に日本の種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です。」

このセンサー自体は、静止軌道上の衛星を監視するためのアイテムで、レーザーぶっ放して片っ端から破壊するようなことはしない(うーん、未確認!)。

(リンカーン研究所は、日本の衛星に統合するためのペイロードを設計しています)
https://news.mit.edu/2020/lincoln-laboratory-designing-payload-integrate-japanese-satellites-1203

「米国は、日本が開発中の地域航法衛星に搭載されるセンサーを提供する。」

画像を見ると、衛星本体に取り付いているコバンザメ程度の大きさだ。

記事にあるように、同じ様な仕掛けは、既に独自衛星として低軌道で運用され、静止軌道上の衛星を監視し続けている。

「宇宙システム技術部門は、SDA センサー開発、特に現在低地球軌道 (LEO) で運用されている ORS-5/SensorSat 衛星の開発における豊富な経験から、このプログラムを主導することに従事しました。」

「2017 年に LEO に打ち上げられた SensorSat は、地球から約 35,800 キロメートル上空にある GEO ベルトの宇宙活動を監視しています。」

同じ様な光学センサーを使って、静止軌道上からの監視体制を併用することになるわけだな。

「独自の電力(太陽電池、バッテリーなど)を生成する必要がなく、誘導、ナビゲーション、および制御機能も必要としないという点で、完全自律型衛星よりも単純」

「ただし、ペイロードは、LEO で SensorSat が直面するよりも GEO 軌道ではるかに厳しい放射線環境に耐えなければなりません。」

「日本は、ペイロードのダウンリンクに毎秒 2 キロビットしか割り当てることができませんが、SensorSat は、地上受信機の空軍宇宙管制ネットワークへの専用リンクを介して毎秒 7.5 メガビットを利用します。」

どーすんの!?。

「画像処理のかなりの量をペイロードに搭載して実行し、ターゲットのトラックと観測を地上に送信する必要があります」

「対照的に、SensorSat は未加工の圧縮画像を処理のために地上局に送信します。」

「日本の衛星は GEO ベルト内に配置されているため、ベルト内の他の衛星を非常に狭く見ることができます。より大きな視野を可能にするために、2 軸スキャン ミラーが設計に追加され、SensorSat プログラムと同じ基本システムでミッション ユーティリティが改善されました。」

コバンザメ仕様にするためや、視野角の確保のための改造が施されている。

問題なのは、我が国の独自衛星に、米軍のインスツルメントが搭載されることだろうな。

中国やロシアからの衛星攻撃のターゲットになるわけだ。

まあ、そもそも測位衛星自体が軍事衛星なわけだから、そこは相乗りの敷居は低い。

スカパーの放送衛星に自衛隊の通信衛星が相乗りするよりは、無理のない話に聞こえる。

浮沈子的に気になっているのは、準天頂衛星とは言いながら、相乗りするお相手のQZS-6とQZS-7が、いずれも静止軌道な点だ。

(準天頂衛星システム)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%96%E5%A4%A9%E9%A0%82%E8%A1%9B%E6%98%9F%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

「みちびき3号機:
・・・
3号機は1・2・4号機と異なり、静止軌道へ投入して静止衛星で運用」

3号機と合わせると、7機態勢のうち、3機が静止軌道で運用されることになる。

(衛星測位に関する取組方針)
https://www8.cao.go.jp/space/qzs/houshin/houshin.pdf

「過去、7機体制のシステム構成を検討するにあたっては、持続測位、すなわち、他国の測位衛星が使用できない場合でも、我が国のシステムのみで最低限の測位サービスの提供を持続できること、及び、常に日本とその近傍の高仰角方向に衛星が存在する時間率を評価指標として、衛星機数や軌道配置が検討されたという経緯がある。その結果、準天頂軌道衛星4機と静止軌道衛星3機(準静止衛星含む)の計7機のシステム構成が選択されている。」

