🐵脳:意識の芽生え2023年03月04日 04:03

脳:意識の芽生え


この世に生を受けてはや65年が経とうとしている今日この頃。

物心ついたのは、3歳くらいと記憶している(そんな昔のことは覚えているくせに、今朝食べた食事のことは忘れてる・・・)。

動物が、筋肉を上手く使って捕食活動をするために、更には統合された行動がとれるように、神経を発達させてきたことは知られている。

意識というのは、その過程の中で生まれた中枢神経の塊な脳における高次の機能であるとされているが、動物にとって、真に有用な機能なのかはよく分からない(人間がこれだけ繁栄してるんだから、有用なんでしょうが)。

脳というデバイスは、もちろん神経細胞の塊なんだが、それが物理的な寄せ集めではなく、機能的に繋がっているところがミソだと言われる(だから、脳ミソなのかあ?)。

まあいい。

話は変わる。

浮沈子は機械好きで、ああでもない、こうでもないと弄繰り回している時が幸せなんだが、最近の機械(自動車とか)は、電子機器で制御されて高機能化している。

メカトロニクス(死語?)というやつだな。

つーか、21世紀ではそれが当たり前になっていて、純粋機械工学的デバイスを探す方が大変だ。

愛用する自転車は電動アシスト付きだし、コンビニのペットボトルの回収ボックスを使うには、ナナコカードをタッチパネルに押し付けなければ蓋が開かない(たまに、満杯になってたりしますが)。

愛車Nバンは、ACC(アダプティブクルーズコントロール)で、レーダーで測距して前車追従で走行してくれるし、自動販売機はパスモなどのプリペイドカードを押し付けると缶コーヒーを吐き出す(最近は、スマホで買うのが流行りみたいです)。

機械の王国は何処へやら、身の回りはいつの間にか電子の帝国に占領されている。

水道の蛇口、電灯のスイッチくらいが、機械的な仕掛けで動いているくらいか(洗濯機も、電子制御だしな)。

今日は体調不良でサボリだが(またかよ!?)、フィットネスのジムのマシンも電子デバイスに満ち溢れている。

大井町にはないけれど、新川崎にあるマシンは、液晶表示のカウンターが付いていて、動かした回数やワークアウト開始からの秒数まで教えてくれる(のんびりやらせてくれ!)。

そのうち、パーソナルトレーナー機能も付いて、身につけているアイテムや顔認証で同定し、「昨日はなんでサボったんですかあ?」などとしゃべり出すに違いない(いらねーよ!)。

腹筋のベンチやストレッチマシンくらいは、黙っててもらいたいもんだな。

が、しかし、全てがIT化し、通信し合い、日常を限りなく便利にしてくれることは、一方では年寄りには優しいかも。

昨日、大井町のSプロに行ったんだが、シェアウォーターのペトレル(テクニカルダイバー御用達のダイコン)の名前がとっさに出てこなくて参った。

例によって、スマホは持ち歩いていないので、お店の人に調べてもらったりしなければならない。

幸い、世間話をしているうちに思い出せた。

やれやれ・・・。

最近は、AIとやらが流行りで、コンピューターが全てを取り仕切ってくれるようだ。

ダイコンの名前を思い出せない人間に代わって、ダイビングもしてくれると助かるんだがな(そうなのかあ?)。

まあ、どうでもいいんですが。

電子の帝国に取り残されたアナログなジジイにとっては、毎日が戸惑いと驚きに溢れている。

そのうち、アンドロイド(人型ロボット)が街に溢れ、どれが本物の人間なのかも分からなくなるに違いない。

一時期、そんなアニメに夢中になったこともあったけどな。

(攻殻機動隊)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BB%E6%AE%BB%E6%A9%9F%E5%8B%95%E9%9A%8A

「この作品を原作とする劇場用アニメ映画が1995年に公開」

主人公は、脳ミソだけ生身で他は全部機械(義体)というちょっとグロな設定なんだが、キャラクターの作り込みのせいなのか、殆どの登場人物がそれなりに義体化されているので、そういう観点でのネガは感じない。

浮沈子的には、違和感なく作品世界に入り込める。

アンドロイド(スマホなどのオペレーティングシステム)のUI(ユーザーインターフェイス)のデザインで、この世界をどう認識するかという話があった(ちょっとうろ覚え)。

