🐱怪しい「みちびき」2023年02月03日 00:04

怪しい「みちびき」
怪しい「みちびき」


宇宙の軍事利用が民間の資源を当てにし出している(調べているのは、スターシールド絡み)。

このことについては、稿を改めて書くけど、関連情報を当たっていたら、瓢箪から駒が出た。

(米国は、日本の衛星に搭載される 2 つの宇宙センサーのうちの最初のものを納入)
https://spacenews.com/u-s-delivers-first-of-two-space-sensors-to-be-hosted-on-japanese-satellites/

「米国の 2 つのペイロードは、静止軌道上の別々の QZSS 衛星でホストされます。」

「マサチューセッツ州ハンスコム空軍基地の米空軍技術者は、2023 年 1 月 5 日に準天頂衛星システム QZSS 衛星に搭載される予定の打ち上げのために日本に出荷された米国センサー ペイロードのコンポーネントを確保します。」(記事の写真のキャプションより)

「最初のセンサーは QZS-6 で飛行し、2 番目のセンサーは QZS-7 で飛行し、現在、それぞれ 2023 年と 2024 年に打ち上げられる予定です。」

「日本の国家宇宙政策事務局および三菱電機株式会社と協力して、QZS-6 および QZS-7 にセンサーを統合しています。」

「ペイロードは、マサチューセッツ州のハンスコム空軍基地の第 66 航空基地翼から日本の横田空軍基地の第 374 空輸航空団まで航空移動司令部が運用する軍用機で輸送されました。 」

この件については、米軍関係の記事が上がっている。

(日本の国家宇宙政策局が米国宇宙軍と歴史的な覚書に署名)
https://www.spaceforce.mil/News/Article/2451728/japans-office-of-national-space-policy-signs-historic-mou-with-the-us-space-for/

「米国宇宙軍と日本の国家宇宙政策局は、今週、日本の準天頂衛星システムで 2 つの米国ペイロードを打ち上げるための歴史的な覚書に署名しました。」

「空軍の宇宙ミサイルシステムセンターは、スペースドメイン認識光学センサーを備えたペイロードを開発しており、それぞれ2023年と2024年に日本の種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です。」

このセンサー自体は、静止軌道上の衛星を監視するためのアイテムで、レーザーぶっ放して片っ端から破壊するようなことはしない(うーん、未確認!)。

(リンカーン研究所は、日本の衛星に統合するためのペイロードを設計しています)
https://news.mit.edu/2020/lincoln-laboratory-designing-payload-integrate-japanese-satellites-1203

「米国は、日本が開発中の地域航法衛星に搭載されるセンサーを提供する。」

画像を見ると、衛星本体に取り付いているコバンザメ程度の大きさだ。

記事にあるように、同じ様な仕掛けは、既に独自衛星として低軌道で運用され、静止軌道上の衛星を監視し続けている。

「宇宙システム技術部門は、SDA センサー開発、特に現在低地球軌道 (LEO) で運用されている ORS-5/SensorSat 衛星の開発における豊富な経験から、このプログラムを主導することに従事しました。」

「2017 年に LEO に打ち上げられた SensorSat は、地球から約 35,800 キロメートル上空にある GEO ベルトの宇宙活動を監視しています。」

同じ様な光学センサーを使って、静止軌道上からの監視体制を併用することになるわけだな。

「独自の電力(太陽電池、バッテリーなど)を生成する必要がなく、誘導、ナビゲーション、および制御機能も必要としないという点で、完全自律型衛星よりも単純」

「ただし、ペイロードは、LEO で SensorSat が直面するよりも GEO 軌道ではるかに厳しい放射線環境に耐えなければなりません。」

「日本は、ペイロードのダウンリンクに毎秒 2 キロビットしか割り当てることができませんが、SensorSat は、地上受信機の空軍宇宙管制ネットワークへの専用リンクを介して毎秒 7.5 メガビットを利用します。」

どーすんの!?。

「画像処理のかなりの量をペイロードに搭載して実行し、ターゲットのトラックと観測を地上に送信する必要があります」

「対照的に、SensorSat は未加工の圧縮画像を処理のために地上局に送信します。」

「日本の衛星は GEO ベルト内に配置されているため、ベルト内の他の衛星を非常に狭く見ることができます。より大きな視野を可能にするために、2 軸スキャン ミラーが設計に追加され、SensorSat プログラムと同じ基本システムでミッション ユーティリティが改善されました。」