(「みちびき3号機」が静止軌道なのはなぜ?)
https://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/10421.html

「衛星測位では、特定方向に衛星が偏った状態で信号を受信すると精度が落ちるので、測位精度を向上させるには衛星がまんべんなく天空に散らばっている状態が望ましいとされています(=DOP:Dilution of Precision、精度低下率といいます)。」

「3機が交替で「ほぼ」天頂付近に位置すると、もう1機が(地球の自転と同じ周期で公転し、一点に留まっているように見える)静止軌道であれば、GPS衛星(=地球の自転周期と無関係の中高度軌道で、地上から見て常に位置が変わる)と組み合わせて、DOPを小さくし、測位精度を向上させることができます。」

DOPの改善だけが理由なら、3機もいらないと思うんだがな。

そもそも、静止軌道は我が国からは高仰角にはならないしな。

内閣府の資料にある「準静止衛星」というのが、何を指しているのかは知らないが、ビミョーに静止していないのかもしれないし、このビミョーなズレこそが、米軍のインスツルメントの搭載に都合がいいのかも知れない(3号機は、純然たる静止軌道だし・・・)。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子は、こういう重箱の隅をつつくような話が大好きだ。

神は細部に宿る。

確認しておこう。

我が国の軍事衛星であるみちびきシリーズの今後の打ち上げの中で、米軍のアイテムの搭載が予定されていて、少なくとも1台は既に横田に搬入されている。

打上げは、5号機(準天頂軌道?)が2023年度、アイテムを積む6号機、7号機(いずれも静止軌道?)が2024年度とされている(H3ロケット予定:ちょっとずれ込んでるけどな)。

これからも、米軍のアイテムを搭載する我が国の衛星は増えるに違いない。

というよりも、軍事アイテムを乗せることを前提に、民生用衛星が設計される時代になるのだ。

それらは、当然攻撃の対象となる。

新たなスターウォーズの時代が始まる。

数万機のスターリンク衛星を初めとして、ターゲットに不自由はない。

それらが破壊されていく中で、スペースデブリは桁違いに増えていくだろうな。

特に、静止軌道上のスペースデブリは始末に負えないからな(落ちてくることはないし、静止軌道上で他の衛星を破壊しまくることになる)。

MIT開発のセンサーが、静止軌道上の破壊工作を探知して、未然に防いでくれることに繋がればそれに越したことはないが、米軍自体が敵国の静止衛星を破壊することに使うかも知れないしな。

我が国は、その破壊行為に加担することになるわけだ。

みちびきは、のほほんとした民生用の衛星じゃない。

軍事利用を前提とした、センチメートル級の精度を誇る超精密測位衛星だ。

今後配備される精密誘導ミサイルなどの攻撃兵器にとっては、なくてはならない仕掛なわけだ。

そこに、米軍のセンサーが搭載される。

結構な話じゃないの・・・。

🐱スターシールド:未来の道2023年02月03日 10:49

スターシールド:未来の道


スターシールドについては、情報が限られていて、現時点での記事は限定されている。

ネットで検索しても、ろくな記事がヒットしない。

概ね、S社のホームページ上での発表の内容に、S社の事業を絡めたり、ウクライナ紛争におけるスターリンクの役割を絡めて、ボリュームを稼いだりする程度だ。

(スペースXが「スターシールド」を打ち上げ。大きな可能性を秘めた静かな発表)
https://www.universetoday.com/159051/spacex-launches-starshield-a-quiet-announcement-with-a-huge-potential/

「得られた情報はかなり限られていますが、物事がどこに向かっているのかを知るには十分です」

「米国政府と協力することは、SpaceX にとって新しいことではありません。彼らはすでに、NASA、米国空軍、および米国宇宙軍のために複数の打ち上げを行っています。スターシールドにより、彼らはこの関係を拡大するつもりです」