画面を操作した時に、アイテムがどう動くかということは、そこに新たな物理法則を打ち立てることと同じだ。

脳が、この世界を認識する時、無意識のうちに、感覚的に物理法則を理解している。

自己と非自己との違いとかな(触れて「触られた」と感じるのが自己で、触れてもそう感じないのが非自己)。

それが、視覚であったり内臓感覚であったりするけど、脳がこの世界を認識するプロセスを、義体という「自己であると同時に非自己でもある」両義性の中で再確認させられた。

既に、浮沈子の前歯(チタン製人工歯根含む)と両眼の水晶体(安物単焦点眼内レンズ)は義体だし・・・。

物語の中では、脳ミソですら精神の座を脅かされ、「意識」や「存在」の拠り所とされるのは、この星に張り巡らされた「ネットワーク­」ということになっている。

そこを突き詰めていくと、ニューロマンサー的パンクSFの世界になっちまうんだが、アナログな首の後ろの有線接続コネクターで、仮想世界と接続しているところが微笑ましい。

「マイクロマシン技術(作中ではマイクロマシニングと表記されている)を使用して脳の神経ネットに素子(デバイス)を直接接続する電脳化技術や、義手・義足にロボット技術を付加した発展系であるサイボーグ(義体化)技術が発展、普及」

最近の記事にこんなのが出ていて、まんま攻殻機動隊の世界もリアルになってきたと感じる・・・。

(イーロン・マスクの脳インプラント会社「Neuralink」による臨床試験申請をFDAが却下、インプラントのリチウム電池使用や取り外し方法などに懸念あり)
https://gigazine.net/news/20230303-fda-rejected-neuralink-tests/

「2023年前半に人間へのインプラント埋め込みをしたい」

サルにインプラントを埋め込んで、テレビゲームをさせているところが出ているけど、それが出来れば高次機能を操るところまで、あっという間に辿り着いてしまうのではないか(未確認)。

国家転覆を考えると、耐えがたい苦痛を与えるとかな(別に、浮沈子が不埒なことを考えているわけではないので、念のため)。

内心の自由なんて、法律の文言上だけの話になるかも知れない。

「却下理由としては、インプラントの駆動にリチウム電池が使われていることに対する懸念、インプラントに用いられるワイヤーが脳の別の場所に移動する可能性があるという懸念、インプラントを脳組織に損傷を与えることなく取り除けるのかという懸念、どのように取り外しを行うのかという懸念など」

あんま、具体な話は苦手だ(痛そうだしな)。

「FDAに対して申請を必要な人体を用いた治験デバイスは、だいたい3分の2が初回の申請で承認され、85%は2回目の申請で承認を受けられるとのこと。このため、Neuralinkも不足している部分を補うことで承認を受けられる可能性はある」

人間は、それが可能であれば必ず成し遂げるだろう。

首の後ろに4か所のソケットをつけるのは時間の問題だな。

しかし、まあ、脳ミソ自体を弄るわけじゃないから、一種のコミュニケーションデバイスとして活用するなら結構な話だ。

このブログは、昔ながらのキーボードを手打ちしながらシコシコ書いているけど、頭の中で考えたことをある程度入力出来たら楽ちんかも知れない(えーと、膨大な修正が必要かも!)。

しかしながら、脳ミソそれ自体を培養して作ってしまうという話になると、もう、フランケンシュタイン博士もびっくりなグロの極みな話になって来る。

(実験室で培養した「ミニ脳」をバイオコンピューターとして使用するというアイデアを研究者が提唱)
https://gigazine.net/news/20230302-brain-organoid-intelligence-biocomputer/

「ヒト幹細胞を基に作られた脳オルガノイド(ミニ脳)を生物学的ハードウェアとして使用する「Organoid intelligence (OI/オルガノイドインテリジェンス)」というアイデアを提唱」

