🐱ウクライナ降伏不可避:援助の限界:留保された恐怖と真の恐怖2023年02月13日 00:24

ウクライナ降伏不可避:援助の限界:留保された恐怖と真の恐怖


(ポーランド大統領、ウクライナへの戦闘機供与は「簡単ではない」 BBC単独取材)
https://www.bbc.com/japanese/64614766

「ドゥダ氏ら各国指導者は、自国への脅威を感じていると強調している。」

「ドゥダ氏がワルシャワでロシアの侵攻について話した内容と、イギリス議会で話されている内容は、まるで違う。ポーランドは、北部でロシアの飛び地カリーニングラードと接しており、ワルシャワからその国境までは320キロほどしか離れていない。」

やっぱ、BBCのベテラン記者は違うな。

ノー天気に、情報戦で垂れ流されている報道を、そのまま伝えている某国国営放送などとは異なる。

この本質を突いた独自の取材と、民主主義におけるジャーナリズムの役割に立脚した姿勢は、是非とも見習ってほしいものだ。

が、まあ、浮沈子的には不十分に感じる。

欧州、特に旧ワルシャワ条約機構であった東欧諸国が感じているのは「脅威」(threat:英語記事より)ではなく「恐怖」だ。

逆に、それこそが、軍事援助の動機になっていることも事実だけどな。

ウクライナの次は自国だ・・・。

バルト三国やポーランドは、特にそう考えるだろう(フィンランドやスウェーデンがNATO加盟に舵を切ったのだって、それが動機だ)。

ロシアの軍事力は、隣接する諸国にとっては敵に回したくないのだ。

ウクライナが、対ロシア戦で踏み止まっている限り、その恐怖から目を背けていられる。

それは、先の大戦でロシア(ソ連)とドンパチやり合ったドイツでも同じだろう。

戦車の供与で躊躇ったのは、自国が率先してくれてやったりした時のロシアの直接的報復を懸念したからに相違ない。

最近、こんな記事を読んでぶったまげた・・・。

(「ロシアを相手に戦争をしている」と致命的な失言…ドイツ外交を迷走させるベアボック外相の野党気質)
https://president.jp/articles/-/66297?page=1

「ドイツのベアボック外相(緑の党)が、「われわれはロシアを相手に戦争をしている」と口を滑らし、外務省が後始末に追われている。」

「これがロシアに対する宣戦布告と取られては大変なことになるからだ。」

もちろん、この発言が出た文脈というのがあるわけで、ドイツ政府が正面切ってロシアに宣戦布告したわけでは、もちろんない。

「今、互いを非難し合っても、プーチンに勝利をもたらすだけです」

「もちろん、私たちは戦車に関しても、もっと多くをなすべきです。しかし、一番重要、かつ決定的なことは、私たちが仲間内で責任をなすりつけ合うことではなく、ヨーロッパが連帯することです」

連帯を強調して、内部対立ではなく、対ロシアの姿勢を強調しようとするあまり、英国の保守派議員の挑発に乗って、口が滑ったわけだな・・・。

「なぜなら、われわれはロシアを相手に戦争をしているのであり、互いの間で戦っているのではないからです」

まあいい。

「戦争がエスカレートし、最終的に核戦争が引き起こされる事態を懸念していた」ドイツが、一転して戦車供与に踏み切った理由は、浮沈子的には定かではない。

欧州大戦争(ロシアが、NATOに直接攻撃をかける)の懸念が遠のいたからと言われるが、その観測はいささか楽観過ぎる気がする。

「現在、ショルツ首相は、戦闘機の供与は断固否定しているが、ドイツのこれまでの供与品が軍用ヘルメット5000個から始まり戦車に至った経緯を見れば、この先どうなるかは霧の中だ。」