いつになったら、まともな情報が出てくるのかは分からない。

本家のスターリンク(スターシールドも、このインフラを使うサービスになる)のFCCによる承認が、スターシールド絡みで部分的にしか許可されなかったことは、米国当局が、このサービス(スターシールドの方)に、如何に注目しているかということを表している(たぶんね・・・)。

つーことは、あれだな、米国当局(NASAや米軍)が、その利用に際してどういうスタンスかという観点を確認しておく必要があるだろう。

このブログでも記事にしたが、米軍は民間の宇宙資源の活用に熱心だ。

通信分野における活用は、手っ取り早い用途だが、スターシールドが提供しようとしているのは、衛星の製作、打ち上げ、通信サービスの提供まで含めた垂直統合されたプロプラエタリーなサービス(しかもワンストップサービス)であって、米軍がこれまで求めてきたような、さまざまな民間企業と軍とが共存するオープンなアーキテクチャーではない。

そこを、どう調整するかというのが技術的にも政策的にも注目されるところだが、FCCの認可状況を見ると、未だに揉めているんだろう。

スターシップの開発の遅れもあって、S社としてもスターリンクV2の打ち上げを急ぐ必要がないし、携帯電話と直接通信したりする話も出ていて、V2衛星の仕様も揺れている。

一方で、V1.5の展開に伴う顧客の増加は通信のひっ迫をもたらし、衛星の打ち上げ需要を喚起しており、FCCの追加認可(7500機分)も、従来の計画の一部を差し替える形で、既存の衛星を新規認可の軌道に投入するという、ややワケワカの話に落ち着いている(テスララティのエリックラルフはブチ切れてましたが:当事者同士は、ちゃんと納得づくで合意したに違いない)。

この辺りの調整がどうなるか(米軍とS社の攻防)が、今後の展開を左右するところだが、米軍が民間の宇宙資源を活用するという大きな方向性は変わらない。

先月報じられたスペースニュースの記事は、この辺りの事情を確認することになった。

(スターシールドで、スペースXは戦いの準備ができています)
https://spacenews.com/with-starshield-spacex-readies-for-battle/

「米国には、世界のどこよりもはるかに回復力のある商業宇宙企業があります。中国人はそれを知っており、私たちはそれに傾倒するつもりです」

仮想敵国は、ロシアではなく中国なわけだな。

「国防総省が 10 月に発表した米国の国防戦略文書は、中国を、防衛および宇宙技術で米国を凌駕する恐れのある「ペーシング チャレンジ」と呼んでいます。」

12月にも、こんなことを言っている。

「私たちは、商業部門と緊密に協力し、その商業宇宙能力をすべて活用していることを確認します。」

「レジリエンスを導入するために設定されたすべてのミッションに対して、部門が独自のコンステレーションを構築する必要がないことは明らかです。」

S社のスタンスも、時間の経過とともに変わってきている。

「SpaceX の当初のアプローチは、Starlink 通信を商用サービスとして DoD に販売することでした」

スターシールドというコンセプト自体が、S社の歩み寄りと捉えることもできる。

「同社は、第 2 世代の Starlink 衛星バスにより、より大きく、より高い電力要件でペイロードをホストできることを約束し、軍に貢献するためのより良い位置付けになるでしょう。」

スターシールドに供される衛星が、V2そのものなのか、それとは別の、カスタム衛星になるのかは知らない。

「国防総省には、ホットな製造ラインを利用して、従来のオーダーメイドの買収と比較して、大幅なコスト削減を実現する機会がある」

リアルタイムに誘導兵器を制御したり、戦術情報を共有するためのクリティカルな情報伝達を民間通信に依存するということは考えづらいけど、それだって、タブーではないだろう。

「スケジュールが常に遅れ、予算を超過している従来の開発プログラムから脱却する必要がある」

「宇宙軍は、SpaceX のような企業や、アルゴリズムや単一の宇宙船だけでなく、完全に統合されたミッション ソリューションを提供できる企業と提携する必要があります」

