🐱礼儀正しいH3の評価2023年02月16日 21:46

礼儀正しいH3の評価


(10年間の開発を経て、日本のH3ロケットはデビューの準備ができています)
https://arstechnica.com/science/2023/02/after-a-decade-in-development-japans-h3-rocket-is-ready-for-its-debut/

エリックバーガーは、いくつかの問題提起をしている。

①低価格なのか
②高頻度なのか
③遅過ぎないか
④利点はあるか
⑤再使用なのか

④の利点としては、信頼性(ミッション成功率と打ち上げ頻度による使い勝手の良さ)が含まれる。

「H3 ロケットが今週発射場所に移動するため、時代遅れになると言っているわけではありません。」(言ってるだろう!?。)

「過去 10 年間で打ち上げの世界は大きく変化したため、完全に使い捨て可能なロケットの世界で最後の主要な開発プロジェクトの 1 つになる可能性があります。」

今後10年間で打上げの世界が大きく変化しないかどうかは分からない。

再使用なんてキワモノな技術は廃れ、やっぱ使い捨てがいいよねという時代に逆戻りするかもしれないし(SLSは、そうやって生まれた)。

流行り廃りの波なのか、逆戻りのない技術の流れなのかは、慎重に見極める必要がある。

使い捨てロケットの開発は、世界中で今も続いているしな。

・米国:バルカン(1段目のエンジンモジュールは、将来再使用かも)
・インド:GSLV、PSLV、SSLV
・ロシア:アンガラ(バイカルブースターは凍結?)
・中国:長征9号(ブースターは再使用の可能性:後述)
・欧州:アリアン6(将来再使用かも:後述)

ぶっちゃけ、エリックバーガーの見立てとしては、ファルコン9と競合するにしても、世界市場での競争力は皆無ということなわけだ(そうなのかあ?)。

「私はその価格に固執します」

「そして、それはH3の開発に対する私たちの政府からの要件です。それができない場合、それを達成できない場合、私たちの開発プログラムは完全に中止されます。」

ステークホルダーは衛星市場じゃないからな。

JAXAが金を払う限り、開発がとん挫することはない。

スペースジェットはボツになったけど、H3は国策だからな。

それでも、時代に取り残されまいと、コストダウンの方向に舵を切ったことは評価されていい。

固体燃料ブースターを装着しない仕様では、従来の半分程度のコストを叩き出して見せた(えーと、そこまではまだ行っていませんけど)。

薄くなった儲けは、打ち上げ頻度を倍増して稼ぐ(といっても、年4回が8回になる程度ですが)。

今後、10年程度使い続ければ、数千億円の開発費の方も、間延びして割安になるかも知れない。

ファルコンシリーズと比較しては不公平かもしれないが、今年、100回の打ち上げ目標を立てているわけだからな。

H3の10年分より多い。

やれやれ・・・。

ショットウェルの話では、毎日数十機の打ち上げを目指しているスターシップだと、数日分ということになる。

以前にもこのブログで触れたけど、LE-9エンジンは、再使用には不向きだ。

部品点数を絞り、熱交換効率を上げたツケが、燃焼室の破壊とタービンブレードの亀裂を生んだ。

両者とも、エンジンのコアな部分なわけで、そこにストレスが掛かるエンジンを、回収して再使用するわけにはいかない。

効率的なエンジン開発の技法(シミュレーションの多用と、サブシステムモデルの作成による検証)は使えるかもしれないけど、エンジンそのものは、あくまでも使い捨てを前提とした行き止まりの技術に終わる。

先がないのだ・・・。

推進剤にしても、米国からの技術導入の経緯から、我が国の基幹ロケットは一貫して水素酸素系でやってきているけど、世界の趨勢はメタン酸素系に移行しつつあるように見える。

推進剤の比推力(燃費?)では水素が有利だが、エネルギー密度はメタンが大きい。

再使用エンジンとして考えた時に、どちらが有利なのかは知らない。

もし、我が国のロケットがメタン酸素系を指向するようなら、新たな技術の蓄積が必要となる(LNGエンジンの知見が生かせるのかは不明)。

欧州では、新たな燃料系のロケット開発が始まっている。

(Themis タンク試験は、ESA の再利用性への道のりにおける画期的な出来事です)
https://www.nasaspaceflight.com/2021/12/themis-tanking-test-esa/

「ESA (欧州宇宙機関) は、再利用可能なロケットの開発に向けて大きな一歩を踏み出し、Themis ビークルの一連のタンク テストを完了しました。」

「その最終的な目標は、2030 年代に再利用可能な第 1 段階を備えたロケットを開発することです。」

素晴らしく遅い開発目標だな(ファルコン9が再使用に成功したのは2017年)。

「ロケットのプロメテウス エンジンは、ドイツのランポルズハウゼンにある P5 テスト スタンドで一連のテスト発射の準備が行われています。」

どこかで聞いたような地名だな(ハクトRの製造拠点)。

「Prometheus エンジンの開発は、ESA の FLPP (Future Launchers Preparatory Programme) を通じて資金提供を受けて 2017 年に開始されました。これは、メタンと液体酸素 (メタロックス) を燃焼させるオープンサイクル エンジンで、約 980 キロニュートン (100 トン) の推力を生成すると予想されます。」