一世を風靡したアニメがあったな・・・。

(新世紀エヴァンゲリオン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3

「エヴァンゲリオン(EVA):
主人公らの乗る汎用人型決戦兵器。見た目から巨大なロボットのように見えるが、正確にはロボティクスを応用した外部装甲型の人造人間」

うーん、この解説は如何なものか。

「その生産過程にはその正体に関連する人道的な問題がある」

「パイロットはEVAとの神経接続を行う」

「EVAはパイロットとの神経接続によりコントロールされ、稼働状況は両者の「シンクロ率」により左右される。」

「パイロットは「母親のいない14歳の子供」から選抜されている」

ニューラリンクでテレビゲームしているくらいならいいけど、エヴァみたいなのを操縦して、ウクライナでドンパチ始められたら大変だな。

物語の中では、敵対する使徒に対抗するための必要悪的存在として登場する。

ダミープラグで動いたりするんだが、その中身は不明だ(脳オルガノイドでも入ってるんじゃないのかあ?:未確認)。

エヴァ(少なくとも初号機と2号機)には、人間(パイロットの母親)の魂が入っていることになっているので、単純な外骨格的ロボットではない。

脳ミソ(子供)が、脳ミソ(母親)付きの兵器を操るわけだ。

グロテスクを通り越して、ブキミーな設定だ。

脳オルガノイドの記事は、脳ミソ(子供)側を人工的に培養し、脳ミソ(母親)側を現代のコンピューターに置き換えたような感じだな。

ニューラリンクのように、生身の人間を切ったり貼ったりするわけじゃないから、痛くも痒くもないんだろうが、浮沈子的には、脳オルガノイドに意識が芽生えるのではないかという点が気になる。

「脳オルガノイドから赤ちゃんの脳波に似た信号が検出された」(ギガジンの記事より:以下同じ)

「脳オルガノイドが赤ちゃんの脳波を模倣できることがわかっており、麻酔をすると人間の脳と同様に脳波がフェードアウトすることも判明している」

もちろん、脳デバイスとしてのオルガノイドは生命ではない。

培養細胞の塊であり、それが何らかの電気的信号を発していたとしても、直ちに倫理的な問題を生じるわけではないだろう(心筋細胞も、電気信号を発するだろうし、ペースメーカーの信号に同期して拍動もするからな)。

生命体でないところに意識が芽生えるというのは、従来の想定を超えた話だ。

「科学者らは脳オルガノイドが何らかの意識や知性を獲得する可能性があると考えているものの、実際に人間のような意識が発生するかどうかは不明」

「私が100万個の切石を積み上げてもシャルトル大聖堂ができるわけではなく、ただの切石の山にしかならない」

西洋的二元論的発想で、浮沈子的には気に食わない。

人間の知的差別にも繋がりかねない、危険な発想だな(浮沈子の倫理観は歳相応にレトロです:頭の中は「切り石の山」だし・・・)。

「・・・実際の脳を作るのは脳細胞の構造、つながり、そして環境なのです」

つまり、逆に言えば、それを与えれば実際の脳が出来上がるわけだ。

「私たちのビジョンの重要な部分は、倫理的かつ社会的に責任のある方法でオルガノイド・インテリジェンスを開発することです。このため、私たちは当初から倫理学者と提携し、『組み込まれた倫理』アプローチを確立しています。すべての倫理的問題は倫理学者・科学者・そして一般の人々で構成されるチームにより、研究の進展と共に継続的に評価されることとなります」

この手の仕掛けが、抑止的に機能しないことは灯を見るより明らかだ。

専門家は、論理的合理性のスペシャリストだから、肯定的な方向で議論を押し切ることが出来るが、一般人はそういう作業は素人だからな。

評価において、「気に食わないから反対する」という、無条件での絶対的拒否権でも与えない限り、まともに機能するわけはないのだ。

脳だけの、意識だけの存在というのは、物語の世界では昔からある。

(ドノヴァンの脳髄)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%8E%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%84%B3%E9%AB%84