軍から民間にスピンアウトした方の意見だから、多少眉唾で聞かなければならないとしても、垂直統合を受け入れるべきだという話もあるわけだ。

「国防総省の元請業者は、「セキュリティ インフラストラクチャと抑止力のバックボーンのような、大規模で費用のかかるプログラムを得意としています。彼らが苦手なのは、急速に変化する環境に適応するための非常に迅速な反復です。」」

「防衛は、ロシアや中国との戦略的競争により、大きな成長が期待される分野です。国防総省が望んでいるのは、商用技術の革新率での防衛技術です。それが聖杯です。」

聖杯かあ・・・。

まあ、そうでなくては中国には勝てないだろうしな。

NASAがアルテミスに失敗して、中国の有人月着陸に先を越されて、月軌道ステーションから指を咥えて眺める羽目になったとしても、米国が宇宙軍の競争に敗れて、グアムは愚か、ハワイやカリフォルニアまで中国に占領されることは許されないに違いない(もちろん、台湾や我が国は占領済み!)。

米軍の危機感は、まあ、短期的には予算獲得のブラフだとしても、中長期的には相当当たっている気がする。

「以前は、世界は完全に安全な場所だと思っていたので、自己満足していました・・・」

民間のファンドも、胡坐をかいていたようだ。

ウクライナ紛争は、太平の眠りを覚ますことになったわけだな。

「・・・ウクライナは人々を目覚めさせたと思います」

「スペースXがスターリンクで行ったことは、商用宇宙技術が国家安全保障アプリケーションにどのように役立つかを目に見える形で示すことだ」

「これは明らかに SpaceX を支援するだけでなく、業界全体が投資を引き付けるのにも役立ちます」

業界は、それがきっかけとなって、全体で活性化することを願っているようだが、S社一人勝ちになることは、まず間違いない。

ロケットラボが、適時打ち上げを受注する話も出てくるが、毎週打ち上げられるスターリンク衛星に相乗りする方が安いに決まっている(投入軌道が折り合えばね!)。

防衛市場の焼け太り的拡大は、短期的には隙間産業を助長することになるだろうが、やがては収斂されていくことになるのだ。

「誰もが機密扱いされていない商業的能力を完全に受け入れるところまで変化したのでしょうか? いいえ。しかし、妥協点を見つける必要があります。」

一方で、軍需への傾倒が、攻撃のリスクを増加させることも懸念されている。

「国防総省は、紛争で米軍を支援している間に衛星が損傷した場合に民間企業に補償するオプションを検討することを余儀なくされました.」

「たとえば、中国が台湾に侵攻した場合、スペースXは厄介な地政学的状況に陥る可能性がある.」

もちろん、中国はスターリンクを破壊しようとするだろう。

地球低軌道は、スペースデブリの雲で覆われ、ケスラーシンドローム状態に陥ることになる。

スターシールドが、どういう展開になるのかは、相変わらず不明だ。

スペースニュースのこの記事は、そんな中で、米国の状況を知る上での参考になる。

業界は、宇宙関係の防衛予算の増額を当てにして、投資を呼び込もうとしているようだが、現時点ではその増額の規模は微々たるものだ。

「防衛費の増加には、宇宙軍プログラムのための 17 億ドルが含まれます。」

が、それだって、ないよりマシな状況には違いない。

宇宙に対する民間投資は冷え切っているからな。

米軍の民間への傾倒が、この悪循環を断ち切り、宇宙への投資を呼び込むことに繋がるかどうかは分からない。

革新的なイノベーションが出てこない限り、S社一人勝ちな状況は、いずれにしても変わらないだろう。

水平統合を管理するコストはバカにならないしな。

結局、米軍は、民間依存の部分はS社に丸投げして、プロプラエタリーな環境を容認するに違いない(そうなのかあ?)。

クリティカルな部分は、従来の割高な企業(レイセオンとかロッキードマーチンとかB社とか)が請け負い、トータルでの開発効率は、さほど変わらなく収まることになる。

中国の勝利は間違いない(そんなあ!)。

スターリンクが破壊されたって、中国は痛くも痒くもない(どーせ使ってないしな)。

ロシアだって、困ることはないのだ。

今なら、バックボーンもショボいだろうからな。

全世界のバックボーンの半分をスターリンクに依存するようになれば、状況は変わるかも知れない。