「Prometheus は、Themis で飛行するだけでなく、2030 年代にデビューする可能性のある、現在 Ariane Next として知られている ArianeGroup の再利用可能な後継ロケット、Ariane 6 に動力を供給することが期待されています。」

全ては、2030年代ということだな(そう言っている連中が、全員引退した後の話ということなわけだ)。

「Themis のテストの次のステップでは、エンジンを搭載した車両に統合テストを実施します。このテストは、エンジン テストに使用されたのと同じ PF20 スタンドで行われます。この段階のテストが完了すると、運用はスウェーデンのキルナにあるエスレンジ宇宙センターに移され、2023 年に新しいテミス飛行デモンストレーターで飛行テストが開始される予定です。」

プロメテウスエンジンの実質的なテストベッドであるテミスロケットの方は、着々と進行している。

欧州は、基幹ロケットを再使用化するに当たって、再使用コンセプトを検証するためのロケットを飛ばそうとしているわけだ。

慎重だな。

発射台が壊れないのが成功だとか言っている、どこかの会社とは異なる。

まあいい。

記事にもあるように、ファルコン9の開発の際には、グラスホッパーが似たような役割を果たした。

記事では、CALLISTO (Cooperative Action Leading to Launcher Innovation in Stage Toss-Back Operations) についても紹介されている。

「DLR (ドイツ航空宇宙センター) および JAXA (宇宙航空研究開発機構) と連携して実施されています。」

「CALLISTO ロケットは、長さ約 15 メートル、直径 1 メートルになると予想されています。再利用可能な極低温エンジンを搭載し、高度 30 ~ 40 キロメートルまで推進してから地球に帰還します。CALLISTO は早ければ 2022 年に飛行する予定」

(CALLISTO)
https://ja.wikipedia.org/wiki/CALLISTO

「CALLISTOは液体酸素/液体水素を燃料とする1段式ロケットで、ロケットエンジンや後部胴体、液体酸素タンクをJAXAが、降着装置や液体水素タンク、機首部構造、空力舵面をDLRが、地上設備をCNESが分担する。2020年度から開発が始まり、2024年度の打ち上げを目指す。打ち上げはCNESのギアナ宇宙センターで行う。」

「JAXAはCALLISTOの成果を元に、将来の大型ロケットにおいて1段目再使用を行うかを検討する考えを示している」

欧州は、メインストリームのメタン酸素系だけではなく、水素酸素系の推進剤による再使用も研究対象としている(我が国は、そっちだけだがな)。

抜かりはない・・・。

が、見てきて思うのは、再使用ロケットというのは、たとえ第1段目だけだとしても、多くのロケット開発においては「部屋の中のゾウ」なわけで、S社の成功だけでは不十分と見ているわけだ。

コストとゲインの詳細が公表されているわけじゃないからな。

国家機関が公費を投じて開発するには、そこんとこは疎かにはできない。

S社は、非公開企業だしな。

ぶっ飛んだCEOのツイッターだけが頼りだ(そうなのかあ?)。

後追いする立場としては、先行するプロジェクトで十分に費用対効果を検証して、確実に開発を進める必要がある。

もっとも、その効果が明らかになって、追随しようとした時(2030年代)には、打ち上げ市場自体がごっそりと完全再使用のスターシップに乗っ取られているということもあり得る。

まあ、どうでもいいんですが。

世界の宇宙開発から孤立している中国(孤立していても、全世界の打ち上げの3分の1は中国ですが:他の3分の1がS社で、その他大勢が3分の1)も、再使用を目指して動き始めている。

