🐱スターシールド:未来の道 ― 2023年02月03日 10:49

スターシールド:未来の道


スターシールドについては、情報が限られていて、現時点での記事は限定されている。

ネットで検索しても、ろくな記事がヒットしない。

概ね、S社のホームページ上での発表の内容に、S社の事業を絡めたり、ウクライナ紛争におけるスターリンクの役割を絡めて、ボリュームを稼いだりする程度だ。

(スペースXが「スターシールド」を打ち上げ。大きな可能性を秘めた静かな発表)
https://www.universetoday.com/159051/spacex-launches-starshield-a-quiet-announcement-with-a-huge-potential/

「得られた情報はかなり限られていますが、物事がどこに向かっているのかを知るには十分です」

「米国政府と協力することは、SpaceX にとって新しいことではありません。彼らはすでに、NASA、米国空軍、および米国宇宙軍のために複数の打ち上げを行っています。スターシールドにより、彼らはこの関係を拡大するつもりです」

いつになったら、まともな情報が出てくるのかは分からない。

本家のスターリンク(スターシールドも、このインフラを使うサービスになる)のFCCによる承認が、スターシールド絡みで部分的にしか許可されなかったことは、米国当局が、このサービス(スターシールドの方)に、如何に注目しているかということを表している(たぶんね・・・)。

つーことは、あれだな、米国当局(NASAや米軍)が、その利用に際してどういうスタンスかという観点を確認しておく必要があるだろう。

このブログでも記事にしたが、米軍は民間の宇宙資源の活用に熱心だ。

通信分野における活用は、手っ取り早い用途だが、スターシールドが提供しようとしているのは、衛星の製作、打ち上げ、通信サービスの提供まで含めた垂直統合されたプロプラエタリーなサービス(しかもワンストップサービス)であって、米軍がこれまで求めてきたような、さまざまな民間企業と軍とが共存するオープンなアーキテクチャーではない。

そこを、どう調整するかというのが技術的にも政策的にも注目されるところだが、FCCの認可状況を見ると、未だに揉めているんだろう。

スターシップの開発の遅れもあって、S社としてもスターリンクV2の打ち上げを急ぐ必要がないし、携帯電話と直接通信したりする話も出ていて、V2衛星の仕様も揺れている。

一方で、V1.5の展開に伴う顧客の増加は通信のひっ迫をもたらし、衛星の打ち上げ需要を喚起しており、FCCの追加認可(7500機分)も、従来の計画の一部を差し替える形で、既存の衛星を新規認可の軌道に投入するという、ややワケワカの話に落ち着いている(テスララティのエリックラルフはブチ切れてましたが:当事者同士は、ちゃんと納得づくで合意したに違いない)。

この辺りの調整がどうなるか(米軍とS社の攻防)が、今後の展開を左右するところだが、米軍が民間の宇宙資源を活用するという大きな方向性は変わらない。

先月報じられたスペースニュースの記事は、この辺りの事情を確認することになった。

(スターシールドで、スペースXは戦いの準備ができています)
https://spacenews.com/with-starshield-spacex-readies-for-battle/

「米国には、世界のどこよりもはるかに回復力のある商業宇宙企業があります。中国人はそれを知っており、私たちはそれに傾倒するつもりです」

仮想敵国は、ロシアではなく中国なわけだな。

「国防総省が 10 月に発表した米国の国防戦略文書は、中国を、防衛および宇宙技術で米国を凌駕する恐れのある「ペーシング チャレンジ」と呼んでいます。」

12月にも、こんなことを言っている。

「私たちは、商業部門と緊密に協力し、その商業宇宙能力をすべて活用していることを確認します。」

「レジリエンスを導入するために設定されたすべてのミッションに対して、部門が独自のコンステレーションを構築する必要がないことは明らかです。」

S社のスタンスも、時間の経過とともに変わってきている。

「SpaceX の当初のアプローチは、Starlink 通信を商用サービスとして DoD に販売することでした」

スターシールドというコンセプト自体が、S社の歩み寄りと捉えることもできる。

「同社は、第 2 世代の Starlink 衛星バスにより、より大きく、より高い電力要件でペイロードをホストできることを約束し、軍に貢献するためのより良い位置付けになるでしょう。」

スターシールドに供される衛星が、V2そのものなのか、それとは別の、カスタム衛星になるのかは知らない。

「国防総省には、ホットな製造ラインを利用して、従来のオーダーメイドの買収と比較して、大幅なコスト削減を実現する機会がある」

リアルタイムに誘導兵器を制御したり、戦術情報を共有するためのクリティカルな情報伝達を民間通信に依存するということは考えづらいけど、それだって、タブーではないだろう。