もう、誰も手を出すことが出来なくなる(そうなのかあ?)。

中国は、潰すなら今のうちだと思っているかもしれない。

数年前なら、こんな話は与太話に過ぎなかった。

今は、必ずしも浮沈子の妄想とばかりは言えないだろう。

月面サンプルリターン、火星へのローバー展開、独自の宇宙ステーションの運用を通じて、中国は宇宙進出への自信を深めている(たぶんね!)。

ハッキングに成功すれば、スターリンクを完全に無効化できるし、S社と同じペースで使い捨てロケットを上げ続ければ、体当たりして軌道からはじき出すことが出来るかもしれない(S社と同じペースで上げることが出来るのは中国だけだし・・・)。

そうこうするうちに、アマゾンのカイパー衛星が大量に上がることになるからな。

そっちの面倒も見なければならない。

やれやれ・・・。

軍事衛星は、低軌道コンステレーションだけじゃないし。

静止軌道や、地球中軌道(GPS衛星など)、場合によっては、月軌道までカバーする必要が出てくる。

宇宙強国を目指す以上、それら全てに対応していかなければならないだろう。

中国の仮想敵国は、間違いなく米国だからな。

そこに、欧州やロシアが絡んでくる。

インドだって、黙って見てはいないだろう。

米国の下請けに甘んじている我が国だって、いつ衛星攻撃を受けるか知れたもんじゃない(米軍の静止軌道監視アイテムを、「みちびき」6、7号機に載せるしな)。

他人事じゃないのだ。

考えてみれば、米国は既に静止衛星に対する軌道維持のための燃料補給を実用化している。

つーことは、同じ能力を使って、他国の衛星に取り付いて、破壊工作を行うことだって可能なわけだ。

静止軌道も安閑とはしていられなくなる。

月面基地で水爆を作り(ヘリウム3を原料にするのは、原理的に難しいみたいですが:重水と10億度の熱が必要)、地球に向かってぶっ放す妄想に駆られている浮沈子からすれば、地球周回軌道でのスターウォーズは既に始まっているわけだ。

米軍が本気出して宇宙戦争に取り組まない限り、台頭する中国に対抗することはできないだろう。

S社が、そこにどう関わるのか。

スターシールドなんていう、付け焼刃で作った営業上の看板に過ぎないサービス(そうなのかあ?)が、本当に機能するのか。

まあ、どうでもいいんですが。

スターリンクの打ち上げは、連日のように続いている。

(スターリンク ミッション 2-4)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-2-4/

「開始日: 19/01/2023 16:43:10 CET」

(スターリンクミッション5-2)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-5-2/

「開始日: 26/01/2023 10:32:20 CET」

(スターリンク ミッション 2-6)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-2-6/

「開始日: 2023 年 1 月 31 日17:15:00 CET」

(スターリンクミッション5-3)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-5-3/

「開始日: 2023 年 2 月 2 日08:58:20 CET」

(スターリンクミッション2-2:打ち上げ予定)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-2-2/

「開始日:早ければ2023年2月」

まあいい。

スターリンクの打ち上げは見飽きたとか、のーてんきなことを言っていられるうちが花かも知れないな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

宇宙ネタとはあまり関係ないんだが、ブログにアップする直前に以下の情報が流れた。

(中国の偵察用気球か アメリカ本土上空で飛行を確認 米国防総省)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230203/k10013969441000.html

