🐱スターリンク:V2ミニの研究 ― 2023年03月04日 23:14

スターリンク:V2ミニの研究
スターリンク:V2ミニの研究


<おことわり>ーーーーーーーーーー

この記事には、スターリンク衛星の軌道について浮沈子の勘違いに基づく誤りがあります。

後日気が付いて、訂正記事を上げているのでご覧ください。

(スターリンク:シェル6の怪)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2023/03/19/9570537

<おことわり終わり>ーーーーーーーーー


スターリンク衛星は、その第一期において、概ね以下の軌道に展開されている(2機の試験衛星とV0.9の60機を除く:この62機は、既に軌道から排除済み)。

通称名:運用軌道高度:軌道傾斜角:展開予定機数
シェル1:550km:53度:1,584
シェル2:570km:70度:720
シェル3:560km:97.6度:520(第一期のシェル5含む)
シェル4:540km:53.2度:1,584

第二期では、通称名にやや混乱を来しているが、新たな命名法(テキトーです)に従って記載すると、以下のようになる。

シェル1:340km:53度:5280(保留中)
シェル2:345km:46度:5280(保留中)
シェル3:350km:38度:5280(保留中)
シェル4:360km:96.9度:3600(保留中)
シェル5:525km:53度:3360(うち2500許可?)
シェル6:530km:43度:3360(うち2500許可?)
シェル7:535km:33度:3360(うち2500許可?)
シェル8:604km:148度:144(保留中)
シェル9:614km:115.7度:324(保留中)

第二期の軌道命名法は、浮沈子の大らかな推測による(<以下追加>参照)。

シェル5~7については、当面、合計で7500機が許可されているので、テキトーに3で割り返しているだけだから「?」付になっている。

先日打ち上げられたシェル6(6-1)からは、衛星も第二世代(V2ミニ)に置き変わっている。

暫くは、第一世代も打ち上げられるようで、今日上がった2-7はV1.5で51機だった(バンデンバーグ)。

打上げの混成がいつまで続くのかは不明だ。

もっとも、1度の打ち上げで2種類が混ざることはないだろう。

それは、公開された6-1の打ち上げ(衛星のデプロイ)映像でも推測される。

映像で公開されている衛星の放出方法は、従来と同じく2段目を回転させた遠心力による「ぶん投げ」方法で変わらないが、衛星を固定しているロッドは、従来は1か所1本ずつだったのが、6-1では2本を束ね、しかも、1端を2段目にヒンジで固定して、分離しないような工夫が施されている(反対側にも同じ構造で付いている可能性が高い)。

従来、何本のロッドで固定されていたのかは知らない(2本?)。

放出された衛星との干渉を嫌ったのか、再突入までの間、2段目と別々の軌道浮遊物になることを嫌っての事かは知らないが、ロッドがバラバラに飛ぶ事態は改善された感じだ。

投入軌道は低いから(300km台)、いずれにしても短時間に落下することは間違いない(通常、2段目は打ち上げ後数日以内に制御落下を行っているようです)。

V1.5の打ち上げとなった今回は、ペリジーが222kmとされているので、自由に軌道を周回しているロッド自体も早期に落下してくるに違いない。

数日置に打ち上げられることを考えれば、制御落下されていない軌道浮遊物がウロウロするというのは、他者の打ち上げの妨げになることはもちろんだが、打ち上げ頻度を考えれば自社の打ち上げにとって最大の脅威だからな(殊勝な心掛けということだけではないのだ)。

全世界の全ての軌道への打ち上げの半分近くはS社が行っている(最大は中国:全部まとめて)。

まあいい。

6-1のデプロイの映像を繰り返し見ていて気付いたんだが、衛星の底面(おそらく地球側)はほぼ平面(一部に四角い凸部あり)で、つるつるしている(長辺に平行に、真ん中部分に継ぎ目があるけど、ここで半分に分離するわけでもなさそうだ:未確認)。