コバンザメ仕様にするためや、視野角の確保のための改造が施されている。

問題なのは、我が国の独自衛星に、米軍のインスツルメントが搭載されることだろうな。

中国やロシアからの衛星攻撃のターゲットになるわけだ。

まあ、そもそも測位衛星自体が軍事衛星なわけだから、そこは相乗りの敷居は低い。

スカパーの放送衛星に自衛隊の通信衛星が相乗りするよりは、無理のない話に聞こえる。

浮沈子的に気になっているのは、準天頂衛星とは言いながら、相乗りするお相手のQZS-6とQZS-7が、いずれも静止軌道な点だ。

(準天頂衛星システム)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%96%E5%A4%A9%E9%A0%82%E8%A1%9B%E6%98%9F%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

「みちびき3号機:
・・・
3号機は1・2・4号機と異なり、静止軌道へ投入して静止衛星で運用」

3号機と合わせると、7機態勢のうち、3機が静止軌道で運用されることになる。

(衛星測位に関する取組方針)
https://www8.cao.go.jp/space/qzs/houshin/houshin.pdf

「過去、7機体制のシステム構成を検討するにあたっては、持続測位、すなわち、他国の測位衛星が使用できない場合でも、我が国のシステムのみで最低限の測位サービスの提供を持続できること、及び、常に日本とその近傍の高仰角方向に衛星が存在する時間率を評価指標として、衛星機数や軌道配置が検討されたという経緯がある。その結果、準天頂軌道衛星4機と静止軌道衛星3機(準静止衛星含む)の計7機のシステム構成が選択されている。」

(「みちびき3号機」が静止軌道なのはなぜ?)
https://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/10421.html

「衛星測位では、特定方向に衛星が偏った状態で信号を受信すると精度が落ちるので、測位精度を向上させるには衛星がまんべんなく天空に散らばっている状態が望ましいとされています(=DOP:Dilution of Precision、精度低下率といいます)。」

「3機が交替で「ほぼ」天頂付近に位置すると、もう1機が(地球の自転と同じ周期で公転し、一点に留まっているように見える)静止軌道であれば、GPS衛星(=地球の自転周期と無関係の中高度軌道で、地上から見て常に位置が変わる)と組み合わせて、DOPを小さくし、測位精度を向上させることができます。」

DOPの改善だけが理由なら、3機もいらないと思うんだがな。

そもそも、静止軌道は我が国からは高仰角にはならないしな。

内閣府の資料にある「準静止衛星」というのが、何を指しているのかは知らないが、ビミョーに静止していないのかもしれないし、このビミョーなズレこそが、米軍のインスツルメントの搭載に都合がいいのかも知れない(3号機は、純然たる静止軌道だし・・・)。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子は、こういう重箱の隅をつつくような話が大好きだ。

神は細部に宿る。

確認しておこう。

我が国の軍事衛星であるみちびきシリーズの今後の打ち上げの中で、米軍のアイテムの搭載が予定されていて、少なくとも1台は既に横田に搬入されている。

打上げは、5号機(準天頂軌道?)が2023年度、アイテムを積む6号機、7号機(いずれも静止軌道?)が2024年度とされている(H3ロケット予定:ちょっとずれ込んでるけどな)。

これからも、米軍のアイテムを搭載する我が国の衛星は増えるに違いない。

というよりも、軍事アイテムを乗せることを前提に、民生用衛星が設計される時代になるのだ。

それらは、当然攻撃の対象となる。

新たなスターウォーズの時代が始まる。

数万機のスターリンク衛星を初めとして、ターゲットに不自由はない。

それらが破壊されていく中で、スペースデブリは桁違いに増えていくだろうな。

特に、静止軌道上のスペースデブリは始末に負えないからな(落ちてくることはないし、静止軌道上で他の衛星を破壊しまくることになる)。

MIT開発のセンサーが、静止軌道上の破壊工作を探知して、未然に防いでくれることに繋がればそれに越したことはないが、米軍自体が敵国の静止衛星を破壊することに使うかも知れないしな。