「気球は機密に関わる場所の上空を飛行しようとしている」

「過去数年間で複数回、確認している」

気球の高度などは、N社は報道していない。

(中国の偵察気球か 米本土上空を飛行、撃墜は見送り 米国防総省)
https://www.cnn.co.jp/usa/35199534.html

「気球は現在、民間の航空機よりはるかに高い高度で飛行しており、地上の人に対する軍事的、物理的な脅威にはならない」

宇宙ネタとしては、ちっと高度が足りない気もする。

高い高度で飛行していて軍事的脅威でないなら、偵察衛星なんて無害だろうにな・・・。

「機密情報の収集を防ぐ対策を「即座に」講じたとしている。」

屋根の下に入ったとか、ブルーシート掛けたとかあ?。

まあ、どうでもいいんですが。

偵察気球の話は、我が国でも以前にあった。

(東北の「謎の白い球体」結局何だったの? 考えうるその正体 他国の気球なら領空侵犯か)
https://trafficnews.jp/post/97830/2

「ロシア、北朝鮮、韓国、中国のいずれかの国を離陸した可能性が極めて大」

まあいい。

高度が低いと領空侵犯になるようだが、宇宙空間はおとがめなしということらしい(そうなのかあ?)。

空を見上げれば、そこに戦場がある。

そんな時代を生きるのは御免被りたいが、どうやら避けられそうもない感じだな・・・。

🐱スターシップ:使い捨てだあ!?2023年02月03日 16:15

スターシップ:使い捨てだあ!?
スターシップ:使い捨てだあ!?


(イーロン マスクは、SpaceX の再利用可能なスターシップ ロケットの使い捨てバージョンをほのめかす)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-expendable-variant-elon-musk-2023/

「SpaceXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、同社が最終的に次世代スターシップロケットの使い捨てバージョンを開発する可能性」

引用されているツイッターでは、それはあくまでもオプションだと言っているが、外野にとっては驚天動地、青天の霹靂、ちゃぶ台返しにも等しい。

裏切りであり、背信であり、逃避であり、妥協だ。

まあ、エリックラルフが言う通り、開発の途上での運用では、必然的にそうならざるを得ないし、報じられているところによれば、軌道上の燃料貯蔵デポや、月面着陸機HLSは、当然、使い捨てを想定した構造になる。

「Starship を使用して NASA の宇宙飛行士を月に帰還させるという SpaceX の数十億ドル規模の契約は、推進剤を軌道上に保管し、地球に戻ることができないデポ船の変種を中心に展開しています。」

「最初の数機の月着陸船は、機能的に消耗品であり、それぞれ 1 人の宇宙飛行士の着陸にのみ使用される可能性があります。」

今回の記事で注目なのは、そういうのとは別に、意図的に使い捨てバージョンを組み込もうという話なわけだ。

「SpaceX の Starbase 工場では、意図的に消耗する複数の Starship をすでに建造しています。26号船と 27 号船には熱保護機能がなく、熱シールド タイルがなく、フラップが取り付けられていないため、回収や再利用が不可能です。」

いやいや、これだって開発中の特定目的な2段目には違いない。

「おそらく、それらは軌道再充填や極低温流体管理などの他の重要なスターシップ技術をテストするために使用されるでしょう.」

問題なのは、これらの既知の話とは別に、初めから再使用を想定していない、「完成品」としての使い捨てバージョンの話だ。

「使い捨て宇宙船:
2023 年初頭、SpaceX はウェブサイトのスターシップ セクションを更新し、ロケットの使い捨てバージョンが 1 回の打ち上げで最大 250 メートル トン (約 550,000 ポンド) の低地球軌道を打ち上げることができることを明らかにしました。」

「SpaceX が Starship の消耗品のパフォーマンスを公に宣伝していることは、当然のことながら、同社が新しい打ち上げシステムが提供するすべての機能を検討していることを示しています。」