行くところまで行くのではないか。

戦闘機も、中距離弾道ミサイルも、核弾頭さえも。

戦場や戦争犠牲者がウクライナに留まり、NATO地域へのロシアの直接攻撃がなく、自国の兵士が失われない限り、際限のない軍事支援が行われる。

そんな状態が、いつまで続くと思っているのか。

欧州は、政治的モラトリアム状態に陥っている。

このツケは、必ず支払う羽目になるのだ。

ドイツでは、ロシアの影響下にある国内の宣伝活動が活発と聞いている。

この記事の筆者(在ドイツの作家)も、その影響を多分に受けているんだろうが、それにしても、次の認識には驚く・・・。

「戦争勃発直後より、メディアが日課のように流し続けた氏のビデオメッセージで、今や世界中の多くの人々が、ウクライナは勝利しなければならず、ウクライナ支援は民主主義国の義務であると信じている。ウクライナは、自力で戦争を遂行する力など一切ないにもかかわらず、である。」

「ウクライナの勝利が約束されているとするなら、ロシアは敗北するのだろうか。そもそも、ウクライナは現在、まさにゼレンスキー大統領のビデオのおかげで、オピニオン合戦では優位に立っているが、戦争の本来の尺度である軍事的な意味では、とっくの昔に敗北している。」

欧州において、この手の意見がどれ程の割合を占めるのかは知らない。

「ウクライナは本当に民主主義国なのか。実際には、ウクライナがこれまでそれほど立派な民主主義国であった試しはなく、国民は常に政治家の腐敗に苦しみ、組織的犯罪グループは西側諸国にも被害をもたらしていた。」

「ここに至り、そろそろ彼らの金メッキが剝がれてきた感はある。ゼレンスキー氏は目下のところ、腐敗している政府幹部の掃討に励んでいるが、そのスキャンダルがいずれ大統領自身に及ぶ可能性も取り沙汰され始めた。」

「氏を背後から操っている勢力からすれば、極端な話、ウクライナの大統領のキャストなどいつでも交換可能」

我が国でも、ごく一部の政治家はロシアとの関係悪化と紛争の行方に対して警鐘を鳴らしている。

軍事力を背景に、政治的野心を遂げようと国家が決意したら、とことん突き進むことは歴史が証明している。

しかし、ベトナム戦争でも、アフガニスタンでも、米国は苦い敗北を喫しているし、同じアフガンでは、ロシア(ソ連)も敗退している。

軍事侵攻に対する対抗措置は、軍事的勝利しかないということもまた、歴史の教訓だ。

ロシアは、ウクライナの地で、未だに真面目に戦争しようとはしていない。

最近は、それでも、空挺部隊を送り込んだりして、ちっとは本気モードになってきているけど、肝心の制空権を奪取して大規模侵攻に踏み切る腹はない。

膠着状態を長引かせ、既成事実化し、事態が自国に有利に展開するタイミングを測って、政治決着に持ち込もうとしている(そうなのかあ?)。

東部と南部の支配地域を穏便に手に入れようという、ずるがしこい戦略に変わりはない。

徹底抗戦を主張するゼレンスキー政権は、消えてなくなると思っている節がある。

記事の通り、ウクライナの大統領職など、いつでも交換可能だ。

それを支えているのは、米国をはじめとする西側の「恐怖」だ。

えーと、米国は、あまり恐怖は感じていないだろうけどな。

遠い欧州の地の果てで行われている戦闘(しかも、自国兵士の損耗はない!)など、関心事ではないのだ。

ロシアは、戦争の継続に自信を深めている(たぶん)。

西側の結束の分断は、おそらく時間の問題だ。

浮沈子が怪しいと睨んでいる、ウクライナ当局による供与兵器の横流し(AFP既報:国際テロ組織が売却先だろうな)が明るみに出れば、兵器供与は一気に萎んでしまうかも知れない。

まあ、西側も、それも含めてロシアのせいにするだろうけどな(情報戦とは、そういうもんです・・・)。

まあ、どうでもいいんですが。

ポーランド大統領の恐怖は、カリーニングラードではない。

ウクライナの敗北そのものが恐怖なのだ。

その一方で、自国の有する兵器を全て差し出すわけにはいかない。

F-16戦闘機は、米国がポーランド向けに補充することはないだろう(未確認)。

が、それも断言はできない(M1エイブラムスだって、供与したしな)。

ウクライナに核弾頭を渡し、ロシアに対して恫喝させ、互いの首都に核爆弾を投下し合うまで、この戦争は終わらない。

いや、欧州各国の首都が、ロシアの標的となって灰燼に帰すまで続くだろう(そんなあ!)