我が国は、その破壊行為に加担することになるわけだ。

みちびきは、のほほんとした民生用の衛星じゃない。

軍事利用を前提とした、センチメートル級の精度を誇る超精密測位衛星だ。

今後配備される精密誘導ミサイルなどの攻撃兵器にとっては、なくてはならない仕掛なわけだ。

そこに、米軍のセンサーが搭載される。

結構な話じゃないの・・・。

🐱スターシールド:未来の道2023年02月03日 10:49

スターシールド:未来の道


スターシールドについては、情報が限られていて、現時点での記事は限定されている。

ネットで検索しても、ろくな記事がヒットしない。

概ね、S社のホームページ上での発表の内容に、S社の事業を絡めたり、ウクライナ紛争におけるスターリンクの役割を絡めて、ボリュームを稼いだりする程度だ。

(スペースXが「スターシールド」を打ち上げ。大きな可能性を秘めた静かな発表)
https://www.universetoday.com/159051/spacex-launches-starshield-a-quiet-announcement-with-a-huge-potential/

「得られた情報はかなり限られていますが、物事がどこに向かっているのかを知るには十分です」

「米国政府と協力することは、SpaceX にとって新しいことではありません。彼らはすでに、NASA、米国空軍、および米国宇宙軍のために複数の打ち上げを行っています。スターシールドにより、彼らはこの関係を拡大するつもりです」

いつになったら、まともな情報が出てくるのかは分からない。

本家のスターリンク(スターシールドも、このインフラを使うサービスになる)のFCCによる承認が、スターシールド絡みで部分的にしか許可されなかったことは、米国当局が、このサービス(スターシールドの方)に、如何に注目しているかということを表している(たぶんね・・・)。

つーことは、あれだな、米国当局(NASAや米軍)が、その利用に際してどういうスタンスかという観点を確認しておく必要があるだろう。

このブログでも記事にしたが、米軍は民間の宇宙資源の活用に熱心だ。

通信分野における活用は、手っ取り早い用途だが、スターシールドが提供しようとしているのは、衛星の製作、打ち上げ、通信サービスの提供まで含めた垂直統合されたプロプラエタリーなサービス(しかもワンストップサービス)であって、米軍がこれまで求めてきたような、さまざまな民間企業と軍とが共存するオープンなアーキテクチャーではない。

そこを、どう調整するかというのが技術的にも政策的にも注目されるところだが、FCCの認可状況を見ると、未だに揉めているんだろう。

スターシップの開発の遅れもあって、S社としてもスターリンクV2の打ち上げを急ぐ必要がないし、携帯電話と直接通信したりする話も出ていて、V2衛星の仕様も揺れている。

一方で、V1.5の展開に伴う顧客の増加は通信のひっ迫をもたらし、衛星の打ち上げ需要を喚起しており、FCCの追加認可(7500機分)も、従来の計画の一部を差し替える形で、既存の衛星を新規認可の軌道に投入するという、ややワケワカの話に落ち着いている(テスララティのエリックラルフはブチ切れてましたが:当事者同士は、ちゃんと納得づくで合意したに違いない)。

この辺りの調整がどうなるか(米軍とS社の攻防)が、今後の展開を左右するところだが、米軍が民間の宇宙資源を活用するという大きな方向性は変わらない。

先月報じられたスペースニュースの記事は、この辺りの事情を確認することになった。

(スターシールドで、スペースXは戦いの準備ができています)
https://spacenews.com/with-starshield-spacex-readies-for-battle/

「米国には、世界のどこよりもはるかに回復力のある商業宇宙企業があります。中国人はそれを知っており、私たちはそれに傾倒するつもりです」

仮想敵国は、ロシアではなく中国なわけだな。

「国防総省が 10 月に発表した米国の国防戦略文書は、中国を、防衛および宇宙技術で米国を凌駕する恐れのある「ペーシング チャレンジ」と呼んでいます。」

12月にも、こんなことを言っている。

「私たちは、商業部門と緊密に協力し、その商業宇宙能力をすべて活用していることを確認します。」

「レジリエンスを導入するために設定されたすべてのミッションに対して、部門が独自のコンステレーションを構築する必要がないことは明らかです。」

S社のスタンスも、時間の経過とともに変わってきている。

「SpaceX の当初のアプローチは、Starlink 通信を商用サービスとして DoD に販売することでした」

スターシールドというコンセプト自体が、S社の歩み寄りと捉えることもできる。

「同社は、第 2 世代の Starlink 衛星バスにより、より大きく、より高い電力要件でペイロードをホストできることを約束し、軍に貢献するためのより良い位置付けになるでしょう。」

