🐱スターシップ:使い捨てだあ!? ― 2023年02月03日 16:15

スターシップ:使い捨てだあ!?
スターシップ:使い捨てだあ!?


(イーロン マスクは、SpaceX の再利用可能なスターシップ ロケットの使い捨てバージョンをほのめかす)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-expendable-variant-elon-musk-2023/

「SpaceXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、同社が最終的に次世代スターシップロケットの使い捨てバージョンを開発する可能性」

引用されているツイッターでは、それはあくまでもオプションだと言っているが、外野にとっては驚天動地、青天の霹靂、ちゃぶ台返しにも等しい。

裏切りであり、背信であり、逃避であり、妥協だ。

まあ、エリックラルフが言う通り、開発の途上での運用では、必然的にそうならざるを得ないし、報じられているところによれば、軌道上の燃料貯蔵デポや、月面着陸機HLSは、当然、使い捨てを想定した構造になる。

「Starship を使用して NASA の宇宙飛行士を月に帰還させるという SpaceX の数十億ドル規模の契約は、推進剤を軌道上に保管し、地球に戻ることができないデポ船の変種を中心に展開しています。」

「最初の数機の月着陸船は、機能的に消耗品であり、それぞれ 1 人の宇宙飛行士の着陸にのみ使用される可能性があります。」

今回の記事で注目なのは、そういうのとは別に、意図的に使い捨てバージョンを組み込もうという話なわけだ。

「SpaceX の Starbase 工場では、意図的に消耗する複数の Starship をすでに建造しています。26号船と 27 号船には熱保護機能がなく、熱シールド タイルがなく、フラップが取り付けられていないため、回収や再利用が不可能です。」

いやいや、これだって開発中の特定目的な2段目には違いない。

「おそらく、それらは軌道再充填や極低温流体管理などの他の重要なスターシップ技術をテストするために使用されるでしょう.」

問題なのは、これらの既知の話とは別に、初めから再使用を想定していない、「完成品」としての使い捨てバージョンの話だ。

「使い捨て宇宙船:
2023 年初頭、SpaceX はウェブサイトのスターシップ セクションを更新し、ロケットの使い捨てバージョンが 1 回の打ち上げで最大 250 メートル トン (約 550,000 ポンド) の低地球軌道を打ち上げることができることを明らかにしました。」

「SpaceX が Starship の消耗品のパフォーマンスを公に宣伝していることは、当然のことながら、同社が新しい打ち上げシステムが提供するすべての機能を検討していることを示しています。」

べらぼーめ・・・。

記事では、例として、ISSが420トンであることから、こんなもんは2回の打ち上げで済んじまうと言っている。

もちろん、数字の上の遊びであって、ほぼドンガラなISSの船体を運ぶためには、同じくらいの手間暇がかかることは言うまでもない(アメリカ区画の各モジュールの設計は、スペースシャトルの貨物室の大きさの制約からきている)。

今でもくっ付いているビゲロー風船みたいなやつでも、2回じゃとてもムリポな話だ。

が、その巨大な打ち上げ能力をフルに活用する機会があれば、そして、絶対燃え残るに決まっているドデカい図体をどうするのかという話に決着を着けられれば、250トンのペイロードを軌道上に上げることが出来るわけだ。

(スターシップ
地球軌道、月、火星、その先へのサービス)
https://www.spacex.com/vehicles/starship/

「スターシップは、これまでに開発された世界で最も強力なロケットとなり、最大 150 トンを再利用可能で地球軌道に運ぶ能力と、最大 250 トンの消耗品を運ぶことができます。」

一応、S社のページで確認した。

ユーザーズマニュアルV1では、貨物の重量はLEOで100トンのままだがな。

まあいい。

今回の記事は、獲らぬ狸の何とやらの範囲を出ない。

再使用だろうが使い捨てだろうが、スーパーヘビーブースターの33基のラプター2改良型のエンジンが同時点火できなければ、絵に描いた餅に終わる。

250トンというのも、1段目の回収もしない、完全使い捨ての話なのか、2段目だけを回収しない時の話なのかも判然としない(たぶん、完全使い捨てだろうけど)。

2段目だけを使い捨てにするということなら、ペイロードは250トンから、もう少し減るに違いない(未確認)。

まあ、どうでもいいんですが。

イーロンマスクの言う通り、これはあくまでもパフォーマンスのアピールに過ぎず、特殊用途に限ったオプションということになるだろう。

完全再使用無きスターシップは、断念であり、妥協であり、裏切りであり、夢の終焉だ。

そして、それは同時に、有人バージョンの開発がなされないことを意味する。

大陸間弾道旅客ロケットも、米軍の兵站を塗り替える用途も、火星移民も露と消える。

それはないだろうな。

今回のテスララティのニュースは、その辺を分かったうえでの、一種の洒落だ。

が、S社も商売しなければならないからな。

使い捨てにする費用を払ってくれる顧客がいれば、その希望に応じて250トンを軌道に上げることになる。

魚心あれば水心・・・。

そんなべらぼーな重量のペイロードがあるのかどうかは知らない。

おっと、スターリンクV2は、1.25トンと言われていたからな。

一度に、200機を上げることが可能だ。

実際には、暫定的な低軌道に展開することになるだろうから、搭載スペースさえ許せば、更に機数を増やせるかもしれないし、V2衛星の仕様を変更して、通信機能を増強することになるかも知れない。