「頭部移植を扱ったSFの古典」

「ドノヴァンから脳髄を摘出したパトリックは、ガラス容器に脳を納め、輸液チューブと脳波計を接続する。」

ああ、古き良き時代のシンプルな設定・・・。

「研究室での居眠りから目覚めたパトリックは、自分の利き腕でない左手でメモ用紙にドノヴァンのサインを書いていたことに気づく。」

「やがてパトリックは、ドノヴァンが自分の肉体を使う時間が徐々に長くなり、抵抗し難くなってきたことに気づく」

いやはや・・・。

脳が意識を持ち、精神感応(テレパシーみたいなもんかあ?)で周りをコントロールしだすというのは、なかなか魅力的なストーリーだな。

それはそれとして、培養した脳が意識を持つということになると、倫理的にはどうなるんだろうな。

それが電子デバイスを介して、現実世界を制御し始めれば、現在のAIどころの話ではなくなるだろう。

一昔前は、楽しいお話に過ぎなかった世界が、今、現実に目の前に繰り広げられようとしている。

コンピューターネットワークは、現代におけるドノバンの脳髄かも知れない。

豊富な情報を提供しつつ、我々の思考を支配し、アマゾンでポチッとやって金を巻き上げる。

フィリピンの刑務所の中からの指令で、強殺まで行う。

これは支配(ドミナンス)だ。

「これまで吸ったこともない高級な葉巻やウイスキーを嗜むが味や香りを感じることはなく、逆にこれまで患ったことのない腎臓や膝の痛みを感じ始める。 ドノヴァンの思考がパトリックの精神を浸食し、パトリックの肉体を乗っ取ったのだ。」

やれやれ・・・。

もちろん、浮沈子の脳はとっくに乗っ取られている。

夜な夜な怪しげな与太ブログを垂れ流し、ハードディスクの肥やしを増やし続ける(一応、バックアップは取っているので)。

「無意識状態で書かれるドノヴァンのメモに従い、行ったことのない銀行へ行き、小切手に自分の筆跡ではないサインをし、多額の秘密預金を引き出すパトリック。」

そういう精神感応なら、まあ、悪くはないかも知れない。

「腎臓や膝の痛み」は、昔からの持病だしな(浮沈子は、何度も尿管結石を患っています。最近は、平泳ぎのウィップキックの練習で、右ひざに痛みも)。

おっと、持病だと思っていたら、ひょっとして脳オルガノイドの遠隔精神感応かもな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(脳オルガノイドと生命倫理)
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/nl/vol47/focus.html

「脳オルガノイドを社会制度や科学技術政策の文脈の中でどう扱うかという現実的な問題と、人類が二千年以上考えてきて誰もが納得する答えが出ていない哲学的な問題とを混同すると、実のある議論ができなくなってしまうので、そこは切り分けて、気をつけながら進めたい」

昔々、移植医療の文脈の中で、脳死の社会的受容の議論を思い出すな。

「意識を発生させたり、思考できる脳に至るにはまだまだ技術的に遠いのが実情」

「現時点では神経組織の三次元培養ですよね。でも、それを脳オルガノイドと呼ぶことで、人工的に脳をつくりだせるような印象を与えてしまいます。」

「実験結果に対して過剰な解釈を行い、センセーショナルな形で発表する研究者もいます。現実と違う誤解が事実として広まることで、世論があらぬ方向にいくのは避けたい」

「哲学・倫理学の研究者としては最悪の事例も想定しながら議論するように心がけています。また市民の方々の懸念も無視できません。」

「科学者や生命倫理の研究者が一方的に答えを示すのではなく、議論を社会に開いていく。」

最近のことは知らないけど、脳死の議論の時感じたのは、バイオエシックスの連中は、中立公平なポジションではなかったということだ。

目の前のヤバそうな話題を、無知蒙昧なド素人の大衆に、どうやって受け入れさせるか、「世論があらぬ方向に」行かないようにするための方策を模索することに腐心していた。

浮沈子的には、怪しげな連中にしか映らなかったな。

医療が絡む世界は、先進的な治療を待っている待ったなしの患者と向かい合っている。

あなたが反対すれば、明日、私は死にますという人々と対峙することになる。

一方的な答えは、議論の前に既に出ているのだ。

浮沈子は、先日、ウクライナの記事を書いている時、同じ感覚に襲われてクラクラした。

最新の戦車が届くまで、前線で戦う人々の犠牲は増え続けると。

我々は、何のために死ぬのかと疑問を抱く兵士もいた。

あなたは、戦車のために死ぬのですよとは、とても言えない・・・。

戦死者の数は、ある意味で費やされた時間の関数なわけだな。

「研究成果の実用化に関して、唯一の正解というものはないと私は考えています。科学者は成果を誠実に発表し、時代や社会の変化を捉えながら、コンセンサスを模索していくしかない。たとえ正解にたどりつけなくても、そこまでにどれだけ議論を尽くせるかが大切です。」

プロセス主義であって、結果主義ではない。

絶対の正解がない以上、現実的な解決はそれしかないんだろうが、受け入れ難いものは受け入れられないというのも現実だ。

有限の時間の中での無限の議論・・・。

ド素人の浮沈子にとっては、人間の脳細胞を立体培養し、都合のいい機能を発現させて、薬理研究や治療研究、ギガジンの記事のようなITとの融合を図るなどというのは、十分過ぎるほどヤバいと感じられる。