スターシールドに供される衛星が、V2そのものなのか、それとは別の、カスタム衛星になるのかは知らない。

「国防総省には、ホットな製造ラインを利用して、従来のオーダーメイドの買収と比較して、大幅なコスト削減を実現する機会がある」

リアルタイムに誘導兵器を制御したり、戦術情報を共有するためのクリティカルな情報伝達を民間通信に依存するということは考えづらいけど、それだって、タブーではないだろう。

「スケジュールが常に遅れ、予算を超過している従来の開発プログラムから脱却する必要がある」

「宇宙軍は、SpaceX のような企業や、アルゴリズムや単一の宇宙船だけでなく、完全に統合されたミッション ソリューションを提供できる企業と提携する必要があります」

軍から民間にスピンアウトした方の意見だから、多少眉唾で聞かなければならないとしても、垂直統合を受け入れるべきだという話もあるわけだ。

「国防総省の元請業者は、「セキュリティ インフラストラクチャと抑止力のバックボーンのような、大規模で費用のかかるプログラムを得意としています。彼らが苦手なのは、急速に変化する環境に適応するための非常に迅速な反復です。」」

「防衛は、ロシアや中国との戦略的競争により、大きな成長が期待される分野です。国防総省が望んでいるのは、商用技術の革新率での防衛技術です。それが聖杯です。」

聖杯かあ・・・。

まあ、そうでなくては中国には勝てないだろうしな。

NASAがアルテミスに失敗して、中国の有人月着陸に先を越されて、月軌道ステーションから指を咥えて眺める羽目になったとしても、米国が宇宙軍の競争に敗れて、グアムは愚か、ハワイやカリフォルニアまで中国に占領されることは許されないに違いない(もちろん、台湾や我が国は占領済み!)。