「スケジュールが常に遅れ、予算を超過している従来の開発プログラムから脱却する必要がある」

「宇宙軍は、SpaceX のような企業や、アルゴリズムや単一の宇宙船だけでなく、完全に統合されたミッション ソリューションを提供できる企業と提携する必要があります」

軍から民間にスピンアウトした方の意見だから、多少眉唾で聞かなければならないとしても、垂直統合を受け入れるべきだという話もあるわけだ。

「国防総省の元請業者は、「セキュリティ インフラストラクチャと抑止力のバックボーンのような、大規模で費用のかかるプログラムを得意としています。彼らが苦手なのは、急速に変化する環境に適応するための非常に迅速な反復です。」」

「防衛は、ロシアや中国との戦略的競争により、大きな成長が期待される分野です。国防総省が望んでいるのは、商用技術の革新率での防衛技術です。それが聖杯です。」

聖杯かあ・・・。

まあ、そうでなくては中国には勝てないだろうしな。

NASAがアルテミスに失敗して、中国の有人月着陸に先を越されて、月軌道ステーションから指を咥えて眺める羽目になったとしても、米国が宇宙軍の競争に敗れて、グアムは愚か、ハワイやカリフォルニアまで中国に占領されることは許されないに違いない(もちろん、台湾や我が国は占領済み!)。

米軍の危機感は、まあ、短期的には予算獲得のブラフだとしても、中長期的には相当当たっている気がする。

「以前は、世界は完全に安全な場所だと思っていたので、自己満足していました・・・」

民間のファンドも、胡坐をかいていたようだ。

ウクライナ紛争は、太平の眠りを覚ますことになったわけだな。

「・・・ウクライナは人々を目覚めさせたと思います」

「スペースXがスターリンクで行ったことは、商用宇宙技術が国家安全保障アプリケーションにどのように役立つかを目に見える形で示すことだ」

「これは明らかに SpaceX を支援するだけでなく、業界全体が投資を引き付けるのにも役立ちます」

業界は、それがきっかけとなって、全体で活性化することを願っているようだが、S社一人勝ちになることは、まず間違いない。

ロケットラボが、適時打ち上げを受注する話も出てくるが、毎週打ち上げられるスターリンク衛星に相乗りする方が安いに決まっている(投入軌道が折り合えばね!)。

防衛市場の焼け太り的拡大は、短期的には隙間産業を助長することになるだろうが、やがては収斂されていくことになるのだ。

「誰もが機密扱いされていない商業的能力を完全に受け入れるところまで変化したのでしょうか? いいえ。しかし、妥協点を見つける必要があります。」

一方で、軍需への傾倒が、攻撃のリスクを増加させることも懸念されている。

「国防総省は、紛争で米軍を支援している間に衛星が損傷した場合に民間企業に補償するオプションを検討することを余儀なくされました.」

「たとえば、中国が台湾に侵攻した場合、スペースXは厄介な地政学的状況に陥る可能性がある.」

もちろん、中国はスターリンクを破壊しようとするだろう。

地球低軌道は、スペースデブリの雲で覆われ、ケスラーシンドローム状態に陥ることになる。

スターシールドが、どういう展開になるのかは、相変わらず不明だ。

スペースニュースのこの記事は、そんな中で、米国の状況を知る上での参考になる。

業界は、宇宙関係の防衛予算の増額を当てにして、投資を呼び込もうとしているようだが、現時点ではその増額の規模は微々たるものだ。

「防衛費の増加には、宇宙軍プログラムのための 17 億ドルが含まれます。」

が、それだって、ないよりマシな状況には違いない。

宇宙に対する民間投資は冷え切っているからな。

米軍の民間への傾倒が、この悪循環を断ち切り、宇宙への投資を呼び込むことに繋がるかどうかは分からない。

革新的なイノベーションが出てこない限り、S社一人勝ちな状況は、いずれにしても変わらないだろう。

水平統合を管理するコストはバカにならないしな。

結局、米軍は、民間依存の部分はS社に丸投げして、プロプラエタリーな環境を容認するに違いない(そうなのかあ?)。

クリティカルな部分は、従来の割高な企業(レイセオンとかロッキードマーチンとかB社とか)が請け負い、トータルでの開発効率は、さほど変わらなく収まることになる。

中国の勝利は間違いない(そんなあ!)。

スターリンクが破壊されたって、中国は痛くも痒くもない(どーせ使ってないしな)。

ロシアだって、困ることはないのだ。

今なら、バックボーンもショボいだろうからな。

全世界のバックボーンの半分をスターリンクに依存するようになれば、状況は変わるかも知れない。

もう、誰も手を出すことが出来なくなる(そうなのかあ?)。

中国は、潰すなら今のうちだと思っているかもしれない。

数年前なら、こんな話は与太話に過ぎなかった。

今は、必ずしも浮沈子の妄想とばかりは言えないだろう。

月面サンプルリターン、火星へのローバー展開、独自の宇宙ステーションの運用を通じて、中国は宇宙進出への自信を深めている(たぶんね!)。

ハッキングに成功すれば、スターリンクを完全に無効化できるし、S社と同じペースで使い捨てロケットを上げ続ければ、体当たりして軌道からはじき出すことが出来るかもしれない(S社と同じペースで上げることが出来るのは中国だけだし・・・)。