凸部は、その片側にしか確認できなかったしな。

短辺部の真ん中辺りには、ジャイロスコープが両側に2個ずつ付いている。

従来も、合計で4個(同じ側に一列に配置)だったから、合わせて同数での運用ということで辻褄は合う。

固定しているロッドが解放される前に、一瞬映る太陽電池パネルは、衛星が平面的に2倍の大きさになっているとしたら、おそらく2面に展開することになるだろう(画像からは不明)。

(SpaceXは、Starlink v2のデビューに続いて、Vandenbergからv1.5衛星を打ち上げます)
https://www.nasaspaceflight.com/2023/03/starlink-6-1-2-7/

「スターリンク グループ 6-1 ミッションは、スターリンクの次世代衛星バージョンであるスターリンク v2 を搭載した最初のミッションでした。SpaceX は、2022 年 12 月にグループ 5 ミッションでスターリンクの第 2 世代コンステレーションであるスターリンク Gen 2 をサポートする打ち上げを開始しました。ただし、これらは、このミッションでデビューするアップグレードされたスターリンク v2 衛星の代わりに、スターリンク v1.5 衛星を打ち上げることによって実行されました。」

このサイトは、あまり見ないんだが、6-1と2-7の両方を比較できたのでリンクしてみた。

上記の引用部分では、軌道打ち上げ第二期の開始であるグループ5(シェル5)への言及もあり、その辺りの経緯が分かる(記事とは、用語の使い方が異なるので注意)。

現在は、第一期の軌道(シェル1~4)に展開中であり、それと重なって第二期の軌道(シェル5~)の展開が開始され、第一世代の衛星(V1.5)と第二世代の衛星(V2)が混在して打ち上げられるという、複雑極みな状況にある。

しかも、打ち上げられ始めた第二世代の衛星は、本来の仕様ではなく、暫定的なサブシステム(ミニ)という位置付けだ。

そして、その理由は、打ち上げロケット(スターシップ)の開発の遅れからきているというオマケまで付いている(本来の第二世代衛星V2が、いつになったら上がるのかは不明だ)。