米軍の危機感は、まあ、短期的には予算獲得のブラフだとしても、中長期的には相当当たっている気がする。

「以前は、世界は完全に安全な場所だと思っていたので、自己満足していました・・・」

民間のファンドも、胡坐をかいていたようだ。

ウクライナ紛争は、太平の眠りを覚ますことになったわけだな。

「・・・ウクライナは人々を目覚めさせたと思います」

「スペースXがスターリンクで行ったことは、商用宇宙技術が国家安全保障アプリケーションにどのように役立つかを目に見える形で示すことだ」

「これは明らかに SpaceX を支援するだけでなく、業界全体が投資を引き付けるのにも役立ちます」

業界は、それがきっかけとなって、全体で活性化することを願っているようだが、S社一人勝ちになることは、まず間違いない。

ロケットラボが、適時打ち上げを受注する話も出てくるが、毎週打ち上げられるスターリンク衛星に相乗りする方が安いに決まっている(投入軌道が折り合えばね!)。

防衛市場の焼け太り的拡大は、短期的には隙間産業を助長することになるだろうが、やがては収斂されていくことになるのだ。

「誰もが機密扱いされていない商業的能力を完全に受け入れるところまで変化したのでしょうか? いいえ。しかし、妥協点を見つける必要があります。」

一方で、軍需への傾倒が、攻撃のリスクを増加させることも懸念されている。

「国防総省は、紛争で米軍を支援している間に衛星が損傷した場合に民間企業に補償するオプションを検討することを余儀なくされました.」

「たとえば、中国が台湾に侵攻した場合、スペースXは厄介な地政学的状況に陥る可能性がある.」

もちろん、中国はスターリンクを破壊しようとするだろう。

地球低軌道は、スペースデブリの雲で覆われ、ケスラーシンドローム状態に陥ることになる。

スターシールドが、どういう展開になるのかは、相変わらず不明だ。

スペースニュースのこの記事は、そんな中で、米国の状況を知る上での参考になる。

業界は、宇宙関係の防衛予算の増額を当てにして、投資を呼び込もうとしているようだが、現時点ではその増額の規模は微々たるものだ。

「防衛費の増加には、宇宙軍プログラムのための 17 億ドルが含まれます。」

が、それだって、ないよりマシな状況には違いない。

宇宙に対する民間投資は冷え切っているからな。

米軍の民間への傾倒が、この悪循環を断ち切り、宇宙への投資を呼び込むことに繋がるかどうかは分からない。

革新的なイノベーションが出てこない限り、S社一人勝ちな状況は、いずれにしても変わらないだろう。

水平統合を管理するコストはバカにならないしな。

結局、米軍は、民間依存の部分はS社に丸投げして、プロプラエタリーな環境を容認するに違いない(そうなのかあ?)。

クリティカルな部分は、従来の割高な企業(レイセオンとかロッキードマーチンとかB社とか)が請け負い、トータルでの開発効率は、さほど変わらなく収まることになる。

中国の勝利は間違いない(そんなあ!)。

スターリンクが破壊されたって、中国は痛くも痒くもない(どーせ使ってないしな)。

ロシアだって、困ることはないのだ。

今なら、バックボーンもショボいだろうからな。

全世界のバックボーンの半分をスターリンクに依存するようになれば、状況は変わるかも知れない。

もう、誰も手を出すことが出来なくなる(そうなのかあ?)。

中国は、潰すなら今のうちだと思っているかもしれない。

数年前なら、こんな話は与太話に過ぎなかった。

今は、必ずしも浮沈子の妄想とばかりは言えないだろう。

月面サンプルリターン、火星へのローバー展開、独自の宇宙ステーションの運用を通じて、中国は宇宙進出への自信を深めている(たぶんね!)。

ハッキングに成功すれば、スターリンクを完全に無効化できるし、S社と同じペースで使い捨てロケットを上げ続ければ、体当たりして軌道からはじき出すことが出来るかもしれない(S社と同じペースで上げることが出来るのは中国だけだし・・・)。

そうこうするうちに、アマゾンのカイパー衛星が大量に上がることになるからな。

そっちの面倒も見なければならない。

やれやれ・・・。

軍事衛星は、低軌道コンステレーションだけじゃないし。

静止軌道や、地球中軌道(GPS衛星など)、場合によっては、月軌道までカバーする必要が出てくる。

宇宙強国を目指す以上、それら全てに対応していかなければならないだろう。

中国の仮想敵国は、間違いなく米国だからな。

そこに、欧州やロシアが絡んでくる。

インドだって、黙って見てはいないだろう。

米国の下請けに甘んじている我が国だって、いつ衛星攻撃を受けるか知れたもんじゃない(米軍の静止軌道監視アイテムを、「みちびき」6、7号機に載せるしな)。

他人事じゃないのだ。

考えてみれば、米国は既に静止衛星に対する軌道維持のための燃料補給を実用化している。

つーことは、同じ能力を使って、他国の衛星に取り付いて、破壊工作を行うことだって可能なわけだ。

静止軌道も安閑とはしていられなくなる。

月面基地で水爆を作り(ヘリウム3を原料にするのは、原理的に難しいみたいですが:重水と10億度の熱が必要)、地球に向かってぶっ放す妄想に駆られている浮沈子からすれば、地球周回軌道でのスターウォーズは既に始まっているわけだ。

米軍が本気出して宇宙戦争に取り組まない限り、台頭する中国に対抗することはできないだろう。

S社が、そこにどう関わるのか。

スターシールドなんていう、付け焼刃で作った営業上の看板に過ぎないサービス(そうなのかあ?)が、本当に機能するのか。

まあ、どうでもいいんですが。

スターリンクの打ち上げは、連日のように続いている。

(スターリンク ミッション 2-4)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-2-4/

「開始日: 19/01/2023 16:43:10 CET」

(スターリンクミッション5-2)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-5-2/

「開始日: 26/01/2023 10:32:20 CET」

(スターリンク ミッション 2-6)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-2-6/

「開始日: 2023 年 1 月 31 日17:15:00 CET」

(スターリンクミッション5-3)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-5-3/

「開始日: 2023 年 2 月 2 日08:58:20 CET」

(スターリンクミッション2-2:打ち上げ予定)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-2-2/