そうこうするうちに、アマゾンのカイパー衛星が大量に上がることになるからな。

そっちの面倒も見なければならない。

やれやれ・・・。

軍事衛星は、低軌道コンステレーションだけじゃないし。

静止軌道や、地球中軌道(GPS衛星など)、場合によっては、月軌道までカバーする必要が出てくる。

宇宙強国を目指す以上、それら全てに対応していかなければならないだろう。

中国の仮想敵国は、間違いなく米国だからな。

そこに、欧州やロシアが絡んでくる。

インドだって、黙って見てはいないだろう。

米国の下請けに甘んじている我が国だって、いつ衛星攻撃を受けるか知れたもんじゃない(米軍の静止軌道監視アイテムを、「みちびき」6、7号機に載せるしな)。

他人事じゃないのだ。

考えてみれば、米国は既に静止衛星に対する軌道維持のための燃料補給を実用化している。

つーことは、同じ能力を使って、他国の衛星に取り付いて、破壊工作を行うことだって可能なわけだ。

静止軌道も安閑とはしていられなくなる。

月面基地で水爆を作り(ヘリウム3を原料にするのは、原理的に難しいみたいですが:重水と10億度の熱が必要)、地球に向かってぶっ放す妄想に駆られている浮沈子からすれば、地球周回軌道でのスターウォーズは既に始まっているわけだ。

米軍が本気出して宇宙戦争に取り組まない限り、台頭する中国に対抗することはできないだろう。

S社が、そこにどう関わるのか。

スターシールドなんていう、付け焼刃で作った営業上の看板に過ぎないサービス(そうなのかあ?)が、本当に機能するのか。

まあ、どうでもいいんですが。

スターリンクの打ち上げは、連日のように続いている。

(スターリンク ミッション 2-4)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-2-4/

「開始日: 19/01/2023 16:43:10 CET」

(スターリンクミッション5-2)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-5-2/

「開始日: 26/01/2023 10:32:20 CET」

(スターリンク ミッション 2-6)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-2-6/

「開始日: 2023 年 1 月 31 日17:15:00 CET」

(スターリンクミッション5-3)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-5-3/

「開始日: 2023 年 2 月 2 日08:58:20 CET」

(スターリンクミッション2-2:打ち上げ予定)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-2-2/

「開始日:早ければ2023年2月」

まあいい。

スターリンクの打ち上げは見飽きたとか、のーてんきなことを言っていられるうちが花かも知れないな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

宇宙ネタとはあまり関係ないんだが、ブログにアップする直前に以下の情報が流れた。

(中国の偵察用気球か アメリカ本土上空で飛行を確認 米国防総省)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230203/k10013969441000.html

「気球は機密に関わる場所の上空を飛行しようとしている」

「過去数年間で複数回、確認している」

気球の高度などは、N社は報道していない。

(中国の偵察気球か 米本土上空を飛行、撃墜は見送り 米国防総省)
https://www.cnn.co.jp/usa/35199534.html

「気球は現在、民間の航空機よりはるかに高い高度で飛行しており、地上の人に対する軍事的、物理的な脅威にはならない」

宇宙ネタとしては、ちっと高度が足りない気もする。

高い高度で飛行していて軍事的脅威でないなら、偵察衛星なんて無害だろうにな・・・。

「機密情報の収集を防ぐ対策を「即座に」講じたとしている。」

屋根の下に入ったとか、ブルーシート掛けたとかあ?。

まあ、どうでもいいんですが。

偵察気球の話は、我が国でも以前にあった。

(東北の「謎の白い球体」結局何だったの? 考えうるその正体 他国の気球なら領空侵犯か)
https://trafficnews.jp/post/97830/2

「ロシア、北朝鮮、韓国、中国のいずれかの国を離陸した可能性が極めて大」

まあいい。

高度が低いと領空侵犯になるようだが、宇宙空間はおとがめなしということらしい(そうなのかあ?)。

空を見上げれば、そこに戦場がある。

そんな時代を生きるのは御免被りたいが、どうやら避けられそうもない感じだな・・・。

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