遅れれば遅れる程、ミニの機数が多くなる。

V1.5の打ち上げは、単位重量当たりの通信能力が、ミニに比べて低いことから、軌道傾斜角が中・低角度のシェルにおいては、在庫限りになる可能性がある。

それとも、軌道配置上の理由(見通し線上に存在する衛星数の確保)から、シェル1からシェル5までは、第一世代の衛星(軽いからな)で数を稼ぐんだろうか?。

少なくとも、軌道傾斜角が大きいシェル2やシェル3については、その可能性が高いかも。

まあ、どうでもいいんですが。

中・低傾斜角の軌道では、既に見通し線上の衛星数は足りているのかも知れない(未確認)。

不足しているのは、その衛星群が担えるスループット(通信能力に依存)だからな。

数で稼ぐのか、衛星1機当たりの通信能力で稼ぐのか。

通信が途切れないことが大前提だから、捕まえた衛星を離さないで次の衛星に渡ることが優先されるんだろう(未確認)。

ないよりマシなベータ版から正規のサービスへの移行は、そのタイミングで行われているハズだからな。

既に、サービスレベルでのクラス分けも行われ、プレミアム優先のプライオリティが展開されている。

世界のインターネットバックボーンの半分を担おうという話なわけだから、通信能力はあればあるほどよろしい。

今回、V2でEバンドを導入し、バックホール回線としての顧客開拓に乗り出しているのもその表れだ。

ワンウェブにとっては脅威だろうな。

それどころか、そのうち地上光回線との競争も始まるに違いない。

既に、都市部から離れた所へ光回線を引く事業は、壊滅的な打撃を受けているだろう。

つーか、消滅の危機にあるに違いない。

スターリンクがあるから、もういいじゃん!?。

都市部では、さすがに衛星への見通し線が確保できないからな(空、狭いし)。

地下もあるし、部屋の中もある。

まあ、そういうところは、インフラとして整っているだろうから必要ない。

バックボーンを取れば、既存の顧客を間接的に奪えるわけだ。

アットーテキなコスパで攻めるしかないからな。

ファルコン9が、1段目の再使用で高頻度低価格打ち上げを実現したのと同じ、パラダイムシフトが訪れることになる。

衛星の自社開発という困難な道を選択し、打ち上げ手段をスターシップで独占出来れば、地上回線のバックボーンと競争できるようになるかもしれない。

中抜きのデータ流通革命が起こる。

こういう、専制国家的究極的垂直統合による独占が好ましいかどうかは知らない。

また、それが実現できるかどうかは、スーパーヘビーブースターのラプター2エンジンが、33基同時点火に掛かっている。

S社が、この星のネットワークを牛耳るには、その関門を無事に通過しなければならない。

ファルコン9とV2ミニだけじゃ、せいぜい低軌道コンステレーションによるインターネット接続業者止まりだ(それでも、ぼろ儲けでしょうが)。

競争相手は、いいとこ静止衛星業者や僻地への光回線接続業者に留まる(つーか、既に競争は終わっている)。

もう1桁か2桁のコストダウンが必要だな。

もちろん、それだけの問題ではない。

既にこのブログでも触れたとおり、スターリンクは軍事的インフラとして機能させることも想定されているわけだから、中国をはじめとする敵対国家群にとっては安全保障上の脅威となる(そうやって使えることは、ウクライナで実証済み!)。

対衛星攻撃兵器で壊滅的な損害を受ける懸念もあるからな。

自然災害としても、太陽の活発な活動によって、一気に吹っ飛ぶ可能性もある(一発ノックアウトな静止衛星よりも抗堪性は高いでしょうが。)。

V2ミニは、スターリンクの未来であるだけではなく、S社や米国、人類の未来に繋がっている。

もしかすると、ロシアと中国の未来には繋がってないかもしれないけどな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(SpaceX は、第 2 世代の最初の Starlink 衛星を軌道に乗せました。あらゆる点で優れています。)
https://www.elonx.cz/spacex-dopravilo-prvni-druzice-starlink-druhe-generace-na-obeznou-drahu-jsou-lepsi-ve-vsech-ohledech/

「大衆はすぐに当時計画されていたスターリンク 5-1 ミッションに注目しました。初めての第2世代衛星。」

このミッションは通常のスターリンク v1.5 衛星のみを搭載していました」

「衛星には初めて高周波送信機 (VHF、Very High Frequency) が装備されました。」

ほほう、これは初耳だな。

「これらは、テレメトリの送信と衛星の制御のためのバックアップ ソリューションであり、さらに、衛星の状態と位置をより適切に監視できます。これらの新しい送信機の存在は、軌道上での運用の安全性を高めると考えられています。これらのおかげで、同社は打ち上げ直後と運用軌道への移動中に衛星を正確に監視できるからです。」

リンクが張られているツイッターは閲覧できなかった。

まあいい。

記事は、よく整理されていて分かりやすい。

浮沈子のブログ本文では、打ち上げベースで運用軌道に勝手に名前を付けているが、混乱のもとになっているのはS社がFCCに途中で変更を出しているからだな。

軌道高度1000km以上の高軌道を、途中で500km台の低軌道に変更申請している。

浮沈子の呼称でいうところの第1期のシェル3(高度560km、傾斜角97.6度)は、元々の申請が2つの軌道高度に分かれていた。

それを同じ軌道高度と傾斜角に再編成しているので、混乱している。

(SPACEX-RAYING スターリンクの開発)
https://www.nsr.com/spacex-raying-starlink-developments/

記事中の表に整理されているように、軌道は変更されている(S社からの要請は2019年9月:リンクされているFCCのファイルより)。

初期の軌道(申請時の名称?:高度:傾斜角:機数)→変更後
・シェル1:550:53:1584→550:53:1584(変更なし)
・シェル2:1110:53.8:1600→540:53.2
・シェル3:1130:74:400→570:70:720
・シェル4:1275:81:375→560:97.6:348
・シェル5:1325:70:450→560:97.6:172