そりゃあ、研究者的視点からは、まだ、何も分かってないに等しいし、人工脳ミソなどと呼べる代物ではないんだろうが、それが生体に於いて意識を司る臓器である以上、心臓なんかよりは倫理的ハードルを上げたい気がする。

誤解を恐れずに言えば、生きるか死ぬかよりも、はるかに高いハードルが必要だ。

しかも、研究の進展に伴い、ヤバさは飛躍的に増加していくわけだしな。

どこが倫理的シンギュラリティになるかは予想もつかない(細胞の数じゃないことだけは、何となく想像できるけどな)。

この記事自体も「発行:2021年10月28日」とあるから、既に1年以上前になる(刊行物一覧より)。

ある日、電子デバイスに繋がれた脳オルガノイドから、モニターの画面に「Help Me!」と表示されたらどーする!?(妄想ネタは「エクソシスト」)。

おっと、こういう妄想を抑止するためにも、「成果を誠実に発表し」「コンセンサスを模索して」もらいたいもんだな・・・。

🐱スターリンク:V2ミニの研究2023年03月04日 23:14

スターリンク:V2ミニの研究
スターリンク:V2ミニの研究


<おことわり>ーーーーーーーーーー

この記事には、スターリンク衛星の軌道について浮沈子の勘違いに基づく誤りがあります。

後日気が付いて、訂正記事を上げているのでご覧ください。

(スターリンク:シェル6の怪)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2023/03/19/9570537

<おことわり終わり>ーーーーーーーーー


スターリンク衛星は、その第一期において、概ね以下の軌道に展開されている(2機の試験衛星とV0.9の60機を除く:この62機は、既に軌道から排除済み)。

通称名:運用軌道高度:軌道傾斜角:展開予定機数
シェル1:550km:53度:1,584
シェル2:570km:70度:720
シェル3:560km:97.6度:520(第一期のシェル5含む)
シェル4:540km:53.2度:1,584

第二期では、通称名にやや混乱を来しているが、新たな命名法(テキトーです)に従って記載すると、以下のようになる。

シェル1:340km:53度:5280(保留中)
シェル2:345km:46度:5280(保留中)
シェル3:350km:38度:5280(保留中)
シェル4:360km:96.9度:3600(保留中)
シェル5:525km:53度:3360(うち2500許可?)
シェル6:530km:43度:3360(うち2500許可?)
シェル7:535km:33度:3360(うち2500許可?)
シェル8:604km:148度:144(保留中)
シェル9:614km:115.7度:324(保留中)

第二期の軌道命名法は、浮沈子の大らかな推測による(<以下追加>参照)。

シェル5~7については、当面、合計で7500機が許可されているので、テキトーに3で割り返しているだけだから「?」付になっている。

先日打ち上げられたシェル6(6-1)からは、衛星も第二世代(V2ミニ)に置き変わっている。

暫くは、第一世代も打ち上げられるようで、今日上がった2-7はV1.5で51機だった(バンデンバーグ)。

打上げの混成がいつまで続くのかは不明だ。

もっとも、1度の打ち上げで2種類が混ざることはないだろう。

それは、公開された6-1の打ち上げ(衛星のデプロイ)映像でも推測される。

映像で公開されている衛星の放出方法は、従来と同じく2段目を回転させた遠心力による「ぶん投げ」方法で変わらないが、衛星を固定しているロッドは、従来は1か所1本ずつだったのが、6-1では2本を束ね、しかも、1端を2段目にヒンジで固定して、分離しないような工夫が施されている(反対側にも同じ構造で付いている可能性が高い)。

従来、何本のロッドで固定されていたのかは知らない(2本?)。

放出された衛星との干渉を嫌ったのか、再突入までの間、2段目と別々の軌道浮遊物になることを嫌っての事かは知らないが、ロッドがバラバラに飛ぶ事態は改善された感じだ。

投入軌道は低いから(300km台)、いずれにしても短時間に落下することは間違いない(通常、2段目は打ち上げ後数日以内に制御落下を行っているようです)。

V1.5の打ち上げとなった今回は、ペリジーが222kmとされているので、自由に軌道を周回しているロッド自体も早期に落下してくるに違いない。

数日置に打ち上げられることを考えれば、制御落下されていない軌道浮遊物がウロウロするというのは、他者の打ち上げの妨げになることはもちろんだが、打ち上げ頻度を考えれば自社の打ち上げにとって最大の脅威だからな(殊勝な心掛けということだけではないのだ)。