「開始日:早ければ2023年2月」

まあいい。

スターリンクの打ち上げは見飽きたとか、のーてんきなことを言っていられるうちが花かも知れないな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

宇宙ネタとはあまり関係ないんだが、ブログにアップする直前に以下の情報が流れた。

(中国の偵察用気球か アメリカ本土上空で飛行を確認 米国防総省)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230203/k10013969441000.html

「気球は機密に関わる場所の上空を飛行しようとしている」

「過去数年間で複数回、確認している」

気球の高度などは、N社は報道していない。

(中国の偵察気球か 米本土上空を飛行、撃墜は見送り 米国防総省)
https://www.cnn.co.jp/usa/35199534.html

「気球は現在、民間の航空機よりはるかに高い高度で飛行しており、地上の人に対する軍事的、物理的な脅威にはならない」

宇宙ネタとしては、ちっと高度が足りない気もする。

高い高度で飛行していて軍事的脅威でないなら、偵察衛星なんて無害だろうにな・・・。

「機密情報の収集を防ぐ対策を「即座に」講じたとしている。」

屋根の下に入ったとか、ブルーシート掛けたとかあ?。

まあ、どうでもいいんですが。

偵察気球の話は、我が国でも以前にあった。

(東北の「謎の白い球体」結局何だったの? 考えうるその正体 他国の気球なら領空侵犯か)
https://trafficnews.jp/post/97830/2

「ロシア、北朝鮮、韓国、中国のいずれかの国を離陸した可能性が極めて大」

まあいい。

高度が低いと領空侵犯になるようだが、宇宙空間はおとがめなしということらしい(そうなのかあ?)。

空を見上げれば、そこに戦場がある。

そんな時代を生きるのは御免被りたいが、どうやら避けられそうもない感じだな・・・。

🐱スターシップ:使い捨てだあ!?2023年02月03日 16:15

スターシップ:使い捨てだあ!?
スターシップ:使い捨てだあ!?


(イーロン マスクは、SpaceX の再利用可能なスターシップ ロケットの使い捨てバージョンをほのめかす)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-expendable-variant-elon-musk-2023/

「SpaceXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、同社が最終的に次世代スターシップロケットの使い捨てバージョンを開発する可能性」

引用されているツイッターでは、それはあくまでもオプションだと言っているが、外野にとっては驚天動地、青天の霹靂、ちゃぶ台返しにも等しい。

裏切りであり、背信であり、逃避であり、妥協だ。

まあ、エリックラルフが言う通り、開発の途上での運用では、必然的にそうならざるを得ないし、報じられているところによれば、軌道上の燃料貯蔵デポや、月面着陸機HLSは、当然、使い捨てを想定した構造になる。

「Starship を使用して NASA の宇宙飛行士を月に帰還させるという SpaceX の数十億ドル規模の契約は、推進剤を軌道上に保管し、地球に戻ることができないデポ船の変種を中心に展開しています。」

「最初の数機の月着陸船は、機能的に消耗品であり、それぞれ 1 人の宇宙飛行士の着陸にのみ使用される可能性があります。」

今回の記事で注目なのは、そういうのとは別に、意図的に使い捨てバージョンを組み込もうという話なわけだ。

「SpaceX の Starbase 工場では、意図的に消耗する複数の Starship をすでに建造しています。26号船と 27 号船には熱保護機能がなく、熱シールド タイルがなく、フラップが取り付けられていないため、回収や再利用が不可能です。」

いやいや、これだって開発中の特定目的な2段目には違いない。

「おそらく、それらは軌道再充填や極低温流体管理などの他の重要なスターシップ技術をテストするために使用されるでしょう.」

問題なのは、これらの既知の話とは別に、初めから再使用を想定していない、「完成品」としての使い捨てバージョンの話だ。

「使い捨て宇宙船:
2023 年初頭、SpaceX はウェブサイトのスターシップ セクションを更新し、ロケットの使い捨てバージョンが 1 回の打ち上げで最大 250 メートル トン (約 550,000 ポンド) の低地球軌道を打ち上げることができることを明らかにしました。」