米国は、一兵たりとも失うことなく、この戦争に勝利するのだ(そうなのかあ?)。

もう、浮沈子の妄想は留まるところを知らない。

米国がウクライナをロシアにくれてやると決めているという妄想に始まり、ウクライナのNATO電撃加盟→大欧州戦争勃発→戦術核乱発→極東での二方面作戦始動→我が国も巻き込まれて大混乱という構図は、全く当てが外れている。

やれやれ・・・。

最近の中国の民間気象観測気球(そうじゃないって証拠は出てないからな)の話だって、ロシアとタイアップして放った観測気球(米国の反応を見定めるための)かも知れないしな。

このブログでも何度も表明しているけど、浮沈子は正義派(ウクライナはロシアに勝利しなければならない)じゃない。

どっちが勝つか負けるかではなく、直ちに停戦し、寝技を繰り出し合う外交決着に持ち込むべきだと主張する和平派だ。

彼の地での支配体制がどうなろうと、知ったことではない。

もっと言えば、ロシアの支配体制がどうなったって構わない。

プーチンの選挙は来年だ。

ロシアの未来はロシアが決める。

そして、たぶん、ウクライナの未来もそうなるだろう。

良し悪しの問題じゃない。

身近な話では、台湾の未来や韓国の未来も、中国の政策にかかっている。

我が国だって例外ではない。

米軍は、次々に撤退している(先月には、グアムでその実態も見てきたしな:キャンプ・ブラズ開設式典目撃!)。

まあいい。

ウクライナ降伏不可避。

浮沈子の見立ては変わらない。

欧州の分断に徐々に成功しつつあるロシアは、欧州大戦争の恐怖を与えつつ、着々と戦争の長期化に向けた態勢を固めつつある(たぶん)。

軍人さんや戦争の専門家は、戦闘オリエンテッドな見方しかしないからな。

政治的モラトリアムから脱出することは難しい。

ロシアは、ソ連崩壊後、専制的な体制に持ち込むことで国家を立て直してきた。

中国もまた、プロセスは異なるけど、同じ手法で西側と対峙している。

21世紀は、ソ連崩壊以降の米国一国体制からの移行期として始まった。

行きつく先がどうなるのかは知らない。

世界は、第三次世界大戦を回避しようと知恵を絞ってきたけれど、結局、米国が西側諸国を引き込んで、事実上の世界大戦に突入している(時間的尺度が引き伸ばされている点が異なるけどな)。

エネルギーを中心とした、戦時経済に置かれ、軍事援助という形で政治的モラトリアムに引きずり込まれている。

西側は、ウクライナを見捨てるんだろうか?。

浮沈子的には、そうすべきだと思っているけど、そうはならないだろう。

一蓮托生で引きずり込まれ続けることになる。

領土的支配地域は膠着するかもしれないけど、政治的情勢は目に見えない形で、ロシアの侵略を許すことになるだろう。

その境目は、旧ワルシャワ条約機構の兵器の供与が一巡し、NATOの兵器体制に移行した段階と、さらに、米国製兵器への移行が一定程度進んだ段階で訪れる。

ポーランドの戦車供与と、戦闘機の供与の違いは、そのことを端的に示している。

M1エイブラムスへの置き換えが約束されている戦車と、何の約束もないF-16戦闘機の違いだ。

差し上げたいのは山々だが、うちの分まではあげられないというわけだな。

軍事援助の動機である、ウクライナの敗北がもたらす留保された恐怖と、現在のモラトリアムが崩壊して、自らが最前線となった時に訪れる真の恐怖との違いでもある。

BBCの記者さんには、英国の事ばっかしじゃなくて、そこに踏み込んでもらいたかったんだがな・・・。