全世界の全ての軌道への打ち上げの半分近くはS社が行っている(最大は中国:全部まとめて)。

まあいい。

6-1のデプロイの映像を繰り返し見ていて気付いたんだが、衛星の底面(おそらく地球側)はほぼ平面(一部に四角い凸部あり)で、つるつるしている(長辺に平行に、真ん中部分に継ぎ目があるけど、ここで半分に分離するわけでもなさそうだ:未確認)。

凸部は、その片側にしか確認できなかったしな。

短辺部の真ん中辺りには、ジャイロスコープが両側に2個ずつ付いている。

従来も、合計で4個(同じ側に一列に配置)だったから、合わせて同数での運用ということで辻褄は合う。

固定しているロッドが解放される前に、一瞬映る太陽電池パネルは、衛星が平面的に2倍の大きさになっているとしたら、おそらく2面に展開することになるだろう(画像からは不明)。

(SpaceXは、Starlink v2のデビューに続いて、Vandenbergからv1.5衛星を打ち上げます)
https://www.nasaspaceflight.com/2023/03/starlink-6-1-2-7/

「スターリンク グループ 6-1 ミッションは、スターリンクの次世代衛星バージョンであるスターリンク v2 を搭載した最初のミッションでした。SpaceX は、2022 年 12 月にグループ 5 ミッションでスターリンクの第 2 世代コンステレーションであるスターリンク Gen 2 をサポートする打ち上げを開始しました。ただし、これらは、このミッションでデビューするアップグレードされたスターリンク v2 衛星の代わりに、スターリンク v1.5 衛星を打ち上げることによって実行されました。」

このサイトは、あまり見ないんだが、6-1と2-7の両方を比較できたのでリンクしてみた。

上記の引用部分では、軌道打ち上げ第二期の開始であるグループ5(シェル5)への言及もあり、その辺りの経緯が分かる(記事とは、用語の使い方が異なるので注意)。

現在は、第一期の軌道(シェル1~4)に展開中であり、それと重なって第二期の軌道(シェル5~)の展開が開始され、第一世代の衛星(V1.5)と第二世代の衛星(V2)が混在して打ち上げられるという、複雑極みな状況にある。

しかも、打ち上げられ始めた第二世代の衛星は、本来の仕様ではなく、暫定的なサブシステム(ミニ)という位置付けだ。

そして、その理由は、打ち上げロケット(スターシップ)の開発の遅れからきているというオマケまで付いている(本来の第二世代衛星V2が、いつになったら上がるのかは不明だ)。