「SpaceX が Starship の消耗品のパフォーマンスを公に宣伝していることは、当然のことながら、同社が新しい打ち上げシステムが提供するすべての機能を検討していることを示しています。」

べらぼーめ・・・。

記事では、例として、ISSが420トンであることから、こんなもんは2回の打ち上げで済んじまうと言っている。

もちろん、数字の上の遊びであって、ほぼドンガラなISSの船体を運ぶためには、同じくらいの手間暇がかかることは言うまでもない(アメリカ区画の各モジュールの設計は、スペースシャトルの貨物室の大きさの制約からきている)。

今でもくっ付いているビゲロー風船みたいなやつでも、2回じゃとてもムリポな話だ。

が、その巨大な打ち上げ能力をフルに活用する機会があれば、そして、絶対燃え残るに決まっているドデカい図体をどうするのかという話に決着を着けられれば、250トンのペイロードを軌道上に上げることが出来るわけだ。

(スターシップ
地球軌道、月、火星、その先へのサービス)
https://www.spacex.com/vehicles/starship/

「スターシップは、これまでに開発された世界で最も強力なロケットとなり、最大 150 トンを再利用可能で地球軌道に運ぶ能力と、最大 250 トンの消耗品を運ぶことができます。」

一応、S社のページで確認した。

ユーザーズマニュアルV1では、貨物の重量はLEOで100トンのままだがな。

まあいい。

今回の記事は、獲らぬ狸の何とやらの範囲を出ない。

再使用だろうが使い捨てだろうが、スーパーヘビーブースターの33基のラプター2改良型のエンジンが同時点火できなければ、絵に描いた餅に終わる。

250トンというのも、1段目の回収もしない、完全使い捨ての話なのか、2段目だけを回収しない時の話なのかも判然としない(たぶん、完全使い捨てだろうけど)。

2段目だけを使い捨てにするということなら、ペイロードは250トンから、もう少し減るに違いない(未確認)。

まあ、どうでもいいんですが。

イーロンマスクの言う通り、これはあくまでもパフォーマンスのアピールに過ぎず、特殊用途に限ったオプションということになるだろう。

完全再使用無きスターシップは、断念であり、妥協であり、裏切りであり、夢の終焉だ。

そして、それは同時に、有人バージョンの開発がなされないことを意味する。

大陸間弾道旅客ロケットも、米軍の兵站を塗り替える用途も、火星移民も露と消える。

それはないだろうな。

今回のテスララティのニュースは、その辺を分かったうえでの、一種の洒落だ。

が、S社も商売しなければならないからな。

使い捨てにする費用を払ってくれる顧客がいれば、その希望に応じて250トンを軌道に上げることになる。

魚心あれば水心・・・。

そんなべらぼーな重量のペイロードがあるのかどうかは知らない。

おっと、スターリンクV2は、1.25トンと言われていたからな。

一度に、200機を上げることが可能だ。

実際には、暫定的な低軌道に展開することになるだろうから、搭載スペースさえ許せば、更に機数を増やせるかもしれないし、V2衛星の仕様を変更して、通信機能を増強することになるかも知れない。

スターシップが、使い捨てで終わることはない(断定的!)。

が、スターリンク(と、スターシールドも)の展開を急ぐことになった場合のオプションとしての可能性はある。

が、コストを考えれば、少なくとも1段目のスーパーヘビーは回収したいところだろう。

「Musk は以前にも似たような提案をしており、SpaceX は消耗型の惑星間打ち上げ用に「熱シールドやフィン/脚のない」Starship の「軽量化」バージョンを開発できると指摘している。」

そういう用途もあるかも知れないな。

以前、月面着陸の話で、クルードラゴンで打ち上げ、HLSで地球周回軌道から月面に運び、再び地球周回軌道に戻って来て、クルードラゴンで帰還する話があった(米国議会が、それを認めるかどうかは別ですが)。