べらぼーめ・・・。

記事では、例として、ISSが420トンであることから、こんなもんは2回の打ち上げで済んじまうと言っている。

もちろん、数字の上の遊びであって、ほぼドンガラなISSの船体を運ぶためには、同じくらいの手間暇がかかることは言うまでもない(アメリカ区画の各モジュールの設計は、スペースシャトルの貨物室の大きさの制約からきている)。

今でもくっ付いているビゲロー風船みたいなやつでも、2回じゃとてもムリポな話だ。

が、その巨大な打ち上げ能力をフルに活用する機会があれば、そして、絶対燃え残るに決まっているドデカい図体をどうするのかという話に決着を着けられれば、250トンのペイロードを軌道上に上げることが出来るわけだ。

(スターシップ
地球軌道、月、火星、その先へのサービス)
https://www.spacex.com/vehicles/starship/

「スターシップは、これまでに開発された世界で最も強力なロケットとなり、最大 150 トンを再利用可能で地球軌道に運ぶ能力と、最大 250 トンの消耗品を運ぶことができます。」

一応、S社のページで確認した。

ユーザーズマニュアルV1では、貨物の重量はLEOで100トンのままだがな。

まあいい。

今回の記事は、獲らぬ狸の何とやらの範囲を出ない。

再使用だろうが使い捨てだろうが、スーパーヘビーブースターの33基のラプター2改良型のエンジンが同時点火できなければ、絵に描いた餅に終わる。

250トンというのも、1段目の回収もしない、完全使い捨ての話なのか、2段目だけを回収しない時の話なのかも判然としない(たぶん、完全使い捨てだろうけど)。

2段目だけを使い捨てにするということなら、ペイロードは250トンから、もう少し減るに違いない(未確認)。

まあ、どうでもいいんですが。

イーロンマスクの言う通り、これはあくまでもパフォーマンスのアピールに過ぎず、特殊用途に限ったオプションということになるだろう。

完全再使用無きスターシップは、断念であり、妥協であり、裏切りであり、夢の終焉だ。

そして、それは同時に、有人バージョンの開発がなされないことを意味する。

大陸間弾道旅客ロケットも、米軍の兵站を塗り替える用途も、火星移民も露と消える。

それはないだろうな。

今回のテスララティのニュースは、その辺を分かったうえでの、一種の洒落だ。

が、S社も商売しなければならないからな。

使い捨てにする費用を払ってくれる顧客がいれば、その希望に応じて250トンを軌道に上げることになる。

魚心あれば水心・・・。

そんなべらぼーな重量のペイロードがあるのかどうかは知らない。

おっと、スターリンクV2は、1.25トンと言われていたからな。

一度に、200機を上げることが可能だ。

実際には、暫定的な低軌道に展開することになるだろうから、搭載スペースさえ許せば、更に機数を増やせるかもしれないし、V2衛星の仕様を変更して、通信機能を増強することになるかも知れない。

スターシップが、使い捨てで終わることはない(断定的!)。

が、スターリンク(と、スターシールドも)の展開を急ぐことになった場合のオプションとしての可能性はある。

が、コストを考えれば、少なくとも1段目のスーパーヘビーは回収したいところだろう。

「Musk は以前にも似たような提案をしており、SpaceX は消耗型の惑星間打ち上げ用に「熱シールドやフィン/脚のない」Starship の「軽量化」バージョンを開発できると指摘している。」

そういう用途もあるかも知れないな。

以前、月面着陸の話で、クルードラゴンで打ち上げ、HLSで地球周回軌道から月面に運び、再び地球周回軌道に戻って来て、クルードラゴンで帰還する話があった(米国議会が、それを認めるかどうかは別ですが)。