遅れれば遅れる程、ミニの機数が多くなる。

V1.5の打ち上げは、単位重量当たりの通信能力が、ミニに比べて低いことから、軌道傾斜角が中・低角度のシェルにおいては、在庫限りになる可能性がある。

それとも、軌道配置上の理由(見通し線上に存在する衛星数の確保)から、シェル1からシェル5までは、第一世代の衛星(軽いからな)で数を稼ぐんだろうか?。

少なくとも、軌道傾斜角が大きいシェル2やシェル3については、その可能性が高いかも。

まあ、どうでもいいんですが。

中・低傾斜角の軌道では、既に見通し線上の衛星数は足りているのかも知れない(未確認)。

不足しているのは、その衛星群が担えるスループット(通信能力に依存)だからな。

数で稼ぐのか、衛星1機当たりの通信能力で稼ぐのか。

通信が途切れないことが大前提だから、捕まえた衛星を離さないで次の衛星に渡ることが優先されるんだろう(未確認)。

ないよりマシなベータ版から正規のサービスへの移行は、そのタイミングで行われているハズだからな。

既に、サービスレベルでのクラス分けも行われ、プレミアム優先のプライオリティが展開されている。

世界のインターネットバックボーンの半分を担おうという話なわけだから、通信能力はあればあるほどよろしい。

今回、V2でEバンドを導入し、バックホール回線としての顧客開拓に乗り出しているのもその表れだ。

ワンウェブにとっては脅威だろうな。

それどころか、そのうち地上光回線との競争も始まるに違いない。

既に、都市部から離れた所へ光回線を引く事業は、壊滅的な打撃を受けているだろう。

つーか、消滅の危機にあるに違いない。

スターリンクがあるから、もういいじゃん!?。

都市部では、さすがに衛星への見通し線が確保できないからな(空、狭いし)。

地下もあるし、部屋の中もある。

まあ、そういうところは、インフラとして整っているだろうから必要ない。

バックボーンを取れば、既存の顧客を間接的に奪えるわけだ。

アットーテキなコスパで攻めるしかないからな。

ファルコン9が、1段目の再使用で高頻度低価格打ち上げを実現したのと同じ、パラダイムシフトが訪れることになる。

衛星の自社開発という困難な道を選択し、打ち上げ手段をスターシップで独占出来れば、地上回線のバックボーンと競争できるようになるかもしれない。

中抜きのデータ流通革命が起こる。

こういう、専制国家的究極的垂直統合による独占が好ましいかどうかは知らない。

また、それが実現できるかどうかは、スーパーヘビーブースターのラプター2エンジンが、33基同時点火に掛かっている。

S社が、この星のネットワークを牛耳るには、その関門を無事に通過しなければならない。

ファルコン9とV2ミニだけじゃ、せいぜい低軌道コンステレーションによるインターネット接続業者止まりだ(それでも、ぼろ儲けでしょうが)。

競争相手は、いいとこ静止衛星業者や僻地への光回線接続業者に留まる(つーか、既に競争は終わっている)。

もう1桁か2桁のコストダウンが必要だな。

もちろん、それだけの問題ではない。

既にこのブログでも触れたとおり、スターリンクは軍事的インフラとして機能させることも想定されているわけだから、中国をはじめとする敵対国家群にとっては安全保障上の脅威となる(そうやって使えることは、ウクライナで実証済み!)。

対衛星攻撃兵器で壊滅的な損害を受ける懸念もあるからな。

自然災害としても、太陽の活発な活動によって、一気に吹っ飛ぶ可能性もある(一発ノックアウトな静止衛星よりも抗堪性は高いでしょうが。)。

V2ミニは、スターリンクの未来であるだけではなく、S社や米国、人類の未来に繋がっている。

もしかすると、ロシアと中国の未来には繋がってないかもしれないけどな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(SpaceX は、第 2 世代の最初の Starlink 衛星を軌道に乗せました。あらゆる点で優れています。)
https://www.elonx.cz/spacex-dopravilo-prvni-druzice-starlink-druhe-generace-na-obeznou-drahu-jsou-lepsi-ve-vsech-ohledech/

「大衆はすぐに当時計画されていたスターリンク 5-1 ミッションに注目しました。初めての第2世代衛星。」

このミッションは通常のスターリンク v1.5 衛星のみを搭載していました」

「衛星には初めて高周波送信機 (VHF、Very High Frequency) が装備されました。」

ほほう、これは初耳だな。

「これらは、テレメトリの送信と衛星の制御のためのバックアップ ソリューションであり、さらに、衛星の状態と位置をより適切に監視できます。これらの新しい送信機の存在は、軌道上での運用の安全性を高めると考えられています。これらのおかげで、同社は打ち上げ直後と運用軌道への移動中に衛星を正確に監視できるからです。」

リンクが張られているツイッターは閲覧できなかった。

まあいい。

記事は、よく整理されていて分かりやすい。

浮沈子のブログ本文では、打ち上げベースで運用軌道に勝手に名前を付けているが、混乱のもとになっているのはS社がFCCに途中で変更を出しているからだな。

軌道高度1000km以上の高軌道を、途中で500km台の低軌道に変更申請している。

浮沈子の呼称でいうところの第1期のシェル3(高度560km、傾斜角97.6度)は、元々の申請が2つの軌道高度に分かれていた。

それを同じ軌道高度と傾斜角に再編成しているので、混乱している。

(SPACEX-RAYING スターリンクの開発)
https://www.nsr.com/spacex-raying-starlink-developments/

記事中の表に整理されているように、軌道は変更されている(S社からの要請は2019年9月:リンクされているFCCのファイルより)。

初期の軌道(申請時の名称?:高度:傾斜角:機数)→変更後
・シェル1:550:53:1584→550:53:1584(変更なし)
・シェル2:1110:53.8:1600→540:53.2
・シェル3:1130:74:400→570:70:720
・シェル4:1275:81:375→560:97.6:348
・シェル5:1325:70:450→560:97.6:172