(中国、長征9号ロケットで再使用型ブースター導入へ)
https://uchubiz.com/article/new9652/

「「長征9号」について、使い捨て型ブースターではなく再使用型ブースターを選択する意向を表明」

「格子状のグリッドフィンを備え、サイドブースターのない長征9号の新型も展示」

「設計はまだ確定しておらず、最適な経路を選択しながら、打ち上げ能力を向上させるという目標を達成する」

中国においてさえ、部屋の中のゾウなわけだ(そうなのかあ?)。

再使用ロケットは、世界の開発者が目指す夢だが、同時に極めて危険な夢でもある。

米国は2度の大事故を起こし、14人の犠牲者を払ってきた。

スペースシャトルという再使用ロケットシステムは、退役に追い込まれ、NASAは、それ以降、再使用打ち上げシステムの開発を断念させられた経緯がある。

が、のど元過ぎれば熱さを忘れるのは人間の性だ(そういうことかあ?)。

オリオン宇宙船は、10回程度の再使用を想定して設計されていると言われる。

ISSタクシーに使われているクルードラゴンも、5回くらいは再使用されるだろう。

スターライナーも、10回程度の再使用だしな。

NASAは、そもそも初代ドラゴンの開発にも金を投じているからな(ファルコン9の再使用は、S社の自前ということになっている)。

が、HLSにおいては、スターシップの開発自体に出資している(一部ですが)。

再使用ロケットは、NASAにとっては部屋の中のゾウどころか、絶体絶命な鬼門なわけだ。

それでも、米国自体はX-37Bを継続するなどして、有翼機による再使用(使い捨ての有翼機はあり得ません!)に拘り続けている(ドリームチェイサーも、まずは貨物機として導入予定だしな)。

本当に、再使用ロケットはトレンドとして定着するのか。

21世紀が、ロケット革命の世紀として、人類史上に記録されることになるのかは分からない。

ファルコンシリーズは、確かに市場を席巻しつつある。

ソユーズロケットが、西側から干されている現在は、特にそうだ。

我が国の基幹ロケットが、再使用に踏み切るのは、あるとしても、おそらく次の次、つまり2040年代以降になるだろう(そんなあ!)。

それには、ちゃんとした理由がある。

ファルコンシリーズが再使用に踏み切れたのは、多数の打ち上げ市場が確保できるという見通しがあったからだ。

政府需要だけでは、おそらく再使用ロケットの開発のインセンティブは引き出せない。

事実、それに依存していたULAは、追い詰められるまで再使用を行う気はなかったからな(ひょっとすると、今でもないかも!)。

我が国で、年間8回程度の打ち上げ(アルスの記事による:プロマネは6回程度と言ってたような記憶が・・・)では、再使用技術の開発需要を喚起することはできないし、おそらく割に合わないだろう。

我が国は、向こう20年に渡って、完全使い捨てロケットを運用し続けることになる。

その後のことは分からないけど、ひょっとしたら、打ち上げロケット開発から撤退することになるかも知れない。

2040年代になれば、打ち上げロケットはコモディティ化して、中国からでもロシアからでもインドからでも、安くて高品質なサービスをいくらでも調達できるようになるからな(そうなのかあ?)。

もちろん、S社からは、一桁も二桁も安いサービスを買える。

重工は、スペースジェットと同じように、新規開発から撤退することになるわけだ。

石播は残る可能性が高い。

兵器産業との兼ね合いがあるからな。

即時発射可能な弾道ミサイル(そんなもんが、2040年代に残ってるかどうかは知りませんが)との共通技術だ。

民需から始まったロケット開発は、軍需に転用されて生き残ることになるわけだ(そうなのかあ?)。

うーん、今日も、いい感じの妄想が膨らみだしたな。

エリックバーガーは、最後の使い捨てロケット開発と言ってたけど、弾道ミサイル技術が生き残ることは確実だ(そうなのかあ?)。

ミサイルは、間違いなく使い捨てだしな(そういうことかあ?)。

昔(米ソ冷戦時代)は、相互確証破壊(MAD)が流行の最先端(?)だったが、核兵器の拡散とロケット技術(ミサイル技術)の向上から、これからは全世界的確証破壊の時代になるのかも知れないな(そんなあ!)。

ウクライナが、核兵器と中距離弾道ミサイルを1万発くらい持っていたら、ロシアが軍事侵攻したかどうかは大いに疑問だ。

ソ連崩壊時に、米国がウクライナの核武装を解除したのは、大いなる失敗だったわけで、現在の湯水のような軍事援助は、きっとその償いに相違ない(そうなのかあ?)。

東部南部だけでなく、ロシアの侵攻がウクライナ全土に及ぶことになれば、冗談抜きでウクライナの再核武装の可能性も出てくる(対戦車砲→ハイマース→M1エイブラムス→F-16戦闘機→中距離弾道ミサイル→核弾頭!)。

もっとも、浮沈子の妄想の中では、ウクライナは核弾頭を隠し持っていて、プーチンも迂闊には手を出せないことになっている(テキトーです)。

運搬手段を与えれば、明日にでもモスクワに落とすに違いない(そうなのかあ?)。

全世界が核兵器の報復合戦に怯えながら過ごす日々が、再び訪れようとしている。

もう、面倒くさいから、宇宙空間にいくらでも核兵器を配備して、いつでも、どこからでも、好きな時に好きな所に落とせるようにすればいいのではないのか。

軌道上が衛星核兵器で溢れかえり、それらがケスラーシンドロームを起こして、地球低軌道に新たなバンアレン帯を形成することになる(核兵器は、そう簡単には爆発しません!)。

原子力ロケットの名を借りて、そんな事態が密かに進展することになるんじゃないかと、浮沈子的には妄想の翼を広げてるんだがな・・・。