宇宙空間での再使用ということになるけど、2段目は地球に戻ってくることはない。

我々は、既に、そういう宇宙船を長年にわたって運用している。

そう、ロシアのミールや、ISS、中国の天宮は、使い捨ての2段目(と、その組み合わせ)なわけだ。

まあ、ISSの米国側モジュールは、ペイロードとしてスペースシャトルの貨物室に積まれて運ばれているけどな。

他は、皆、宇宙船でもある。

地球大気圏と宇宙空間とを行ったり来たりする宇宙往還機と、宇宙空間だけで使い続けられる純粋な宇宙船とは、本来、区別して考えられなければならないだろう。

スターシップの使い捨てバージョン(まあ、ここでは2段目だけの使い捨てを想定しているけど)の話は、そういう文脈で捉え直す必要もあるかも知れない。

繰り返すが、全ては33基のラプターに火が入った後の話だ。

そのマイルストーンを超えられなければ、スターシップは文字通り露と消える。

完全再使用だろうが、部分的再使用だろうが、完全消耗だろうがそれは同じだ。

物理の神様は公平だ。

人類史上最大のロケットは、今、正念場を迎えようとしている。

確かなことは、それだけだ・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

テスララティの記事に貼り付けられている画像では、タンカーと燃料デポ、HLSがそれぞれスーパーヘビーブースターの上に乗っかっている。

タンカーは、まあ、窓のない貨物用のスターシップで、着陸時のベリーフロップをするためのフィンも付いているから見慣れた感じだ。

デポは初めて見たが、やや全長が長い。

記事にあるように、使い捨て(大気圏への再突入はしない意味)だから、余計なものは何もない。

ラプターだって、おそらく1基しか付いていないのではないか(未確認:ひょっとすると、これの打ち上げの際にはスーパーヘビーブースターを使い捨てにして、デポにはラプターは積まないかもしれないな:軌道変更用のスラスターだけ)。

打ち上げの際は、ドンガラで上げるわけだし。

最大の容量を確保するために、最適化しているハズだ。

で、タンカーから給油(液酸と液体メタン)を受けることになる。

その際のノウハウは、これから蓄積されることになるんだろう。

いずれにしても、現物が上がらなければ始まらないからな。

これらの燃料インフラの上に、アプリケーションとしてのHLSが乗っかる。

巨大な燃料タンクを満タンにするためには、タンカーバージョンのスターシップを10回くらいは飛ばさなくてはならないだろう(タンカーは、再突入して戻ってくるからな。そんなには積めない)。

それだって、複数のタンカーで矢継ぎ早に入れれば、短期間でいっぱいにすることが出来るはずだ。

HLSは、荷物を満載して打ち上げられ、軌道上でデポから腹一杯給油して月に向かい、オリオン宇宙船から、直接、またはゲートウェイ経由で人間を移乗させて月面に向かうことになる。

月の重力は小さいからな。

大気は無きに等しいから、パワードランディングしかないけど、燃料は同じメタン酸素系になる(そうじゃない選択肢もあり得るけどな)。

そこも、新規開発になるわけで、ものになるかどうかは分からない。

ブログ本文でも触れたが、オリオンを使わない選択肢が登場する可能性もある。

クルードラゴンで地球中軌道に運ぶというやつだ。

燃料補給の問題があるから、継続的運用には向かないかもしれないが、アルテミス3のバックアップとしての可能性がないとは言えない。

中国の有人月面着陸を、ゲートウェイから指を咥えて眺めるのと、どっちがいいかという選択になる(そうなのかあ?)。

運用次第だが、デポを高軌道まで持ち上げることが出来れば(何しろ、図体がデカいからな)、継続的な運用に移行することも可能かもしれない(未確認)。

クルードラゴンだって、そんなに高い軌道まで上がれるわけではない。

HLSに頑張ってもらって、なるべく低い軌道まで降りてきてもらうしかないだろう。

理想的には、ISS高度(400km)まで来てもらえれば最高だ。

まんま、2001年宇宙の旅だな。

アルテミス3の基本パーツは、一応、絵に描いた餅までは出来ている。

画像は、タンカーも、デポも、HLSも、全部がスーパーヘビーブースターに乗った絵面で描かれている。

スーパーヘビーが上がらなければ、絵餅で終わることを象徴している気がしてならない・・・。