浮沈子は、ブログ本文では、打ち上げ時のミッション名称ベースで整理している。

そもそも、シェルというのは「殻(から)」だからな。

同じ軌道高度なら、同じでいいんじゃないのかあ?(テキトーです)。

というわけで、S社の変更申請によって再設定された高度560kmの軌道を、打ち上げベース名称でまとめてシェル3とすれば、5-1ミッションで打ち上げられた軌道がシェル5という具合に収まる。

第二期の申請ベースのシェルを、順番に並べたら丁度当てはまったというのは偶然に過ぎない(たぶん)。

また、第一期の打ち上げベースの名称は、申請時の名称とは異なっている。

申請時軌道名称:高度:傾斜角→打ち上げ時名称(ミッション名称)
・シェル1:550:53→シェル1(同じ)
・シェル2:540:53.2→シェル4
・シェル3:570:70→シェル2
・シェル4:560:97.6→シェル3
・シェル5:560:97.6→シェル3(たぶん)

まあ、どうでもいいんですが。

FCCへの申請は、あくまでも申請だからな。

許可が下りてナンボだ(ペトルメレチンの記事によれば、同業他社からの反対も多いようだし)。

それに基づいて構成される衛星軌道は、S社内の命名で決まり、そこに打ち上げられるミッション名に反映されている感じだ。

今回、ちょっと真面目に調べて、自分なりに整理がついた気がする(どーせ、また大混乱するんでしょうが)。

イーロンXの記事では、衛星の形状などに関する申請時の表が掲載されている。

太陽電池パネル(Solar Array)の記載が興味深い。

名称:長さ(m):幅(m):数:面積(㎡)
F9ー1版(V1.5ハイブリッド):8.1:2.8:1:22.68
F9-2版(V2ミニ):12.8:4.1:2:104.96
スターシップ版(V2):20.2:6.36:2:256.94

V2ミニの形状は、2枚の太陽電池パネルを持つ、スターシップ版(V2)に近い(本体の縦横比は違いますが)。

通信能力が4倍というのも、太陽電池パネルの面積から想定される発電量にほぼ比例している(V2が10倍の通信能力というのも同じ感じだしな:電力は推進系でも使うので、単純じゃないけど)。

衛星の設計としては、外連味のない無難な選択をしている。

記事には、その推進剤であるアルゴンのコストに関する記述もある。

「従来のキセノンは、より高いパフォーマンスと効率を提供しますが、より希少で、約 10 倍高価です。そのため、クリプトンは安価ですが、それでも比較的まれであり、多数のスターリンク衛星があるため、燃料のコストはかなり高くなります (さらに、キセノンとクリプトンの大部分がウクライナで生産されており、これは別の頭痛の種です)。」

うーん、ウクライナ問題が絡んでるのか。

「クリプトンの前身と比較して、新しいエンジンで 2.4 倍の推力 (170 mN) と 1.5 倍の比推力 (2500 秒) を達成することができました。アルゴンエンジンの総合効率は 50%で、入力は 4.2 kW、重量は 2.1 kg です。通常、キセノン エンジンの効率は約 60% 」

「SpaceX はアルゴンに切り替えることで燃料費を1,000 分の 1 に削減しました。」(リンクされているウィキには、「アルゴンはクリプトンの約 100 分の 1、キセノンの 1000 分の 1 の価格です。」とある。)

べらぼーな機数を飛ばし続けなければならない低軌道コンステレーションでは、価格は重要な要素だ。

「SpaceX の代表者は約 1 年前、Starship は100 個以上の Starlink 衛星を搭載できると述べました。」

使い捨てのスターシップの軌道運搬能力は150トンと言われている。

つーことは、あれだな、V2の衛星重量は2トンではなく、約1250kgと言われている方に近いかも知れないな。

「イーロン マスクは2022 年に、スターシップの「V2」衛星の長さは 7 メートル、重さは約 1250 kg であることを明らかにしました。」

整合性はある。

「 2 月、SpaceX はFCC に、第 1 世代コンステレーションの衛星をアップグレードする許可を求めるリクエストを送信しました。」

世代交代は着々と進むだろう。

が、全てはラプター2が33基同時点火してからの話だけどな・・・。