宇宙空間での再使用ということになるけど、2段目は地球に戻ってくることはない。

我々は、既に、そういう宇宙船を長年にわたって運用している。

そう、ロシアのミールや、ISS、中国の天宮は、使い捨ての2段目(と、その組み合わせ)なわけだ。

まあ、ISSの米国側モジュールは、ペイロードとしてスペースシャトルの貨物室に積まれて運ばれているけどな。

他は、皆、宇宙船でもある。

地球大気圏と宇宙空間とを行ったり来たりする宇宙往還機と、宇宙空間だけで使い続けられる純粋な宇宙船とは、本来、区別して考えられなければならないだろう。

スターシップの使い捨てバージョン(まあ、ここでは2段目だけの使い捨てを想定しているけど)の話は、そういう文脈で捉え直す必要もあるかも知れない。

繰り返すが、全ては33基のラプターに火が入った後の話だ。

そのマイルストーンを超えられなければ、スターシップは文字通り露と消える。

完全再使用だろうが、部分的再使用だろうが、完全消耗だろうがそれは同じだ。

物理の神様は公平だ。

人類史上最大のロケットは、今、正念場を迎えようとしている。

確かなことは、それだけだ・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

テスララティの記事に貼り付けられている画像では、タンカーと燃料デポ、HLSがそれぞれスーパーヘビーブースターの上に乗っかっている。

タンカーは、まあ、窓のない貨物用のスターシップで、着陸時のベリーフロップをするためのフィンも付いているから見慣れた感じだ。

デポは初めて見たが、やや全長が長い。

記事にあるように、使い捨て(大気圏への再突入はしない意味)だから、余計なものは何もない。

ラプターだって、おそらく1基しか付いていないのではないか(未確認:ひょっとすると、これの打ち上げの際にはスーパーヘビーブースターを使い捨てにして、デポにはラプターは積まないかもしれないな:軌道変更用のスラスターだけ)。

打ち上げの際は、ドンガラで上げるわけだし。

最大の容量を確保するために、最適化しているハズだ。

で、タンカーから給油(液酸と液体メタン)を受けることになる。

その際のノウハウは、これから蓄積されることになるんだろう。

いずれにしても、現物が上がらなければ始まらないからな。

これらの燃料インフラの上に、アプリケーションとしてのHLSが乗っかる。

巨大な燃料タンクを満タンにするためには、タンカーバージョンのスターシップを10回くらいは飛ばさなくてはならないだろう(タンカーは、再突入して戻ってくるからな。そんなには積めない)。

それだって、複数のタンカーで矢継ぎ早に入れれば、短期間でいっぱいにすることが出来るはずだ。

HLSは、荷物を満載して打ち上げられ、軌道上でデポから腹一杯給油して月に向かい、オリオン宇宙船から、直接、またはゲートウェイ経由で人間を移乗させて月面に向かうことになる。

月の重力は小さいからな。

大気は無きに等しいから、パワードランディングしかないけど、燃料は同じメタン酸素系になる(そうじゃない選択肢もあり得るけどな)。

そこも、新規開発になるわけで、ものになるかどうかは分からない。

ブログ本文でも触れたが、オリオンを使わない選択肢が登場する可能性もある。

クルードラゴンで地球中軌道に運ぶというやつだ。

燃料補給の問題があるから、継続的運用には向かないかもしれないが、アルテミス3のバックアップとしての可能性がないとは言えない。

中国の有人月面着陸を、ゲートウェイから指を咥えて眺めるのと、どっちがいいかという選択になる(そうなのかあ?)。

運用次第だが、デポを高軌道まで持ち上げることが出来れば(何しろ、図体がデカいからな)、継続的な運用に移行することも可能かもしれない(未確認)。

クルードラゴンだって、そんなに高い軌道まで上がれるわけではない。

HLSに頑張ってもらって、なるべく低い軌道まで降りてきてもらうしかないだろう。

理想的には、ISS高度(400km)まで来てもらえれば最高だ。

まんま、2001年宇宙の旅だな。

アルテミス3の基本パーツは、一応、絵に描いた餅までは出来ている。

画像は、タンカーも、デポも、HLSも、全部がスーパーヘビーブースターに乗った絵面で描かれている。

スーパーヘビーが上がらなければ、絵餅で終わることを象徴している気がしてならない・・・。