浮沈子は、ブログ本文では、打ち上げ時のミッション名称ベースで整理している。

そもそも、シェルというのは「殻(から)」だからな。

同じ軌道高度なら、同じでいいんじゃないのかあ?(テキトーです)。

というわけで、S社の変更申請によって再設定された高度560kmの軌道を、打ち上げベース名称でまとめてシェル3とすれば、5-1ミッションで打ち上げられた軌道がシェル5という具合に収まる。

第二期の申請ベースのシェルを、順番に並べたら丁度当てはまったというのは偶然に過ぎない(たぶん)。

また、第一期の打ち上げベースの名称は、申請時の名称とは異なっている。

申請時軌道名称:高度:傾斜角→打ち上げ時名称(ミッション名称)
・シェル1:550:53→シェル1(同じ)
・シェル2:540:53.2→シェル4
・シェル3:570:70→シェル2
・シェル4:560:97.6→シェル3
・シェル5:560:97.6→シェル3(たぶん)

まあ、どうでもいいんですが。

FCCへの申請は、あくまでも申請だからな。

許可が下りてナンボだ(ペトルメレチンの記事によれば、同業他社からの反対も多いようだし)。

それに基づいて構成される衛星軌道は、S社内の命名で決まり、そこに打ち上げられるミッション名に反映されている感じだ。

今回、ちょっと真面目に調べて、自分なりに整理がついた気がする(どーせ、また大混乱するんでしょうが)。

イーロンXの記事では、衛星の形状などに関する申請時の表が掲載されている。

太陽電池パネル(Solar Array)の記載が興味深い。

名称:長さ(m):幅(m):数:面積(㎡)
F9ー1版(V1.5ハイブリッド):8.1:2.8:1:22.68
F9-2版(V2ミニ):12.8:4.1:2:104.96
スターシップ版(V2):20.2:6.36:2:256.94

V2ミニの形状は、2枚の太陽電池パネルを持つ、スターシップ版(V2)に近い(本体の縦横比は違いますが)。

通信能力が4倍というのも、太陽電池パネルの面積から想定される発電量にほぼ比例している(V2が10倍の通信能力というのも同じ感じだしな:電力は推進系でも使うので、単純じゃないけど)。

衛星の設計としては、外連味のない無難な選択をしている。

記事には、その推進剤であるアルゴンのコストに関する記述もある。

「従来のキセノンは、より高いパフォーマンスと効率を提供しますが、より希少で、約 10 倍高価です。そのため、クリプトンは安価ですが、それでも比較的まれであり、多数のスターリンク衛星があるため、燃料のコストはかなり高くなります (さらに、キセノンとクリプトンの大部分がウクライナで生産されており、これは別の頭痛の種です)。」

うーん、ウクライナ問題が絡んでるのか。

「クリプトンの前身と比較して、新しいエンジンで 2.4 倍の推力 (170 mN) と 1.5 倍の比推力 (2500 秒) を達成することができました。アルゴンエンジンの総合効率は 50%で、入力は 4.2 kW、重量は 2.1 kg です。通常、キセノン エンジンの効率は約 60% 」

「SpaceX はアルゴンに切り替えることで燃料費を1,000 分の 1 に削減しました。」(リンクされているウィキには、「アルゴンはクリプトンの約 100 分の 1、キセノンの 1000 分の 1 の価格です。」とある。)

べらぼーな機数を飛ばし続けなければならない低軌道コンステレーションでは、価格は重要な要素だ。

「SpaceX の代表者は約 1 年前、Starship は100 個以上の Starlink 衛星を搭載できると述べました。」

使い捨てのスターシップの軌道運搬能力は150トンと言われている。

つーことは、あれだな、V2の衛星重量は2トンではなく、約1250kgと言われている方に近いかも知れないな。

「イーロン マスクは2022 年に、スターシップの「V2」衛星の長さは 7 メートル、重さは約 1250 kg であることを明らかにしました。」

整合性はある。

「 2 月、SpaceX はFCC に、第 1 世代コンステレーションの衛星をアップグレードする許可を求めるリクエストを送信しました。」

世代交代は着々と進むだろう。

が、全てはラプター2が33基同時点火してからの話だけどな・・・。

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