スターシップが、使い捨てで終わることはない(断定的!)。

が、スターリンク(と、スターシールドも)の展開を急ぐことになった場合のオプションとしての可能性はある。

が、コストを考えれば、少なくとも1段目のスーパーヘビーは回収したいところだろう。

「Musk は以前にも似たような提案をしており、SpaceX は消耗型の惑星間打ち上げ用に「熱シールドやフィン/脚のない」Starship の「軽量化」バージョンを開発できると指摘している。」

そういう用途もあるかも知れないな。

以前、月面着陸の話で、クルードラゴンで打ち上げ、HLSで地球周回軌道から月面に運び、再び地球周回軌道に戻って来て、クルードラゴンで帰還する話があった(米国議会が、それを認めるかどうかは別ですが)。

宇宙空間での再使用ということになるけど、2段目は地球に戻ってくることはない。

我々は、既に、そういう宇宙船を長年にわたって運用している。

そう、ロシアのミールや、ISS、中国の天宮は、使い捨ての2段目(と、その組み合わせ)なわけだ。

まあ、ISSの米国側モジュールは、ペイロードとしてスペースシャトルの貨物室に積まれて運ばれているけどな。

他は、皆、宇宙船でもある。

地球大気圏と宇宙空間とを行ったり来たりする宇宙往還機と、宇宙空間だけで使い続けられる純粋な宇宙船とは、本来、区別して考えられなければならないだろう。

スターシップの使い捨てバージョン(まあ、ここでは2段目だけの使い捨てを想定しているけど)の話は、そういう文脈で捉え直す必要もあるかも知れない。

繰り返すが、全ては33基のラプターに火が入った後の話だ。

そのマイルストーンを超えられなければ、スターシップは文字通り露と消える。

完全再使用だろうが、部分的再使用だろうが、完全消耗だろうがそれは同じだ。

物理の神様は公平だ。

人類史上最大のロケットは、今、正念場を迎えようとしている。

確かなことは、それだけだ・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

テスララティの記事に貼り付けられている画像では、タンカーと燃料デポ、HLSがそれぞれスーパーヘビーブースターの上に乗っかっている。

タンカーは、まあ、窓のない貨物用のスターシップで、着陸時のベリーフロップをするためのフィンも付いているから見慣れた感じだ。

デポは初めて見たが、やや全長が長い。

記事にあるように、使い捨て(大気圏への再突入はしない意味)だから、余計なものは何もない。

ラプターだって、おそらく1基しか付いていないのではないか(未確認:ひょっとすると、これの打ち上げの際にはスーパーヘビーブースターを使い捨てにして、デポにはラプターは積まないかもしれないな:軌道変更用のスラスターだけ)。

打ち上げの際は、ドンガラで上げるわけだし。

最大の容量を確保するために、最適化しているハズだ。

で、タンカーから給油(液酸と液体メタン)を受けることになる。

その際のノウハウは、これから蓄積されることになるんだろう。

いずれにしても、現物が上がらなければ始まらないからな。

これらの燃料インフラの上に、アプリケーションとしてのHLSが乗っかる。

巨大な燃料タンクを満タンにするためには、タンカーバージョンのスターシップを10回くらいは飛ばさなくてはならないだろう(タンカーは、再突入して戻ってくるからな。そんなには積めない)。

それだって、複数のタンカーで矢継ぎ早に入れれば、短期間でいっぱいにすることが出来るはずだ。

HLSは、荷物を満載して打ち上げられ、軌道上でデポから腹一杯給油して月に向かい、オリオン宇宙船から、直接、またはゲートウェイ経由で人間を移乗させて月面に向かうことになる。

月の重力は小さいからな。

大気は無きに等しいから、パワードランディングしかないけど、燃料は同じメタン酸素系になる(そうじゃない選択肢もあり得るけどな)。

そこも、新規開発になるわけで、ものになるかどうかは分からない。

ブログ本文でも触れたが、オリオンを使わない選択肢が登場する可能性もある。

クルードラゴンで地球中軌道に運ぶというやつだ。

燃料補給の問題があるから、継続的運用には向かないかもしれないが、アルテミス3のバックアップとしての可能性がないとは言えない。

中国の有人月面着陸を、ゲートウェイから指を咥えて眺めるのと、どっちがいいかという選択になる(そうなのかあ?)。

運用次第だが、デポを高軌道まで持ち上げることが出来れば(何しろ、図体がデカいからな)、継続的な運用に移行することも可能かもしれない(未確認)。

クルードラゴンだって、そんなに高い軌道まで上がれるわけではない。

HLSに頑張ってもらって、なるべく低い軌道まで降りてきてもらうしかないだろう。

理想的には、ISS高度(400km)まで来てもらえれば最高だ。

まんま、2001年宇宙の旅だな。

アルテミス3の基本パーツは、一応、絵に描いた餅までは出来ている。

画像は、タンカーも、デポも、HLSも、全部がスーパーヘビーブースターに乗った絵面で描かれている。

スーパーヘビーが上がらなければ、絵餅で終わることを象徴している気がしてならない・・・。

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